著者
木村 英一郎 野村 智義 溝口 尚 吉成 正雄
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.54-60, 2014-03-31 (Released:2014-04-20)
参考文献数
22

Fluoride-containing pastes for professional mechanical tooth cleaning (PMTC) have been frequently used during implant treatment. However, the influence of these pastes on the corrosion resistance of titanium implants is not well understood. The objective of this study was to clarify the influence of the pH of fluoride-containing paste on the corrosion resistance of commercially available pure titanium (cp-Ti). Commercially available PMTC pastes with neutral pH (6.8-7.4) and different fluorine concentration (400-980 ppm), acidulated phosphate fluoride (APF) paste (APF 9000A, fluorine concentration:9000 ppm, pH=3.7), and experimental acidic NaF paste (NaF900A, fluorine concentration:900 ppm, pH=4.0) were applied to polished cp-Ti disks (grade 2). After storing the specimens at 37℃ for 3 days in a humid atmosphere, the color difference was measured, and optical microscope and scanning electron microscope (SEM) observations of the Ti disks were performed. In addition, the amounts of Ti dissolved into the pastes were evaluated. Remarkable color differences were observed on the Ti disks coated with APF9000A and NaF900A pastes of ΔE*ab=12.0(±2.3) and 8.8(±1.4), respectively. In contrast, negligible color differences were observed on the other specimens with ΔE*ab ranging from 0.6 to 1.2. The optical microscopic and SEM observations revealed that the Ti disks coated with APF9000A and NaF900A pastes had roughened surface morphologies caused by pitting corrosion. In addition, noticeable amounts of Ti, 25.3(±6.2) and 8.6(±2.3) µg/cm2, from Ti disks coated with APF9000A and NaF900A pastes, respectively, were detected. Accordingly, the remarkable color differences of the APF9000A and NaF900A specimens were due to the roughening of the surface caused by corrosion of the Ti surface. These results indicate that fluoride-containing pastes with low pH may reduce the corrosion resistance of titanium, and so great care is required when using these fluoride-containing pastes for PMTC.
著者
木村 知世 鈴木 春佳 今井 悠瑚 海老名 理紗子 玉利 舞花 中澤 聡美 横森 千佳 田中 あゆみ
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.175-184, 2020-03-31

服飾造形学科では産学官連携の一環として、2019年7 月15日に和洋九段女子中学校高等学校講堂で開催されたコンサート「瞳みのるOne Dayひとりタイガース」の衣装製作を行った。この取り組みは、1967年に発売されたザ・タイガース3枚目のシングル「モナリザの微笑」の衣装を完全に再現し、現在に蘇らせるというものである。当時実際に着用された衣装は現存不明なため、写真などの資料から素材やパターンを推測し製作を行った。これらの活動を通して、専門分野の知識や技術の活用と連携、スケジュール管理や人材育成の経験を積むことができ、大きな教育効果を期待できることが確認できた。 本稿ではザ・タイガースのメンバー瞳みのる氏を中心としたOne Day special bandメンバーのフィッティングの様子を含め、素材の検討、パターン作成、トワル組み、本縫い、ベルトの製作、仕上げ完成までの様子を報告する。
著者
木村敏 [著]
出版者
講談社
巻号頁・発行日
2015
著者
木村 美也子 尾島 俊之 近藤 克則
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
pp.20200602, (Released:2020-06-02)
参考文献数
51

背景・目的 新型コロナウイルス感染症がパンデミック(世界的な大流行)となり,外出や人との交流が難しくなっている.こうした状況の長期化は,閉じこもりや社会的孤立の増加につながりうるが,それによる健康への弊害にはどのようなものが予想されるであろうか.本稿では,日本老年学的評価研究(Japan Gerontological Evaluation Study: JAGES)で蓄積されてきた研究から,高齢者の社会的行動と健康に関する知見を概括し,新型コロナウイルス感染症流行時の高齢者の健康の維持・向上に望ましい生活への示唆を得ることを目的とした.方法 JAGESによる研究の中から,高齢者の社会的行動と健康の関連を示した46件の論文(2009年~2020年発表)を抽出し,その知見を概括し,新型コロナウイルス感染症流行時に可能な健康対策について考察した.結果 介護,認知症,転倒,うつなどを予防し,高齢者の健康を維持・向上するためには,外出や他者との交流,運動や社会参加が重要であることが示された.それらの機会が制限されることで,要介護,認知症,早期死亡へのリスクが高まり,また要介護状態も重症化することが予測された.考察 社会的行動制限は感染リスクを抑えるために必要なことではあるものの,健康を損なうデメリットもあるため,感染リスクを抑えつつ,人との交流,社会参加の機会を設ける必要があると考えられた.密閉,密接,密集を回避しつつ,他者との交流を続けることで,感染リスクと将来の健康リスクが減じ得るだろう.
著者
木村 崇 生嶋 君弥 若家 冨士男 蒲生 健次
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
日本応用磁気学会誌 = Journal of Magnetics Society of Japan (ISSN:02850192)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.695-698, 2001-04-01
参考文献数
5

