著者
小林 和美
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 2 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.1-12, 2005-02

本稿は,韓国における高齢者の暮らしと福祉サービスの利用について,テグ市およびプサン市において行った高齢者にたいするインタビュー調査の事例を中心に検討したものである。高齢者の暮らしは,居住地域(都市/農村)と社会階層によって大きく異なるものとなっている。都市中上層の高齢者がジルバータウン,老人福祉館,老人大学などを選択的に利用しながら活動的な日常を送っているのにたいし,都市下層の高齢者は,敬老堂,老人福祉館,社会福祉館,近所の公園などで単調な毎日を過ごしていた。農村の高齢者は,敬老堂を中心に,緊密な近隣関係に支えられて生活していた。
著者
小林 和也 栗田 玲
出版者
日本混相流学会
雑誌
混相流 (ISSN:09142843)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.118-124, 2021-03-15 (Released:2021-04-15)
参考文献数
16

Gravitational instability, which is a typical example of hydrodynamic instabilities, occurs due to density difference. When a heavy fluid lies over a light fluid in a constant gravitational field, fluctuations at the interface gradually increase and then macroscopic flows occur. The gravitational instability can be found not only in liquid-liquid interface but also in the gravitational settling of granular materials. However, the gravitational instability of liquid systems and granular systems have been discussed individually in most cases. We quantitatively find a close relationship of the gravitational instability between the physical gel and granular systems. We also find that those behaviors are determined by the thickness of the fluidization region.
著者
西村 善博 山本 正嗣 小林 和幸 永野 達也
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

粒径が0.1µm以下のナノ粒子(PM0.1)は肺胞まで到達し、その影響は全身へと波及することから、健康への影響が懸念されている。しかし、PM0.1が喘息の増悪や難治化に及ぼす影響は分かっておらず、本研究ではそれを明らかにする。まず、粒子状物質の分級サンプリングが可能なナノサンプラーⅡ(Kanomax)を用い、2019年2月7日から2月12日の5日間、東京都新宿区において計640.5µgのPM0.1を回収した。次に、マウス喘息モデルの作成およびPM0.1の経鼻投与実験を行った。すなわち、OVA(卵白アルブミン)10µg/匹と水酸化アルミニウム1mg/匹をDay1とDay8に腹腔注射してOVAに感作させたマウスに、PM0.1 10µg/匹とOVA 200µg/匹をDay14,15,16に経鼻投与し、Day17に気管支肺胞洗浄液を採取した(PM0.1群)。OVA群、PBS群では、Day14,15,16にOVAのみ、ないしPBSのみを投与した。気道炎症の評価として気管支肺胞洗浄液の総細胞数、好酸球数の解析をしたところ、PM0.1群およびOVA群ではPBS群に比して有意な上昇を認めたが、PM0.1群とOVA群の間に差を認めなかった。また、上記のPM0.1群とOVA群に対して、Day14, 15, 16の経鼻投与1時間前にステロイド(デキサメタゾン20µg/匹)を腹腔注射する治療実験も行った。ステロイド投与により、PM0.1群、OVA群ともに総細胞数、好酸球数の減少を認めたが、ステロイドへの反応性は2群間で有意な差を認めなかった。上記の結果、PM0.1と喘息の増悪や難治化には関係性がみられない可能性があるが、粒子径の違いにより気道炎症の程度に差が生じる可能性があり、引き続きPM2.5やPM10といった粒径のより大きな物質との比較検討を行う予定である。
著者
韓 海 渡来 仁 小林 和子 保田 立二
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1109-1114, 1997-12-25
参考文献数
29
被引用文献数
2

リポソームを経口ワクチンへ応用するために, pH2.0, 膵液ならびに胆汁存在下でも安定なリポソームの脂質組成を検討し, 経口投与後のIgA抗体産生能について調べた. 経口投与リポソームは, dipalmitoylphosphatidylcholine (DPPC) とcholesterol (Chol) からなるもの, DPPC, dipalmitoylphosphatidylserine (DPPS), Cholからなるもの, distearoylphosphatidylcholine (DSPC) とCholからなるもの, DSPC, DPPS, Cholからなるものを作製し, Tris-HCl buffer (pH2.0), 10%bovine bileならびに2.8%pancreatin液中での安定性を調べた. その結果, DPPC, DPPS, Chol (モル比1:1:2) の脂質組成から作製されたリポソーム, DSPCとChol (モル比7:2) の脂質組成から作製されたリポソームならびにDSPC, DPPS, Chol (モル比7:3:2あるいは1:1:2) の脂質組成から作製されたリポソームは, pH2.0, 10%bile液ならびに2.8%pancreatin液中でも安定であったが, DPPCとChol (モル比7:2) の脂質組成から作製されたリポソームとDPPC, DPPS, Chol (モル比7:3:2) の脂質組成から作製されたリポソームは, pH2.0ならびに10%bile液中で不安定であった. 安定なリポソームのうち, DPPC, DPPS, Chol (モル比1:1:2) の脂質組成からなるリポソームにganglioside GM1を組み込み経口投与し, 血清中のganglioside GM1に対するIgA抗体の産生について調べた. その結果, ganglioside GM1に対する抗体はIgA型抗体のみ産生され, IgG型ならびにIgM型抗体は産生されなかった. さらに, アジュバントとしてmomophosphoryl lipid Aをリポソームに組み込み経口投与した場合, IgA抗体の産生がさらに増強された. 一方, 不安定なリポソームにganglioside GM1を組み込み経口投与した場合には, IgA抗体の産生は誘導されなかった. これらの結果から, 酸性溶液中 (pH2.0), 胆汁中ならびに膵液中で安定なリポソームは, 経口投与によりIgA抗体を効果的に誘導できることが明らかとなり, リポソームを応用した経口ワクチンの開発の可能性が示された.
著者
小林 和雄 大高 泉
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 30 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.423-424, 2006-08-10 (Released:2018-05-16)
参考文献数
5

