著者
鈴木 克典 齋藤 和義 中山田 真吾 田中 良哉
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第34回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.62, 2006 (Released:2006-09-01)

全身性エリテマトーデス(SLE)はB細胞活性化と自己抗体過剰産生による臓器障害が特徴の自己免疫疾患である。免疫吸着療法による早期自己抗体除去が1年後の臨床的活動性、予後への関与を検討した。1999年から2005年までの6年間に腎生検で増殖性ループス腎炎と診断し、ステロイド大量療法、シクロホスファミド間欠大量静注療法に免疫吸着療法を施行したSLE患者群を免疫吸着群(IA;26)、血漿交換療法を併用した血漿交換群 (PE;6)、患者背景をマッチさせたコントロール群(C;24)と3群を治療開始時、1,3,6,12ヶ月目のSLEの疾患活動性、腎機能、自己抗体などの免疫異常などを評価した。PEもIAも治療開始初期に抗dsDNA抗体を速やかかつ自己抗体特異的に除去しえた。SLEDAIでのSLE疾患活動性改善度は、IA, PEにて3ヶ月後有意に改善しCと同等、さらに12ヶ月後にIAはCより活動性制御されPEは上昇傾向が見られた。血清補体価は治療開始後12ヵ月後C、PEに比して IAで有意な改善を認め、IAではCに比して平均観察期間中央値で3.8年間の再燃・死亡の危険性は有意に低かった。治療開始後3ヶ月、12ヵ月後の長期経過によりSLE全般的改善度や再燃率でIAの優位性が明らかとなり抗dsDNA抗体などの早期自己抗体除去による臓器沈着、補体活性化軽減が示唆され、活動性の高く、特に自己抗体が異常高値症例で積極的に免疫抑制療法に併用しIAを開始することを提唱する。
著者
山田 真人 鈴木 譽久 山口 光隆 新井 健生
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.102-106, 2008-01-05 (Released:2010-07-21)
参考文献数
10

Laser beam scanning technology has been used in various machinery such as laser beam printers, laser processing machines. Recently, the usage such as distance sensors for automobiles, area sensors for robots has expanded further. According to it, the miniaturization of beam scanning equipment, advanced features, and low-pricing have also come to be called for strongly. We suggest a method of two-dimensional beam scanning by driving a lens with an electromagnetic actuator. We use suspension wires to hold the scan lens. As a result, two-dimensional beam scanning is possible by simple structure. This paper describes the structure of the scanner module system and characteristics of the prototype model.
著者
渡辺 純子 福宮 智子 山田 真実子 小松﨑 記妃子 佐藤 陽子 山﨑 あや 福地 本晴美 大﨑 千恵子
出版者
一般社団法人 日本看護管理学会
雑誌
日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.82-91, 2019 (Released:2019-12-19)
参考文献数
11

本研究は,臨床教員の教授活動および臨床教員制度導入の成果と課題を明かにすることを目的とした.臨床教員の指導により実習を行った学生56名,臨床教員とともに実習指導をした実習指導者25名,臨床教員が実習指導を行う部署の師長13名の3群に無記名質問紙調査を行った.調査項目は,日本語版Effective Clinical Teaching Behaviors評価スケールを適用した.また,臨床教員制度および臨床教員の教授活動に関する自由記述を求めた.その結果,臨床教員の教授活動については,3群いずれも肯定的に評価をしており,特に学生に対する教育環境の整備を高く評価していた.学生は,実践的な学びや看護の探求心に関連する内容を高く評価する一方で,緊張感を緩和するというニーズが高く,課題のひとつとして示された.実習指導者は,学生の学びの質向上を目的に学内と臨床の架け橋となる存在への期待をもっていた.師長は実習指導者の育成,部署の臨床レベルの向上,新人の適応支援に関する期待が認められた.また,臨床教員制度については,臨床教員の役割の明示や人員配置の問題が見出された.これらのことにより,今後,臨床教員はさらなる臨地実習の充実を図るとともに,卒後教育や臨床の質向上などに対し幅広い役割を果たしていくことや臨床教員活動の可視化が必要であると考えられた.
著者
山田 真徳 Kim Heecheol 三好 康祐 山川 宏
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

ラベルなしの系列データからDisentangleされた表現を抽出するモデルであるtime convolutional variational ladder autoencoder (TCVLAE)を提案する. シンプルな2次元のデータで提案手法は時系列の意味の分離が可能なことを実験的に示した.
著者
山田 真伸 長谷川 睦 石井 ゆりこ
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P3038, 2009

