- 著者
-
岩村 雅一
- 出版者
- 大阪府立大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2005
情景中の文字を認識するためには、一般に前処理として文字切り出しが必要であるが,既存の手法では文字列を成さない「孤立文字」や隣接した2文字が接触した接触文学などを切り出せないという問題がある.また,情景画像中の文字画像は射影変換の影響で文学画像が歪むことが知られている.そのような対象に対しては変形を許容するテンプレートマッチングが効果的であると考えられるが,計算時間がかかる問題があった.本研究では,情景画像中の文字切り出しを頑健かつ高速に行うため,変形を許容する高速なテンプレートマッチング手法である特徴点投票法(FPV法,Feature point Voting Method)を提案した.提案手法は局所的な特徴点を検出し,テンプレートから決まる投票ベクトルにしたがって投票してマッチング箇所を検出するもので,射影変換や字形の違いなどで生じる文字の変形を許容ずる能力がある.また,提案手法はテンプレート数の増加に対する計算量の増加が少ない.そめため,テンプレート数が一定以上であれは,提案手法の計算量は変形を許容しない単純なテンプレートマッチングを下回るという優れた特徴を持つ.さらに提案手法は従来の文字切り出し手法とは異なり,個別文字認識の手法ほどではないが,一定の文字認識能力がある.そのため.提案手法は文字の切り出しと認識の大分類を一度に行うととができる.提案手法を実際の画像に適用したところ射影変換や字形の違いに対して頑健であり,孤立文字である時計の文字盤等や,数式中の接触文字を良好に切り出せることが確認できた.