著者
本田 真大 大島 由之 新井 邦二郎
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.336-348, 2009 (Released:2012-02-29)
参考文献数
23
被引用文献数
11 3

本研究の目的は集団社会的スキル訓練(以下, CSST)が不適応状態にある生徒に与える効果を検討することであった。訓練対象は6学級の生徒228名であった。ターゲットスキルを決定するにあたり, 教師と生徒にニーズ調査を行い, その結果を生徒対象のオリエンテーションでフィードバックした。ターゲットスキルは「上手な聴き方」と「心があたたかくなる言葉」であり, それぞれ授業(50分)で1回ずつ, 合計2回の訓練が行われた。効果の検討にはターゲットスキルの自己評定, 教師評定, 仲間評定を用いた。分散分析で効果を検討した結果, 不適応状態にある生徒の仲間評定のスキル得点と仲間からの受容得点が増加した。3年生では仲間評定のスキル得点に加えて自己評定のスキル得点も一部増加したが, 教師評定のスキル得点は一部低下した。これらの結果から, ターゲットスキルの決定に生徒のニーズを考慮する実践の有効性, 不適応生徒に対するCSSTの効果の限界, 評定者間の結果の違いに関して考察され, 中学校でCSSTをより効果的に行うための方法が提案された。
著者
倉沢 康大 本田 聡 綿貫 豊
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.216-227, 2011 (Released:2011-10-26)
参考文献数
44
被引用文献数
4 6

A survey of the at-sea distributions of 1) planktivorous Short-tailed Shearwater Puffinus tenuirostris, migrating to their northern summering area and 2) piscivorous Rhinoceros Auklet Cerorhinca monocerata, breeding in the northern Sea of Japan off Hokkaido, was carried out by ship, from 16 to 28 May 2008. Avian censuses were combined with: acoustic surveys aimed at measuring prey density, and sea surface temperature (SST) surveys. Surface Chlorophyll a distribution was obtained using satellite imagery. The density of shearwaters was correlated positively with 200 kHz SA (the index of density of zooplankton including krill) at the 10 km scale, and 200 kHz SA was correlated negatively both with SST and Chlorophyll a. However, shearwater densities were not correlated significantly with SST and Chlorophyll a. The result suggest that migrating shearwaters may be able to find patches of krill in cold water. In contrast, the density of Rhinoceros Auklets was not correlated with 38 kHz SA (the index of pelagic fish density) or 200 kHz SA at any scale.
著者
本田 博幸 下里 哲弘 有住 康則
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.44-59, 2019

<p> 沖縄県本島の東海岸の塩害環境にて40年曝され,著しい塩害を受けた鉄筋コンクリート桁を研究対象とし,劣化状態を外観調査と材料調査により分析した上で,切り出した試験体に対して静的載荷試験,繰り返し載荷試験を行い,塩害での鉄筋腐食により材料劣化した鉄筋コンクリート桁のたわみ剛性とひずみ特性などの力学特性を検証した.また,本橋の劣化状況に基づき,劣化進行を模擬した試験桁に対して静的載荷試験と繰り返し載荷試験を破壊まで繰り返し,極限状態下での腐食した鉄筋コンクリート桁の破壊特性について示した.</p>
著者
服部 英雄 本田佳奈
出版者
九州大学
雑誌
比較社会文化 : 九州大学大学院比較社会文化研究科紀要 (ISSN:13411659)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.111-148, 2006

There is a still residential area that is called Jyonai-jyutaku (城内住宅 : houses in the castle),in the Maizuru (舞鶴公園) park. This park is in ruins of the Fukuoka castle before. Jyonai jyutaku House was constructed for people struck by the World War II damage, and so that those from the oversea land who repatriated it might live. They were the people who had lost all the properties for the war. 60 years passed after the war had ended. The move is requested to each Jyonai house, for the purpose. of integrate Oohori park (大濠公園) with Maizuru park and to build the great central city park. This residential area existed in Sengo (戦後) ,the age of postwar days. However, if the Sengo days ends, being demolished is a fate of this town. We thought that we will make the record concerning this town. And, the interview investigation was done. Six representatives gathered, and the meeting that heard the story was held first. Then, the memories story of this house in which it lasted 60 was heard. Case of the married couple named Mr. /Ms. Kobayashi who lives in this house, the husband put on the khaki soldier, went to Philipino Negros island, had a narrow escape from death, and returned alive. The wife remained in Fukuoka, her houses was burnt in the damage of the air raid by the U.S.Army. Mr. Kobayashi is preserving the diary in the military forces age. Such a pocketbook is very valuable. It is possible to examine it comparing the both release and the description of the pocketbook. The talk becomes very concrete. These story talk about non-humanity that the war brings.
著者
本田 利器
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.I_1078-I_1086, 2018 (Released:2018-11-01)
参考文献数
32
被引用文献数
2

