著者
諏訪 裕文 馬場 信雄 畦地 英全 雑賀 興慶 崎久保 守人 上村 良 大江 秀明 岩崎 稔 吉川 明 石上 俊一 田村 淳 小川 博暉 坂梨 四郎
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 = The Journal of Japan Pancreas Society (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.547-553, 2005-12-29
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

症例は62歳の男性. 膵頭部癌にて膵頭十二指腸切除術を施行した13カ月後, 胸部CTにて多発肺転移を指摘された. 塩酸ゲムシタビン1,000mg/m<sup>2</sup>の点滴静注を週1回行い, 3週投薬後1週休薬のスケジュールを1クールとして化学療法を開始した. 消化器症状や血液毒性がほとんど認められず, 第2クールからは外来通院で行うこととした. 第2クール後のCTで抗腫瘍効果はNCであり, 第3クールからはQOLの維持と長期投与を目的として塩酸ゲムシタビンの1回投与量を700mg/m<sup>2</sup>に減量した. 以後, 副作用なく癌性胸水の出現まで長期間NCを維持し, 外来にて14カ月間の継続治療が可能であった. 膵癌術後の肺転移再発の予後は極めて不良であるが, 本症例のように, ゲムシタビン治療により, 外来でQOLを維持しながら長期生存が可能な場合もある.
著者
岩崎 好陽 中浦 久雄 谷川 昇 泉川 碩雄 飯田 靖雄
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.446-451, 1984-12-20 (Released:2011-11-08)
参考文献数
14

自動車排ガスの臭気について検討した。6車種 (ガソリン車2台, ジーゼル車4台) について各走行モードごとに, 三点比較式臭袋法により臭気濃度を測定し, O.E.R。を算出した。また臭気強度および排ガスの成分も一部測定した。その結果以下のことが明らかになった。(1) 自動車排ガスの臭気濃度はガソリン車よりジーゼル車の方が高く, またジーゼル車においては, 大型になる程臭気濃度も高かった。(2) 大型ジーゼル車の臭気濃度は10,000~30,000 (臭気指数40~45) 程度であり, 0.E.R.は105前後であった。(3) ジーゼル車において, 希釈倍数xと臭気強度y (TIA尺度) との関係はy=7.1-1.7logxとなり, Kendallらの結果とほぼ一致した。
著者
藤山 晃治 岩崎 直哉 海部 陸 蚊野 浩
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.6, pp.203, 2006

MP3などの圧縮オーディオでは聴感的に影響が少ない情報が削減されるため、高周波成分の情報が少なくなり、圧縮率を上げると音質が劣化してしまう。我々はロバスト制御理論であるサンプル値制御理論に着目し、CD音源が含むと想定される同程度の高周波成分を、補間によって圧縮オーディオ信号に持たせることで音質を改善することを試みた。その結果、PEAQと呼ばれる聴感対応客観評価法によって、MP3の音質を著しく改善できることを確認した。
著者
岩崎 学
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.41-56, 1991-12-01 (Released:2017-05-01)
被引用文献数
3

射影追跡は,多次元データのもつ特徴的な構造を,直線あるいは平面などの低次元空間に線形射影することによって探るデータ解析手法であり,コンピュータの計算能力およびそのグラフィック機能を活用するものである,本論文では,射影追跡の考え方ならびに実際の計算法を概観し,いくつかの例に適用した結果を報告する. 射影追跡は,射影の興味深さを表す射影指標と呼ばれる関数の最大値を与える射影を探し出すという手順で実行される.そして,射影の興味深さを非正規性としてとらえる点に特徴がある.また,射影追跡ならびにその考えに基づく多変量解析手法は,高次元空間ではデータ点間の距離が大きくなってしまうという「次元の呪い」を回避できる利点をもっている.

1 0 0 0 OA 中国旅行記

著者
岩崎 不二子
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.244-246, 1980-03-30 (Released:2010-09-30)
著者
沖本 天太 ジョ ヨンジュン 岩崎 敦 横尾 真
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.1F24, 2011

<p>分散制約最適化問題(DCOP)はマルチエージェントシステムの様々な問題を表現する代表的な枠組みである. DCOPはNP-hardであるため,大規模な問題に適用可能な非厳密解法が多く提案されているが,これらのほとんどは解品質を保証しない.本論文では解品質を保証する非厳密解法を提案する.実験では本解法が既存の解品質を保証する非厳密解法と比べ,より高品質の解およびバウンドを高速に与えることを示した. </p>
著者
岩崎 正洋
出版者
Japanese Association of Electoral Studies
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.85-101,164, 1993-05-30 (Released:2009-01-22)
参考文献数
77