Hall resistance (HR) of a cross-shaped NiFe wire of submicron scale was investigated experimentally and numerically. We found that the HR curve showed various properties depending on the direction of the magnetic field and that the HR had three jumps corresponding to the switching fields in each probe. In order to control the magnetic fields where the HR shows the jumps, the effect of the pad pattern connecting to the wire on the switching field was investigated. The minor loop of the HR was also studied.
著者
木村 英明
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.3-8, 2017-04-01 (Released:2019-04-01)

Ⅰ.はじめに 人類がアフリカで誕生したことを明らかにしたR.ダート博士は、その人類を「殺し屋のサル」と称した。古代メソポタミア、バビロニアの英雄・ギルガメシュも、王宮の守り神「ライオンを絞め殺す巨人」として描かれる。今日に目を転ずれば、無差別殺戮、移民・難民の排斥などの悲劇が世界に拡散している。歴史の生き証人、世界歴史遺産の破壊も報ぜられている。いずれもが、仮に捨て難き本性のなせる業とすれば、人類に未来はなかろう。 一方、近代科学が導入され始めた明治時代以来、日本列島人の起源を巡り、南方説がしばしば語られる。考古学は、混沌とした「虚実皮膜」の世界にまで分け入り、遺跡、遺物を通して人類が歩んできた歴史的事実を究める学問、とされる。はたしてどうか? 北海道の先史時代を話題の中心に据え、北半球の中・高緯度地帯に繰り広げられた人類のダイナミックな移動、ヒトとモノの交わり、豊かな心性世界などを紹介する。結びとして、日本列島人の起源論に関する今日的到達点を概述する。 Ⅱ.氷河期の極北に挑むホモ・サピエンス 700万年ほど前に誕生した人類は、やがて生まれ故郷のアフリカを飛び出し、ユーラシアへの旅を開始。180万年ほど前の最古級の原人化石と礫器の出土が、グルジアのドウマニシ遺跡から報じられているが、原人、旧人の足跡は、北欧など高緯度地帯を除くユーラシアの広い範囲に及ぶ。特に、南シベリアのアルタイ、中部シベリアなどに中期旧石器時代のムスティエ文化の洞穴・開地遺跡が多数残されており、旧人、すなわちネアンデルタールによる拡散、人口増加は疑いない。 近年の遺伝子研究の進展により、われわれの直接の祖先である新人、いわゆるホモ・サピエンスは、20万年ほど前にアフリカで誕生し、再び世界へ旅したことが説かれている。ミトコンドリアDNA分析から導き出された「イヴ仮説」である。その当初、ネアンデルタールとホモ・サピエンスとの遺伝的交雑はなかった、あるいはネアンデルタールはホモ・サピエンスによって絶滅に追い込まれたという不確かな説が支配的であったが、北回りルートのユーラシアでの考古学的証拠からは、両者の密接な交流、交雑は否定できない。 注目すべきは、現在より平均7〜8度も低かった最終氷期最盛期、ホモ・サピエンス、すなわち後期旧石器時代の人類が、マンモス動物群などの豊かな資源に支えられながら各種の道具や技術を高度化させ、多くの遺跡を残している事実である。コスチョンキ、メジリチ、マリタ遺跡など大規模な拠点集落があちこちに位置し、しかもとりわけ厳しい酷寒の極北にまで生活圏を拡大させている。北回りルートでの人類の拡散を物語る確かな証しである。 今から3〜1.5万年ほど前、北方ユーラシアに拡散したホモ・サピエンスが、日本列島やアメリカ大陸へも歩を進めている。マンモスの牙を巧みに利用する驚くべき技、細石刃を埋め込んだ植刃尖頭器(組み合わせ道具)など最新の道具を駆使する人々が、北海道に足を踏み入れたことは間違いない。なおこれまでのところ、更新世の人類化石と見られるものが琉球列島に偏在し、日本列島の後期旧石器文化の起源を南方に求める見解が有力とされる(小田静夫2011他)。ただし、それら「石器を使わぬ人」を起源とするには難がある。現状の考古学的証拠からはユーラシアでの人類拡散の北回りの波が日本列島に及んだものと予察する。 Ⅲ.黒曜石はるかな旅 人類は、道具を製作し、巧みに使いこなす類い稀な生物である。700万年間に及ぶ長き人類進化の歴史も、道具の発達に支えられてきたと言えよう。道具にふさわしい石材を求めて、人びとははるかな旅を続けてきた。北海道のオホーツク海に近い遠軽町・白滝赤石山(標高1147m)は、日本最大級の黒曜石産地で、置戸、十勝三股、赤井川と並ぶ北海道を代表する黒曜石産地である。