著者
髙橋 美奈子 谷部 弘子 本田 明子
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば
巻号頁・発行日
vol.38, pp.46-62, 2017

<p>母語話者と非母語話者によるインターアクション場面である接触場面の研究は、非母語話者の言語使用実態の把握に有効であると言われている。しかし、非母語話者同士の「第三者言語接触場面」において学習者がどのような言語行動を獲得するのかという観点からの実証的な研究は十分とは言えない。特に、コミュニケーションを円滑にするための多様なストラテジーとして機能しているスピーチレベルシフトは、日本語学習者には習得が困難だと言われている。そこで、本稿では、学部レベルの国費留学生16名の日本語母語話者との会話および非母語話者との会話の2場面における自然談話データを用いて、第三者言語接触場面にみられるスピーチレベルシフトの機能のバリエーションを明らかにした。さらに、非母語話者であっても、相手との言語能力の差や親疎関係の差により、相手言語接触場面と第三者言語接触場面とでは出現するスピーチレベルシフトの機能が異なる可能性も明らかになった。本稿では、日本語学習において第三者言語接触場面を活用する意義を指摘し、多様な日本語使用者による日本語談話の価値の問いなおしを試みた。</p>
著者
髙橋 美奈子 谷部 弘子 本田 明子
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.46-62, 2017-12-31 (Released:2018-01-12)
参考文献数
16

母語話者と非母語話者によるインターアクション場面である接触場面の研究は、非母語話者の言語使用実態の把握に有効であると言われている。しかし、非母語話者同士の「第三者言語接触場面」において学習者がどのような言語行動を獲得するのかという観点からの実証的な研究は十分とは言えない。特に、コミュニケーションを円滑にするための多様なストラテジーとして機能しているスピーチレベルシフトは、日本語学習者には習得が困難だと言われている。そこで、本稿では、学部レベルの国費留学生16名の日本語母語話者との会話および非母語話者との会話の2場面における自然談話データを用いて、第三者言語接触場面にみられるスピーチレベルシフトの機能のバリエーションを明らかにした。さらに、非母語話者であっても、相手との言語能力の差や親疎関係の差により、相手言語接触場面と第三者言語接触場面とでは出現するスピーチレベルシフトの機能が異なる可能性も明らかになった。本稿では、日本語学習において第三者言語接触場面を活用する意義を指摘し、多様な日本語使用者による日本語談話の価値の問いなおしを試みた。
著者
上野 修 前川 督雄 本田 学 仁科 エミ 河合 徳枝 大橋 力
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.24, 2010

私たちは、現在の地球環境問題を自然だけでなく社会・文化を含む文明の次元で捉えることを試みている。<死生観>に関わる生命モデルを創り、増殖進化における優位性の検討が可能な人工生命研究と、モデルに対応する生命機構の実在性を検証する生命科学実験との相補的アプローチを進めてきた。その有効性を示す例として、不死の生命よりも有死の利他的生命の優越性を示した「プログラムされた自己解体モデル」を紹介する。
著者
乗峯 絵理 宮田 勝文 石澤 不二雄 鷹巣 正則 本田 克也
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.65-70, 2013 (Released:2013-02-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

The authors have reported 4 successfully-detected cases of helium in postmortem blood by headspace-gas chromatography (HS-GC). Postmortem blood was collected into a depressurized 4-ml glass vial to prevent volatilization loss of helium. MICROPACKED-ST column (2.0 m×1.0 mm i.d., 80/100 mesh) was used as a separation column, and thermal conductivity detector was selected as a gas chromatographic detector. Argon was used as a carrier gas, and the flow rate was set at 8.3 ml/min. After 0.5 ml air was released into the vial, 0.5 ml headspace gas was manually injected to the instrument. In this analytical condition, helium was well-separated from other gases in the atmosphere. This HS-GC method was applied to real blood samples of 4 suspected cases of helium inhalation, resulting in successful detection of helium in blood in all cases.   In the case of a suicide by helium inhalation, it is generally difficult to determine the cause of death from an autopsy finding. This case report provides a practical method to obtain direct proof of helium inhalation.
著者
本田 正美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第14回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.137-141, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
11

自由に二次利用可能な形式でデータを公開し、その利用の促進を図るオープンデータの取り組みが広がりを見せている。日本政府においては、2012年に「電子行政オープンデータ戦略」が策定され、各種の取り組みが展開されているのである。政府CIOポータルの「オープンデータ100」には、オープンデータを活用したアプリケーションが36事例紹介されている。この事例数を見ると、日本では、オープンデータの取り組みは自治体も含めて広がりを見せているものの、その利用は必ずしも広まっている状況にはないと判断される。これはオープンデータとして公開されるデータの量は増加しても、その利用が広まっていないということで否定的な評価を下される要因になり得る。しかし、公共機関によるオープンデータについては、まずは公共データの公開に注力されているのであって、それだけではアプリケーションの開発などに直結せず、公開と利用を一旦は分けて考える必要がある。
著者
高橋 佑亮 前田 琢 本田 敏夫
出版者
公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
雑誌
伊豆沼・内沼研究報告 (ISSN:18819559)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-74, 2017 (Released:2017-11-10)
参考文献数
9

An immature Golden Eagle Aquila chrysaetos was observed at Lake Izunuma-Uchinuma, Miyagi Prefecture, Japan, on December 9, 2016. This is the first record of this species from Lake Izunuma-Uchinuma. An individual reasonably presumed to be the same bird, based on plumage peculiarities, was observed around Mt. Goyo, Iwate prefecture, on March 28, 2017. These observations reveal a 72 km northeastward migration of this individual.
著者
澤井 俊宏 新美 敦 山田 陽一 渡邊 和代 小関 健司 中井 英貴 本田 雅規 藤本 雄大 野阪 泰弘 上田 実
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.97-102, 1996-03-31 (Released:2017-11-05)
参考文献数
10

