著者
井本 知江 山田 和子 森岡 郁晴
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.295-305, 2019-06-15 (Released:2019-06-21)
参考文献数
26

目的 特定健康診査(以下,健診)の受診行動に健康増進ライフスタイル,ヘルスリテラシー(以下,HL),ソーシャル・キャピタル(以下,SC)が関連しているのかを保険者別に検討し,今後の受診勧奨を含めた保健活動のあり方について示唆を得ることを目的とした。方法 受診者とは過去2年間に1回以上健診を受診した者,未受診者とは過去2年間に1回も健診を受診していない者とした。対象者は40~74歳の男女1,048人とし,郵送による無記名の自記式質問紙法で行った。健康増進ライフスタイルの把握には日本語版健康増進ライフスタイルプロフィール(以下,HPLPⅡ)を,HLの把握には14-item Health Literacy Scaleを,SCの把握には埴淵らの6項目を用いた。保険者別(国民健康保険:国保,被用者保険:社保)に健診受診の有無と属性,HPLPⅡ, HL, SCとの関連について検討した。分析には属性・SCにはχ2検定を,HPLPⅡにはt検定を,HLにはMann-WhitneyのU検定を用いた。結果 有効回答率は男性34.4%,女性39.6%で,健診受診者の割合は国保の男性68.8%,女性79.4%,社保の男性91.7%,女性72.6%であった。国保の男性は同居の配偶者がいない者がいる者に比べて受診割合が有意に低く,女性は未受診者が受診者に比べてHPLPⅡの身体活動得点が有意に低かった。社保の男性は未受診者が受診者に比べてHPLPⅡの栄養得点が有意に高く,SCの近所付き合いの程度が有意に高く,女性は未受診者が受診者に比べてHPLPⅡの健康の意識得点が有意に低かった。結論 健診の受診行動には,国保の男性を除いて,健康増進ライフスタイル,SCが関連していた。健診受診勧奨を含めた保健活動のあり方として,国保の男性の場合,配偶者や家族,親戚,近隣者などからの勧奨が健診受診に有効であること,女性の場合,日常生活に身体活動を取り入れることが健康への関心を高め,健診受診に繋がること,社保の男性の場合,健診結果を食生活の改善に活かせる工夫が必要であること,女性の場合,健康意識を高める支援が必要であることが示唆された。

1 0 0 0 OA 独学の勝利

著者
山田謙吉 著
出版者
通信教育研究所
巻号頁・発行日
1939
著者
山田 未知 平山 紀子 山田 幸二 杉田 昭栄 山内 克彦
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.166-174, 2002
被引用文献数
1

照明の色が豚の発育性・産肉性および脂肪組織と筋肉の脂肪酸組成に及ぼす影響について検討した。肥育前期・後期・試験期間全体の一日平均増体量および飼料要求率は, 無灯火区, 赤色照明区, 青色照明区, 白熱灯照明区の各区間に有意な差は見られなかった。枝肉歩留および背脂肪の厚さにおいても各区間に有意な差は見られなかった。背脂肪の脂肪酸組成ではC18:0が青色照明区で低い値を示し, 無灯火区と青色照明区間に有意な差が見られた (P<0.05)。また, C18:2では無灯火区が低い値を示し, 無灯火区と赤色照明区間に有意な差が見られた (P<0.05)。胸最長筋内脂質の脂肪酸組成ではC14:0が無灯火区で高い値を示し, 無灯火区と白熱灯照明区間に有意な差が見られた (P<0.05)。またC18:0では赤色照明区が高い値を示し, 無灯火区と赤色照明区間, 赤色照明区と青色照明区および白熱灯照明区間に有意な差が見られた (P<0.05)。その飽和脂肪酸は赤色照明区が高い値を示し, 赤色照明区と青色照明区および白熱灯照明区間, 青色照明区と白熱灯照明区間に有意な差が見られた (P<0.05)。また不飽和脂肪酸は赤色照明区が低い値を示し, 赤色照明区と青色照明区および白熱灯照明区間に有意な差が見られた (P<0.05)。さらに不飽和脂肪酸に対する飽和脂肪酸の比では赤色照明区が高い値を示し, 赤色照明区と青色照明区および白熱灯照明区間に有意な差が見られた (P<0.05)。血中脂質成分では, 中性脂肪, 総コレステロールおよびHDL-コレステロール量は各区間に有意な差は見られなかった。しかし, 総コレステロールに対するHDL-コレステロール比では青色照明区が低い値を示し, 青色照明区と赤色照明区間に有意な差が見られた (P<0.05)。
著者
山田 未知 平山 紀子 山田 幸二 杉田 昭栄 山内 克彦
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚学会誌 = The Japanese journal of swine science (ISSN:0913882X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.166-174, 2002-09-20
参考文献数
17
被引用文献数
1

