著者
小川 清彦 中西 喜彦 柳田 宏一 根比 長幸
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.123-134, 1983-03-15
被引用文献数
1

鹿児島県下の草地利用型牧場について, 草地造成面積, 牧場数, 管理主体の性格, 飼養管理, 家畜および草地の問題点, および冬季の貯蔵資料の状況などを分析した.その結果は次のとおりである.1.鹿児島県下の総草地造成面積は1961年から1980年までの間に6,205.0ha造成されている.また, その約半分の3,163.6haが1966年から1970年までの5年間に造成されたが, 現在までも一定の草地造成が行われている.2.牧場数を管理主体別に区分すると, 公共牧場 : 47牧場(2,027.9ha), 農業公社牧場 : 12牧場(399.7ha)および一般牧場 : 230牧場(3,681.2ha)の計289牧場である.3.飼養管理についてみると, 肉用牛では調査した31牧場中周年放牧61.3%, 夏季放牧32.3%および舎飼い6.4%の牧場数になっている, 一方, 乳用牛では14牧場中舎飼い50.0%, 夏季放牧28.6%および周年放牧21.4%の牧場数となっている.4.各牧場の問題点のおもなものは雑草繁茂が肉用牛では74.2%の牧場で, 乳用牛でも50.0%の牧場で指摘されている.さらに, 施肥量の不足や草地利用法のまずさがそれぞれ半数近い牧場で指摘されている.5.冬季飼料の貯蔵状況をみると, 肉用牛で61.3%の牧場で, 乳用牛で28.6%の牧場で不足している.粗飼料確保についてみると, 肉用牛で乾草調製を54.8%の牧場で行い, さらに25.8%の牧場でサイレージを調製している.また, 61.3%の牧場で稲ワラを購入している.乳用牛では乾草調製を42.9%の牧場で行い, サイレージ調製を78.5%の牧場で, また, 稲ワラは57.1%の牧場で購入している.6.繁殖牛の受胎率は, 肉用牛, 乳用牛ともに60%以上の成績を示す牧場数は50%以下と少なかった.これは産草量の不足や牧草貯蔵法の未熟さと密接に関係しているように思われる.
著者
小川 みどり 高田 真一朗 高橋 正雄 安田 悦子 渡瀬 真梨子 谷口 初美
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.401-410, 2006-12-01

手洗いおよび手指消毒は最も基本的な感染防止策である.現在,速乾性擦式消毒剤による手指衛生が国際的なゴールドスタンダードとなっている.しかし,我々の調査では,2004年に10.4%(48人中5人),2005年に34.3%(35人中12人)と多くの無効例が認められた.2005年の検体について,コロニーの形態より円形,不整形,拡散性コロニーに大別し,残存菌の性状を調べた.円形コロニーはブドウ球菌属の菌であり,不整形・拡散性のコロニーはグラム陽性有芽胞桿菌であると考えられた.消毒後の菌数が消毒前と同数以上あるいは300個以上の無効例の中で,ブドウ球菌属の菌が残存したと考えられる場合が3例,セレウス菌を含むグラム陽性有芽胞桿菌が残存したと考えられる場合が9例であった.医療現場では,速乾性擦式消毒剤による手指消毒を過信することなく,必要に応じて滅菌手袋の着用などの対策を講じるべきである.
著者
千歳 雄大 小川 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.130, pp.1-6, 2008-07-08

周囲刺激と色や形などの基本的な特徴次元で異なる刺激は目立ち(visual saliency、視覚的顕在性)、我々の注意を自動的に惹きつける。視覚情報は各特徴次元ごとに用意された二次元脳内地図(feature map)で処理され、それらの信号が統合されることによって特徴次元に依らない視覚的顕在性の地図表現(saliency map)が形成されると考えられている。この統合過程における計算様式を明らかにするため、色次元のみ、形次元のみ、もしくは色・形次元の両方で目標刺激が妨害刺激と異なる視覚探索課題をヒト被験者に行わせ、特徴次元の組合せによって目標刺激の視覚的顕在性がどのように変化するのかを調べた。視覚的顕在性の強さは、目標刺激へのサッカード眼球運動が開始されるまでの潜時を指標として評価した。その結果、色次元のみで異なる目標刺激と形次元のみで異なる目標刺激への潜時が同程度のときは、潜時の絶対的な大きさにかかわらず、2つの次元を組合せることによってサッカード潜時が短縮した。しかしながら、組合せ前の潜時が色と形次元で大きく異なっているときはそのような短縮効果が生じなかった。この結果は、複数のfeature mapからの情報がsaliency mapで統合される従来の注意モデルに、feature map間の相互抑制回路による競合過程を新たに付加すると上手く説明することができた。
著者
小川 圭二 廣垣 俊樹 青山 栄一 米田 哲郎
出版者
同志社大学
雑誌
同志社大学理工学研究報告 (ISSN:00368172)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.37-44, 2008-04

