著者
村上 優 杠 岳文 比江島 誠人 遠藤 光一 西村 直之
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.206-211, 2000-05-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
9

薬物依存の専門医療機関の必要性は国の政策医療として取り上げられるところであるが, 現在では国立に専門病棟が1ヵ所で, アルコールとの併用を入れると国立には2ヵ所, 公立で3ヵ所, 民間を入れても10ヵ所にも満たないのが実情である. 医療的には薬物依存もアルコール依存の治療システムの延長線上に位置していると考えられるにもかかわらず, これまでその特殊性が強調される傾向にあった. 肥前療養所においてアルコール依存の治療システムに追加する形で薬物依存の治療を検討し, 薬物依存リハビリテーションプログラムDRPをアルコール病棟に併設した. そうすれば薬物依存への専門治療を担いうる施設は飛躍的に増加することが期待できるからである. この際に薬物依存治療における思春期心性への配慮と, 処罰モデルから治療モデルへの移行(ダイバージョン), 自助グループの重要性を強調した.
著者
西川 智 福島 誠一郎 矢代 晴実
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.49, 2008

2007年7月の新潟県中越沖地震では、柏崎市にある自動車部品メーカーが被災したことにより、全国の日本の主要自動車メーカーが生産停止を余儀なくされた。地震時の企業のBCP(事業継続計画)を考える上では、サプライチェーンに依存した操業形態を有する企業の定量的なリスク評価手法が必要である。本論文では、サプライチェーンを構成する複数箇所の事業所の立地と、それぞれの地点での被害リスクを組み合わせ、企業の業務停止期間を定量的なリスク評価手法を提案する。これは、企業にとって、顧客への財・サービス提供の中断が長期化すれば、顧客の離反を招き、仮に長期間の休業後業務再開をしても、市場復帰が困難となるということに着目している。本論文では、直列型、並列型、併用型の3タイプのサプライチェーンが、東京23区、関東地方、東京300km圏の3つのスケールに生産拠点を展開した場合に、各地点の地震リスクとそれによる各拠点の業務停止期間のリスクカーブをもとに、サプライチェーン全体の業務停止期間を定量的に把握する手法を提案し、その有効性を検証した。
著者
五十嵐 保隆 金子 敏信 橋口 陽介 江口 悠 末吉 隆太郎 村井 貴広 福島 誠治 八野 知博
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム2012論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.1-7, 2012-12-06

CLEFIA は 2007 年に SONY の白井らが提案したブロック暗号アルゴリズムである。ブロック長は 128 ビットであり、鍵長は 128、192、256 ビットがサポートされている。データ攪拌部の段数は鍵長によって異なり、鍵長が 128、192、256 ビットの場合それぞれ 18 段、22段、 26 段となっている。これまでに、 CLEFIA の 8 段目出力 128 ビット中の 64 ビットについては、その 96 階差分がゼロとなる特性が知られており、我々はこの特性を利用した CLEFIA の 11 段 96 階差分攻撃を報告している。この攻撃には選択平文数 298.3、暗号化計算量 2159 を要する。本稿では Ferguson らが提案した部分和法を用いて、解読時の中間データの mod2 頻度分布表を逐次導出することにより攻撃に要する計算量を削減する。さらに攻撃方程式の計算過程において、繰り返し計算ループの入れ子構造を採用し、入れ子の順序を適切に設定することにより計算量を削減し、 11 段 96 階差分攻撃を高速化できることを報告する。結果としては従来よりも 251.4 倍高速化でき、選択平文数 298.3、平均暗号化計算量 2107.6 で攻撃できることを示す。
著者
和田 邦泰 橋本 洋一郎 中島 誠 植田 光晴
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.822-839, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
118
被引用文献数
4