照明の色が豚の発育性・産肉性および脂肪組織と筋肉の脂肪酸組成に及ぼす影響について検討した。肥育前期・後期・試験期間全体の一日平均増体量および飼料要求率は、無灯火区、赤色照明区、青色照明区、白熱灯照明区の各区間に有意な差は見られなかった。枝肉歩留および背脂肪の厚さにおいても各区間に有意な差は見られなかった。背脂肪の脂肪酸組成ではC18 : 0が青色照明区で低い値を示し、無灯火区と青色照明区間に有意な差が見られた(P<0.05)。また、C18 : 2では無灯火区が低い値を示し、無灯火区と赤色照明区間に有意な差が見られた(P<0.05)。胸最長筋内脂質の脂肪酸組成ではC14 : 0が無灯火区で高い値を示し、無灯火区と白熱灯照明区間に有意な差が見られた(P<0.05)。またC18 : 0では赤色照明区が高い値を示し、無灯火区と赤色照明区間、赤色照明区と青色照明区および白熱灯照明区間に有意な差が見られた(P<0.05)。その飽和脂肪酸は赤色照明区が高い値を示し、赤色照明区と青色照明区および白熱灯照明区間、青色照明区と白熱照明区間に有意な差が見られた(P<0.05)。また不飽和脂肪酸は赤色照明区が低い値を示し、赤色照明区と青色照明区および白熱灯照明区間に有意な差が見られた(P<0.05)。さらに不飽和脂肪酸に対する飽和脂肪酸の比では赤色照明区が高い値を示し、赤色照明区と青色照明区および白熱灯照明区間に有意な差が見られた(P<0.05)。血中脂肪成分では、中性脂肪、総コレステロールおよびHDL-コレステロール量は各区間に有意な差は見られなかった。しかし、総コレステロールに対するHDL-コレステロール比では青色照明区が低い値を示し、青色照明区と赤色照明区間に有意な差が見られた。(P<0.05)。
著者
高橋 克匡 一谷 幸男 山田 一夫
出版者
Division of Physhology, Faculty of Human Sciences, University of Tsukuba
雑誌
筑波大学心理学研究 = Tsukuba Psychological Research (ISSN:09158952)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.1-7, 2018-02-28

Dependence refers to the state of abnormally relying on or needing someone or something. Although the neural mechanisms of drug-dependence have been intensively studied, those of gambledependences are still unclear. Since "gambling disorder" was adopted within the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (DSM-5) as a mental disorder, researchers have been focusing on developing an effective treatment for the disorder. Deviant decision-making processes, such as risk preference or short-sighted thinking, are thought to be related to both drug- and gambledependences. Elucidating the biological mechanisms of deviant decision-making processes using the rat gambling task (rGT), based on the Iowa Gambling Task for humans, can undoubtedly provide novel approaches to the treatments of drug dependences and gamble disorder. In this paper, we focus on the relationships between drug- and gamble-dependences and decision-making processes and review recent studies that address the biological mechanisms underlying the deviant decision-making processes in rodents.
著者
立花 潤三 迫田 章義 門脇 亙 山田 強 玉井 博康 稲永 忍 鈴木 基之
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.123-133, 2011

