著者
谷川 建司 小川 順子 小川 翔太 ワダ・マルシアーノ ミツヨ 須川 まり 近藤 和都 西村 大志 板倉 史明 長門 洋平 木村 智哉 久保 豊 木下 千花 小川 佐和子 北浦 寛之
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、日本映画史上最大の構造的転換期・構造的変革期をなす1960年代末~70年代を対象とし、その社会経済的実態を次に掲げる問題群の解明を通して明らかにし、その歴史的位相を確定する。即ち、①スタジオ・システムの衰退・崩壊の内実とその産業史的意味、②大量宣伝・大量動員手法を確立した角川映画の勃興、③映画各社が試みた経営合理化と新たな作品路線の模索、④「ピンク映画」の隆盛の実態とその影響、⑤異業種からの映画産業界への人材流入の拡大とそのインパクト、である。上記の五つの括りに因んだ映画関係者をインタビュイーとして抽出し、研究会一回につき1名をゲストとして招聘し、精度の高いヒアリングを実施する。

1 0 0 0 OA 筋力と筋電図

著者
木村 貞治
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法のための運動生理 (ISSN:09127100)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.175-187, 1992 (Released:2007-03-29)
参考文献数
52
被引用文献数
6 4

筋の時間的・空間的な収縮特性は、表面筋電図学的な解析によってある程度観測することが可能である。しかし、測定から信号処理までの過程における方法論的な手続きに対する配慮が不十分であると、抽出された情報の実際的な利用価値は低いものになってしまう。そこで、本稿では、表面筋電図学的解析に関する基礎的な情報に関して整理した上で、筋収縮力、筋疲労、筋カトレーニングといった筋収縮特性と表面筋電図との関連性に関して概説する。
著者
木村 翔 米田 千裕 橋本 尚武 浜田 洋通 寺井 勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.272-274, 2011-05-20 (Released:2015-04-10)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

Encephalopathy with reversible lesion of the corpus callosum splenium has a favorable prognosis, but that in 2009 influenza A/H1N1 is unknown. We report a case of clinically mild encephalopathy with a reversible lesion of the corpus callosum splenium in which 2009 influenza A/H1N1 virus was confirmed by laboratory tests. A 15-year-old Japanese girl seen at the emergency unit for loss of consciousness 18 hours after fever onset had been diagnosed with influenza A, and administered zanamivir. Diffusion-weighted magnetic resonance imaging (MRI) indicated lesions of the corpus callosum splenium, and electroencephalography showed slow basic activity, suggesting influenza A related to encephalopathy. She required intensive care with ventilation for two days. Her consciousness had become normal by day 6 after onset, and MRI findings improved on day 7. She recovered without adverse sequelae.
著者
髙田 雅美 木村 欣司 中村 佳正
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MPS-79, no.1, pp.1-6, 2010-07-05

本論文では,特異値分解を評価するために,条件数の大きなテスト行列の作成法を提案する.我々が対象とする条件数は,以下の 2 種類である.1 つ目は,連立 1 次方程式を解く際の困難さを 1 つの指標とする.2 つ目は,特異値の近接度を用いる.1 つ目の提案作成法では,2 重対角行列のみならず,密行列を作成することも可能である.一方,2 つ目の提案作成法では,2 重対角行列のみが作成可能である.提案する 2 種類の作成法の目的は異なるため,それぞれに意義がある.これらの作成法を用いて,LAPACK 3.2.1 に含まれているいくつかの特異値分解アルゴリズムを評価する.
著者
清沢 伸幸 小林 奈歩 木村 学 東道 公人 藤井 法子 大前 禎毅 長村 敏生
出版者
京都第二赤十字病院
雑誌
京都第二赤十字病院医学雑誌 = Medical journal of Kyoto Second Red Cross Hospital (ISSN:03894908)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.2-11, 2014-12