新型コロナウイルス感染症(corona virus disease 2019,以下COVID-19と略記)の流行により,脳卒中診療は大きく変貌しており,受診数減少,受診遅延,recombinant tissue plasminogen activator静注療法や機械的血栓回収療法の施行数減少などが報告されている.既報告ではCOVID-19患者の1.1(0.4~8.6)%程度に脳卒中が合併している.特徴は,虚血性脳卒中,特に潜因性脳梗塞や大血管病変合併例が多く,D-ダイマー高値例が多く,心血管危険因子を持つ患者での発症が多く,転帰不良例が多いことなどである.また本疾患では動脈血栓塞栓症より静脈血栓塞栓症が多く,急性冠症候群より脳卒中発症が多い.安全で有効かつ迅速な治療を完全な感染対策下で行うprotected code strokeが提案されている.
著者
猪子 富久治 安宅 健 木村 節 秋園 幸一 美馬 源次郎 辛島 誠一
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.672-679, 1982
被引用文献数
2 2

In order to examine effects of the grain boundary on initiation of fatigue cracks, aluminum bicrystals were produced with Bridgman method. They were tested by a bending fatigue testing machine under the constant strain amplitude of 0.18%.<BR>It has been found that conditions necessary for the initiation of fatigue cracks along primary slip bands in the grain boundary affected-regions are as follows:<BR>(1)&emsp;Dislocations parallel to the grain boundary planes are of nearly the screw type.<BR>(2)&emsp;Cross slip on the primary slip systems can be promoted due to incompatibility of elastic and plastic strains at grain boudaries.
著者
三野 彰理 石川 友規 金丸 明博 中島 誠
出版者
岡山赤十字病院
雑誌
岡山赤十字病院医学雑誌 (ISSN:09158073)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.26-29, 2019-11

緊張病は,原因不明の意識障害として診断に至らないことも多いが,発熱や自律神経症状を合併した悪性緊張病として致死的な経過をとる場合があり,適切な診断・治療が必要である.悪性緊張病は昏迷,筋緊張,カタレプシーなどの症状を呈し,発熱や炎症反応,CK 上昇などを伴うため,悪性症候群との鑑別が重要となる.悪性緊張病を疑った場合はベンゾジアゼピン系薬剤の処方を行うと,著明な改善を認めることが多い.今回我々は慢性統合失調症の患者が精神症状の悪化により処方薬を自己中断した後に,悪性緊張病をきたし,ベンゾジアゼピン投与にて改善を見た59歳女性の1例を報告した.
著者
荒川 誠 矢ヶ﨑 健治 三島 誠 岡田 雄二 齋藤 孝一郎
出版者
埼玉県農林総合研究センター
雑誌
埼玉県農林総合研究センター研究報告 (ISSN:13467778)
巻号頁・発行日
no.11, pp.33-38, 2012-03

2010年の埼玉県における稲作期間は記録的な高温となった。特に8月は平均気温29。3℃と熊谷地方気象台の観測史上1位を記録し,平年を2。9℃上回る記録的な猛暑であった。この高温は,水稲種子生産にも影響を与え,発芽能力を検査する発芽調査において,休眠が深いためと思われる発芽遅延が「彩のかがやき」,「彩のみのり」で報告された。通常の休眠打破は通風乾燥機で50℃,5日間程度乾燥することにより行っているが,それに加え過酸化水素等による浸漬処理を行い,発芽試験を実施する場面もあった。そこで,2010年に埼玉県農林総合研究センター水田農業研究所で生産された原種4点および埼玉県指定採種圃で生産された種子340点を収集し,休眠が深い可能性のある種子について発芽試験を行うとともに休眠性について調査を行ったところ,いくつかの知見を得たので報告する。
著者
木暮 槇太 中島 誠 高橋 幸吉 稲神 馨 須藤 芳三 待田 行雄 林 禎二郎 平尾 常男 五十嵐 三郎 仲野 良男 竹林 克明 吉田 徳太郎 宮内 潔 江口 正治 林 幸之 佐々木 周郁 渡辺 忠雄 近藤 義和 渋谷 勲 須貝 悦治 田中 茂光 小山 長雄 田中 一行 竹田 寛 竹鼻 孝夫 室賀 明義 蒲生 俊興 高橋 保雄 西村 浩 長谷川 金作 森 幸之 永友 雄 梅谷 与七郎 中村 晃三 松本 介 宮沢 正明 加藤 康雄 土橋 俊人 高木 直温 柳沼 泰衛 小野 四郎 村山 隆之 近森 俊哉 辻 辰四郎 小川 敬之 小松 四郎 大岡 忠三 妹尾 計一 森本 宏 梶浦 みち子 萩原 清治 瓶子 まち子 中条 紀三 高木 春郎 飯島 荘資 横内 和多良 清水 滋 堀内 彬明 堀内 ちよし 原田 忠次 木村 敬助 青木 秀夫 後藤 四男 小林 恵之助 皆川 基 皆川 豊作 岡村 源一 小河原 貞二 村山 穰助
出版者
社団法人 日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.244-255, 1956-06-28 (Released:2010-11-29)

