著者
村上 祐 駒林 邦男(訳・編)
出版者
岩手大学
雑誌
岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 (ISSN:09172874)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.257-263, 1993

以下は,"Journal of Chemical Education",Vol.9,No.5,1990.の「挑発的な提言」(〔provocative opinion〕)の欄に掲載されたH.C.Friedmann教授(シカゴ大学,生化学・分子生物学科)の"Fifty-Six Laws of Good Teaching"の翻訳,および岩手大学教育学部・人文社会科学部学生が作った「良い授業のための法則」である。Friedmannの「握言」は短めて示唆に富むものであると同時に,諧謔・逆説・アイロニーをまじえた「挑発的」なものである。この「提言」は,最初,村上によって抄訳され,『鬼胡桃』(岩大教職員組合教育分会機関誌),NO. 68, 1991.に掲載された。駒林は,この訳を下敷きにして完訳した。この試訳を村上が校閲した。訳出にあたって,本学部教官の橋本二郎氏の教示をいただいた。Friedmannの"Laws of Good Teaching"は56の法則であった。駒林は,「法則」をラウンドナンバーの60法則にするように,学生諸君に「法則」を作らせた。それが,「学生が作った,良い授業のための60法則」である。人文社会科学部の「教育課程・方法」受講学生(84人),教育学部の「教育方法」受講学生(108人)に,Friedmannnの「56法則」の翻訳を配付し,若干の説明を加えた上で,次のインストラクションをあたえた。「この56法則は,大学教員のための法則です。ラウンドナンバー60の法則にするために,四つ以内の法則を,学生の立場から作って下さい。来週,集めます。宿題ではありません。出したい人だけが出してくれればよいです。」提出者は,人文社会科学部の39人(延べ,125法則),教育学部学生が37人(延べ,98法則)であった。学生諸君が作った延べ223の「法則」の中から,代表的なものを取り上げた。語句,文体には駒林が大幅に手をいれた。学生が作った「法則」の枠内で補足したところもある。
著者
辰己 丈夫 村上 祐子 大谷 卓史
雑誌
情報教育シンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.45-52, 2015-08-10

コンピュータが登場してから約 70 年、その間、コンピュータは様々な場面で用いられてきた。用途 の適切性に関しては、情報倫理学の観点での研究が進んでいる。一方で、2045 年には、強い人工知能が広 く普及し、人間の知能を越える「技術的特異点(シンギュラリティ)」を迎えるという予想がされている。 その時代に通用する情報倫理とは何か、私達はそれをどう学ぶことができるのかについて、議論を行う。
著者
村上 祐一 倉西 森大 CHAMSAI Sawitree 岡本 純一郎
出版者
北海道大学大学院水産科学研究科
雑誌
北海道大学水産科学研究彙報 (ISSN:13461842)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.51-61, 2012-12

我が国の漁業管理は,許可制度と漁業権制度によって組み立てられている。いずれも漁業管理当局の許可又は免許という形で漁業を営む権利が確立するが,漁業権制度は,所謂許可制度とは異なった由来と性格をもつ。漁業権制度は,沿岸地域の漁業者集団による特定の漁業を目的とした沿岸地先水域の共同使用権的性格を有している。漁業権制度の起源を歴史的に辿れば,江戸時代の幕府の沿岸漁業統治の指針とされた律令要略の所謂「磯は地先,沖は入会」に由来し,それが明治漁業法により近代法制国家の下で漁業権の法的権利として確立されたものである。その後,戦後の沿岸漁業民主化のための制度変更を経て,漁業権制度は沿岸漁業者集団による沿岸漁業の自主管理枠組みとして我が国の漁業管理制度の骨格を成してきた。戦後,沿岸漁業の稠密化への対応として我が国の外延的漁業発展過程の中で企業経営が中心の沖合,遠洋漁業が漁獲量,漁獲金額において我が国の漁業の主役となるなかで沿岸漁業の漁業権制度は我が国漁業界においてある種,自明な制度として定着してきた。しかしながら近年,沿岸漁業の外部から漁業権制度について,その閉鎖性,非効率性を批判し,漁業権制度の改革ということが議論されるようになってきた。このような議論に対して漁業協同組合を中心に強い反発が起きている。2007年2月,経済団体連合会,日本商工会議所,経済同友会,日本貿易会の経済4団体の支援を受けた日本経済調査協議会は,規制改革議論の一環として水産業の戦略的な抜本改革を求める緊急提言を行った。この提言の背景には日本の水産業の低迷(水産資源減少,漁業経営の悪化など)があり,議論は漁業の活性化のための制度改革論として主導されたものであるが,その中で漁業の活性化のための漁業資源の科学的管理(許容漁獲量による管理),漁業経営の改善(許容漁獲量の漁業者への譲渡可能な個別割当)とともに漁業制度の規制緩和策として漁業協同組合員の資格要件の緩和と漁業権の中の定置漁業権,養殖のための特定区画漁業権を漁業協同組合以外の個別経営体にも免許を認めるべきとの提言が行われている。日本経済調査協議会の緊急提言は,現在の水産資源管理に不満を有する資源研究者を含め水産関係研究者をも巻き込み大きな議論となった。特に,漁業権制度の改革提言に対して沿岸漁業者の団体であり,漁業権制度の当事者である漁業協同組合は日本経済調査協議会の緊急提言に強く反発した。日本経済調査協議会の緊急提言をめぐる議論は,政権交代や政府の規制改革会議の終了により一旦は沈静化したものの,2011年3月11日に起きた東日本大震災という未曾有の災害からの水産復興対策議論の中で養殖のための特定区画漁業権の免許資格の規制緩和論が再び浮上することとなった。
著者
村上 祐介
出版者
日本トランスパーソナル心理学/精神医学会
雑誌
トランスパーソナル心理学/精神医学 (ISSN:13454501)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.16-26, 2021 (Released:2022-10-29)