【目的】<BR>アレクサンダー・テクニーク(以下、AT)は、19世紀のオーストラリア人、F.M.アレクサンダーがはじめたものである.ATとは、抑制のプロセスを適用し、頭部と脊椎の関係に着目し四肢を解放することにより、頭頚部の動きが身体全体をリードするようになり、人間本来の身体機能に近づくことを追求したものである.頭部と脊椎、特に頭頚部は姿勢制御において重要な役割を果たし、理学療法でも治療対象部位となる.そこで今回、AT概念を取り入れた手技(以下、手技)をAT生徒であり理学療法士(以下、PT)の筆者が行い、その前後での姿勢制御機能の変化を重心動揺計にて検討した.<BR>【方法】<BR>対象は、研究趣旨を説明し同意を得た健常者11名(男性5名、女性6名、平均年齢29.8±6.4歳、平均身長167.1±7.1cm)とした.方法は、重心動揺計(Active Balancer EAB-100、酒井医療)を用い、手技(背臥位、座位)前後での静止立位時の重心動揺測定を行った.測定は、日本平衡神経学会の基準に従い、開眼閉脚60秒間とした(サンプリング周波数20Hz).測定項目は総軌跡長、外周面積、実効値面積、単位面積軌跡長とした.統計処理には、t検定を用い、各測定項目を手技前後で比較した.<BR>【結果】<BR>総軌跡長は、手技前937.0±84.1mmから手技後909.8±98.9mmと有意差は認められなかった.外周面積は、266.7±150.2mm<SUP>2</SUP>から213.3±111.8mm<SUP>2</SUP>と有意に減少した(p<0.05).実効値面積は、186.8±151.8 mm<SUP>2</SUP>から118.7±78.4 mm<SUP>2</SUP>と有意に減少した(p<0.05).単位面積軌跡長は、4.3±1.8mmから5.2±2.1mmと有意に増加した(p<0.05).<BR>【考察】<BR>結果より、手技後に重心動揺の大きさを示すパラメーターの外周面積、実効値面積は有意に減少し静止立位の安定化を示唆した.さらに重心動揺の性質を示すパラメーターの単位面積軌跡長が有意に増加した.単位面積軌跡長は、重心動揺における姿勢制御の微細さを示すパラメーターとされ、この微細な制御は固有受容器姿勢制御機能によるもので、増加を示すことは姿勢制御機能が向上したと考察できる.これは手技後に、ATで重要視される頭頚部の位置関係が適切となり、固有受容器の筋紡錘が高密度に含まれる頚部深層筋が賦活されたことが考えられる.それに伴い身体重心線が理想的配列に近づき、骨構造を通しての体重支持が可能となり、各関節内にも多く含まれる固有受容器が賦活されたことも姿勢制御機能向上の一因と考えられる.<BR>【まとめ】<BR>健常者に対して手技を行うことにより、静止立位時の重心動揺における姿勢制御機能への効果が示された.しかし、本来ATは認定教師が行い最も効果が期待できるものであり、単純に姿勢制御のみへの効果を示すものではない.筆者はあくまでも約3年間AT教師からレッスンを受けたAT生徒という立場のPTである.今後もATで得た知識をPTとして臨床展開していきたい.
著者
下山田 真
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

豆乳は一般的には濃縮によって粘度が上昇し、やがて流動性を失うものと考えられており、これまで濃縮についてはあまり検討されてこなかった。しかしながら濃縮のメリットを考慮すると豆乳をどこまで濃縮できるのかについて検討することは重要なことと考えられた。そこで、豆乳を減圧下にて蒸発濃縮し、粘度と濃縮度の関係を明らかにすることを試みた。本年は、国産大豆および輸入大豆を用いた2種類の市販無調整豆乳を試料とし、エバポレーターを用いて蒸発濃縮を行った。また濃縮条件として豆乳を加熱する湯浴の温度を3つに変化させて、各々の影響について解析することとした。その結果、固形分濃度の上昇とともに豆乳の粘度に指数関数的な上昇がみられた。そこで、粘度の常用対数に対してプロットし直してみると、2つの豆乳ともに粘度上昇は2本の直線で表すことが可能であった。さらにエバポレーターの湯浴温度を55℃から65℃、75℃と上昇させると低濃度側の回帰直線は温度に依存せずほぼ同様であったのに対して高濃度側の回帰直線は温度の上昇とともに上方へ移動することが分かった。つまり豆乳を濃縮した際の粘度変化は単純に指数関数的な上昇を示すのではなくて、2段階の挙動を経て変化することが明らかとなった。また品種や温度条件によって2本の回帰直線の交点の位置は影響を受けることが示された。今回用いた豆乳試料の場合、55℃の比較的低温の蒸発濃縮条件下で固形分濃度25%程度までは濃縮可能であることが分かった。
著者
松木 祥彦 塚本 哲也 細山田 真 渡部 多真紀 渡辺 茂和 土屋 雅勇
出版者
Japanese Society of Drug Informatics
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.51-56, 2013 (Released:2013-09-05)
参考文献数
17