蚕卵発育中に於けるPhasphataseの組織化学的所見2雄核の接合に関する細胞学的観察カイコガのモザイク複眼の構造とできかた家蚕蛹の頭部が産卵に及ぼす影響家蚕の血組織に関する生理学的研究 (II) 蛹の発育に伴う囲心細胞及び周気管細胞中の遊離アミノ酸の消長家蚕その他数種絹糸虫における誘引物質の共通性と類縁関係に関する研究蚕種の冷蔵障害と水銀塩による沈澱物前胸腺移植後の結紮と絹糸腺の成長家蚕のフラビン化合物に関する研究 (V) 蛹の器官特に中腸におけるフラビン化合物について (予報)家蚕の計量的形質と脳-食道下神経節連合体の機能追加7.白殫病菌の蚕卵への接種試験繭・繊維の部熱風乾燥に関する研究 (II)繭解じよの向上についての研究 (IV) 病蚕成立繭特に硬化病, 軟化病, 膿繭蚕繭の性状繭及び生糸の繊度変異に関する研究 (9) 定粒生糸と定繊度生糸の性能比較について生糸の摩擦係数に関する研究 (7) 精練度と摩擦係数について糸条斑と繰糸管理について生糸の練減率測定に関する2, 3の知見絹の膨潤現象から見た中心層発現の-所見チオ尿素樹脂の還元性について繭層セリシン溶液の粘度吐糸営繭に伴なう繭形の変化 (続)営繭条件と分離細繊維との関係フイブロインの糸条形成について (VIII) フイブロインの溶液中における分散状態について絹糸構造の研究 (I)酵素製糸の研究 (II)酵素精練の研究 (II)追加8. 落緒に関する研究 (II) 落緒形態の出現率とその分布
著者
藤島 誠 田辺 茂之 宇塚 雄次 更科 孝夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.349-352, 2001-05-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

子牛の哺乳期における第四胃鼓脹症発症時の酸塩基平衡の異常を明らかにするため, 本症発病子牛8例中6例のメトクロプラミドによる治療前と治療後7日目の血液性状を6例の健康子牛と比較・検討した。本症の血液ガス評価により, 幽門の閉塞により胃液が第四胃に捕捉される結果, 代償性低クロール血症と低カリウム血症性代謝性アルカローシスが起きたと考えられる.
著者
槇島 誠
出版者
金原一郎記念医学医療振興財団
巻号頁・発行日
pp.478-479, 2011-10-15

