著者
本山 達男 尾川 貴洋 小川 貴久 古江 幸博 永芳 郁文 川嶌 眞之 佐々木 聡明 渡邊 裕介 小杉 健二 川嶌 眞人 田村 裕昭
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.481-484, 2015-09-25 (Released:2015-12-03)
参考文献数
6

膝前十字靭帯(ACL)損傷に伴う骨挫傷は,MRIでのACL損傷診断の補助となる.ACL新鮮例のMRIでの骨挫傷について検討した.対象と方法)対象は2011年7月より2014年7月まで当院でACL損傷にて関節鏡もしくは鏡視下靭帯再建を行った41例,41膝,男性21例,女性20例,平均年齢30歳(13-58)右膝12例,左膝29例であった.MRIにて骨挫傷の有無,部位について,また受傷機転,スポーツ種目について検討した.結果)41膝中39膝(95.1%)に骨挫傷を認め,脛骨外側顆36膝,大腿骨外側顆28膝,脛骨内側顆13膝,大腿骨内側顆6膝であった.また内側コンパートメントの骨挫傷単独例はなく,外側コンパートメントの骨挫傷を合併していた.41例中39例はスポーツが原因で,バレーボール17例,バスケットボール10例,サッカー6例などであった.受傷機転はジャンプし着地時の受傷が21例と多かった.非接触型の受傷は34例(82.9%)を占め,接触型より内側の骨挫傷を多く合併していた.
著者
五島 史行 矢部 はる奈 五島 一吉 小川 郁
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.330-332, 2007

"Ear popper<SUP>&reg;</SUP>" は自宅または外来で小児滲出性中耳炎に対する通気を行うための機器である。外来にてポリッツエル球の代わりに本機を用いて2歳から9歳の小児滲出性中耳炎症例18例 (男児8例, 女児10例) に対して通気治療を行った。通気治療前後の鼓膜, ティンパノグラム, 聴力検査所見により評価を行った。<BR>〈結果〉17例において苦痛なく確実に通気可能であった。〈まとめ〉日本では国民皆保険制度が整備され, 医療機関へのアクセスも比較的容易なため患者自身で病気を治療しようという意欲はアメリカに比べると低い。また自治体によっては小児の医療費は無料であり通院治療が経済的には負担にならないため在宅治療器の普及はあまり進んでいない。今回は外来での使用にとどまったが頻回な通院が必要な難治性の滲出性中耳炎児に対しては容易に在宅でも通気治療できる本装置のメリットは大きいと考えられた。
著者
小川 浩司
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.106, no.6, pp.685-691, 2003-06-20
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

滲出性中耳炎55症例に風船を使った自己通気(鼻吹き風船)治療を行い次の結果を得た.<br>1. 中耳換気チューブの既往歴のない小児27例49耳の87%,成人16例23耳の65%が著効以上の成績を示した.鼻吹き風船で治癒した小児の26%,成人の31%が14日以内に,また小児の24%は15日から21日までに治っていた.<br>2. 3年以上治療し換気チューブの既往歴がある小児7例中5例,成人5例中1例が鼻吹き風船によって治癒した.引き続き治療が必要だった6例中2例はアレルギー性鼻炎を合併していて,換気チューブ留置により貯留液が消失しても音響耳管法による耳管開口が認められず,成人2例は喘息,副鼻腔炎を合併した好酸球性中耳炎であった.中耳や耳管粘膜病変が強い場合は受動的換気だけでは治らない.また,他の2例は自己通気を決められた回数どおりに続けられなかった症例で,通気回数と継続が結果を左右するものと考える.<br>3. 風船を膨らませるとき鼻咽腔にかかる圧力は40~48mmHgでポリッツェル送気圧の40~60mmHgやユニット付き送気管の60~100mmHgに比べ低く,より安全なものと思われる.当院ではこれまで圧外傷等の副作用はなかった.
著者
三木 誓雄 寺邊 政宏 森本 雄貴 樋口 徳宏 小川 亜希 白井 由美子 岡本 京子 菱田 朝陽 Donald C. McMillan
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.597-602, 2013 (Released:2013-04-24)
参考文献数
31