黒曜石の化学組成分析法により出土石器の産地が同定され、産地から運び出された黒曜石の動き、先史時代人類の営みの一端が具体的に明らかにされている。 後期旧石器時代に、シベリアに住む集団が獲物や黒曜石を求めて白滝など北海道に進出し、集団間のやり取りを通して、白滝産黒曜石の原礫、あるいはその半加工品、完成品などが本州(遠くは山形県) やサハリンにまで運び込まれている事実は動かし難い。とりわけ、細石刃を特徴とする集団での長距離移動、遠隔地への搬出が著しい。最新の情報によると、白滝産黒曜石が中国東北部の吉林省にまで運ばれているという。 なお量こそ比較にならぬが、白滝産黒曜石の遠距離移動は、続縄文時代まで続く。 Ⅳ.縄文時代のおしゃれと死への祈り 1.3万年ほど前に始まり、1万年以上の長期にわたって農耕も持たずに存続した縄文文化は、世界にも稀有な文化と言えよう。氷河期を過ぎた日本列島の豊かな自然の恵みに支えられてのことであろうが、一方で、極東での新石器文化成立期に対比可能な縄文時代の草創期、あるいは縄文時代の「オホーツク文化」にも準えることが可能な早期の「石刃鏃文化」を好例として、縄文文化が独自の展開をしたとは言え、情報もモノも入らぬ閉ざされた世界では決してなく、ヒトとモノが行き交う開かれた社会であったことは注目されよう。 ところで、人類が人類である理由のひとつに、死者を埋葬する行為を上げることができよう。埋葬は、いつ始まったのか? 何故、わざわざ埋葬するのか? また、埋葬された人々には、当時の服装やおしゃれの姿を残す貴重な事例が知られている。縄文人の精神文化はどのようなものであったのか? ここでは、北海道にのみ知られる巨大で、計画的な竪穴式集団墓、そして他に類を見ない大量の漆製品に彩られた貴重な合葬墓の例を紹介しつつ、今から3000年ほど前の縄文人の他界観、優れた装飾の一端を垣間見る。 前者は、恵庭市柏木B遺跡で全容が初めて明らかにされた縄文時代後期後葉の竪穴式集団墓であるが、直径10〜20mほどの大きな円形の竪穴を構築し、その床面、ローム中の淡い黄褐色の床面に深さ1m以上の楕円形の土坑を掘り、順次、遺体を埋葬していった集団墓地である。納められた遺体にはベンガラが厚く撒布され、石棒や石斧、ヒスイ製玉類など被葬者にゆかりの装身具や副葬品が副えられた。中には、複数の遺体が同時に埋葬されたケースも含まれる。また遺体の埋納、掘削土を被覆、埋め戻し完了後に大きな柱状節理の角柱礫を土坑墓の前後に立てる例、あるいは大きな円礫を周辺に廻らす例、あるいは大量の円礫を土坑墓上に集積する例などがあり、墓標の社会的役割が注意される。竪穴式集団墓の構築当初から、所属集団別、階層別などによって人々の葬られる場所が想定されていたことを示唆する。きわめて計画的な共同墓地であったことが理解されよう。石棒、あるいは呪具を有する男性の族長、呪術師(シャーマン)がまとめる社会、緩やかな階層社会が浮かび上がってくる。千歳市キウスでは、竪穴径が40mを超える巨大なものも知られている。 一方、縄文時代後期末葉の恵庭市カリンバ遺跡では、櫛、腕輪、首飾り、頭飾り、帯などの漆製品、鮫歯、玉類など大量の装身具・副葬品に彩られた多数の遺体を埋葬した比類のない合葬墓4基(各々7人、4人、2人、5人の合葬)が、単葬墓多数とともに発見されている。大量、多種多様の漆製品はもちろん、色鮮やかな飾りに身を包まれた多くの人物がどのような関係にあったのか、またいかなる理由を持って同時に埋葬されたのか、断片的な人骨片から断定することは難しいが、墓の主人は、赤い漆塗り帯を装着した女性シャーマンの墓、一緒に眠る人物たちについては、推測たくましくすればそのシャーマンに身を任せた女性たちとみなすことができよう。シャーマニズムの精神世界、そして男性によってまとめられる社会がやがて女性によってまとめられる社会へと変動する様子を垣間見ることが許されよう。 Ⅴ.北に広がるヒトとモノの交流 縄文時代以降について、稲作文化から切り離された「停滞する北海道の文化」というイメージが固定化されてきた。しかし、続縄文時代以降も、狩猟、漁撈を主体とした自律的な経済・文化を繁栄させ、本州からの強い文化的影響、ヒトやモノの流動の余波を受けながらもその独自性を保持し続ける。一方で、北方の人々との交わりを通して独自の文化変容を遂げてきた。ここでの具体的な言及は省くが、続縄文文化や擦文文化、オホーツク文化などを特色づける各種の道具や住居構造、埋葬様式などにその変遷が表示されている。また、自家生産できなかった金属製品、貴重な奢侈品などに時々の距離関係がよく表れている。 Ⅵ.日本列島での人類進化史 近代化の黎明期、シーボルト父子による「アイヌ説」、E.モースによる「プレ・アイヌ説」、J.ミルンによる「コロポックル説」など欧米の研究者たちによって発議された「日本列島人」のルーツを探る議論は、坪井正五郎、小金井良精、鳥居龍蔵らに引き継がれ、華々しく繰り広げられたことはよく知られていよう。正確には、遺伝子研究が急速な進展を見せる今日なお、この課題に対する確かな回答は得られていない、というのが実情であろう。 (以降はPDFを参照ください)

