著者
尾崎 葵
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.700, 2019

ウメ(<i>Prunus</i> <i>mume</i>)の果実は昔から体に良い食材としてアジア諸国で利用されており,有益な生理活性が数多く知られている.例えば,ジャムや梅肉エキスなどに含まれるムメフラールは,梅を加熱した際に糖とクエン酸が反応して生じる物質であり,血小板凝集抑制作用により血流を改善することから,脳梗塞や心筋梗塞など心血管疾患への予防効果が期待されている.また,梅エキスに含まれるオレアノール酸などのトリテルぺノイドが抗酸化作用や抗炎症作用を持つことも報告されている.本稿では,喫煙によるDNA損傷の修復が期待される梅エキスの新規有用物質の単離とその作用機序解析を行ったAndrewらの研究成果について紹介する.<br>なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.<br>1) 忠田吉弘ほか,ヘモレオロジー研究会誌,<b>1</b>, 65-68(1998).<br>2) Kawahara K. <i>et</i> <i>al</i>., <i>Int</i>. <i>J</i>. <i>Mol</i>. <i>Med</i>., <b>23</b>, 615-620(2009).<br>3) Andrew J. <i>et</i> <i>al</i>., <i>Sci</i>. <i>Rep</i>., <b>8</b>, 11504(2018).<br>4) Hwang J. <i>et</i> <i>al</i>., <i>Korean</i> <i>J</i>. <i>Food</i> <i>Sci</i>. <i>Technol</i>., <b>36</b>, 329-332(2004).
著者
尾崎 康子 小林 真 水内 豊和 阿部 美穂子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.335-345, 2013 (Released:2015-03-19)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

保育者が発達障害児や発達が気になる子どもを評価するスクリーニング尺度として、幼児用発達障害チェックリスト(CHEDY)を作成した。CHEDYは、広汎性発達障害(PDD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、知的障害を測定する3尺度で構成されている。PDDはADHDや知的障害との合併が認められることがあるが、CHEDYはこれら3つの障害を一度に調べることにより、子どもの様子を的確に把握し、保育指導に生かすために開発された。PDD群(682名)、ADHD群(48名)、知的障害群(267名)、定型発達群(897名)について調べたところ、これら3尺度には十分な内部一貫性が示され、また群間の有意な区別がなされたことから、信頼性と妥当性をもったスクリーニング尺度であることが示された。さらに、定型発達群との識別性を調べたところ、各障害の識別に有用であることが示された。
著者
國定 俊之 尾崎 敏文 藤原 智洋
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

テロメラーゼ活性依存性に癌細胞内で増殖して細胞死を誘導する腫瘍選択的融解ウイルスを利用した治療は、単独で投与するよりも、放射線治療や化学療法と併用することで、より強力な抗腫瘍効果を認めた。さらに、相乗効果も確認でき、肉腫に対する新規療法となる可能性が示された。そこで、これらのウイルス治療を利用した実際の臨床応用では、単独投与ではなく、放射線治療との併用療法を考えていく。臨床応用へ向けた基礎研究は、ほぼ予定どおり行うことができた。肉腫患者へのウイルス治療の臨床試験が食道癌ですでに開始されており、今後は肉腫で早期臨床応用を開始できるように、プロトコールを作成していく。
著者
寺田 光宏 石垣 泰輔 尾崎 平 戸田 圭一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_1363-I_1368, 2019

<p> 近年,大雨による浸水被害が増加しており,大阪や東京等の都市部では,地下浸水が発生する可能性がある.浸水対策が十分でない場合,地下鉄に侵入した洪水が地下鉄のトンネルを通って広がることになる.本論文では,地下鉄利用者のための避難リードタイムを,排水システム,地上及び地下空間を含む数値モデルを用いて調査した.地下鉄における浸水被害者の数を数値的に推定し,地下鉄駅の脆弱性について議論した.その結果から,避難リードタイムと各駅の浸水に対する脆弱性が示された.これらの結果は,地下鉄事業者が避難計画を立てるために重要である.</p>
著者
仲川 喜之 梅垣 修三 尾崎 二郎 富田 恭治 中垣 公男 桜井 悟良 松倉 光晴 建道 寿教
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.110-115, 1994-09-01 (Released:2012-11-20)
参考文献数
5
被引用文献数
1

