- 著者
-
岩崎 正洋
- 出版者
- 日本公共政策学会
- 雑誌
- 公共政策研究 (ISSN:21865868)
- 巻号頁・発行日
- vol.20, pp.87-97, 2020-12-10 (Released:2021-10-02)
- 参考文献数
- 34
2020年は,世界中がCOVID-19の感染拡大に直面した年として,後々まで語り継がれることになるであろう。我々の日常は大きく変化し,これまでの当り前が当たり前ではなくなり,以前とは明らかに異なる「新しい日常」が求められるようになった。まさに,社会のさまざまな側面が変化から逃れることはできなかった。COVID-19の登場により,人類が経験した新しい現象は,まさに公共的な問題であり,その問題解決のためには,公共政策による取り組みが必要になる。それゆえ,公共政策学の研究領域にCOVID-19が含まれることになり,新たな研究対象として位置づけられることとなった。そこで,本稿は,公共政策学の研究において,COⅥD-19を取り扱うには,どのような見方があるか,どのような見方が必要かという点について考えることを目的とする。本稿では,とりわけ,日本におけ,る2020年1月から5月までの感染拡大の「第一波」の時期に焦点を向け,政策過程論的アプローチと比較政治学的アプローチという二つの点から議論を進めていく。その意味で,本稿は,公共政策学における研究対象として,COVID-19を取り扱う際の論点抽出の役割を果たすものとして位置づけられる。