In the severely atrophic maxilla, prosthetic rehabilitation is difficult. However, rehabilitation using osseointegrated implants with bone grafting can resolve this problem. Among the various methods of bone graft to the maxilla, sinus lift is commonly used. This report presents two cases of oral rehabilitation using osseointegrated implants with the sinus lift. In case 1, grafted bone was harvested from the mental region of the mandible, and implantation was performed at the same time as the autogenous corticocancellous bone block graft. In case 2, grafted bone was harvested from the alveolar bone in the anterior region of the mandible, and implantation was performed secondarily after the autogenous particulate bone graft. Bone biopsy for histological analysis was performed in the above two cases. In both cases, new trabecular bone was observed in the augmented sinus floor. However, the trabeculae were more dense on the alveolar side than in the central area. In the case with splintered bone, empty bone lacunae were seen in the grafted region.
著者
本田 正美
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2014-IS-127, no.3, pp.1-6, 2014-03-10

第 125 回情報システムと社会環境研究発表会において、「「電子政府」 の変遷に見る社会環境と政府の情報システムの相互関連」 と題する研究発表を行った。この研究発表では、「電子政府」 が意味してきた取組みについて日本の事例を振り返ることによって、政府の利活用する情報システムが社会環境によってその内容を規定されてきたことを示した。現在、電子政府に関する最新の動向として、オープンガバメント・オープンデータの推進があげられる。このオープンガバメントやオープンデータの推進にあっても、政府と社会環境の相互作用の中で、新たな取り組みが生み出されている。本発表では、自治体広報紙に関するオープンデータの推進に関する実証実験など具体的な事例を取り上げながら、「電子政府」 が示すところの意味の変遷と今後の展望について検討したい。
著者
藤崎 樹 本田 秀仁 植田 一博
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第15回大会
巻号頁・発行日
pp.46, 2017 (Released:2017-10-16)

近年、集合知を個人内で擬似的に生み出す手法が提案されている。ある問題に対し、同じ人物に複数回異なる推定を促し、値を平均化することで正確な推定を獲得するというのがその手法である。しかし、先行研究で提案された手法は、必ずしも簡便なものとは言いがたい。そこで本研究では、「視点の切り替え」に基づく簡便な手法を代替案として提唱する。二つの実験を通じて以下の三点が明らかになった。まず、本研究の手法は、先行研究の手法以上に正確な推定を生むものであった。次に、より重要な点として、先行研究の手法を与えた群に比べ、本研究の手法を実施した群では、参加者はより素早く推定を行ったことから、認知的に容易なものであることが示唆された。さらに、本研究の手法は、推定に対する自信がもたらす悪影響を軽減するものであることが分かった。以上から、本研究の手法は、効率的かつ効果的に個人内で集合知を生み出す手法であることが示された。
著者
小川 妙子 湯浅 美千代 石塚 敦子 鈴木 淳子 内村 順子 本田 淳子 本間 ヨシミ
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.66-72, 2006-03
被引用文献数
1

高齢者専門病院における長期入院患者の入院長期化の要因を患者,家族,医療,看護要因の4つの視点から事例分析し,看護職者の退院支援の課題を検討した。首都圏の高齢者専門病院の4つの一般病棟に21日以上入院し,研究協力に承諾した33名を対象とした。文献検討により35項目の調査票を自作し,約2ヵ月の調査期間に看護記録と診療記録から患者,家族,看護,医療に関する要因のデータを収集した。その結果,入院長期化の患者要因では,転倒リスクが高く介護認定を受けていない人が過半数であった。家族要因では,約半数が退院意向が不明であった。看護要因では,退院カンファレンスや家族指導の情報記載が少なかった。医療要因ではリハビリテーションの継続が最も多く,医師からの退院理由,時期,退院先の説明に関する記録は20%の事例に限定されていた。要因間の関連から検討した入院長期化のタイプは,【I.家族要因脆弱】【II.要因間調整円滑】【III.退院予測不明医療優先】【IV.医療・家族意向未調整】【V.療養環境退院阻害】の5つが明らかになった。看護職者は,患者の入院長期化の各要因の問題に応じて適切な退院支援をする必要があることが示唆された。
著者
井藤 創 本田 博一
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.58, no.679, pp.226-232, 2010 (Released:2010-08-27)
参考文献数
19

This paper describes results of an exploratory study to investigate the capability of a passive approach for controlling the characteristic spanwise length of Görtler vortices generated in hypersonic flows: a serrated leading edge. Heat transfer, pressure measurements, encapsulated thermochromic liquid crystal, schlieren and glow spark visualizations were conducted with a flat plate/ramp model whose leading edge had a triangular wave shape in a gun tunnel at Mach number 10. Effect of wavelength Λ of the triangular waves on downstream flows was studied. Aerodynamic heating patterns observed with the liquid crystal confirmed that the vortex wavelength was equal to Λ. This was also supported by the spark results that filamentary bright lines perpendicular to an installed line-anode parallel to the spanwise direction at the ramp surface emerged at intervals of Λ. Phase lag was observed only between heat transfer data measured in the spanwise direction, which suggests that the vortex structure existed in the reattaching boundary layers. Pressure distribution in the streamwise direction was similar among all of the Λ tested. In contrast, the heat transfer data points exhibited a large scatter and the peak heating value for the finite Λ was somewhat larger than that for the infinite Λ. Schlieren results indicated that the appropriate Λ can mitigate flow separation.