悪液質は「単なる栄養補給では改善できない、骨格筋喪失を伴う栄養障害」と定義される。悪液質は通常の低栄養とは異なり全身の代謝異常を伴い、治療の継続性、有効性に悪影響を及ぼし、QOLの低下のみならず生存期間の短縮をも、もたらす。これまで悪液質はがん終末期の病態と考えられてきたが、比較的早期の段階から出現し、病期に依存しない予後不良因子であることがわかってきた。20世紀半ばより悪液質に対する強制的経腸あるいは経静脈栄養が試みられてきたが、有効性を示すエビデンスは得られなかった。近年全身性炎症を制御する目的でEPAが悪液質の治療に用いられるようになった。しかしながらQOLを向上させるエビデンスは示されているものの生存期間の延長に関しては一定の見解は得られておらず、今後治療開始時からの免疫栄養療法の早期導入や分子標的治療を初めとする抗腫瘍療法との組み合わせなどが期待されている。
著者
渡辺 隆 岩上 直幹 小川 利紘 中村 正年 Takashi WATANABE Naomoto IWAGAMI Toshihiro OGAWA Masatoshi NAKAMURA
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
no.69, pp.111-115, 1980-03

冬期高緯度において,中間圏オゾンのロケット観測を太陽吸光法を用いて行った.得られた高度分布は,典型的な中緯度の値にくらべて著しく小さい.
著者
小川 渉 宮崎 滋
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.301-306, 2015 (Released:2015-05-01)
参考文献数
20
被引用文献数
10 17

肥満は2型糖尿病や脂質代謝異常症、高血圧に代表されるような動脈硬化性疾患のリスク因子に加え、蛋白尿や非アルコール性脂肪肝(non-alcoholic fatty liver disease: NAFLD)、高尿酸血症など様々な疾患・病態の発症基盤となることから、肥満をどのように診断し、どのような対象に介入を行うかは重要である。わが国では欧米のような高度の肥満者は少ないにも関わらず、2型糖尿病や脂質異常症、高血圧などの肥満に関連する疾患の有病率は比較的高いことから、欧米より厳しい基準で肥満を診断することは妥当と考えられる。日本肥満学会では、肥満に関連する健康障害の有病率に関する疫学調査などから、BMI18.5以上25未満を普通体重とし、これを超えるものを肥満、下回る者を低体重と定義している。また、肥満の中でも、医学的に減量を必要とする病態を肥満症と呼び一つの疾患単位として捉えることを提唱してきた。肥満症の考え方として、現在健康障害を持つものだけではなく、将来健康障害を発症する可能性が高いものを含む点が重要である。内臓脂肪型肥満が健康障害を伴いやすいハイリスク肥満であることは知られている。内臓脂肪型肥満の診断手順は、ウェスト周囲長によるスクリーニングの後、腹部CT検査により内臓脂肪面積を測定する。一方、日本人間ドック学会・健康保険組合連合会により公表された「新たな検診の基本検査の基準範囲」は、特定の疾患を持たず、特定の疾患の薬物治療を受けていない集団の平均的なBMIの分布範囲を示したものにすぎない。この基準範囲にはハイリスク肥満である内臓脂肪型肥満が含まれており、これらは減量介入が必要な肥満症患者であることを強調したい。健診や人間ドックに従事される方は、これらの診断基準や基準範囲の設定の手法、目的の差異を十分に理解の上、業務にあたられたい。
著者
小川 健
出版者
専修大学社会科学研究所
雑誌
専修大学社会科学研究所月報 = The Monthly Bulletin of Social Science (ISSN:0286312X)
巻号頁・発行日
vol.646, pp.1-14, 2017-04-20

本稿では関数電卓なしでの実効為替レートの近似計算公式を裏付けるために、加重相乗平均を加重相加平均で近似計算許容可能かどうかを検証する。本手法が成立すればGDP の平均成長率など経済学の多くで必要となる(加重の)相乗平均に対し通常の電卓で計算可能な(加重の)相加平均で近似計算が可能になり、殆ど関数電卓を持っていない中堅私大以下の低学年においても経済学の通常の小テスト及び定期試験での座学による計算問題の可能性が広がる。近似では自然対数のテイラー展開を利用した線形近似、つまり x≒1 のとき ln(x)≒x-1 の適用範囲に落とし込んで計算を行う。なおこの近似は本来、1次同次のコブ=ダグラス型関数に相当する加重相乗平均を、多変数関数と見なした時のテイラー展開を利用した線形近似で直ちに導出できるものである。検証の結果、この近似公式による誤差はかなり大きく見積もっても、1から最大で小数第n 位以内のずれに対しおよそ小数第2n 位までの誤差に収められることが分かった。これは高々数%以内のずれが多い数値例に対し、少なくとも教育上は加重相乗平均が加重相加平均で近似計算可能であることを意味する。
著者
小川 宣子 藤林 真美 七山(田中) 知佳 西脇 雅人
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.455-465, 2017-12-01 (Released:2017-11-28)
参考文献数
49