低炭素社会に向けた厳しい目標の達成には産業部門,民生部門等すべての部門における低炭素化の努力が不可欠であり,我が国の燃料消費の約15%を占めるとされる食料生産・輸送も当然にその対象に挙げられる。本研究ではまず,鳥取県において現在生産されている食料によって鳥取県民全員の栄養素を賄えるか(県内食料自給自足)の検討を行った。その結果マンガン,パントテン酸が少量不足する以外,他の19種類の栄養素に関しては県内産食料で賄え,一部栄養素に関しては供給過多であることが分かった。次に,県内食料自給自足の条件下において,移入だけを行わない場合は現状の生産・輸送エネルギーの約1割,生産量を一律1割削減した場合は約2割,現在県内生産量が2000[t/year]を超える食料品のみを生産することを条件とした場合には約3割,そして最もエネルギーが小さくなる食料生産を選択した場合には約5割のエネルギーを削減する事ができることが推算された。
著者
田實 直也 山田 浩昭 石川 一博 伊藤 祐 鈴木 和広 近藤 国和
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.199, 2008

〈緒言〉当院の電子カルテシステムは、効率的で安全な医療提供を追求するために2002年に紙カルテから全面移行した。稼動後6年が経過したが、不慮のトラブルは極めて稀で、半年に1回の保守停止以外はほぼ不眠不休で機能してきた。しかし、今回は更新に伴う停止時間が約27時間と算出された。このような長期停止は当院にとって前代未聞の出来事であり、様々な対策が必要となった。ここでは、今回のような病院機能の停止状態に対し、どのような対策を行ったかを報告する。<BR>〈方法〉院内では長時間停止が判明して、即管理職を中心に対応策を検討した。当初は三次救急医療を担う病院としての対応を模索したが、システム停止により情報網が寸断された状態では、求められる医療の提供が出来ないのは確実であることや、1日の救急外来患者が350名を越すため、処理が追いつかず飽和状態になることが予想されるなどから、対策として、最低限の患者数へ絞り込みを行い、この急場を乗り切るという苦渋の決断を強いられた。このため受け入れ先の確保や住民周知という難題に直面した。特に、地域住民の周知については短期的ながら患者の受療行動を抑制することになり、市民と近隣病院へ強く協力を働きかける方法を検討した。以下が行った対策である。<BR>1_県に救急の受診制限が問題ないか確認<BR>2_他病院への協力を要請<BR>3_救急隊へ搬送停止協力の依頼<BR>4_市広報へ掲載依頼<BR>5_周辺医師会へ連絡<BR>6_自院のホームページへ掲載<BR>7_地域の回覧板に依頼<BR>8_院内掲示・配布<BR>院内の対応は、停止中の職員を通常より増員し、今回の停止にあわせて臨時運用マニュアルを作成し、職員周知会を開催した。また、不測の事態に備えて定期的に行われているダウン時シミュレーションも運用参考とした。<BR>〈結果〉当日に電話や窓口でお断りする患者もいたが、対策が功を奏し、停止中の救急外来受診者数は期間中143人(前々週同期間374人、システム停止時間中実患者24人)となり、一定の効果を得ることが出来た。期間中救急の現場に大きな混乱もなく、停止時間も予定より6時間短く終了し、無事乗り切ることが出来た。今回行った対策の結果については、概ね以下の通りである(番号は前述〈方法〉欄記載に対応する)。<BR>1_医療圏内で十分な協力体制を敷くことができれば問題ないとの回答であった。<BR>2_近隣病院長会議や救急医療ネットワーク会議にて全面的な協力が得られ、他院の一部では期間中に増員体制で臨む協力が得られた。<BR>3_他院が救急搬送を受け入れてくれたため、特に問題はなかった。<BR>4_医療圏内12市町の広報へ掲載を依頼したが、断られる市もあった。<BR>7_安城市内の回覧板にて回覧協力を得た。<BR>8_院内数箇所に看板、ポスターを設置し、救急外来では、全患者に1ヶ月間リーフレット配布を行った。<BR>〈まとめ〉今回の試みは、早期に電子カルテを導入した当院が、更新作業をどのように行い、どのような対応策を検討したかという点以外にも、近年救急外来のコンビニ化が叫ばれる中、短期的ながら受け入れ先を明確化して明示すれば、患者の受療行動はかなりの確立でコントロールできるという二つの結果を導き出すことになった。通常業務における電子カルテの有用性を改めて実感するとともに、病院も行政との連携体制を強化し、地域を巻き込んだ広報周知活動を行うことによって、在るべき医療提供体制の機能分担体制構築に望みを見出す結果となった。
著者
長嶺 一輝 遠藤 聡志 山田 孝治 當間 愛晃 赤嶺 有平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.3K4J201, 2019