耐震設計での想定を越える状況における性能を考える「危機耐性」という概念が議論されるようになっているが,定義が曖昧な面もある.危機耐性を指向した設計の実装に向けては,概念を理論的に整理したうえで具体化することが求められる.本稿では,情報という観点を設けて,危機耐性を指向した設計の考え方について考察した.親和性の高いレジリエンスの研究との比較などから,コミュニティ(社会)との連携の重要性等を示した.また,設計手順についても述べ,ストレステストのための仮想的外力としての地震動や,コミュニティと技術者の情報共有を促す体系の重要性について考察した.共有情報のマネジメントとしてリスクガバナンスが重要であること,および,設計指針ではなく認証制度として実装することの妥当性を示した.
著者
高橋 嘉夫 本田 翼
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.63, 2016

<p>本研究では、風化花崗岩中のREEの化学種を解明し、どのような風化花崗岩がREEのイオン吸着型鉱床になるかを調べた。イオン吸着型鉱床でなぜREEが高い抽出特性を持つかなど解明する上で、REEの化学種を解明することは重要である。また風化の程度が異なるイオン吸着型鉱床において、REEの抽出率、化学種、REEパターンの特徴などを系統的に調べることは、風化花崗岩がレアアースのイオン吸着型鉱床となる条件を特定することにつながる。</p>
著者
本田 亜起子 片平 伸子 別所 遊子 太田 貞司
出版者
一般社団法人 日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.61-70, 2012-08-31 (Released:2017-04-20)

目的:経済的理由による介護保険サービス利用の手控えが高齢者やその家族の健康や生活に与える影響と,それに対する介護支援専門員(以下,CM)の対応を明らかにすることである.方法:神奈川県A市のCMを対象とし,自記式質問紙調査(1次調査)を行い,152人の回答について統計的に分析した.調査内容は,(1)対象者の基本属性,(2)経済的な問題がある利用者の把握,(3)介護保険サービスの手控えと影響およびCMの対応であった.さらに,1次調査の回答者のうち18人に半構成的面接調査(2次調査)を行い,質的帰納的に分析した.結果:1次調査:経済的理由から介護保険サービスを手控えている利用者を担当している者は71人(46.7%)であり,手控えによる影響には「本人の健康状態の悪化(52.1%)」「家族の介護負担の増加(47.9%)」等があった.2次調査:経済的理由には,「生活保護基準は超える低所得」「本人の意思」「親族の事情」等があった.CMの対応としては,「通常業務を超える活動」「他職種との調整・協力」「地域ネットワークの活用」等があった.結論:CMの約半数は経済的理由によるサービス利用の手控えが利用者の健康状態悪化や介護負担増加を引き起こした事例を経験していた.CMは手控えの影響を最小限にするために工夫していたが,保健福祉専門機関による支援体制の強化も求められる.
著者
竹原 健二 三砂 ちづる 本田 靖
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衞生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.215-224, 2006-11-30
参考文献数
27
被引用文献数
2 1

The purpose of this study is to comprehend the correlation between the conditions of experience in sexual behavior and the sex education needs of high school students. We conducted a cross-sectional study in January-February 2004 using self-response sheetstargeting 681 students (15-16 years old) attending three public high schools in Ibaraki Prefecture and received valid responses from 627. The subjects of the analysis were divided into three groups depending on the conditions of experience in sexual behavior. We found that, as sexual behavior becomes more active, there are more pressing needs for sexual behavior related information such as "contraceptive methods" and "sexually transmitted infectious diseases" while lessinterest is shown in "male and female psychology" or "interaction between the sexes, " It became clear that the source of sex-related information is shifting from textbooks and school instruction to friends and news media. Although 30-40% of the subjects responded that they wanted to know more about the "nature of love" and "interaction between the sexes, " that is hardly handled in sex education. This suggests that needs and the sources of information on sex-related issues also differ.Judging from this result, if instruction in sex education had more varied content depending on experience in sexual behavior, there would likely be a strong possibility of being able to respond better to student needs. Though the primary issues handled in current sex education are probably centered in the provision of medical knowledge, it can be assumed that high school students want to know more essential matters as well as specific methods and it would be desirable for sex education to provide more multifaceted information.
著者
川名 優孝 刑部 真弘 平沼 賢次 丸野 文弥 木船 弘康 本田 裕一 市ケ谷 公正 西田 一成
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
動力・エネルギー技術の最前線講演論文集 : シンポジウム
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.231-232, 2013

This paper describes on the energy saving using ocean, and power management using ship at time of the disaster. Yokohama Green Valley is a concept for purpose of CO2 reduction and revitalization of the economy, using the city coastal area as a model In order to realize this concept model, we performed experiment at Yokohama Hakkeijima. Experiments were performed following concretely 1 Introduction of seawater heat pump. 2. Power supply from the ship in emergency. 3. Visualization of power. The seawater heat pump, we have energy-saving 20% cut off of power. We found that the power of ship to land is an effective method in emergency. In energy saving by smart meters, we found that there is an economic benefit to reduce the basic charge of power.
著者
石川 拓也 本田 晋也 高田 広章
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.4_161-4_181, 2012-10-25 (Released:2012-11-25)