Objective: In previously reported comparisons of aminoglycoside antimicrobials administered once daily versus multiple administration, toxicity was found to be equal or lower while efficiency remained high.  However, there are few reports on the clinical condition of targeted elderly persons.  The objective of this study was to evaluate the once-daily dosing regimen of 400 mg of AMK involving elderly pneumonia patients aged 75 years or older with regard to clinical evaluation including the efficacy and toxicity.Methods: A survey to clinically evaluate the efficacy and toxicity of 400 mg AMK administered once daily for 30 min at 24 h intervals was carried out.  One hundred twenty-seven patients with pneumonia and who were 75 years or older at Funabashi General Hospital were targeted, with the aim of an expected clinical effect of Cmax/MIC≥ 8-10.  Serum concentration monitoring was carried out after administration began.Results: There were 121 patients (95.3%) of controlled AMK concentration with a trough serum concentration of <10 μg/mL, which is a safe concentration range.  There were 6 patients (4.7%) where trough serum concentration in the toxic range >10 μg/mL, with an average at 15.1±5.0 μg/mL, and the average administration days were 7.5 ± 3.3 days.  Moreover, before/after AMK administration, there were 3 patients (2.4%) where CRE values increased more than a 150% over the previous values, and were evaluated as renal dysfunction.  Average trough serum concentration at that time was 3.6 ± 1.1 μg/mL, and average number of days of administration were 13 ± 1.4 days.  Patients of trough serum concentration in the toxic range >10 μg/mL were not included.  The average peak serum concentration calculated by Winter’s pharmacokinetic parameter and the 1-compartment model was 35.3 ± 8.0 μg/mL, and the average Cmax/MIC which correlates with the AMK effect was 9.9 ± 2.2.  The treatment was effective for 83 (65.4%) of the 127 patients.Conclusion: By once-daily administration of AMK 400 mg to aged persons 75 years or older, change in trough serum concentration into a safe range and Cmax/MIC≥ 8-10, the level at which clinical effectivity can be expected, could be achieved.  This administration method is shown to be useful in maintaining AMK in the target serum concentration range for aged persons.
著者
渡部 哲史 山田 真史 吉田 奈津妃 佐々木 織江 神谷 秀明 田中 智大 丸谷 靖幸 峠 嘉哉 木村 匡臣 田上 雅浩 木下 陽平 林 義晃 池内 寛明
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.260-265, 2017
被引用文献数
1

&emsp;平成29年2月18,19日に東京大学本郷キャンパスにおいて,合計16名の参加者により第6回目となるWACCA (Water-Associated Community toward Collaborative Achievements)meetingを開催した.第6回となる今回は各自の研究内容を理解し,多様なスケールで展開される様々な水関連研究の現状やそれぞれが抱える課題,それらを克服するために必要なブレークスルーについて考える機会を設けた.各自の研究発表を基に,様々な研究分野に共通する課題やブレークスルーなど研究に関する議論や,アウトリーチのような活動に関する情報共有,その他研究を進める上で感じていること等の意見交換を行った.本報告ではそれらの議論の概要について記す.
著者
綿田 辰吾 Iyan Mulia 山田 真澄 Dimas Sianipar
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

