著者
山田 裕貴
出版者
炭素材料学会
雑誌
炭素 = Carbons (ISSN:03715345)
巻号頁・発行日
no.248, pp.154-155, 2011-06-15
参考文献数
6
被引用文献数
1

黒鉛電極はその異方性構造により独特の電気化学挙動を示すことが知られている。例えば,黒鉛電極における電気二重層容量やヘテロ電子移動反応速度は金属電極のものとはまったく異なるが,これまで黒鉛の電気化学に特化した基礎研究が広く行われ理論的な説明がなされつつある。一方で,電気化学的手法により層間にイオンを挿入することができる点も黒鉛電極の特徴の1つである。しかし,このような反応が広く研究されるようになったのはリチウムイオン電池の実用化後であるため,その反応機構に関する基礎研究は不十分である。<br>本論文は,リチウムイオン電池の負極材料として用いられている黒鉛と電解液の界面における電気化学反応の機構および速度論に関する研究成果をまとめたもので,序論および3部7章で構成されている。第1部(第1章,第2章)では,種々の有機電解液中における黒鉛電極の電気化学特性を調べることにより,黒鉛電極へのリチウムイオン挿入反応の可否を決定する要因について議論した。第2部(第3章~第5章)では,黒鉛電極への電気化学的リチウムイオン挿入反応の活性化エネルギーを調べ,その決定要因を明らかにすることで,反応速度について議論した。第3部(第6章,第7章)では,黒鉛電極の電気化学的リチウム挿入反応サイト数について調べることにより,黒鉛電極/電解液界面におけるリチウムイオン挿入脱離反応の速度に影響を与える頻度因子項について議論した。
著者
西岡 佑介 新家 俊樹 山田 裕貴 金井 孝夫 小川 高
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.221-223, 2012-03-20
参考文献数
7

13歳雑種犬に左眼の第三眼瞼及び下眼瞼結膜の腫脹がみられ生検により脂肪組織が得られた.超音波及びCT検査で腫瘤は眼窩内深部から下眼瞼結膜下へ広がっていた.外科的牽引除去された組織は脂肪腫と病理診断され,良好な予後が得られた.
著者
飯尾 淳 清水 浩行 神庭 里文 小林 勝哉 山田 裕貴
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.335-338, 2012

ODPG (OpenOffice.org & OpenDocument Format 利用推進グループ)は,民間企業を主体として,同様のOSS生産性ソフトウェアへの移行を推進するために設立された業界団体である.同団体の技術評価ワーキンググループでは,OpenOffice.org等の導入を支援することを目的として,組織におけるOSS生産性ソフトウェア導入の検討に必要な手続きや選択基準,評価方法の整備を進めた.本論文では,同ワーキンググループで検討した「商用ソフトウェアからの移行ガイドライン」および移行の効果,製品選択における評価のポイント等について論じる.
著者
山田 裕貴 金森 由博 福井 幸男 三谷 純
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.47-50, 2012
参考文献数
11

撮影時とは異なる照明下での照明効果を計算するリライティングは,これまで映像制作において用いられてきた.しかし,従来はリライティングに必要な物体の形状・反射率といった情報を得るために複雑なユーザ入力や特殊な撮影装置が必要であり利用できる場面が限られていた.そこで,本研究ではデプス情報を取得できる撮影装置の中でも比較的安価なKinectを使用したリライティングのシステムを提案する,Kinectで対象の物体を撮影することで物体の形状を計算し,さらに同じ場所で撮影した環境マップから計算される照明効果の情報を使って物体の反射率を推定する.物体の形状と反射率の情報を用いて撮影時と異なる照明でリライティングを行い,さらに照明の方向や強さをユーザ入力によって調整し任意のリライティング結果を得ることができる.このシステムによって,高いコストのかかる撮影装置も,複雑なユーザ入力も必要としないリライティングが可能になる.
著者
松田 晧 山田 知代子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:18838863)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.241-244, 1965-09-30 (Released:2010-03-26)
参考文献数
5