<p>近年,深層強化学習エージェントは驚くべき発展を見せ,素晴らしい成果を挙げている.一方で,エージェントの行動のみを視認して,根拠となった画像特徴を推測するのは困難であるという問題がある.これに対し,エージェントが持つニューラルネットの入出力を用いて判断根拠を可視化することで,行動を分析しようとする試みが行われている.可視化手法の一つに顕著性マップの生成がある.しかし,行動毎に顕著性マップを得る手法はあまり研究されていない.本稿では,深層強化学習エージェントの行動を視覚的に分析する際に,エージェントの持つニューラルネットから各行動ごとに顕著性マップを得る手法を提案する.実験の結果,環境から得られる状態観測内のオブジェクトが,エージェントの各行動に及ぼす影響を可視化する顕著性マップを得られた.</p>
著者
本村 陽一 村田 知佐恵 大塚 裕子 大森 隆司 山田 徹志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.4L2J1303, 2019 (Released:2019-06-01)

本研究では、保育施設への人工知能(AI)導入プロジェクトについて、その構想の背景にある必然性や技術導入プロセスについての現状を総括する。また、保育士など保育従事者に対するヒアリングやインタビュー調査を行い、保育従事者の価値観や評価構造を明らかにし、それに基づき検討したAI技術活用の可能性、現場への導入のユースケースや期待される効果についても議論する。保育施設へのAI導入プロジェクトは、①保育の質向上のための保育技術の指標化、②既存のAI技術の活用、③新たなAIシステムの開発という3つの方向性で進めている。保育士目線での開発を重視した結果、アノテーションソフトなど、必要な技術開発が明確化された。また、保育とは何かを定義づけるための保育の質に着目した研究を行うことで、業務効率化に留まらないAI導入の社会実装化モデルとなり得ると考える。
著者
山田十畝 著
出版者
弄花書屋
巻号頁・発行日
vol.[本編], 1877
著者
尾形 隆 今井 大 市毛 明彦 山川 光徳 山田 和彦 大類 広 柘植 通 新野 恵司 鈴木 明彦 角田 卓哉 湯田 文朗
出版者
日本リンパ網内系学会
雑誌
日本網内系学会会誌 (ISSN:03869725)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.319-331, 1995

The expression of adhesion molecules on human tonsillar follicular dendritic cells (FDCs) <i>in vivo</i> on cryostat sections and <i>in vitro</i> on isolated FDCs on cytospin preparations was studied. Isolation of FDCs was performed using a magnetic cell sorter (MACS). Immunochemically, FDCs were positive for Mac-1 (CD11b), sialyl-Le<sup>x</sup> (CD15s), CD22, integrin &beta;1 (CD29), CD40, VLA-&alpha;3 (CD49c), VLA-&alpha;5 (CD49e), VLA-&alpha;6 (CD49f), ICAM-3 (CD50), ICAM-1 (CD54), B7 (CD80), and VCAM-1 (CD106). These adhesion molecules, except ICAM-3 (CD50) which was weakly positive only in the light zone (LZ), were positive with a lacy pattern in all zones of secondary lymphoid follicle, especially strong in the LZ. ICAM-3 (CD50) was positive on more than half of isolated FDCs, but other molecules were positive on almost all isolated FDCs. Concerning the ligands on B cells for these adhesion molecules, the Mac-1 (CD11b)-ICAM-1 (CD54), the ICAM-3 (CD50)-LFA-1 (CD11a/18), and the VCAM-1 (CD106)-VLA-4 (CD29/49d) interactions in the LZ, the sialy-Le<sup>x</sup> (CD15s)-L-selectin (CD62L) and the VCAM-1 (CD106)-VLA-4 (CD29/49d) interactions in the mantle zone, and the ICAM-1 (CD54)-LFA-1 (CD11a/18) interaction in the entire lymphoid follicle may participate in FDC-B cell adhesion. Furthermore, above mentioned immunohistochemical evidence that FDCs were positive for fibronectin-receptor (CD29/CD49e) and laminin-receptor (CD29/CD49f), was confirmed with a frozen-section binding assay, using isolated FDCs and cryostat sections of tonsils. The numbers of FDCs binding to germinal centers (GCs) were reduced remarkably by pretreatment with monoclonal antibodies for CD29 (32.8&plusmn;4.1% of the control), CD49e (29.7&plusmn;2.5%), and CD49f (18.8&plusmn;0.8%). These data clearly indicated that FDCs bind to the reticulin or laminin fiber in GCs via either receptor.
著者
江口 圭 池辺 宗三人 金野 好恵 山田 祐史 金子 岩和 峰島 三千男 秋葉 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.769-774, 2007-09-28 (Released:2008-11-07)
参考文献数
10
被引用文献数
5 7