2018年12月22日UT14時30分頃、インドネシアスンダ海峡周辺のジャワ島・スマトラ島を津波が襲い400名余が犠牲となった。この津波の発生とほぼ同時期にAnak Krakatau火山が噴火し、火山の標高が噴火前後で300mから100mへと低下したと報告されているため、津波は陸上または海中の山体崩壊が引き起こしたと考えられている。噴火直後のSAR画像から南西方向に山頂部を含め山体が崩落し海中に消失している。周辺の検潮記録から、津波の発生は13時58分頃と推定される。インドネシア国内では火山噴火や津波発生時に強い地震の発生の報告はないが、日本を含むインドネシア国内外の広帯域地震計には周期50-100秒の長周期の地震波(S波・レイリー波)が明瞭に記録されている。S波は14時11分に日本の南西諸島へ、14時16分に北海道へ到達している。表面波も14時27分に北海道を通過している。どの地震波も13時56分頃にAnak Krakatau火山付近で長周期の地震波発生イベントがあったことを示している。遠地実体波から震源時間関数は100秒以内(1分程度)であり、スンダ海峡周辺の4観測点の地震波形3成分は、最大5x1011Nの力が、最初に20秒間でほぼ北東方向わずかに上向き、さらに50秒で南西方向に方向でわずかに下向き向きに働いたことで説明できる。力の方向と角度は、Krakatau海底カルデラ外縁部に成長していたAnak Krakatau山体の低角(8度)南西方向へ水深250mのカルデラ底へ崩壊とそれに伴う津波の可能性を指摘していたGiachetti et al. (2012, Geol. Soc. London) の山体崩壊モデルとほぼ一致する。山体崩壊の質量はEkstrom and Startk (2013, Science) が経験的に求めた陸上地滑りの最大力と質量の比例式から3x1011kgと推定され、山体の密度を2gr/cm3を仮定すると山体崩壊体積はおよそ0.15km3となり、検潮記録から推定されている海底地滑りを引き起こした体積0.2km3とおよそ一致している。津波を引き起こすような地震が現地では検知されなかったため、津波警報は発令されなかった。一方、津波の発生と共に発生したと考えられる長周期地震波は地震発生イベントの40秒後にはJakartaに到達した。もし今回観測されたような長周期地震動が定常的にインドネシアでモニターされれていれば、Anak Krakatau山体崩壊の早期検知とそれに伴う津波発生の可能性は津波被害発生前に把握できたかもしれない。
著者
舘 和彦 小川 宣子 下山田 真 渡邊 乾二 加藤 宏治
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.456-462, 2004-09-15
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

乾熱卵白を生中華麺に添加した時の影響について力学物性値の測定と官能試験の結果より評価した.また走査型電子顕微鏡を用いて中華麺の表面および断面構造を解析することにより,以下の結論を得た.<br>(1) 中華麺に乾熱卵白を添加することで茹で伸びを抑制し,破断応力,瞬間弾性率は上昇し,硬さおよび弾力性に改善が見られた.さらに付着性の低下より舌触りが良くなること,引っ張り時の歪率の上昇から伸長が良く切れにくくなっていることが推測された.<br>(2) 官能試験の結果より,乾熱卵白を添加した中華麺は噛みごたえ,弾力性,つるみ感,伸長度において無添加麺や乾燥卵白を添加した麺よりも良い評価となり,且つ高い嗜好性を示した.<br>(3) 走査型電子顕微鏡による観察結果より,乾熱卵白を添加した麺の表面構造は,無添加麺や乾燥卵白を添加した麺と比較して隙間が狭く,滑らかであった.また乾熱卵白を添加した麺の断面構造も,蛋白質によって構成される網目構造が細かく,密であった.
著者
三浦 勉 飯尾 能久 SIBSON Richard H. 岡田 知己 松本 聡 PETTINGA Jarg BANISTER Stephen 平原 聡 中山 貴史 中元 真美 山田 真澄 大見 士朗 米田 格 濱田 勇輝 高田 陽一郎 深畑 幸俊 小菅 正裕 TOWNEND John REYNERS Martin GHISETTI Francesca C.
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B = Disaster Prevention Research Institute Annuals. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.94-101, 2014-06

We observe the seismic activity in the northern part of the South Island in New Zealand since Nov. 2009. New Zealand is located at the border between the Pacific plate and the Australian plate and the Alpine Fault runs along the boundary from southwest to northeast in the South Island. A lot of earthquakes occurred there, e.g., 1929 Murchison (M7.7), and 1968 Inanghua (M7.2). We observed aftershocks of the 2011 Christchurch earthquake for 2 years since Mar. 2011. Now, We expand the observation network with about 40 seismometers in northern part of the South Island.
著者
堀 光代 阿久澤 さゆり 下山田 真 吉田 一昭 長野 宏子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.205, 2005