The present study aimed to examine the effects of community-based intervention on cognitive function and hand finger dexterity in older adults at different levels of time to go out. Forty men and women (age, 73 ± 1 years) participated in supervised group activity and seated exercise for 60 min per session, once each week during an 8-week intervention. The participants wore an activity monitor for 1 week to determine baseline values and for the 8 weeks of intervention. Mini-mental state examination (MMSE) and pegboard test, which is related to cognitive function, were assessed before and after the intervention. Based on the total time to go out at baseline, the participants were assigned to Control group (> 60 min/day, n = 18) or Short group (≦ 60 min /day, n = 22), and then analyzed. After the 8 weeks of intervention, the Control and Short groups improved physical fitness parameters such as handgrip strength. Although MMSE in the both groups did not reach statistically significant level, these values tended to increase slightly from the baseline. Interestingly, two-way repeated-measures analysis of variance indicated significant interaction of pegboard test, and the score significantly increased only in the Short group. Total physical activity and moderate-vigorous physical activity in the both groups did not change significantly between the baseline and intervention periods. Therefore, these results suggest that the trainability of pegboard test, which is an index of hand finger dexterity and is related to cognitive function, would differ depending on the time to go out at baseline in older adults.
著者
小川青華 著
出版者
郷土玩具木版画集刊行会
巻号頁・発行日
vol.第1巻 近畿四国之部 第1輯, 1936
著者
小林 由実 小川 進 田中 喜典 小川 宣子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.183, 2011

<B>目的</B> 炊飯に用いる水のイオンの種類やその含量などの水質が飯の品質に影響を及ぼすことを報告している<SUP>1)</SUP>。そこで本研究では、浄水器により調整した水が飯の品質に及ぼす影響についてカルシウムイオンを中心に検討を行った。<BR><B>方法</B> 炊飯には、原水を浄水カートリッジで浄化処理した水(以下:浄水)、浄水をイオン交換樹脂により処理した水(以下:イオン交換水)、そして硬度が浄水に比べ100mg/L高くなるように塩化カルシウムを添加した水(以下:調整水)の3種類を用い、カルシウムイオン濃度は原水が15.7mg/L、用いた3種類の水はそれぞれ15.7mg/L, 2.5mg/L,51.5mg/Lであった。飯の品質はクリ―プメータ測定及び官能検査から硬さ、電子水分計から水分、でんぷんの糊化度はグルコアミラーゼ法と走査電子顕微鏡による組織構造から調べた。また、最初の米の容積に対する炊飯後の容積の割合(膨張率)から飯の「ふっくらさ」を検討した。<BR><B>結果</B> イオン交換水で炊飯することで浄水に比べ、飯の膨張率は高く、水分量が多く、軟らかな飯となり、糊化度の値も高く、網目構造も観察でき、優れた品質の飯となることが示された。一方、調整水で炊飯した飯は浄水に比べ、膨張は悪く、飯の水分量は少なく、でんぷんの糊化度も低かった。これよりカルシウムイオン濃度は飯の品質に影響を及ぼし、カルシウムの除去は飯の品質を上げる効果があることが明らかとなった。<BR>[文献]1)小川宣子、稲垣明子、山中なつみ、下里道子:炊飯溶液中のカルシウムとナトリウムが飯の性状に及ぼす影響(第1報)、日本家政学会誌、57(10)、pp669-675(2006)
著者
小川 功
出版者
滋賀大学経済学会
雑誌
彦根論叢 (ISSN:03875989)
巻号頁・発行日
no.387, pp.122-135, 2011