透析効率の飛躍的な向上の背景には, 高性能透析器やHDFフィルタなどのデバイスの開発ならびにその性能を引き出すための治療モード, 治療条件の考案をあげることができる. しかし, 個々の患者に対する適正な溶質除去を考えた場合, その対象となる患者体内環境の影響も重要な因子の一つと考えられる. 限られた透析時間の中で行われる除水操作は, しばしば血圧低下や筋痙攣をもたらし, 末梢循環不全の状態を作り出すことになる. 今回われわれは, 間歇的な補液を繰り返すことによって, 一時的に末梢循環を改善し, (1) 血液分配の是正, (2) 体液の撹拌, (3) 溶質の洗い出し効果促進による除去効率の向上を目的とした新しいHDF療法 (間歇補液HDF : intermittent infusion hemodiafiltration, I-HDF) を考案した. 通常のボトルタイプHDFは置換補充液を静脈側血液回路部から連続注入するが, I-HDFでは間歇的な補液操作 (3~4回/hr, 一回400~600mLの急速補液) を行い, 患者の循環血液量を約5%の範囲で振幅させた. 対象は維持透析患者7例にI-HDFと従来のHDFをクロスオーバーで施行し, 各溶質のクリアスペースを比較した. この際, 置換補充液は各セッションで同量とした. 結果はクリアスペースが増加する群と不変な群の2群に分れた. 皮膚表面の微小循環を評価できるレーザー血流計により, 間歇補液後の末梢循環の改善が得られた4例を再評価すると, クリアスペースにおいてI-HDFの方が高値を示し, 特にクレアチニン, 尿酸, β2-MGで有意な差が認められた. この4例はいずれも安定した維持透析患者であったが, 間歇補液の効果が認められなかった3例は, (1) 高齢者 (74歳), (2) 閉塞性動脈硬化症合併, (3) 僧帽弁閉鎖不全合併の症例であった. ゆえに種々の患者背景が間歇補液の効果に相違をもたらすものと考察した. 今後, 従来からの外部デバイスに依存した溶質除去の手法に加えて, 患者の末梢循環を視野に入れた治療法を考案する必要がある.
著者
北野 正典 中村 優一 PILT Kristjan 有本 英伸 角田 直人 山田 幸生
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.61-62, 2005

Patients of kidney disease remove excess water by hemodialysis. In hemodialysis, blood pressure may fall and the patients may suffer from hypovolemic shock, because body fluid removal rate is normally larger than plasma refilling rate. The aim of our research is to measure water content in issue in order to prevent the hypovolemic shock and to know how much water has to be removed quantitatively. We employ a technique using near infrared spectroscopy for this purpose. It will have advantages of being real-time, noninvasive and continuous.
著者
山田 有孝 永野 正行 山添 正稔 三浦 賢治
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.67, no.561, pp.73-80, 2002-11-30 (Released:2017-02-04)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