ゼラチンは, 動物の皮および骨の結合組織の重要成分であるコラーゲンから非可逆的加水分解過程により作られるタンパク質である。ゼラチンに深く接したことのない人の中にはゼラチンを一定の組成, 単一な性質を有するタンパク質と考えている人が多いが, 実際に食品に用いられているゼラチンは, 上記の実験結果より明らかなように化学組成は一定せず, また物理的性質も一様でない。温湯に溶解したとき, 無臭で透明度のよいゼラチンは, 粘度, ゼリー強度とも概してよいが, 水分, 灰分が少なくタンパク質含量が多いとはいえない。ただ一般に物理的性質の中ではゼリー強度, 化学組成の中では灰分含量が品質を示す目安になるといえる。pHの影響は, 粘度とゼリー強度とで多少異なり, 粘度はpH 4.7より7の間, ゼリー強度はpH 6より8の間において最も高い。フルーツゼリーなどのように酸性域でゼラチンを使用することが多いが, 酸度が強まると粘度もゼリー強度も急速に低下する点は特に注意を要することである。
著者
百田 真史 射場本 忠彦 宮良 拓百 山田 博 村上 浩 今井 智将
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.83, pp.11-20, 2001
参考文献数
15
被引用文献数
3

地域冷房にブロックアイス(25mm角)を用いた氷水搬送による高密度熱搬送システムを提案した.このシステムは需要家からの還水と地域主配管内の氷を直接配管内で熱交換させるもので,従来の二管式と比較して管路が短縮できるという利点を持つ.このシステムのかなめとなる氷水圧力損失特性把握,管内IPFの非可動・オンライン計測手法,及び管内氷粒径の推測手法について検討を行い,提案システムの可能性を示した.氷水圧力損失特性については流速,IPF,管径を変えた時の圧力損失特性が予測を基に最適制御が可能なことを,また管内IPF計測については超音波濃度計を用いたオンライン計測が可能であることを確認した.
著者
高柳 理早 山田 安彦 河野 真理子 中村 均 佐藤 均 伊賀 立二
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.489-494, 2002-10-10 (Released:2011-03-04)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

The new Good Clinical Practice (GCP) guidelines, which were based on ICH-GCP, were enforced in Japan in April 1997. These guidelines recommend that pharmacists play the role of managers of investigational drugs and also as cooperators (clinical research coordinator) in the performance of clinical trials. In this study, we carried out a survey of the attitude of the new graduate pharmacists (the group of graduates in the 1998 fiscal year and a group of graduates in the 1999 fiscal year) on clinical trials. After the first questionnaire, we lectured the students on GCP and performed clinical trials, and then the second questionnaire was conducted two months later. The group of graduates in the 1999 fiscal year had more opportunities to come in contact with information on clinical trials than the group in the 1998 fiscal year. Both groups knew that new GCP guidelines had been established, but they did not understand the details. Some of them had a negative impression concerning clinical trials. The lectures improved their knowledge and impression on the practice of clinical trials. After the lecture, over 90% of them thought that pharmacists should manage investigational drugs and provide information on these drugs for the rational practice of clinical trials. Furthermore, in 60% or more of the students, an improvement in the consciousness of evaluating the safety and efficacy of investigational drugs regarding the pharmacist's role was found.
著者
山田 一憲 中道 正之
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.21, pp.11, 2005