核内受容体はDNA結合領域とリガンド結合領域を有する転写因子型の受容体であり,ヒトにおいて48種類の存在が知られている。核内受容体は,1)ステロイドホルモン受容体,2)ホモ二量体型オーファン受容体,3)retinoid X receptor(RXR)ヘテロ二量体型受容体,4)単量体型またはその他の受容体の4種類に大きく分類できる。ビタミンD受容体(VDR)はオキシステロール受容体liver X receptor,胆汁酸受容体farnesoid X receptor,生体異物受容体pregnane X receptorと同じく,RXRヘテロ二量体型受容体である。生体内で最も重要なVDRリガンドは,1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25(OH)2D3)である1)。コレステロール生合成系の中間代謝産物である7-デヒドロコレステロールが,紫外線の作用によりプレビタミンD3を経てビタミンD3に変換される。そして,肝臓での25水酸化,腎臓での1α水酸化を経て活性型の1,25(OH)2D3になる。食物由来のビタミンD3やビタミンD2も同様の水酸化反応を受ける。1,25(OH)2D3はVDRに作用することで骨・カルシウム代謝をはじめとして,炎症・免疫,心血管機能,細胞の増殖・分化,胆汁酸代謝など様々な生体機能を調節する。また,VDRとpregnane X receptorなどの近縁の核内受容体との類似性に着目した研究により,二次胆汁酸であるリトコール酸がVDRのリガンドであることが明らかにされた1)。肝臓においてコレステロールを原料にコール酸やケノデオキシコール酸などの一次胆汁酸が合成される。消化管に分泌された一次胆汁酸の一部は,腸内細菌によりデオキシコール酸やリトコール酸などの二次胆汁酸に変換される。1,25(OH)2D3やリトコール酸によって活性化したVDRは,生体異物代謝系を誘導して胆汁酸代謝に影響を与える。VDRは骨・カルシウム代謝疾患のほか,悪性新生物,感染症・自己免疫炎症性疾患,心臓血管系疾患などの疾患においても有望な分子標的とされており,多くの合成リガンドが開発されている。種々のリガンドのVDR作用の研究により,VDRの活性化機構が解明されつつある。
著者
小林 浩幸 國弘 実 松島 誠一 篠田 鎮嗣
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.867-873,a2, 1999-08-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

農業集落排水処理水の水田灌漑水への一時的な直接再利用の適否を検証するため,施設に隣接する水田に処理水を灌漑漑,水稲の生育,収量と水質について調査を行った。処理水の灌漑期間は水稲の幼穂形成期から収穫10日前までの約2カ月である。花水にあたる時期10日間については処理水をT-N20~30,T-P2.5~3.5,BOD10~25mg/lに調整した水を灌漑した。生育は概ね正常であり,収量は通常の用水を用いた場合よりも多かった。水田からの地表排出水は,多くの水質項目で改善が認められた。調査結果から,集排処理水の水田灌漑水への一時的な直接再利用は可能であり,併せて若干の水質浄化が期待できると考えられた。
著者
笹川 秋彦 内木 由美子 長島 誠一 山倉 美穂 山崎 彬 山田 明文
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
Journal of applied glycoscience (ISSN:13447882)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.27-33, 2006-01-20
参考文献数
27
被引用文献数
17

Brown rice is commonly considered to have an effect on various diseases including life-style related diseases. Pre-germinated brown rice is characterized by its easier cooking properties and better taste after cooking when compared with normal brown rice. Because of the rich content of gamma-aminobutyric acid (GABA) in brown rice, which can prevent the increase of blood pressure, the market for brown rice is now growing. However, the taste of the cooked pre-germinated brown rice is still unsatisfactory because of the peculiar smell. We performed a study aimed at establishing a processing method for obtaining a brown rice product with more GABA accumulation than in the commercially available brown rice products by introducing a high-pressure treatment. The result was that the content of GABA in the obtained brown rice is higher than that in the commercially available brown rice products and the functional components such as ferulic acids and oryzanol are also retained. Further, such brown rice with increased GABA accumulation was found to be digested more quickly than the commercially available brown rice products when those cooked rice products were evaluated by the artificial digestion method. The GABA-increased brown rice was also found to compare favorably with commercially available normal brown rice in terms of taste after cooking.