科学的な思考を科学的な探究(問題解決)の全過程における一連の思考と考えるならば,これらの諸過程における生徒の実態を把握することは科学的な思考力を育成するために不可欠である。その過程の主要な要素である仮説を設定するには「仮説」とは何かの認識が必要であり,そのような視座からAnton E. Lawsonらは未知の課題に対する問題解決のための仮説演繹的推論を行うには,「仮説」と「予想」の区別が重要であることを指摘している。本稿では,A E. Lawsonらが米国の高校と大学の生物教科書に対して実施した「仮説」と「予想」の定義に関する研究を参考にして,日本の中学生,高校生,大学生の「仮説」と「予想」に対する認識を質問紙法で調査したものである。その結果,A E. Lawsonらの定義するような「仮説」と「予想」の区別ができる生徒や学生は,非常に少ないことが明らかになった。
著者
小林 和幸 奈良岡 聰智 大石 眞 森山 優 小宮 京 原口 大輔
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、「河井弥八関係文書」を中心として帝国議会・国会関係者の資料を総合的に分析・検討しようとするものである。本年度は、下記の通り、研究を進めた。まず、「河井弥八関係文書」の調査分析ならびに河井日記の刊行であるが、本年度は、河井日記中の昭和30年から32年について、翻刻と内容分析を行い『河井弥八日記 戦後篇4』を刊行した。また、河井日記の内、未刊行の明治、大正期の河井が貴族院書記官を務めた時期の日記についても翻刻作業を行った。なお、河井日記の昭和16年分についても研究分担者の森山優にグループが中心となって静岡県立大学の「Working Paper Series」により翻刻公開を行った。次に、「河井弥八関係文書」をより総合的立体的に分析するため、議会官僚や政治家の個人資料の調査・分析を行った。これでは、河井の女婿で、戦前の内務官僚で戦後衆議院議員を務めた舘林三喜男の日記の一部について、舘林家所蔵史料を複製収集した。さらに帝国議会貴族院関係では、貴族院議員多額納税者関係資料について長野県選出の「山田荘左衛門関係文書」につき調査し、初期の貴族院の政治会派に関する研究を進めた。また研究分担者の原口大輔は、河井弥八日記を利用した貴族院議長に関する研究書を刊行した。そのほか、研究分担者・協力者は、議会史に関する研究を進めている。なお、研究分担者間での連携を深めるために、2018年9月青山学院大学において研究会を行い、貴族院事務局に勤務し初代の参議院事務総長を務めた小林次郎の史料に関して、研究協力者の今津敏晃からの報告を聴取し知見を深めるなどの研究活動を進めた。さらに年度末の2019年3月には、静岡県掛川市の河井弥八記念館にて公開講演会と意見交換会を行い、河井弥八研究の進展を図った。
著者
小林 和也 中田 行彦
出版者
京都大学数理解析研究所
雑誌
数理解析研究所講究録 (ISSN:18802818)
巻号頁・発行日
no.2032, pp.34-37, 2017-06

本稿では、SNS(ソーシャルネットワークサービス)の流行を記述する数理モデルのダイナミクスを考察する。SNSの流行モデルは、SIR型感染症モデルを基に、非線形な常微分方程式で定式化されており、その解挙動も類似なものとなっている。解の極限が満たす方程式(最終規模方程式)を導出する。この最終規模方程式を解析すると、最初期にSNSの利用や参加に消極的な人口の数が少ないほど、最終的にSNSの利用を止めたユーザー数は多くなることが示される。
著者
小林 和男
出版者
創造
雑誌
プロメテウス (ISSN:03862828)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.p25-28, 1986-07