【目的】国内産・県内産小麦の生産量が年々増加している現状である。各地で生産から消費までの取り組みについて行われているが、今回は、製粉工程が異なる岐阜県内産小麦について製パン性を比較検討することを目的とした。【方法】2003年に岐阜県で生産された小麦「中国152号」と「タマイズミ(関東123号)」の2種類について製粉工程の違いから(細)と(粗)に分類した計4種類と、対照として外国産小麦1CW(カナダ産)を用いた。パンの材料配合は、小麦粉に対し、砂糖(6.8%)食塩(2.0%)酵母(1.12%)水(68.0%)とした。小麦粉は粒度分布と色差を測定し、ドウはファーモグラフによるガス発生量の測定を行った。ホームベーカリーにてパンを焼成後、質量・体積・色差等の測定とあわせてパンの品質評価と官能検査を行った。【結果】(1)小麦粉の粒度分布は(細)と(粗)では差が認められ、色差も感知できる程度の差が見られた。(2)ガス発生量は、県内産小麦粉は対照である1CWと異なった結果を示し、ガス保持力等に差が見られた。(3)パンの比容積は1CWが高く、県内産小麦粉両品種の(細)と(粗)ではいずれも(粗)ほうが低い比容積であった。色差の測定結果は、小麦粉の測定値より製パン時の色差に顕著な差が見られた。パンの品質評価では、(粗)が(細)より低い評価であった。両品種の(細)における比較は、品質評価では外観は1CWに劣る評価であったが、味・香りは1CWに近い評価であり、官能検査の結果もほぼ一致していた。
著者
山内 正仁 松元 皓隆 山田 真義 八木 史郎 村山 陵 山口 善敬 山口 隆司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.85-92, 2012 (Released:2012-04-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究では,まずきのこ栽培用の焼酎粕・でん粉粕培地の臭気物質の同定と定量を行った.その結果,アセトイン,酪酸,ジアセチルが主成分となり,これらにその他の臭気物質が混ざり合うことで独特の不快な臭いを発していることが示唆された.また,これらの臭気物質は培地に菌糸が蔓延するにつれて消失した.つぎに液体培地を用いて,主成分の臭気物質の消臭メカニズムを検討した.その結果,これらの臭気物質は菌体外酵素の働きで消失している可能性は低く,きのこ菌糸そのもので分解されている可能性が高いことが示唆された.さらに,臭気指数およびにおいの質について調査し,焼酎粕・でん粉粕培地の臭いは,培養が進むにつれて培地本来の酸っぱい臭いから,きのこの匂いへ,においの質が変わると同時に,臭気指数は減少することが明らかになった.
著者
松田 明久 宮下 正夫 山田 真吏奈 松本 智司 櫻澤 信行 川野 陽一 関口 久美子 松谷 毅 山田 岳史 内田 英二
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.157-164, 2017 (Released:2018-02-22)
参考文献数
29

手術侵襲などによる組織障害や感染が生じた生体では,障害・感染を受けた部位のみならず全身からさまざまな外因性・内因性のメディエーターが放出される.リゾリン脂質は,近年の研究により多彩な生理活性を有する脂質メディエーターとして注目されており,その免疫学的作用も豊富であることから侵襲後の炎症性生体反応にも大きく関与している可能性が高い.本稿では主要なリゾリン脂質であるリゾホスファチジルコリン(lysophosphatidylcholine:LPC), リゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid:LPA), リゾスフィンゴシン脂質(スフィンゴシン-1- リン酸(sphingosine 1-phosphate:S1P)の3 つに焦点を当て,手術侵襲後の炎症性生体反応における役割について,自験結果に文献的考察を加え概説する.
著者
好川 真以子 中山田 真吾 久保 智史 岩田 慈 阪田 圭 宮崎 佑介 鳥越 正隆 齋藤 和義 田中 良哉
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.397a-397a, 2016 (Released:2016-09-03)

【目的】SLE末梢血ではメモリーB細胞が増加するが質的異常の詳細が不明である.今回,ケモカイン受容体発現によるB細胞の亜分類を試み,その誘導機構と病態との関連を検討した.【方法】健常人(HD)8例,関節リウマチ(RA)31例,SLE 56例の末梢血よりPBMCを分離,T・B細胞表面抗原,分化マーカー,ケモカイン受容体(CXCR3, CXCR5)を染色後,8 color FACSで解析した.また,HDから分離したB細胞を各種サイトカインで刺激し,ケモカイン受容体および転写因子発現の変化を8 color FACSで評価した.【結果】1)SLE末梢血B細胞ではHD,RAと比べ,エフェクターメモリー(EM; IgD−CD27−)B細胞が有意に増加した(p < 0.01).2)SLE末梢血B細胞ではHD,RAと比べ,CXCR5−およびCXCR3+の亜集団が有意に増加し,特にEM B細胞で顕著であった(p < 0.01).3)HDから分離したB細胞はIFNγ刺激でCXCR3発現が増強し,IFNβ刺激でCXCR5発現が減弱した(p < 0.05).4)HDから分離したB細胞はIFNγ刺激でT-bet発現が亢進した(p < 0.01).【考察】SLEではエフェクターB細胞が増加するのみならず,Type I IFNを介したCXCR5減弱,Type II IFNを介したT-bet発現誘導とCXCR3増強の両者を伴う質的異常が齎され,B細胞の病変組織への浸潤と炎症病態の形成に寄与する可能性が示唆された.