著者
小林 弘 越智 尚子 竹内 直政
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-12, 1973-06-20 (Released:2011-02-23)
参考文献数
17

Somatic chromosomes of the nigorobuna (C.auratus grandoculis) obtained from Lake Biwa, two local varieties of the nagabuna (C.auratus buergeri) from Lake Suwa and the Hokkaido district, and two local varieties of the ginbuna (C.auratus langsdorfii) from the Okayama Prefecture and Lake Biwa were studied and compared.Chromosome preparations was performed by the same methods previously described (Kobayasi et al., 1970).The results showed that the nigorobuna and nagabuna of Lake Suwa and the ginbuna of the Okayama Prefecture had the same diploid chromosome number of 100.Their karyotypes consisted of 10 pairs of metacentrics, 20 pairs of submetacentrics and 20 pairs of acrocentric elements.There was no morphological difference between the male and female karyotypes. On the other hand, 5 females of the nagabuna collected from the Hokkaido district and 4 females of the ginbuna (hiwara) from Lake Biwa had the chromosome number of 156, consisting of 17 pairs of metacentrics, 31 pairs of submetacentrics and 30 pairs of acrocentrics. The populations of the ginbuna and nagabuna in these regions consisted mostly or almost entirely of females.It was proved from these evidences that the nagabuna and ginbuna with triploid state occur not only in the Kanto district but also in the Hokkaido district and Lake Biwa.These triproid females might be arisen by gynogenesis, as has been reported in the ginbuna obtained from the KantO district by Kobayasi (1971) and Kobayasi and Ochi (1972). [Japan Women's University, Bunkyo-ku, Tokyo, 112, Japan (H.K.and H.O.);National Science Museum, Hyakunin-cho, Shinjuku-ku, Tokyo, 160, Japan (N.T.)]
著者
小林 弘 川島 康代 竹内 直政
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.153-160, 1970-12-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17

本研究はコルヒチン処理とair-drying法によりフナ属魚類の体細胞の染色体を観察した.その結果, 金魚, キンブナ, 宮崎系ギンブナ (雄の1個体を除く), ヨーロッパブナ等の染色体数はいずれも100で, 核型分析の結果も一致し, metacentricは10対で20個, submetacentricは20対で40個, acrocentricは20対で40個の染色体よりなり, acrocentricのほぼ5対目の染色体にはsatelliteが認められた.また核学的には雌雄の問では差異は認められなかった.一方関東系ギンブナ30個体中の28個体は染色体数が156で, 核型分析の結果, metacentricが17対で34個, subrnetacentricが31対で62個, acrocentricが30対で60個であった.また残りの2個体では206の染色体数が数えられ, その核型分析の結果は, metacentricに22対で44個, submetacentricに41対で82個, acrocentricに40対で80個の染色体があり, acrocentric中にはsatelliteが認められた.以上の結果より, 関東系ギンブナはフナ属魚類中に生じた3倍体および4倍体に相当するものではないかと考え, これが関東地方のギンブナに雌のみを生ずる原因と関連をもつものではないかと推測した.
著者
横井 愼一 関口 麻衣子 加納 塁 小林 哲郎
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.211-215, 2010
被引用文献数
2

7歳6カ月齢の雄のヨークシャーテリアの顔面,右後肢から臀部にかけて,丘疹,鱗屑および痂皮を伴う脱毛が認められた。病変部の皮膚押捺塗抹検査では棘融解細胞を疑わせる円形の細胞が見られ,皮膚掻爬検査では鱗屑中に糸状菌の菌糸を認めた。病理組織学的には液状変性を伴う表皮内および毛包壁へのリンパ球浸潤からなる境界部皮膚炎の像を示し,角層中にはPAS陽性の菌糸様構造物を認めた。角層の真菌培養および遺伝子検査の結果, <i>Trichophyton rubrum</i>が検出されたことから,本症を<i>T. rubrum</i>による皮膚糸状菌症と診断した。<br>
著者
小林 英司
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.303-309, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)

2020年5月,知的財産戦略本部において『知的財産推進計画2020~新型コロナ後の「ニュー・ノーマル」に向けた知財戦略~』が決定された。同計画には,データ利活用促進に向けたルール整備や,デジタル社会における標準の戦略的な活用に向けた取組,企業におけるDX事例の「経営デザインシート」を活用した分析等が盛り込まれた。近年では,機関投資家が知財情報を活用する動きや企業に対する知財情報の開示要請の動きが見られる。本稿では,これら知財を取り巻く環境変化を踏まえた政府の最新の取組の紹介と,知財関係者がこのような非連続的な変化に対応するためのDXの必要性と,その実現手法の解説を行う。
著者
多 里英 公文 富士夫 小林 舞子 酒井 潤一
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-13, 2000-02-01
参考文献数
26
被引用文献数
2 5

青木湖周辺には,後期更新世から完新世にかけての,おもに河成や湖成の堆積物が断片的に分布しており,下位より藪沢層,崩沢層,神城砂礫層,佐野坂崩壊堆積物,青木湖成段丘堆積物,青木湖底堆積物に分けられる.指標テフラと岩相対比によって,それらの相互関係を明らかにした.佐野坂崩壊堆積物の上位には,Dpm火山灰層がのるとされていたが,それを再堆積物と判断し,周辺の地史を次のように推定した.<br>藪沢層は,比較的広い谷の中を南がら北へ流れる蛇行河川によって形成された.その時代は5万年前以前の寒冷な時期である.約5万年前,その河川は狭い谷の中を流れる網状河川に変化した.この堆積環境の変化は,DKP火山灰層を挾む崩沢層と神城砂礫層中部が礫を主体とすることにより示されている.約3万年前に,西方の仁科山地で大規模な地すべり崩壊が起こり,佐野坂丘陵が形成された.この崩壊堆積物は川をせき止め,丘陵の南側に深い湖(青木湖)を形成した.佐野坂丘陵の北側の凹地には支谷からの堆積物供給が多く,徐々に埋積されて,現在の神城盆地を形成するようになった.
著者
原田紗希 西田承平 小林亮 鈴木昭夫 伊藤善規
出版者
医薬ジャーナル社
巻号頁・発行日
pp.687-692, 2017-02-01