京都第二赤十字病院小児科に川崎病として1978年4月から2014年6月までに入院し、急性期の治療を行った1,109例(男児650例、女児459例)の治療成績に関する検討を行った。治療プロトコールから4期に分類した。第I期(1978.4~1984.3)は心エコー検査機器がなく病初期の冠動脈評価が出来なかった時期で164例。第II期(1984.4~1994.3)はアスピリン治療を主体とした時期で197例。第III期(1994.4~2003.12)はγグロブリン療法(γ-gl)を行うも、1日用量が統一されなかった時期で212例。第IV期(2004.1~2014.6)は初回投与量を2g/kgとして使用している時期で516例である。γグロブリン療法を行うようになった第III期以降は冠動脈障害を残す割合は著減し、1ヵ月を過ぎても拡大や瘤を残す症例の割合(表3)は第I期が4.3%、第II期が8.1%、第III期が0.9%、第IV期が1%であった。第I期の初回の評価が回復期を過ぎて行っている症例が含まれていることからその割合は第II期と変わらないと考えられる。第III期、第IV期の治療成績は川崎病全国調査成績(拡大1.75%、瘤0.72%、巨大瘤0.018%)からみても極めて優れているもので、巨大瘤はいない。現在、当院で行っている治療プロトコール(表2)は日本小児循環器学会のガイドラインや世界標準とは少し異なっている。γ-glの投与開始時期は少なくとも発症後第5病日まで待つべきである。次に、γ-glの投与時間は24時間以内ではなく、32-36時間かけることである。再投与は原則1回とし、第10病日以内に投与する。アスピリンはγ-gl投与中は併用しない。再投与でも効果がない場合は経過をみることである。結論的にいえば、γ-glの投与の仕方を工夫すれば、血漿交換療法、副腎皮質ホルモン剤、免疫抑制剤、抗TNFα剤の必要性はほとんどないと考える。また、γ-glとアスピリン剤の併用はすべきではない。
著者
田島 研一 高橋 恒人 絵面 良男 木村 喬久
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.145-150, 1984
被引用文献数
1 16

In a previous paper, we examined the toxicity of the extracellular protease of <i>A. salmonicida</i>, Ar-4 (EFDL) on yamabe (<i>Oncorhynchus masou f. ishikawai</i>) and goldfish (<i>Carassius auratus</i>). From these results, we considered the protease secreted by this bacterium was a causative agent of furunculosis.<br> In this paper, we observed enzymatic properties of the purified protease. The results obtained were summarized as follows:<br> 1. The molecular weight of purified protease was estimated to be 71, 000 by sodium dodecyl sulfate polyacrylamide gel electrophoresis.<br> 2. The purified protease showed maximal activity at pH 9.4 and 50°C. It was stable over the pH range 5.0 to 10.0 and was completely inactivated by temperature at 56°C.<br> 3. The protease was presumably classified an alkaline serine protease and it showed chymotryptic properties since it was significantly inhibited by diisopropylfluorophosphate (DFP) and tosyl-phenylalanine-chloromethyl ketone (TPCK) and hydrolyzed <i>N</i>-benzoyl-L-tyrosine ethyl ester (BTEE).
著者
木村 裕司 大塚 眞哉 濱野 亮輔 岩川 和秀 稲垣 優 岩垣 博巳
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, pp.916-920, 2012 (Released:2012-10-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

症例は既往歴のない36歳の女性.平成20年5月,月経初日の夕食後に腹痛が出現,翌日に腹痛の増悪と嘔吐を認めたために近医を受診.腹部CTにて血性腹水と小腸の拡張を認め,当院婦人科紹介となる.子宮・付属器に異常なしとのことで,回盲部の炎症による小腸イレウスとして外科紹介となった.右下腹部に反跳痛を認めたため,緊急手術を施行した.手術所見では,回腸末端部が相互の強固な癒着性変化にて一塊となっており,潰瘍穿通による瘻孔形成によるものと判断した.病変部口側にも線維化病変を数カ所認めたため,Crohn病と診断,回盲部切除を施行した.術後病理組織検査にて腸管子宮内膜症と診断され,本症例のイレウスは異所性子宮内膜症による回腸狭窄と考えられた.回腸子宮内膜症によるイレウスはまれな病態ではあるが,成人の女性のイレウスでは鑑別すべき疾患であると思われる.
著者
野田 寿恵 木村 哲也 坂本 英史 矢吹 すみ江 秋山 剛
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.293-295, 1999-03-15