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著者
木村正辞 纂輯
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
vol.2篇 巻6, 1884
著者
木村 博
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.53-57, 1997-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1

甘麦大棗湯が, ラットにおけるあくび行動の発現に対し影響を与えるか否かについて検討を加えた。ドパミンD-2受容体作動薬タリペキソール5~100μg/kgを皮下投与して直後より1時間のあくび行動を観察したところ, 25μg/kg投与群で最大のあくび行動の発現が見られた。ついで甘麦大棗湯の25~250mg/kgを経口摂取させ, その30分後にタリペキソールを最大効果が見られた用量で投与し, あくび行動誘発に対する効果を観察した。タリペキソール誘発あくび行動の発現は, 甘麦大棗湯の前投与により有意に抑制された。この結果より, 甘麦大棗湯は, 中枢性ドパミン性神経促進に基づくあくび行動の誘発に対して抑制作用を有することが示された。
著者
木村 博
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.11-19, 1998-07-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17

ラットにおけるあくび行動発現に対する甘麦大棗湯の作用に検討を加えた。コリンエステラーゼ阻害薬フィゾスチグミン0.05~0.1mg/kg, コリン性受容体作動薬ピロカルピン1~2mg/kgあるいはドパミン性受容体作動薬タリペキソール0.02mg/kgの皮下投与により, あくび行動が発現した。これらのあくび行動の発現は, 甘麦大棗湯250~1000mg/kgの経口投与によって用量に依存して抑制されたが, またアドレナリン性α-2受容体遮断薬のラウォルシン0.5mg/kg, ヨヒンビン2.5mg/kgあるいはムスカリン受容体遮断薬のスコポラミン0.5mg/kgの皮下投与によっても抑制された。今回の実験結果により, 甘麦大棗湯はあくび行動の発現に対して抑制作用を有し, この抑制には主経路のドパミン・コリン性神経の抑制ならびに中枢アドレナリン性神経を介する間接的な抑制機構の関与が考えられる。
著者
中村 佳子 田原 英一 三潴 忠道 木村 豪雄
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.669-674, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
21