The earthquake strong motion arrived from seismic fault via propagating in bedrock and local site. The adequate 3-dimentional dynamic analytical method is required in order to evaluate the seismic risk for the coming large earthquake. The development of computer technology makes it possible to carry out the dynamic analysis of huge 3-dimentional soil model. The finite element method (FEM) applied to space discrete and explicit method applied to time integration is useful. The FEM can represents soil irregularity more rigorous but expense longer computational time. This paper describes the method of FEM and explicit time integration considering multi volumes with variable mesh size and integral time increment. The proposed method demonstrates good computational performance for dynamic analyses of large 3-dimentional soil model. The prediction analyses for earthquake motions in Osaka area during hypothetical Tokai-Nankai earthquake is shown.
著者
下村 剛志 山田 浩史
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2019-OS-146, no.11, pp.1-10, 2019-05-23

メモリは外的要因によるビットフリップやモジュールの故障により保存したデータが呼び出せなくなることがある.特に In-Memory Key-Value Store(In-Memory KVS)はメモリを大量に使用するのでメモリページのエラーに遭遇する可能性が高いアプリケーションの一つである.しかし,In-Memory KVS はメモリ上に全ての key-value を展開しており,再起動にかかるコストが高い.既存研究では ECC などの誤り訂正符号を用いたエラーの回復を行っているが,広範囲に渡るメモリのエラーには対応できていない.本論文では,メモリに部分的な故障が生じたとしても,In-Memory KVS を継続して稼働可能にする手法を提案する.提案手法では OS Kernel と In-Memory KVS を連携させ,メモリページのエラー発生時に破損ページに保存されていたデータオブジェクトの回復処理を行い,動作を継続させる.本研究では Linux Kernel 4.13.9 と memcached 1.4.39 に提案手法の実装を行った.評価実験を行い,メモリエラー発生時でも約 3 秒のダウンタイムでスループットの劣化無しに動作が継続することを確認した.
著者
綿田 辰吾 Iyan Mulia 山田 真澄 Dimas Sianipar
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2019年大会
巻号頁・発行日
2019-03-14

2018年12月22日UT14時30分頃、インドネシアスンダ海峡周辺のジャワ島・スマトラ島を津波が襲い400名余が犠牲となった。この津波の発生とほぼ同時期にAnak Krakatau火山が噴火し、火山の標高が噴火前後で300mから100mへと低下したと報告されているため、津波は陸上または海中の山体崩壊が引き起こしたと考えられている。噴火直後のSAR画像から南西方向に山頂部を含め山体が崩落し海中に消失している。周辺の検潮記録から、津波の発生は13時58分頃と推定される。インドネシア国内では火山噴火や津波発生時に強い地震の発生の報告はないが、日本を含むインドネシア国内外の広帯域地震計には周期50-100秒の長周期の地震波(S波・レイリー波)が明瞭に記録されている。S波は14時11分に日本の南西諸島へ、14時16分に北海道へ到達している。表面波も14時27分に北海道を通過している。どの地震波も13時56分頃にAnak Krakatau火山付近で長周期の地震波発生イベントがあったことを示している。遠地実体波から震源時間関数は100秒以内(1分程度)であり、スンダ海峡周辺の4観測点の地震波形3成分は、最大5x1011Nの力が、最初に20秒間でほぼ北東方向わずかに上向き、さらに50秒で南西方向に方向でわずかに下向き向きに働いたことで説明できる。力の方向と角度は、Krakatau海底カルデラ外縁部に成長していたAnak Krakatau山体の低角(8度)南西方向へ水深250mのカルデラ底へ崩壊とそれに伴う津波の可能性を指摘していたGiachetti et al. (2012, Geol. Soc. London) の山体崩壊モデルとほぼ一致する。山体崩壊の質量はEkstrom and Startk (2013, Science) が経験的に求めた陸上地滑りの最大力と質量の比例式から3x1011kgと推定され、山体の密度を2gr/cm3を仮定すると山体崩壊体積はおよそ0.15km3となり、検潮記録から推定されている海底地滑りを引き起こした体積0.2km3とおよそ一致している。津波を引き起こすような地震が現地では検知されなかったため、津波警報は発令されなかった。一方、津波の発生と共に発生したと考えられる長周期地震波は地震発生イベントの40秒後にはJakartaに到達した。もし今回観測されたような長周期地震動が定常的にインドネシアでモニターされれていれば、Anak Krakatau山体崩壊の早期検知とそれに伴う津波発生の可能性は津波被害発生前に把握できたかもしれない。