国際疼痛学会では,痛みを「組織の実質的あるいは潜在的な損傷を伴い,このような障害を表す言葉を使って述べられる不快な感覚,情動体験」と定義している11)。痛みに伴う情動とは,主に抑うつ,焦燥,不安などであり,慢性疼痛の患者に抑うつ症状が出現した場合,しばしば抗うつ剤などの向精神薬が投与される。また,うつ病が合併した慢性疼痛に対して,電気けいれん療法が有効であったとする報告が,1946年以来いくつかみられる8)。今回我々は,ペインクリニック科での様々な疼痛治療や向精神薬の投与で,症状の改善をみなかった慢性疼痛の症例7例に対して,無けいれん通電療法modified electroconvulsive therapy(mECT)を本人の告知同意のもとに施行した。7例の中で,改善が得られた症例と改善が得られなかった症例の臨床的特徴を比較し,慢性疼痛に対する無けいれん通電療法の適応について若干の考察を加えた。
著者
木村 行雄 宮田 宏洋 安達 国昭
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.343-345, 1972 (Released:2010-07-23)
参考文献数
1

The peripheral nervous controls of seminal emission and closure of the internal urethral orifice during ejaculation were examined experimentally and the hypothesis reported in the previous paper was confirmed.Methods: The hypogastric nerve and the fibers entering the hypogastric plexus which were grouped and referred to as the central branch of the hypogastric plexus and the lateral branch were exposed and sectioned. After 1-4 weeks postoperatively, the penis of the operated dogs was manually stimulated without anesthesia and changes in ejaculation were observed.The results obtained are as follows:i) Section of the bilateral hypogastric nerves. Ejaculation did not occur after 1-4 weeks postoperatively. Disappearance of ejaculation was found to be due to retrograde ejaculation, i. e. regurgitation of the semen into the bladder, but not due to the loss of seminal emission.ii) Selective section of the nerve fibers entering the hypogastric plexus.In the dogs whose median branch was cut, ejaculation occurred just like before section of the branch. No retrograde ejaculation occurred in these dogs. In 5 dogs whose lateral branch was sectioned, ejaculation disappeared in all dogs. In 3 of the 5 dogs retrograde ejaculation occurred and in a dog many spermatozoa were found in the urethra. In only one dog emission disappeared completely.From these results it is concluded that the nerve fibers controlling seminal emission and closure of the internal urethral orifice during ejaculation may take different passways above the hypogastric plexus and these results also confirmed those reported in the previous report.
著者
木村 晴壽
出版者
学校法人松商学園松本大学
雑誌
松本大学研究紀要 = The Journal of Matsumoto University (ISSN:13480618)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-31, 2018-03-12

本論は、戦前の松本地方(さしあたって現在の松本市域を想定している)で電気事業がどのように展開したのかを、可能な限り具体的に跡づけることで、地域経済発展の基盤となるいわゆるインフラ整備のあり方を検証することが狙いである。わが国の戦前電気事業は、民間事業者が発電・送電・配電のすべてを担った点に特徴があるが、公共・公益事業であることから、当然のごとく、厳密な法的規制を受けていた。したがって本論は、まずもって電気事業者がどのような法規制を受けていたかを十分に踏まえた上で、松本地方での電気事業の展開過程を検証した。当該地方での電気事業は、松本電灯という事業者が市街地に電気を供給したことから始まる。松本電灯には、当時最大の輸出産業だった製糸業の有力企業幹部で、後に松本商業会議所会頭に就任する人物が大きく関わっていた。背後に有数の山岳地帯を擁する松本地方は、電源確保には極めて適した地の利があったにもかかわらず、松本電灯は電源開発に遅れを取っていた。松本電灯以外の電気供給事業者との関係も含め、当該地方で電気事業がどのように展開したかを詳述することで、地方のインフラ整備の一形態を提示した。
著者
田中 博基 木村 泰己 松縄 哲明 三本木 省次 髙田 雅美 木村 欣司 中村 佳正
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-129, no.3, pp.1-4, 2020-07-20