Arinobu Fukuhara, president of TEIKOKU Life, a major life insurance company, formed a real estate syndicate with 22 close, wealthy friends in 1907 when Japan was experiencing an investment boom. Among the group were the Fukuzawa brothers, members of the founding family of Keio Universit y, a major university in Japan. This syndicate was a type of real estate fund organized to invest in tourism in the Hakone district located close to Tokyo. But it actually acted as a structured investment vehicle (SIV) for making prior acquisitions of real estate for the ODAWARA Electric Railway, of which the investors where stakeholders. It purchased vast tracts of land to be developed as a resort area in Gora in Hakone, which was to be the last stop of the planned new railway line. These purchases generated multiple benefits for the venture capitalists. They offeredprospects for diversifying the new railway business, and the investors enjoyed the proceedsfrom the land transactions and also the comfortsof owning a second house in a resort area.TEIKOU Life acted as an investment bank and managed all the various financial transactionsnecessary in a real estate business, from purchase to sale of the properties. It can be saidthat the company was the originator of a seriesof financial schemes managed by the fund. This investment fund, which specialized in tourism,not only provided the financiers with high returnsand comfortable resort living, but alsodeveloped and completed the most advanced,full-scale mountain railway system aimed atproviding transportation for tourists in Japanand a superior mountainous resort area with a private amusement park attached.
著者
竹内 孝治 小川 英明 小田 達郎 今村 太朗
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.177-188, 2010 (Released:2018-01-31)

本研究は,戦時期日本において活躍した建築家内田祥文の「國民主宅」構想を対象として,設計提案および,思想内容の読解を通して歴史的意義を明らかにするものである。まず,内田の経歴および建築活動を概観し,内田が建築競技設計において提案した「國民住宅」案の内容を整理した。次に,「國民住宅」案に関連して発表された諸論考の内容読解により,科学性・合理性と日本精神の称揚が併存した内田の思想内容を明らかにした。また,計画案の図面内容の検討およびCADによる3次元復元により,内田の「國民住宅」提案にみられる,モダニズムの手法と日本文化の融合がもたらした歴史的意義を明らかにした。
著者
今井 則夫 河部 真弓 土井 悠子 中島 弘尚 小川 三由紀 古川 文夫 白井 智之
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.330, 2010 (Released:2010-08-18)

【目的】現在,あるいは将来,携帯電話などから発生する電波により,人が多世代にわたってばく露されることは明らかである。しかし 電波の多世代のばく露試験はこれまでに報告がされていない。そこで,携帯電話で用いられている2GHz帯電波を妊娠期から授乳期, 離乳後のラットに多世代にわたって全身ばく露し,脳の発達及び機能への影響について検討した。【方法】ばく露箱内の照射用ケージに ラットを入れ,ばく露箱内上部に直交させたダイポールアンテナで,周波数2.14GHz,W-CDMA方式の電波をばく露した。ばく露は 1日20時間を妊娠動物の妊娠7日目から分娩21日目まで,さらに児動物が6週齢に至るまで行い,これを3世代にわたって実施した。照 射レベルとしては全身平均SAR(Specific absorption rate)が0 W/kg(対照群),0.08 W/kg(低ばく露群)及び0.4 W/kg(高ばく露群) の3段階を設けた。児動物は,ばく露終了後に脳への影響を確認するために行動機能(オープンフィールド検査)及び学習・記憶テスト (モーリス水迷路検査)を実施した。その他の検査項目として,体重,摂餌量,妊娠期間,着床痕数,産児数,出産児数,死亡児数,反 応性検査(痛覚反応,平面正向反射,背地走性,空中正向反射,耳介反射,聴覚反射,瞳孔反射,角膜反射),生殖能(性周期,交尾所 要日数,交尾率,受胎率),器官重量及び脳の病理組織学的検査についても実施した。【結果】ばく露期間中,あるいはその後の検査期 間中を通して,体重,摂餌量に電波ばく露の影響はみられず,生殖器能,反応性検査,オープンフィールド検査,モーリス水迷路検査, 器官重量及び脳の病理組織学的検査のいずれに対しても,電波ばく露による影響はみられなかった。【結論】SD系雄ラットに2GHz帯電 波を3世代にわたって,妊娠期から授乳期,離乳後のラットに全身ばく露させた結果,電波ばく露の影響と考えられる変化はみられなかっ たことから,電波ばく露による脳の発達及び機能への影響はないと判断した。(なおこの研究は生体電磁環境研究推進委員会(総務省) の支援によって,また藤原修(名工大),王建青(名工大),渡辺聡一(情報通信機構),和氣加奈子(情報通信機構)との共同研究で実施した。)