As Maurice Duverger pointed out, proportional representation tends to lead to the formation of many independent parties. Traditionally, analysis of the consequences of electoral systems and party systems has focused upon two central topics: the influence of the electoral system upon the number of effective parties, and its effects upon the political stability of a country. Political stability in this context means ‘cabinet durability.’In Western Europe, many countries have been governed by coalition governments. And they have experienced stable government. In Japan, however, there are many misconceptions about coalition government, namely that coalition government is unstable. It is not the case in European politics. Consequently, this paper aims at discussing the relations in terms of the ‘durability of coalition government and party systems.’Michael Laver and Norman Shofield analyzed government duration and the effective number of parties, by country, from 1945 to 1987. In their comparative study of coalition governments, coalition stability varies very considerably from regime to regime. It seems that cabinet duration is more likely to rise than to fall when the size of the party system increases. While the size of the party systems in Finland, Luxenburg, and Iceland went up between the periods from 1945-71 and from 1971-87, cabinet stability also rose. Only in the interesting cases of Belgium, Sweden, and Denmark we see clear evidence of the Japanese misunderstanding about the relation between cabinet stability and the size of the party system.Nevertheless, in terms of the study of ‘coalition government, ’ there is at present, no systematically arranged condition. What relationship do party systems have to government stability? As the coalition is formed and is stabilized, what type of cabinet emerges, and in what country can we see that type? What are the relationship between social cleavages, left-right ideology and coalition government? Social cleavages and left-right ideology often determine party systems. In real world politics, what type of coalition is most frequently formed, and how long does it remain stable? It seems that by synthesizing various theories, it will become possible to understand the answers to these questions.Turning our attention to the Japanese case, it seems that the past research has concentrated on the formation of coalition government rather than on its stability. In that sense, it is necessary now to discuss coalition theories in terms of cabinet stability.We try to answer the question as to why some cabinets last longer than others, any why cabinets in some countries tend to last longer than those in other countries. In general, one-party cabinets are said to be more durable than coalition cabinets, minimal winning cabinets are said to be more durable than oversized ones. and cabinets in systems with two or relatively few parties are said to be more durable than cabinets in multiparty systems.Thus, we have briefly viewed the stability of coalition government and party systems. However, we must consider further the problem of public policy. If the stability of coalition relates to the stability of party system, it is necessary to maintain a coalition government by havig it correspond to people's demands and absorb people's support. Effective public policy is a useful means for achieving this end.What policy will be offered? When? And what combination will be formed? Given this potential importance of public policy, it seems that we must pay attention to the relationship between individual political parties and public policies.
著者
井上 隆広 井上 三四郎 菊池 直士 増田 圭吾 岩崎 元気 田中 宏毅 中村 良 川本 浩大 泊 健太 阿久根 広宣
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.164-165, 2021-03-25 (Released:2021-04-30)
参考文献数
6

【緒言】鎖骨骨折術後経過フォロー中にVariax Clavicle Plate(Stryker社)が折損し再手術を余儀なくされた1例を経験したので報告する.【症例】症例:55歳男性,既往歴特記事項なし.ロードバイク走行中に転倒し受傷した.当科受診しX線検査で右鎖骨骨幹部骨折(Robinson分類Type2B1)を認めVariax Clavicle Plateを用いて内固定術を行った.術後経過良好であったが,受傷約2ヶ月後ロードバイク走行中に再度転倒し,プレート折損及び鎖骨骨幹部粉砕骨折を認め当科再診となり再手術施行した.【考察】鎖骨骨折に対してプレートによる内固定を行う場合は,プレート折損の可能性について患者に十分説明し,スポーツ再開についても骨癒合を確認した上で許可すべきであることを再確認させられた.
著者
飯田 明由 岩崎 正志 水野 明哲 Iida Akiyoshi Iwasaki Masashi Mizuno Akisato
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構特別資料: 境界層遷移の解明と制御研究会講演論文集 第37回・第38回 = JAXA Special Publication: Proceedings of the 37th and 38th JAXA Workshops on Investigation and Control of Boundary-Layer Transition (ISSN:1349113X)
巻号頁・発行日
vol.JAXA-SP-06-013, pp.43-46, 2007-02-23

Nowadays, the flight distance of champion team of the birdman rally contest was over 400 m. In order to break the record, we have to consider the weather conditions, flight conditions and design optimization of the glider. For this purpose, we developed the three-dimensional flight simulator and the optimization program based on genetic algorithm. The simulation result of the three-dimensional flight simulator was reasonably agreement with the real flight. GA (Genetic Algorithm) optimization was carried out with two hundreds samples and fifty generations. The dominant genes of airplane for the contest were obtained with GA. The performance map showed the optimal airplanes such as the champion team were sensitive and not easy-handle. The simulator was suggested another optimized model with flexible wing that was not sensitive to flight conditions. The proposed model got the fourth prize and the referee's award of the birdman rally contest 2005.
著者
岩崎 裕治 堀江 久子 藤野 孝子 益山 龍雄 加我 牧子
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.317, 2016