漢方治療が奏効した再燃性胆管炎の1例を報告した。症例は31歳,女性。先天性胆管拡張症にて肝部分切除と胆管空腸吻合手術を受けたが,29歳頃から頻回に胆管炎を繰り返し,抗生剤による治療を受けていた。患者は挙児希望で,抗生剤の使用量を減らす為に漢方治療を希望し,当科を受診した。茵蔯蒿湯を基本処方とし大柴胡湯などで随証治療を行い,抗生剤の使用量を顕著に減量でき,妊娠出産に到った。妊娠中の経過は良好であった。胆道再建術後の再燃性胆管炎に対し,漢方治療は試みられてよいと考えられた。
著者
熊野 純彦 木村 純二 横山 聡子 古田 徹也 池松 辰男 岡田 安芸子 吉田 真樹 荒谷 大輔 中野 裕考 佐々木 雄大 麻生 博之 岡田 大助 山蔦 真之 朴 倍暎 三重野 清顕 宮村 悠介 頼住 光子 板東 洋介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2018年度は、本研究の主要達成課題のうち、「各層(家族・経済・超越)の各思想の内在的理解」を中心とする研究がなされた。近現代日本の共同体論を再検証するにあたっては、2017年度で取り組まれた「和辻共同体論の参照軸化」に加え、家族・経済・超越それぞれの層に関連する思想を巡る形成の背景に対しても、テクストに内在した読解を通じて光を当て直す必要がある。以下、そうした問題意識のもとに取り組まれた、2018年度の関連実績のうち主要なものを列挙する。(1)研究代表者の熊野純彦は、著書『本居宣長』において、近世から現代に至るまでの代表的な思想家たちによる宣長の思想の受容過程を丹念に整理・検証することで、それを近代日本の精神史の一齣として提示することを試みた。それを踏まえたうえで改めて宣長のテクストの読解を行い、今日の時代のなかでその思想の全体像を捉えかえそうとしたところに、本業績の特徴がある。(2)研究分担者宮村悠介は、主に本研究の研究分担者からなる研究会(2018年9月)にて、研究報告「家族は人格ではない 和辻共同体論のコンテクスト」を行い、和辻倫理学の形成過程におけるシェーラーの影響と対話の形跡を、具体的にテクストをあげつつ剔抉した。これは、翌年度の課題である「思想交錯実態の解明」にとってもモデルケースとなる試みである。(3)超越部会では台湾の徐興慶氏(中国文化大学教授)を招聘、大陸朱子学と、幕末から近代に至るまで様々な思想に陰に陽に影響を及ぼしてきた水戸学の影響関係について知見をあおいだ(「「中期水戸学」を如何に読み解くべきか 徳川ミュージアム所蔵の関係資料を視野に」2018年)。これにより、広く東アジアの思想伝統と近世以降現代に至るまでの日本思想の受容・対話の形跡を実証的に検証することの重要性を改めて共有できたことは、本研究の趣旨に照らしても重要な意義を持つと思われる。
著者
木村 三郎
出版者
社団法人 日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.73-78, 1993-03-31 (Released:2011-07-19)
参考文献数
16
被引用文献数
1

最近我国造園界も中国造園界と接触を深め, 古い中国造園の実体を把握するようになってきている。しかし何分にも中国3000年という古い歴史を知る上で大変な労苦を覚悟しなければならない。更に中国語の如きも, その時代時代に就いて, 十分理解することも亦甚だ重要なことにちがいない。ところが幸いにも我国は遣唐 (隋) 使の派遣などを通じて, 古い時代の多くの文献や実像も既に知り得た筈である。従つてその間における中国造園事情も何かと知り得たにちがいない。その代表例として白楽天の白氏文集をあげることができる。その歴史的な影響を特に振りかえって見たい。
著者
菅原 慎悦 稲村 智昌 木村 浩 班目 春樹
出版者
Atomic Energy Society of Japan
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.154-164, 2009 (Released:2012-02-22)
参考文献数
20
被引用文献数
6 8