本研究の目的は,学校教員の学び続ける態度と,人生満足度の関連における,コーリングの媒介効果を検討 することであった。インターネット調査を実施し,318名の学校教員がアンケートに回答した。最終的に,234 名(平均年齢 = 46.68歳,男性155名,女性79名)を対象とした媒介分析を行った結果,コーリングの媒介効果が確認された。すなわち,自主的に職務の改善に取り 組む学び続ける教師は,人生満足度が高いが,その関係性は,コーリングによって媒介されることが示された。本研究の限界と今後の展望が議論された。
著者
村上 祐介 濱田 大佐 菅村 玄二
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.859-877, 2022 (Released:2022-10-16)
参考文献数
51

We examined the effects of postural intervention using a “risshin chair” (an upright support seat assisting a zazen-like posture) on posture maintenance, classroom time perception, implicit affect, mental health, and life meaningfulness in an actual high school setting. Twenty-seven second-grade high school students (15 girls and 12 boys; Mage = 16.93 years, SD = 0.27) sat on either a conventional chair or a risshin chair in A-B-A order for approximately four weeks in total. One-way ANOVA revealed that (a) mental health score was highest in the intervention period than in the pre- or post-intervention period (p < .001; p = .002), and that (b) the living in the present moment score was higher in the intervention period than in the pre-intervention period (p < .001). Twocondition within-participant serial mediation analysis also showed that the use of the risshin chair affected mental health and daily meaning in life through a higher level of postural improvement and a faster level of classroom time perception change (indirect effect = 0.27, 95% CI [0.02, 0.74]; 0.28, 95% CI [0.04, 0.66]). The need for examining the effectiveness of longer-term postural interventions was discussed.
著者
村上 祐子
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.176-181, 2019-03-01 (Released:2020-09-29)
著者
村上 祐介
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.507-522, 2011

Previous studies have suggested that children with developmental disorders often display clumsiness when attempting tasks that require higher body coordination ability. Long rope skipping is one such activity, but while it is usually difficult for such children, it is also effective for helping develop body coordination ability and fostering cooperative attitudes. Thus, it is important to make the most of the benefits of long rope skipping for children with developmental disorders. However, appropriate teaching methods in this context have not been well established, nor have the developmental levels of jumping movement in long rope skipping been adequately addressed. Accordingly, the purpose of this study was to investigate the developmental levels of jumping movement in long rope skipping for children with developmental disorders.<br> The subjects were five children with developmental disorders who participated once a week in private physical activity sessions. The sessions were conducted by members of a laboratory for adapted physical activity. Specifically, body coordination ability in long rope skipping was evaluated in terms of the number of double bounce movements (jumping twice during one rotation of the rope), the interval of movement, the ground and foot interval, the trunk inclination motion angle, the hip joint flexion motion angle, the knee flexion motion angle, and the number of times that the children jumped with both legs.<br> The results indicated that there were several different movement forms in the five studied children. These forms were classified into five levels: step movement (the first level of long rope skipping movement), side jumping movement (second level), double bounce movement via large jumping movements (third level), double bounce movement via a small movement space (fourth level), and double bounce movement via small jumping movements (fifth level). These findings can be used to devise an effective approach for teaching long rope skipping to children with developmental disorders.<br>
著者
村上 祐子 足立 浩章 坂井田 勉 田中 浩 八代 洋一 中田 悟
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.278-284, 2013-12-20 (Released:2015-12-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