近年,組込みリアルタイムシステムにおいてもメモリ保護機能が重要となっており,メモリプロテクションユニット(MPU)という,メモリ保護機能の実現をサポートするハードウェアを搭載したプロセッサが存在する.MPUを用いる場合,同じアクセス権を設定する必要のあるコードやデータを連続した番地に配置するように,静的にメモリ配置を行う必要がある.本論文では,メモリ保護機能を持ったリアルタイムOSとして開発した,TOPPERS/HRP2カーネル(HRP2)について述べる.HRP2カーネルは,MPUによるメモリ保護をサポートできるように,静的コンフィギュレーション時において,メモリ配置を静的に行い,同じアクセス権を設定する必要のあるコードやデータを連続して配置する.そして,メモリ保護属性の異なるコンテキストへ切り替わるとき,同時にMPUの設定情報を書き換えることによって,MPUを用いたメモリ保護機能を実現している.HRP2において,メモリ保護機能を持つことによって生じるオーバヘッドを,メモリ保護機能を持たないリアルタイムOSと比較することで評価した.
著者
高橋 和也 本田 敦 野澤 剛二郎 土肥 哲也 小川 隆申
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.167-172, 2015 (Released:2015-05-20)
参考文献数
8
被引用文献数
3

列車速度500km/h領域の超高速鉄道のトンネルでは,微気圧波の低減対策として坑口にトンネルより大きな断面積を持つ角型の緩衝工が設置されている.緩衝工をトンネル断面と同じ円型にすると,建設コスト低減などの利点がある一方で,緩衝工の効果が減少したり,突入時の空気振動が発生する恐れがある.本報告では,超高速鉄道における微気圧波の低減効果を確保し,かつ空気振動を十分なレベル以下とする円型緩衝工の可能性を検証することを目的とする.そのために,1) 緩衝工の断面形状をパラメータとした1/31スケールの模型試験と,2) 山梨実験線に設置した円型緩衝工の現地計測を行い,これらの結果より円型化による微気圧波ならびに空気振動への影響を確認することで,その有効性を明らかにした.
著者
本田 真広 岡村 宏 井上 健 前川 剛志
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.9, pp.717-722, 2014

症例は80歳の女性。畑作業中に土手から3m下の川に転落し,呼吸苦と左胸痛を訴え救急搬入された。来院時,左気胸と肺挫傷による低酸素血症を認め,胸腔ドレナージの後に人工呼吸管理とした。誤嚥による呼吸器感染症が懸念されたため,抗菌薬はsulbactam/ampicillin(SBT/ABPC)を投与した。第3病日に急激に肺炎が重症化し,DICおよび敗血症性ショックに陥った。同日,喀痰からグラム陰性桿菌が検出され,<i>Aeromonas</i>属が最も疑われるとの報告を細菌検査室より受けた。抗菌薬をmeropenem(MEPM)およびciprofloxacin(CPFX)に変更し,第5病日にはショックから離脱することができた。覚醒後の詳細な問診の結果,崖下の川に顔をつけ河川水を誤嚥していたことが判明し,第5病日の喀痰培養で<i>Aeromonas hydrophila</i> 3+(Geckler 5)が確定した。人工呼吸器からの離脱に難渋したが,第23病日に抜管し,第63病日に転科となった。河川水誤嚥による劇症型肺炎の際には<i>Aeromonas</i>属感染の発症も念頭に置き,fluoroquinoloneおよびcarbapenemの投与を検討すべきである。
著者
本田 美奈子 安藤 充 石倉 直人 相澤 正俊
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.55-56, 1992-09-28

大規模コンピュータシステムの形態の1つとして,複数の独立ホストから構成され,各ホスト間でディスク装置を共有する疎結合システムがある。大規模な疎結合システムについて考察すると,複数ホストシステムを1システムイメージでの運用を可能とする高運用性,その冗長構成を利用した高信頼性,さらには,システムの成長にあわせた構成を可能とする拡張性が要求される。本論文では,オペレーティングシステムACOS-4/XVPにおいてこれらについて提供されている技術と,これら技術を用いた疎結合システムの適用例について紹介する。
著者
中山 理一郎 依田 啓司 山中 修 本田 守弘
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:13456903)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.650-653, 2003

質の高いインフォームドコンセント (以下ICと記す) を目指し、本院独自のクリティカルパスのビデオ化を進めビデオパスと称している。その有用性を検討するために急性心筋梗塞ビデオパスを用いボランティアによる検証を行った。説明内容について試験を実施し、理解度を客観的に判断した。ビデオという視覚を含めた説明は、被験者に病態や入院診療内容の理解を高める上で有用な方法であることが示唆された。しかし、医師と直接フェースツーフェースの説明も重要であることが分かった。ビデオパスを含めた様々な方法を用いてICの充実を図っていくことは有用だと考えられる。
著者
矢元 雄介 本田 知己 宇佐美 初彦 三原 雄司
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.199-204, 2018 (Released:2018-03-27)
参考文献数
7

エンジンしゅう動部品の表面改質方法の耐焼付性は十分に評価されていない.本研究では新しい表面改質法を用いた試験片の摩擦特性と耐焼付き性を評価した.その結果,新たな表面改質をした試験片は低摩擦性と耐焼付き性が向上した.スズをショットピーニングして母材に処理すると,MoS2と母材との接合強度が向上した.