In Japan, safety of nuclear facilities is regulated by the central government and local governments are responsible for protecting the local public. To operate nuclear facilities in local communities, local governments would conclude safety agreements with power companies. In recent years, local governments have used the safety agreements as excuse for delaying the operations of nuclear facilities. The legal basis of the safety agreements was questioned by some who considered that this was the cause of the stranded relationship between local governments and power companies, and in some cases, the interrupted nature of electricity supply. To understand the sources of this difficult relationship, safety agreements must be analyzed, although these documents may have undergone revisions, and various regulations may have changed. By analyzing the safety agreements and revisions, we found that the relationship between local governments and power companies gradually changed over time, which can be divided into the following 3 stages: (1) in the early 70s, the dawn stage when local governments groped with the situation of nuclear facilities built in their communities; (2) from late 70s to 90s, the stage when local governments demanded information, and (3) from late 90s to present, the stage when local governments demand information and trustworthiness. This paper shows the results of analyzing the relationship changes between local governments and power companies. We conclude that viewpoints of local governments on nuclear power evolve, as social responsibilities of power companies stipulated in safety agreements also evolve over time.
著者
奥山 武彦 依田 信治 木村 潤子 下田 乾二
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.16, no.67, pp.31-36, 1992

フィールド内,或いはフレーム内で一画面固定長とする圧縮方式を用いたNTSCディジタルVTRを試作した。据置モードよりメモリ容量を小さくした,ムービーモードでは,前画面符号量からの予測を用いた一画面符号量制御法を開発した。符号量制御演算はDSPによるソフト処理で対応する。さらにダビング,つまりDCT符号化の繰り返しによる画質劣化の対策と,DCTの特徴を使った,DVTR特有の特殊効果をシミュレーションにより検討し,試作機に盛り込むことができた。また記録再生系では,低域成分の抑圧性能を向上した新8-14変調方式の採用と,強力なエラー訂正能力で高密度記録を実現した。本論文では試作機のシステムの概要と,各ブロックの特徴,及びシミュレーション検討結果について述べる。
著者
木村 禎治
出版者
日本薬史学会
雑誌
薬史学雑誌 (ISSN:02852314)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-5, 2020 (Released:2020-08-02)

The population of dementia sufferers is estimated to reach 152 million in 2050. Dementia lays a huge burden on family members, medical staff and caregivers in addition to the sufferers themselves, and could possibly collapse the current social system. To prevent such a catastrophe, drug discovery to fight dementia is an urgent task that should be undertaken by all humanity as the 21st-century equivalent of traveling to the moonshot. Alzheimer’s disease (AD) accounts for more than 50% of total dementia, and its three major pathologies are known to be senile plaque composed of amyloid beta (Aβ) aggregates, neurofibrillary tangle made by tau protein aggregates, and neuronal cell death commencing with cholinergic neurons. AD pathogenesis is being elucidated through pathology, genetics and biology, and these studies have led to three hypotheses. Approaches under the choline hypothesis created three acetylcholine esterase inhibitors (donepezil, rivastigmine, and galantamine) which enhance cholinergic neuronal activity. These three medicines and memantine (NMDA antagonist) are currently available for AD treatment. They temporarily improve cognitive and daily functions but cannot slow down the progression of AD itself. Aimed at disease modification, a number of agents based on the Aβ hypothesis have been investigated in clinical studies, but most of them have failed. Currently a few anti-Aβ antibodies are in the final stage of clinical trials and are expected to be commercialized in the near future. Following on from anti-amyloid therapy, multiple approaches including tau, microglia and synaptic/neuronal regeneration are being actively researched to cure this complex disease. In parallel with drug discovery, less-invasive diagnostics that realize earlier detection and intervention are also being developed and have shown significant progress over the last two years. I believe that dedicated endeavors by the scientists working in the AD field and the thoughtful support of patients in society will bear fruits to actualize healthy longevity by conquering dementia.