はじめに東京都の委託事業として、平成25年度より3年間、東京都重症心身障害児(者)在宅医療ケア体制整備モデル事業を実施したので、その内容と効果につき報告する。目的この事業の目的は、重症心身障害児(者)(以下、重症児(者))が地域で安心して暮らせるために身近なかかりつけ医を増やす、また地域のネットワーク構築を図るというものである。方法江東区、江戸川区、墨田区、中央区の4区で、連絡会、研修会の開催、事例集発行、かかりつけ名簿作成等実施した。また医療機関ならびに重症児(者)の保護者を対象にアンケート調査を実施した。結果3年目では診療所の1176施設中507施設から回答があった。重症児(者)の診療は、83施設で行っており、定期的な診察、体調不良の初期治療、予防接種などであった。連携・支援の条件では、通院している病院との情報共有、症状悪化時の病床確保などであった。初年度と3年目を比較すると、回収率(17.7→43.1%)、診療している施設数(21→83)ともに増加がみられた。かかりつけ医名簿への登録も24→114施設へと増加した。病院では55施設中22施設より回答があり(回収率40.0%)、重症児(者)の緊急時受け入れ可能7施設、レスパイト入院受け入れ可能5施設であった。保護者へのアンケートは2年目に実施し、141名中75名がすでに地域の診療所で診療を受けていた。内容は定期診察、予防接種などで、また歯科、耳鼻科、眼科なども多かった。考察この事業の実施により、地域での重症児(者)の診療の拡大に効果があった。しかし各医師会での取り組みや、他の小児在宅医療連携拠点事業なども同時に実施されており、これらの影響も大きいと思われた。地域での有効な在宅医療の展開には、他の取り組みとの連携が必要であった。また医師以外の職種(訪問看護、相談支援専門員など)との連携も重要と考えられた。
著者
岩崎 雄介 織田 ももこ 佃 優里 永森 裕季 中澤 裕之 伊藤 里恵 斉藤 貢一
出版者
[日本食品衛生学会]
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.167-176, 2014 (Released:2014-10-29)

食品添加物は,保存料,甘味料,着色料,香料など,食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されている。個別では安全とうたわれていた食品中の化学物質でも生体内で相互的な複合反応を引き起こし,想定外な影響を与える可能性がある。本研究では食品添加物の安全性を評価するために,酸化防止剤と金属の複合反応に着目し,ラジカルを選択的に検出可能な電子スピン共鳴装置(ESR)を用いた活性酸素種(ROS)生成の評価を行った。酸化防止剤と各種金属を反応させたところ,鉄と銅以外のミネラルや微量金属はROSの産生に寄与しなかった。しかし,特定の酸化防止剤は銅と反応することで,ROSが産生されDNAの酸化と切断を引き起こし,酸化ストレスを惹起させていることが示唆された。
著者
岡井 仁志 岩崎 長 吉田 輝久 平野 正史
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.62, pp.9-13, 1985-12-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
4

京都府下の多くの玉露,てん茶園では,施肥の際に元出し,元寄せと呼ばれる伝統的な作業が行われている。しかし,この作業の実施時期は秋の根の生長期にあたっており,根系を傷めるおそれがあると考えられるため,元出し,元寄せが枝条の生育に及ぼす影響について検討した。(1)慣行の深さ(約10cm)で元出しが実施された場合,元出し時期が早いほど,その年の枝条の生長,および翌年の枝条発生数が強く抑制される傾向があった。従って,伝統的な元出しの実施時期は,枝条の生育を抑制することの少ない時期であると考えられた。(2)深層(約30cm)まで元出しを行うと,その実施時期に関係なく,個々の枝条の生長,および枝条の発生数が強く抑制された。(3)総括的にみると,元出し,元寄せが連年実施されると,「少数大枝条型」の生育となる傾向があった。また,枝条数の方が一枝新芽重よりも,生葉収量を大きく左右する要因であったために,元出し,元寄せを連年実施した区の生葉収量は,対照区に比べて少なかったものと考えられた。一方,荒茶品質は,元出し,元寄せを行うとやや向上する傾向が認められた。以上のことから,伝統的な元出し,元寄せは,枝条数の確保よりも個々の枝条の生長を重視した施肥慣行であり,この作業によって,生葉収量は減少するが,荒茶品質は向上すると考えられた。なお,本論文のとりまとめにあたっては,農林水産省茶業試験場茶樹第3研究室長青野英也博士から懇切なる助言と指導を賜った。ここに深謝の意を表したい。