医療過誤の減少に向けてさまざまな取り組みが行われており,薬剤師はその職能を生かして医療安全に貢献することがさらに強く求められている。薬剤に関連する過誤(メディケーションエラー)は最も典型的な医療過誤であり,指示伝達ミス等のコミュニケーションエラーは過誤の主な発生原因の一つである。実際に岐阜大学医学部附属病院において発生したメディケーションエラーを解析したところ,インスリンスライディングスケール(SSI)に関連する過誤の多くに,指示伝達ミス等のコミュニケーションエラーが関与していた。そこでSSIに関連する過誤の減少を目指して,薬剤部,糖尿病代謝内科および医療安全管理室が協働で院内統一の指示記載様式(テンプレート)を作成した。本報告ではSSIの院内統一テンプレート導入までの経緯と導入後の効果について紹介する。
著者
庭本 崇史 江村 正仁 中村 敬哉 林 孝徳 小林 祐介 五十嵐 修太 野村 奈都子 太田 登博 吉岡 秀敏 西川 圭美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.6, pp.1020-1025, 2016-06-10 (Released:2017-06-10)
参考文献数
10

約3年前に成人発症Still病(adult onset Still’s disease:AOSD)と診断された65歳の女性.23価肺炎球菌ワクチンを接種後に血球貪食症候群を併発した.ステロイド増量とガンマグロブリンの投与にて病勢の改善を得た.しかし,二次感染予防目的のST合剤の開始翌日から関節痛が増悪し,AOSDの再増悪を疑いシクロスポリンを投与した.その後,良好な経過を辿った.AOSDのコントロール不良例では,免疫抑制薬の併用が有用であると考えた.
著者
川崎 健太郎 大澤 正人 大野 伯和 小林 巌 藤野 泰宏 中村 毅
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2557-2560, 2008-10-25
参考文献数
10
被引用文献数
2

症例は50代男性.食道癌で右開胸胸部食道全摘,胃管による後縦隔経路再建を施行した.手術時Treitz靱帯より20cmの空腸に経腸栄養チューブを20cm挿入し,Stamm法で腸管に固定,刺入部を腹壁に固定した.術後経過良好であったが術後14日目に左下腹部痛が出現したので16日目にチューブを抜去した.その後も腹痛が持続,22日目に腹部CTを撮影し小腸の腸重積を指摘された.経過観察としたが27日目のCTでも腸重積が認められたため手術となった.開腹すると小腸を腹壁に固定していた部分より肛門側20cmの空腸に約10cmの順行性3筒性の腸重積を認めた.癒着で解除困難であったため小腸切除を行った.腸重積発生部は経腸栄養チューブが位置していた部分であり経腸栄養チューブが誘因になったと考えられた.経腸栄養チューブによる腸重積は非常に稀な合併症であるが,注意を要すると思われた.
著者
大山 まりほ 小林 一郎
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.193-194, 2017-03-16

人の動きは非常に高次元なものでロボットに同じ動きをさせるためには低次元に圧縮する必要がある。本研究では高次元で表される人の動作がガウス過程に従うと仮定し、人の動作を入力として共有する低次元の潜在空間を通じて対応するロボットの動作を出力する手法について考察を行う。2つの時系列データをGaussian Process Dynamical Modelsで表現し、それら二つの時系列データが共有する潜在空間を通じて、双方向にデータを変換できるモデルの構築を検討する。
著者
大谷 杉郎 小林 弘
出版者
THE CARBON SOCIETY OF JAPAN
雑誌
炭素 (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
vol.1967, no.51, pp.2-7, 1967-11-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
5
被引用文献数
1

In order to get some fundamental informations related to a mechanism of carbonization, pyrolysis of the mono- substituted benzene derivatives (benzene, toluene, chlorobenzene, nitrobenzene, aniline, anisole, benzyl alcohol, acetophenone, benzaldehyde and phenol) was studied by use of a flowing gas reactor at below 600°C.According to the initial temperature of decomposition, the thermal reactivities are arranged in the order as follow: ph-CHO>ph-OCH3>ph-NO2>ph-CH2OH>ph-COCH3 >benzene>ph-Cl>ph-NH2>ph-CH3>ph-OH. And the mechanism of the decomposition of the each derivative is suggested on the basis of the quantitative analysis of the products.
著者
山城 晶弘 神谷 直紀 大塚 薫 駒津 和浩 伊東 洋一 久保田 展聡 小林 正人
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.163-169, 2013-02-20 (Released:2013-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2

In magnetic resonance imaging (MRI), the ideal phantom should have similar T1 and T2 values to those of organs of interest for measuring the change in signal intensity, contrast ratio and contrast noise ratio. There have been several reports to develop such a phantom using materials with limited availability or complex methods. In this study, we have developed a simple phantom using indigestible dextrin and soluble calcium at 1.5-tesla MRI. The T1 and T2 values have been reduced by dissolving indigestible dextrin and soluble calcium in distilled water. The similar T1 and T2 values to those of organs (i.e., kidney cortex, kidney medulla, liver, spleen, pancreas, bone marrow, uterus myometrium, uterus endometrium, uterus cervix, prostate, brain white matter, and brain gray matter) have been obtained by varying the concentration of indigestible dextrin and soluble calcium. This phantom is easy to develop and has a potential to increase the accuracy of MRI phantom experiments.