消費者ニーズに対応するため、変種変量生産方式のニーズが増大している。最近、我々は交通工学におけるタクシーシステムをAGVの搬送システムに応用することを提案した。本報では、提案するシステムの効果を実証するために、実際のAGVのフォローパスモデルについて考察した。特に、複数のAGVを能率的に制御するために、各々のAGVの位置を考慮した場合を取り上げた。その結果、タクシー業界における流し営業、待ち営業、無線配車営業を融合した方法が、生産機械から製造物が完成した後にAGVが物を受け取りにいくまでの時間の低減に有効であることを示した。Recently, the demand for several-product-type various quantity manufacturing is increasing to meet customer demand. In the present study, we propose an autonomous conveyance system for an Automated Guided Vehicle (AGV) applied with a taxi system in traffic engineering. In this report, a flow path model of the AGV is investigated in order to verify the effect of the proposed system. We consider the position of other AGVs in order to efficiently control multiple AGVs. As a result, it is demonstrated that the mixture of crawler, radio type and waiting taxi traveling is effective for reducing the waiting time between manufacturing products and AGV arrival.
著者
徐 忠傳 兵藤 宏 生駒 吉識 矢野 昌充 小川 一紀
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.192-194, 2000-03-15
被引用文献数
6

キウイフルーツ'魁密'(Actinidia chinensis)と'ヘイワード'(Acitinidia deliciosa)では果実の部位によって1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)合成酵素遺伝子の発現, ACC含量およびACC合成酵素活性に大きい差が認められた.エチレン生成能の低い'ヘイワード'においてはACC合成酵素mRNAのレベルは外果皮で一番高く, 部位の違いが明確であった.一方エチレン生成能の高い'魁密'においては外果皮, 内果皮, 果芯のすべてで高かった.ACC合成酵素mRNAの発現, ACC含量およびACC合成酵素活性は'魁密'の方が'ヘイワード'より高かった.これらの結果より, キウイフルーツのエチレン生成能の品種間差に関与する要因は主にACC合成酵素遺伝子の発現とACC合成酵素の活性であることが示された.
著者
小川 栄一
巻号頁・発行日
2006

筑波大学博士 (言語学) 学位論文・平成18年9月30日授与 (乙第2232号)
著者
小川原 光一 崎田 健二 池内 克史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.88, pp.55-62, 2005-09-05
被引用文献数
1

本稿では,人間が行う作業に対してロボットが自然な形で協調し作業の遂行効率を上げることを目的として,作業者の迷いに起因する作業の滞りを検出し,その局面において取るべき適切な動作を推定し提示することによって作業者の行動を支援する手法について述べる.そのために,人間の意図を内包した生理的情報である視線運動の履歴を利用して,迷いの状態を検出するとともに,人間の意図とシステムの持つ作業に関する知識の両者と整合性のとれた適切な行動を推定する枠組みを提案する.さらに,レゴ組み立て作業を例題にとって推定手法の実装を行い,実ロボットを用いた行動の推定・提示・実行システムを構築して検証実験を行う.To realize a flexible and natural cooperative task between a human and a robot, a framework of a system which estimates and presents appropriate action to a human when he/she is in trouble over making decision on the action to be taken next.For that, history of gaze motion,physiological information which implicitly expresses the intention of a human, is employed to detect trouble and to estimate appropriate action which agrees with both the intention of the human and the goal of the task which is known to the system. The proposed framework is implemented on LEGO assembly task and experimental results are presented by using a gaze tracking system and a humanoid robot.
著者
小川 泰文 小川 猛志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.577, pp.71-74, 2007-03-01

ユビキタスNW環境では,ユーザーは様々な手段でコミュニケーションを行うことになる.しかし例えば着信音が迷惑なシチュエーションがあるように,状況によって適切でない通信手段があり,状況の取得を可能とするプレゼンスサービスが重要となる.翻って,従来のプレゼンス情報は主にユーザーの自己申告によるものであることから,信頼性やリアルタイム性に欠け,通信手段を適切に選択するための判断根拠としての有効性は高くない.本研究では,NWを介してユーザーからのセンシング情報を収集し,センシング情報を基づき動的にプレゼンス情報を生成するためのシステムを提案し,これにより通信手段を適切に選択するためのプレゼンスサービス実現手段に関して考察を行う.
著者
小川 博司
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.17-30, 1980-12-31
被引用文献数
1