The purpose of this report is to evaluate the results of treatment for fractures of the scapula with associated injuries. This study was composed of 123 patients (130 fractures). One hundred and seven were males and 16 were fenales. Their average age was 44.8 ranging from 3 to 84. The fractures were divided into four types as follows; scapular body: 54 cases, scapular neck: 40 cases, coracoid process: 18 cases, acromion or scapular spine: 18 cases. Seven cases had fractures in more than one location. Eighty-one of the 123 cases (66%) had assoceated injuries. Ninety-four cases were treated conservatively and 29 cases surgically. The results of the treatment were evaluated by the J.O.A.score.The results of cases without any nerve injuries were judged as excellent (mean score of conservative cases: 92.3 points, surgical cases: 97.1 poinys). Cases with nerve injuries had poor results (mean score of the conservative cases: 80.3 points, surgical cases: 85.7 points).An association between scapular fractures and fractures of the ribs is common. In those cases, a pneumothorax may not develop immediately after a traumatic episide, but it may occur after a few days. An acromioclavicular dislocation is apt to be associated with a fracture of the coracoid process, in which case, surgical treatment is indicated. A displaced fracture of the scapular neck associated with a clavicular fracture on the same side is unstable, in which case, surgical treatment is indicated. A rotator cuff tear is apt to be associated with a fracture of the scapular body or but it is often overlooked, Associated nerve injuries have a great inflvence on the results. It is important to examine an associated nerve imjury and to start rehabilitation as soon as possible. neck, very
著者
西川 祥子 久保 満佐子 尾崎 嘉信
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.1-6, 2020-02-01 (Released:2020-04-01)
参考文献数
29
被引用文献数
3

コナラ林におけるナラ枯れの進行過程とナラ類およびクリ(以下,ナラ類としてまとめる)の動態を明らかにするため,島根大学三瓶演習林の1 haのコナラ林で2001年から2018年の17年間のナラ類の生残および枯死,胸高直径の変化を調べた。ナラ枯れが確認された2012年から2014年の各年は枯死個体の分布も調べた。その結果,ナラ枯れ発生前は,ナラ類の小径木が枯死するものの胸高断面積合計は増加し,ナラ枯れの発生に伴い減少に転じた。ナラ枯れ発生初期の2012年と2013年はナラ枯れにより直径に関係なく枯死し,ナラ枯れが蔓延した2014年は小径木で枯死しやすく,ナラ枯れは谷で発生しやすかった。2013年と2014年は各1年でナラ枯れ発生前の5年分に近い本数が枯死した。2001年に426本あったナラ類は2018年に212本になり,ナラ枯れによる枯死率が18.1%,その他の要因による枯死率が32.2%と17年間ではナラ枯れによる枯死木の方が少なかった。しかしナラ枯れによって,短期間で枯死木が増加することに加え,大径木も枯死することで森林構造が大きく変化すると考えられた。
著者
尾崎 修一
出版者
西行学会 ; 2010-
雑誌
西行学
巻号頁・発行日
no.8, pp.106-122, 2017-08
著者
尾崎 洋二 柴橋 博資 矢崎 紘― 大塚 孝治 関口 雅行 片山 武司 遠山 潤志 高瀬 雄一 今西 章 丸山 浩― 青山 惇彦 西田 生郎
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学大学院理学系研究科・理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.4-17, 1999-03

理学部での40年/尾崎先生送別の辞/東大理学部での40年/矢崎紘一先生を送る/退官にあたって/関口雅行先生を送る/思い出と提言/遠山濶志先生を送る/おせわになりました/今西さんを送る/いろいろあった40年/青山さんを送る
著者
吉沢 淑 尾崎 裕子 武藤 敏昭 進藤 斉 角田 潔和 小泉 武夫
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.12, pp.990-997, 1998