半導体製造において,リソグラフィシミュレーションモデルが重要である.このモデルを構築する際,大規模密行列の部分特異値分解が必要となる.部分特異値分解のための方法として,AIRLB(augmented implicitly restarted Lanczos bidiagonalization)アルゴリズムがある.本稿では,大規模密行列の部分特異値分解のために,AIRLB アルゴリズムの改良を行う.改良法では,計算途中で必要となる小さな行列の特異値分解のために,QR アルゴリズムではなく,OQDS(orthogonal-qd-with-shift)アルゴリズムを適用する.これにより,高精度な特異値を持つ特異値分解が行われる.数値実験の結果,既存の QR アルゴリズムを用いる AIRLB アルゴリズムと比較して,提案した改良が有効に機能していることが確認できる.精密な議論を行うため, 大規模疎行列と大規模密行列の両方を実験の対象としている.
著者
小茄子川 歩 宗臺 秀明 遠藤 仁 木村 聡
出版者
鶴見大学
雑誌
鶴見大学紀要. 第4部, 人文・社会・自然科学編 = The bulletin of Tsurumi University. Pt. 4, Studies in humanities, social and natural sciences (ISSN:03898032)
巻号頁・発行日
no.49, pp.141-158, 2012-03

本稿は、愛知県陶磁資料館に寄託されている彩文土器に関する調査報告である。前稿(Kaonasukawa et al. 2011; Shudai et al. 2009, 2010)で述べたように、総数133点におよぶ彩文土器は、現在のパキスタン・イスラーム共和国の南西部、バーロチスータン丘陵部に展開した先史文化の所産であると考えられる。この土器群は、紀元前4千年紀後半から前2千年紀初頭までの長期にわたる時間幅と、それぞれに個性豊かな彩文と製作技法によってバローチスターン先・原史文化の多様性を示し、バローチスターン丘陵部で長期間にわたり展開した地域間交流と土器製作技法の復元に多大な考古学的情報を提供するものである。こうした理由から、筆者らは愛知県陶磁資料館に寄託されているこれらの土器群をいち早く共有・活用できるデータとするために、その資料化を進めてきた。 前回までにナール式土器(Shudai et al. 2009)、クッリ式土器(Shudai et al. 2010)、エミール式土器およびクエッタ土器様式(Kaonasukawa et al. 2011)を報告してきたが、今回報告するのは、ケチ・ベーグ式土器やトガウ式土器を含むその他の土器群である。いずれの土器型式も紀元前4千年紀後半頃に位置づけられるバローチスターン先・原史文化における最古級の彩文土器であると考えられている。前者は黒色スリップ上に白色で描く幾何学文様を特徴とし、後者は鳥やコブウシの文様を横一列に連続的に描く彩文手法を特徴とする。ただし、筆者らでは、型式を識別できない一群も含まれており、それらについては個別に土器の特徴を記述するに留めた。資料の増加を待ち、再検討することが妥当であろう。 以下では、愛知県陶磁資料館に寄託されているケチ・ベーグ式土器やトガウ式土器と帰属型式不明の土器群について、特に彩文要素とその構成パターン、および製作技法に着目して報告する。 なお、今回の報告で行なうとしていたエミール式土器とクエッタ土器様式の文化的意味合いを含めた、バローチスターン先・原史文化における土器編年についての検討は、次号にて詳細に考えてみることにしたい。 また、愛知県陶磁資料館に寄託される人物や動物を中心とする土偶に関しては、機会を改めて報告する予定である。
著者
山口 日名子 地嵜 和子 木村 未夏
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.537-544, 2005-07-01 (Released:2017-08-01)

受診の動機が,子の症状を通じて親自身が病者の役割をとることにあると判断される症例を「代理症」と名づけ,その特徴と医療の対応について検討した.12例中2例の親は代理人による虚偽性障害と診断された.子の症状にはさまざまな身体症状と問題行動が含まれていた.家庭背景は9例に親による子へのmaltreatmentがあり,これらの親にもmaltreatmentされた生育歴があって世代間伝達がみられた.9例が家族機能不全に陥っていた.代理症状で小児科を受診することにより親は間接的に自身のケアを求めていた.小児科医には,代理症を認識しそれによる受診を暖かく受け止め,関係機関と連携して援助する責務がある.