著者
山田 真大 林 和宏 鈴木 章浩 岡本 幸太 小林 良岳 本田 晋也 高田 広章
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2013-OS-126, no.18, pp.1-7, 2013-07-24

組込み向け機器に利用されるハードウェアの高性能化に伴い,組込み OS として Linux などの汎用 OS が搭載されるようになった.組込み機器では,リアルタイム性が重要視されるため,Linux を採用する場合,カーネルに改良を施すことでリアルタイム性を確保している.また,マルチコア CPU を搭載する組込み機器では,Linux が持つ CPU affinity の機能を用いることで,シングルコアでは不可能であった高負荷時におけるリアルタイム性も確保することが可能になった.しかし,CPU コア毎に存在するカーネルスレッドは CPU affinity を適用することができず,また,この処理がまれに引き起こすタイマのカスケード処理には多くの処理時間を必要とし,リアルタイム性を阻害する原因となる.本論文では,マルチコア CPU の各コアを,リアルタイム性を必要とする CPU コアと不要とする CPU コアに分割し,リアルタイム性を必要とする CPU コアでは,タイマのカスケード処理を発生させないよう事前に対策を施すことで,リアルタイム性を確保する手法を提案する.
著者
森岡 悦子 金井 孝典 山田 真梨絵
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.328-336, 2012-06-30 (Released:2013-07-01)
参考文献数
20

左一側性病変により連合型視覚失認を生じ, 経過中に視覚失語に移行した例について検討した。症例は, 65 歳の右利き男性で, 頭部 MRI で, 脳梁膨大部を含む左後頭側頭葉内側部に病変を認めた。初回評価時, 触覚性呼称, 聴覚性呼称, 言語性定義による呼称は良好であったが, 視覚性呼称は不良であった。また, 形態知覚は保たれていたが意味に関する課題は不良であったことから, 連合型視覚失認と考えられた。初回評価 2 ヵ月後, 視覚性呼称は不良であったが, 意味に関連する課題は改善し, 視覚失語に移行したと判断した。視覚失語への移行は, 右半球の意味記憶の機能の活性によると考えられたが, 右半球処理による視覚性認知は, 左半球で処理される言語性認知ほど詳細ではなく単純である可能性が示唆された。視覚失語において, 視覚性呈示により物品の概念が想起されても視覚性呼称に至らないのは, 右半球処理によって想起される概念が浅く脆弱なためではないかと考えられた。
著者
米田 涼 沖 将吾 山田 真司
出版者
日本音楽知覚認知学会
雑誌
音楽知覚認知研究 (ISSN:1342856X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.5-16, 2015

音楽の経時的な印象に関する研究は数多く行われているが,それらは主にクラシック音楽を対象としていた。本研究ではゲーム音楽,ポピュラー音楽,クラシック音楽を用い,音楽ジャンルの違いによる経時的な印象変化の違いを調査した。また,楽曲の経時的な印象変化と,音響特徴量および楽曲全体の印象との関係についても調べた。その結果,音楽ジャンルに関わらず「快さ」の変化は小さく,「覚醒度」の変化は大きいことが分かった。そして,覚醒度の変化はゲーム音楽,ポピュラー音楽,クラシック音楽の順で大きくなる傾向が見られた。また,楽曲全体の覚醒度は,楽曲中の覚醒度変化の絶対値の大きい部分の平均と対応が良いことが明らかとなった。
著者
新美 亮輔 山田 真也
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.94-104, 2020
被引用文献数
2

<p>Faces and clothing are clues to interpersonal perception. However, it is not known whether perceptions of faces and clothing are interacting with each other. We examined the effects of facial attractiveness on subjective ratings of clothing attractiveness. Participants were shown pictures of a person wearing a T-shirt in which the faces and shirt designs were manipulated. The faces were either male or female, attractive or unattractive. Participants were instructed to rate the attractiveness of the shirts, not the faces. Nevertheless, attractive female faces increased shirt attractiveness ratings, irrespective of the participant's gender. Attractive male faces only slightly increased shirt attractiveness ratings. Gender differences and individual variability in visual attention were not responsible for these effects. The current results more likely reflect social or cultural factors, such as the higher priority placed on female facial attractiveness than male facial attractiveness in today's society.</p>
著者
山田 真弘
出版者
日本評論社
雑誌
一橋論叢 (ISSN:00182818)
巻号頁・発行日
vol.112, no.5, pp.p921-941, 1994-11

論文タイプ||論説(商学部号 = Commerce and Management)
著者
山田 真美
出版者
お茶の水女子大学
巻号頁・発行日
2014

お茶の水女子大学人間文化創成科学研究科博士(人文科学)学位論文・平成26年9月30日授与(甲第140号)
著者
山田 真澄 溜渕 功史 WU Stephen
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.4_21-4_34, 2014 (Released:2014-08-25)
参考文献数
19
被引用文献数
3