A protease was purified from the sarcocarp of Yubari melon fruit, the raw material used in the production of melon wine, by a series of treatments consisting of ammonium sulfate precipitation, gel filtration and ion-exchange chromatography. The enzyme was a monomer protein without a carbohydrate moiety. Its characteristics are as follws: molecular weight 66 kDa, isoelectric point pH 8.5, optimal temperature 40°C, and enzyme activity is promoted in the presence of Mn<SUP>2+</SUP>. It is a characterisric serine protease and preferentially hydrolyzes peptide bonds on the carboxyl terminal side of Phe and Arg.<BR>The sequence of the N termcnal 20 amcno acods was determined.
著者
山田 鑑照 尾崎 朋文 松岡 憲二 坂口 俊二 王 財源 森川 和宥 松下 美穂 吉田 篤
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.353-374, 2009 (Released:2010-01-20)
参考文献数
49

経穴研究委員会として3回目のワークショップを第57回全日本鍼灸学会学術大会 (京都) において開催し、 2つのテーマについて検討し報告した。 第1テーマ (日中における循経感伝現象の研究) 1) 中国における循経感伝現象の文献調査 (王):1979年以降の中国において行われた循経感伝現象の主要な研究についての文献調査。 経絡現象並びに循経感伝現象の定義、 循経感伝現象の特徴とその発現機序について報告する。 2) 良導絡よりみる循経感伝現象 (森川):腎透析患者並びに胃全摘患者における反応良導点出現及び特定部位刺激による反応良導点の出現と針響の出現例を報告し、 反応良導点と循経感伝現象の関係について検討した。 3) 循経感伝現象の発現機序 (山田):鍼灸刺激により知覚神経終末から神経伝達物質が放出される。 この神経伝達物質がリンパ管に吸収されリンパ管平滑筋を刺激して循経感伝現象が起こる。 その伝搬速度、 阻害因子などを踏まえて発現機序について検討した。 第2テーマ (経穴の部位と主治) 1) 環跳穴の解剖学的部位 (尾崎・松岡):環跳穴はWHO主導による経穴部位国際標準化において中国案並びに日本案の両案併記となった。 この両部位において体表に対して垂直方向に刺鍼したときの皮下構造から考えられる臨床効果について比較検討した。 2) 環跳穴の部位・主治の変遷 (坂口):WHO主導による経穴部位国際標準化において両案併記となった 「環跳穴」 について、 中国と日本の古典を引用し部位と主治の変遷について比較検討した。
著者
尾崎 安央
出版者
法曹会
雑誌
法曹時報 (ISSN:00239453)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.1-24, 2021-02
著者
佐古 勇 谷口 達雄 尾崎 武司 井上 忠男
出版者
The Kansai Plant Protection Society
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.21-27, 1990
被引用文献数
1

ネギ属植物に潜在感染し, 広く発生分布しているGLVの発生生態解明の一環として伝染方法などについて2, 3の実験を行った.<BR>1. 鳥取県下のラッキョウ畑におけるアブラムシ類の飛来は4月中旬頃から見られ, 5月になると急激に増加し, 5月下旬までその傾向は続いた. その後の飛来は夏季をピークに9月にはしだいに減少したが, 10月下旬まで持続した. 最も飛来数の多かったのはモモアカアブラムシで, 次いでワタアブラムシであった.<BR>2. GLVはモモアカアブラムシによりワケギ, ネギ及びラッキョウの保毒株での5~60分間の獲得吸汁,ラッキョウでの10~60分間の接種吸汁により10~20%の割合で伝搬が確認された. また, ネギァブラムシによってもネギ及びラッキョウの保毒株からラッキョウに10~30%の割合で伝搬された.<BR>3. ラッキョウ畑でのGLVの株の接触による伝染及びソラマメでの種子伝染は認められなかった.<BR>4. ラッキョウ産地においてウイルスフリー株を植え付けると, 再感染株率は植え付け当年の秋季には平均26.7%, 翌春には平均50.0%と高率となったが, 寒冷紗トンネル被覆により再感染が防止された.<BR>5. 種苗伝染試験では, 当代感染した株に形成される新分球のGLVの保毒率は20~69%であったが, 当代感染株からの保毒球を種球として栽培した株に形成される新分球の保毒率は100%となった. また, 在来保毒株からの分球もGLVを100%保毒していた. <BR>6. ELISA法によりりん茎部位別のウイルス濃度を比較すると, 外部より芯部の, また下部より上部のりん葉のウイルス濃度が高かった. しかし, 当代感染株と在来保毒株では全体に前者のウイルス濃度が低い傾向があり, 種苗伝染はりん茎のウイルス濃度との関係が示唆された.
著者
松山 隆司 尾崎 正治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.191-204, 1986-02-15
被引用文献数
26