子殺しはオスの繁殖戦略として進化したと考えられている。しかし、複雄複雌の社会構造と季節性のある乱交的な繁殖様式を持つニホンザルでは、子殺しが起こることは極めて稀である。それは(1)メスが複数のオスと交尾を行い、(2)子ザルの父親である可能性のある複数のオスが群れオスとして集団にとどまり、子殺しの危険から子ザルを守る、(3)子殺しを行っても、子殺しオスがその母ザルと繁殖できる機会は交尾期に限られるためである。<br> 私たちは、勝山ニホンザル集団において、群れ外オスが4ヵ月齢のアカンボウを攻撃して、死亡させるという事例を観察し、その様子をビデオカメラで記録した。<br> 4ヵ月齢のアカンボウが集団から取り残され餌場に単独でいる時に、群れ外オスが餌場に現れた。アカンボウはオスに気づくと即座に逃げ出したが、すぐに捕まった。オスは周囲を何度も見回しながら、アカンボウの手、足首、腕を咬んだが、その場で殺すことはなかった。5分後にアカンボウは逃げ出したが、オスが再度攻撃することはなかった。アカンボウは右上腕から大量の出血が見られ、2日後には姿を消した。<br> 今回の事例の特徴は以下の3点にまとめられる。(1)子殺しを行ったオスはその時初めて観察した個体であった。(2)子殺しが起こる数ヶ月前に3頭の中心部成体オスが続けて死亡・姿を消しており、さらにアカンボウが単独で餌場に取り残されたため、子殺しからそのアカンボウを守る個体がいなかった。(3)子殺しは交尾期開始の数週間前に起こり、その結果、アカンボウの母ザルはすぐに発情し、翌年の出産期に次子を出産した。<br> ニホンザルにおける子殺しはこれまでに5つの記録があるが、本観察と同様に、(1)攻撃したオスは子ザルの父親である可能性が低く、(2)子ザルを守る群れオスがいない時、(3)交尾期直前または当初の時期には、ニホンザルにおいても、子殺しが生起していることが指摘できた。
著者
安部 恵 板垣 千尋 鈴木 惇 山田 正子 中澤 勇二 伊藤 晋治
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.183, 2006

目的: ブルーチーズには、複屈折性を示す結晶状の構造が、タンパク質の基質および脂肪球に存在する。カビの増殖した部位と結晶の分布状態および結晶構造に脂肪酸が係わるかを確かめるために、この実験を行った。<BR>材料: ロックフォール、ブルーデコース、スティルトンおよびゴルゴンゾーラを用いた。組織化学的方法によりカビと脂肪酸を染色して、カビと脂肪酸の分布を調べた。結晶の分布を偏光装置を用いて調べた。<BR>結果: これらのブルーチーズでは、多くの脂肪は複屈折性を示す結晶性の構造物が脂肪内にあった。また、タンパク質の基質に複屈折性を示す結晶が存在した。基質に分布する複屈折性を示す小さい結晶は、スティルトンが最も多く、次にロックフォールで、ブルーデコース、ゴルゴンゾーラの順に少なかった。これらのブルーチーズには、大きな結晶の集積および不定形をした結晶の塊が、カビが増殖した部位およびその近くに分布していた。大きな結晶の塊は、ロックフォールで多く、ブルーデコースおよびゴルゴンゾーラで少なく、スティルトンでは非常に少なかった。基質に分布する結晶および脂肪の一部は、脂肪酸の染色に染まり、脂肪酸が存在した。脂肪酸は結晶を構成する一成分となっていた。染色された部位の大きさと染色の強さによる脂肪酸の分布は、スティルトンで最も多く、ロックフォール、ブルーデコース、ゴルゴンゾーラの順に少なかった。
著者
どど 孝介 高橋 正人 山田 雄次 杉本 芳一 橋本 祐一 白井 隆一
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集 42 (ISSN:24331856)
巻号頁・発行日
pp.667-672, 2000-10-01 (Released:2017-08-18)