現在、気象庁が用いている緊急地震速報の処理には、気象庁の観測網を利用する処理と、Hi-netのデータを用いた着未着法の2つの処理系統がある。これらは独立して行われ、それぞれ計算結果を比較して緊急地震速報に使用している。本研究では、より高精度、高速の緊急地震速報を実現するため、気象庁観測網とHi-netの統合処理を検討する。我々は、Hi-net 速度計に帰納的な方法で機械補正及びハイパスフィルタ処理を行い、気象庁の機械式地震計の応答と揃えた。また、Hi-net速度計が飽和する問題についても検証し、震央距離10km、深さ10kmの場合マグニチュード5.2程度まではP波が飽和せず使用可能である事を示した。Hi-netの地震計データは、適切なフィルタ処理により気象庁の地震計データと併用することが可能である。2つの観測網の統合処理によって、内陸部では平均3.6秒ほど警報発表時間が向上する。
著者
中山田 真吾 田中 良哉
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.162-168, 2019-06-30 (Released:2019-08-22)
参考文献数
15

関節リウマチ(RA)の治療では,メトトレキサート(MTX)などの従来型合成抗リウマチ薬(csDMARD),及び,生物学的抗リウマチ薬(bDMARD)による早期からの適切な治療介入により,臨床的,構造的,機能的な寛解が目標となった.しかし,これらの治療でも治療抵抗性の症例が多く存在する.Janus kinase(JAK)阻害薬は,サイトカインシグナルを媒介するキナーゼのJAKを選択的に阻害し,関節リウマチ(RA)の病態へのマルチターゲット作用により臨床効果を発揮する.高分子の蛋白製剤であるbDMARDは静脈内または皮下注射での投与に限定されるのに対し,JAK阻害薬は内服可能な分子標的合成抗リウマチ薬(tsDMARD)であり,bDMARDと同等の効果を有する.本邦では,2013年にトファシチニブ,2017年にバリシチニブがRAに対して上市された.実臨床でのJAK阻害薬の優れた臨床効果が確認されつつあるが,JAK阻害薬の安全性への懸念が少ないわけではなく,生物学的製剤と同様,感染症などの十分なスクリーニングのもと導入すべきである.これまでの臨床試験や市販後調査で蓄積されたJAK阻害薬の有効性と安全性の知見をもとに,リウマチ専門医によるJAK阻害薬の適正な使用が望まれる.
著者
山田 真希子
出版者
金原一郎記念医学医療振興財団
巻号頁・発行日
pp.59-62, 2018-02-15

人間を含む社会集団を営む動物は“共感”と呼ばれる,他個体と心理的につながるための能力を持つ。われわれは,共感によって他人の痛みを理解し,相手を思いやり,救済などの利他的行動をとることが可能となる。しかし,共感は内集団に働くものとして進化したため,誰に対しても共感するとは限らない。また,痛み共感には痛みの共有による苦痛が伴うため,利他的行動を妨げる可能性もある。痛みの共感が,どのように人と人を結びつけているのか,向社会行動とどのようなかかわりを持つのかについて,これまで得られている認知神経科学の知見から概観する。そして最後に,痛みの共感が,痛みの真の“共有”であるかについての論争に触れる。
著者
山田 真広
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

コンビニ・スーパー・通信販売といった様々な小売業態の登場に伴う消費者購買行動の多様化,規制緩和やモータリゼーションの進展などに伴う大型店の売場面積拡大と郊外化の進展などにより,地方都市における中心商業地の求心力低下が問題となっている.その結果,日用食料品の入手に困難をきたす「買物難民」層の出現や,都市の個性がない画一的な景観の出現といった問題が発生している.本研究は,人口10万規模の地方都市である静岡県三島市を事例に,地方都市内部における消費者購買行動を時系列で分析し,その変化の要因を明らかにすることを目的とした.その研究手法として,三島市の中心市街地・市街地縁辺部・郊外部に居住する高齢者を対象に,食料品(鮮魚)と買い回り品(革靴)についての購買行動を,40年前・20年前・現在の3時期別に尋ねることにより把握した.アンケートの内容は,普段利用している(いた)店舗とその利用理由や,店舗までの交通手段などについてとした.得られた結果からは地域別・商品別に,購買先・購買距離・交通手段の変化などを把握した.購買距離についてはGISにより,道路距離解析を用いて算出した.さらに,利用店舗の場所を目的変数,居住地・交通手段・店舗の利用理由などを説明変数として数量化2類による分析を行い,各時期別・商品別にみた,店舗の選好理由を導き出した.研究で分かった事実を要約すると,食料品(鮮魚)については,①購買距離は中心市街地・市街地縁辺部・郊外部の3地区とも時代とともに増大し,中心市街地に比べて郊外部の方が3.6~6.8倍増大している.②買物先を規定する要因には,居住地域や交通手段(徒歩・公共交通機関・自家用車)が大きくかかわっていることから,店舗への近接性が重視されている.それに加えて中心市街地の店舗の利用者は,サービスの質や顔なじみかどうかなどが重視されている ことなどが明らかになった.買い回り品(革靴)については,①購買距離の地域的差異は日用品ほどは認められず,消費者の多くが40歳代~60歳代であった時期(20年前)の購買距離が最も長かったことから,居住地や購買距離よりも消費者の年齢や職業といった個人属性が購買先を規定していると考えられる.②三島市内の店舗か市外の店舗(沼津市・静岡市・東京都など)を選択する要因は,以前は利用する交通手段や品質・サービスの良さが,現在は価格や顔なじみかどうかが大きく関わっていると考えられる.さらに,三島市内の中でも中心市街地の店舗を選択する場合も,同様の要因が関わっている ことなどが明らかになった.