本論文では 画像処理に関する知識を利用して画像のセグメンテーションを自動的に行うエキスパートシステムについて述べる.システムに対する要求は 画像から抽出すべき画像特徴(長方形 線など)とその属性(面積 長さなど)に対する制約条件によって表される.システムは 要求された画像特徴を検出するための最も有効な処理方針を推論し それに従って実際の画像処理を実行する.また 処理が途中で失敗した場合には 処理方針 処理アルゴリズム 処理パラメータを適宜変更し 処理をやりなおす.こうした推論 処理の過程は 画像処理に関するヒューリスティックスを表すプロタクション・ルールによって制御されており 試行錯誤的な解析など柔軟な解析が実現できる.
著者
梅垣 佑介 梅垣 佑介 尾崎 奈央 黄 馨卉 植田 恵未 岩垣 千早 松岡 祐里
出版者
奈良女子大学臨床心理相談センター
雑誌
奈良女子大学心理臨床研究
巻号頁・発行日
no.6, pp.25-29, 2019-03-31

奈良女子大学心理臨床研究 第6号 第1部 研究論文認知行動療法における「心理療法の共通要因」の重要性と役割について理解するため、Beck, A (1979)によるマニュアルの翻訳書を購読し、共通要因について書かれた内容を検討した。共通要因についての記述は多く、特に作業同盟の重要性といった内容が認知的な変容技法に先立って記述されていることや、精神力動的アプローチやクライエント中心療法からも学ぶべき旨が記述されていることがわかった。認知行動療法の変容のメカニズムの解明や、共通要因と技術要因のバランスといった課題を実証的に明らかにしていくことが重要と考えられた。
著者
鈴木 勉 尾崎 雅彦 鈴木 雅美 矢島 義識 成田 年
出版者
一般社団法人 日本炎症・再生医学会
雑誌
Inflammation and Regeneration (ISSN:18809693)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.96-100, 2006 (Released:2006-08-18)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

According to the World Health Organization(WHO) guidelines for patients with moderate or severe pain, morphine has been used as a “gold standard” treatment for cancer pain. However, the use of morphine for the treatment of pain was sometimes accompanied with side effects such as emesis, constipation and drowsiness.We showed that morphine at the dose of which had no antinociceptive effect produced emetic response and gastrointestinal transit inhibition. It should be mentioned that morphine with lower doses produces severe side effects without antinociception/analgesia.Recent clinical studies have demonstrated that when morphine is used to control pain, psychological dependence is not a major concern. We confirmed that animals with chronic pain failed to exhibit the morphine-induced rewarding effect. It should be pointed out that the endogenous κ-opioidergic system in the nucleus accumbens may be directly involved in the suppression of the morphine-induced rewarding effect under an inflammatory pain-like state. In contrast, the reduction of μ-opioid receptor function in the ventral tegmental area may contribute to the suppression of the rewarding effect induced by morphine under an neuropathic pain-like state. These findings strongly suggest that treatment of morphine with the adequate dose could be highly recommended for the relief of severe chronic pain.