真皮のコラーゲン線維はⅠ型およびⅢ型コラーゲンから構成されており,加齢とともにⅢ型コラーゲン/Ⅰ型コラーゲンの比率が減少する。また,これが真皮の物性に影響を及ぼすと考えられている。コラーゲン分子は,線維芽細胞において,プロ体として合成,分泌されたのち,酵素によりN末端およびC末端のプロペプチドが切断されることで互いに会合し,コラーゲン線維を形成する。今回,コラーゲン線維におけるⅢ型コラーゲン/Ⅰ型コラーゲンの比率の加齢にともなう減少メカニズムを調べる目的で,Ⅰ型およびⅢ型コラーゲンのプロペプチド切断酵素の加齢変化について検討した。また,Ⅲ型コラーゲンのプロペプチド切断酵素であるmeprinに及ぼすスクシニルブリオノール酸2Kの効果についても検討した。その結果,Ⅲ型コラーゲンのプロペプチド切断酵素meprinの発現は,Ⅰ型コラーゲンのプロペプチド切断酵素BMP-1およびADAMTS-14よりも加齢とともに顕著に減少した。また,スクシニルブリオノール酸2Kは,meprinの発現を促進した。以上から,Ⅲ型コラーゲンのプロペプチド切断酵素がⅠ型のそれよりも顕著に減少するということが,コラーゲン線維中のⅢ型コラーゲン/Ⅰ型コラーゲンの比率を低下させる一因であると考えられた。また,スクシニルブリオノール酸2Kにmeprinを増加させる効果が認められたことから,加齢によるmeprinの減少を防ぐことでⅢ型コラーゲン/Ⅰ型コラーゲンの比率の減少を抑制し,真皮の物性変化を改善できると示唆された。
著者
小玉 重夫 荻原 克男 村上 祐介
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.1_31-1_52, 2016 (Released:2019-06-10)

これまでの政治学・教育学では, 1950年代を教育において文部省対日教組による保革のイデオロギー対立が激化した時期であると捉えることが一般的であった。それに対し本論は, そうした表面上のイデオロギー対立が注目される中で, その底流ではこの時期に教育の脱政治化が進行していったことに焦点を当てて, 教育行財政の制度と地方教育行政の実態がむしろ脱政治化へと向かったことを歴史的な検証から明らかにすると同時に, 教育行財政の制度・実態だけでなく, 現場の教育実践のレベルにおいても, この時期に脱政治化の萌芽が生じてそれが進行してきたことを示した。具体的には, 教育行財政の制度面 (2節), 教育関係団体秩序の側面 (3節), そして教育運動, 教育実践の側面 (4節) から論証した。以上の作業を通じ, 1950年代の教育政治について通説とは異なる理解を提示すると同時に, 教育が政治化する陰で, 現在に至る教育の脱政治化への転換点が1950年代に埋め込まれていたことを明らかにした。
著者
村上 祐介
出版者
日本トランスパーソナル心理学/精神医学会
雑誌
トランスパーソナル心理学/精神医学 (ISSN:13454501)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.56-70, 2011 (Released:2019-08-28)

本稿の目的は、「子どものスピリチュアリティ研究」 の、近年の動向を紹介することである。第一に、子 どものスピリチュアリティが注目を集めている背景 として、人生の意味やつながりの感覚に焦点をあて ることの重要性の認識や、発達の段階理論への反論 などがあることを論じる。第二に、本領域の最近の 研究動向を概観し、(a)20世紀後半では宗教体験や ピーク体験など子どものスピリチュアルな体験に、 (b)近年では、「関係意識」(Hay & Nye, 2006)に関 心が向けられ、これらの研究の多くは、成人への回 想法や子どもへのインタビューなど質的研究に依拠 していることを明らかにする。第三に、子どものス ピリチュアリティに対する、従来の心理学からの懐 疑的見解を概観する。最後に、本領域における研究 手法や定義づけの問題や、わが国における今後の方 向性として、質的研究方法の精選、尺度開発、東洋 思想における子ども観についての文献研究を挙げる。
著者
村上 祐子
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1_91-1_97, 2010 (Released:2010-09-26)
参考文献数
7

This proposal for Philosophy of Science Society Japan and its members presents recommendations toward improvement of logic education, outline of logic curriculum to be shared among community, and requisite components of logical skills and knowledge for philosophers of each field. It also provides information on the past workshops on logic education by PSSJ as well as a summary of ASL guideline and ASL inquiry on logic education (1995).
著者
北村 美貴子 中谷 多哉子 村上 祐子 辰己 丈夫
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2016-CE-135, no.5, pp.1-8, 2016-06-25

すべての都立高等学校が Web ページを開設して 8 年になる.東京都は Web サーバーを導入したり,CMS を導入したりして,学校現場に負担の少ない管理運営をさせるような予算措置を講じ,後押しをしてきた.しかし,都立高等学校の学校 Web ページは必ずしも満足に機能しているとは言えない学校が少なからず存在する.そのような学校が減少し,いかなるステークホルダもある程度満足できる学校 Web ページを構築するために何が必要か明らかにしたい.
著者
村上 祐子
出版者
東北大学文学会
雑誌
文化 (ISSN:03854841)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3,4, pp.59-66, 2016-03-25
著者
村上 祐介
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.398-410, 2011-12-29 (Released:2018-12-26)
被引用文献数
1

少数または単一の事例を分析する定性的研究には、個性記述的・差異化志向と、法則定立的・一般化志向の2つのタイプがある。現在の教育学は理論化志向の弱さや、量的研究対質的研究の二分法的枠組みが強いため、一般化志向の事例研究が少ない。それゆえ、個別の事例研究が体系的な理論構築に結びついていない。本論では社会科学方法論の知見から、抽象(理論)と具体(経験)の循環という基本に立ち返った事例研究の方法論を提示する。