Dysidiolide (1), a novel sesterterpene from the Caribbean marine sponge Dysidea etheria de Laubenfels, inhibits the protein phophatase cdc25A (IC_<50>=9.4μM) that promotes the Gl/S transition of the cell cycle by dephosphorylation of the cyclin/CDK complex. Cdc25A is known to be oncogenic and overexpressed in a number of tumor cell lines. Therefore, cdc25A inhibitor dysidiolide is regarded as a novel candidate agent for the treatment of cancer and other proliferative diseases. Although some groups accomplished total synthesis of dysidiolide, a synthetic approach to its struture-activity relationship has not been reported yet. We developed an efficient synthetic route to dysidiolide and its analogs in order to investigate the structure-activity relationship. The retrosynthetic analysis is shown in scheme 1. The octalin framework was constructed by intermolecular Diels-Alder reaction of the chiral triene (5) with crotonaldehyde (scheme 3). Subsequently, the quaternary center at C6 was created by methylation of the exocyclic enolate (scheme 4). Finally, the γ-hydroxybutenolide residue was introduced by addition of 3-furyllithium to the aldehyde (2) and successive photochemical oxidation of the furan ring. A series of dysidiolide analogs were synthesized according to the same procedures. To investigate the structure-activity relationship of dysidiolide, dysidiolide and its analogs were examined for cdc25A/B inhibitory activity and antiproliferative activity (table1). Searching for simple and strong cdc25A inhibitors, we designed and synthesized novel cdc25A inhibitors using Windaus-Grundmann ketone derived from Vitamin D3 (figure 1, table 2). Finally, to comfirm the effect of cdc25A inhibitors on cell cycle progression, cell cycle analysis was performed (figure 2).
著者
井關 敦子 中塚 幹也 山口 琴美 山田 奈央 大橋 一友
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

MtF当事者は社会適応が低くqolが低いと報告される.MtF当事者2名にインタビューを行った.共通する点は,性別違和についてネガティブな価値観を持つとは限らずその価値観も多様であった.日常生活において他者の配慮があれば大きな困難なく生活でき,就業や経済状態が安定していること,家族がいることは重要であった.その他,29年度は,性の多様性に関わる以下の活動や研究を行った.29年9月に看護職,教育,研究職向けの講演会「LGBTを理解する」を岐阜大学は開催し,研究責任者は講師となった.LGBT支援団体からの協力も受け,科学研究費を活用しこの講習会を遂行した.この講習会は看護,教育,医療従事者のLGBTに対する認知を促した.29年12月には中部地方の看護職の.GBTに対する認識について質問紙調査を実施し,その結果は30年3月のGID学会で発表した.また,28年12月に実施した「岐阜県内の小中学校に勤務する養護教諭のLGBTに対する認識」に関する質問紙調査の結果が、30年3月GID学会誌に論文として掲載された.これらの調査や活動から,今後の研究を遂行するうえで重要な情報を得た.また研究を遂行するうえで,協力者を得る機会になっている.
著者
市川 勇太 斉藤 詩織 鵜飼 真成 山田 正也 野部 達夫
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.145-148, 2014

<p>本報では,「暑すぎる」・「寒すぎる」を分けて申告を行う非受容申告装置2ch型オストラコンを用いて,中間期における空調機器の運転切り替え時の非受容申告の調査を行った。また,執務者の在席を判断するため在席検知装置を同時に使用した。調査結果より非受容申告の発生因子を推察し,運転切り替えに伴う申告の特性について考察を行う。</p>
著者
舘 和彦 小川 宣子 下山田 真 渡邊 乾二 加藤 宏治
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.456-462, 2004-09-15
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

乾熱卵白を生中華麺に添加した時の影響について力学物性値の測定と官能試験の結果より評価した.また走査型電子顕微鏡を用いて中華麺の表面および断面構造を解析することにより,以下の結論を得た.<br>(1) 中華麺に乾熱卵白を添加することで茹で伸びを抑制し,破断応力,瞬間弾性率は上昇し,硬さおよび弾力性に改善が見られた.さらに付着性の低下より舌触りが良くなること,引っ張り時の歪率の上昇から伸長が良く切れにくくなっていることが推測された.<br>(2) 官能試験の結果より,乾熱卵白を添加した中華麺は噛みごたえ,弾力性,つるみ感,伸長度において無添加麺や乾燥卵白を添加した麺よりも良い評価となり,且つ高い嗜好性を示した.<br>(3) 走査型電子顕微鏡による観察結果より,乾熱卵白を添加した麺の表面構造は,無添加麺や乾燥卵白を添加した麺と比較して隙間が狭く,滑らかであった.また乾熱卵白を添加した麺の断面構造も,蛋白質によって構成される網目構造が細かく,密であった.