匿名性は、社会と個人の問題を、根源的に提示する概念である。何故ならば、社会とは、固有名をもった個人が、匿名的な存在となるところに存立すると考えられるからである。A・シュッツの匿名性の概念は、この問題を考える際に、示唆に富んでいる。<BR>シュッツは匿名性の様々な程度を照射する虚の光源としてわれわれ関係を想定する。われわれ関係は、相互的な汝志向を基盤とし、そこでは他者は、時間・空間の直接性のうちに経験される。シュッツによれば、他者を間接的に経験すればするほど、他者の匿名性の程度はより高くなるとされる。尚、時間・空間の直接性は、われわれ関係の成立のための必要条件ではあるが、十分条件ではない。シュッツの匿名性の概念は、次の諸相に分節化される- (1) 機能的類型として匿名性、 (2) 「知られていない」という意味の匿名性、 (3) 社会的世界の構成原理としての匿名性、 (4) 所与の社会構造のもつ匿名性。<BR>(1) (2) は、個人としての他者の経験に関連する。 (3) (4) は、社会制度、言語、道具など、匿名性の高い領域に関連する。それらは、一方では匿名化による構成物であり、他方ではわれわれ関係の舞台に配置されている諸要素でもある。シュッツの理論では、 (3) と (4) は、匿名性とわれわれ関係という二つの鍵概念により結合されている。<BR>以上の匿名性の分節化は、社会の存立の考察、また現代社会の諸問題の考察に有用であろう。<BR>匿名性 (anonymity) という概念は、社会学においては、従来、主に大衆社会論的文脈の中で、都市社会やマス・コミュニケーションにおける人間関係の特徴を表わすものとして用いられてきた (1) 。しかし、匿名性は、社会と個人、もしくは類と個の問題を、より根源的に提示する概念であるように思われる。何故ならば、社会とは、固有名をもった人間個体が匿名的な存在となるところに存立すると考えられるからである。本論文は、主にA・シュッツの匿名性の概念の検討を通して、現代社会において、個人と社会とが絡み合う諸相を解き明かすための視角を提出しようとする試みである (2) 。<BR>以下、具体的には、シュッツが匿名性の程度を示すためにあげた例示の検討を通して、順次、匿名性の諸相を抽出し、検討していくことにする。
著者
小川 清 澤井 新 飯田 登 萬代 雅希 渡辺 尚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.2251-2262, 2005-11-01

単一の端末に複数の通信インタフェースを接続し, 複数経路を利用するマルチホーミング通信環境においては, 往路と復路で異なる経路を利用すれば, より効率的な情報通信が可能となる場合がある. これを可能とするためには, 片方向の遅延を考慮して適切なインタフェースを選択する必要がある. しかしながら, 通信経路の負荷が時間帯, 通信量などによって変動することや, 往路遅延と復路遅延を簡単には分離できないことなどから, 正確な片方向遅延を直接求めることは一般的には困難である. 本論文では, 複数のパターンの往復概遅延の組から片方向の概遅延差を簡便に求め, これに基づいて経路を選択する方式を提案する. 本方式は, 通信相手との時刻同期, 測定のための制御パケットが不要で, ネットワーク層に依存しないため拡張性があることなどの特徴をもつ. また, 提案方式をICMPで計算機上に実装し, 種々のマルチホーミング通信環境で実験評価する. その結果から片方向経路選択が可能であり, 提案方式が有効であることを示す.
著者
宮本 勝 中谷 挽子 渡辺 昌洋 米村 俊一 小川 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.169, pp.7-12, 2004-07-02
被引用文献数
1

検索要求の表現と検索対象の表現が乖離している場合,適切に情報を絞り込むことが難しい.そこで,本稿では,情報を絞り込まず,長い検索結果リストを,大雑把に飛ばし読みしつつも,必要な情報を見逃さないような検索結果の表示方法を提案する.FAQを事例として評価した結果,飛ばし読みの方略をとり,本方式を高く評価する層,しない層,飛ばし読みができず,並び順を弁別できない層に被験者を層別できた.また,本方式を高く評価する層は,検索要求の表現と検索対象の表現が乖離している場合に,アルファベット順の表示方式では必要な情報を見逃す確率が高いが,本方式では大雑把に飛ばし読みをしつつも,必要な情報を見逃す確率が低いことが分かった.