著者
笹本 洋子 松村 正 小林 由佳 内古閑 修 長澤 利彦 十川 裕史 佐々木 環
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.599-604, 2016 (Released:2016-09-29)
参考文献数
22
被引用文献数
1

7X歳女性, 血液透析 (HD) 歴1年. 透析当日, 来院時から全身倦怠感と発熱 (37.5°C) を認め入院となった. 血液培養検査でG群β溶血性レンサ球菌を検出した. 一時40°C近い発熱と敗血症様の症状を呈し全身状態が悪化したが, 抗菌薬の点滴により全身症状は速やかに改善した. しかし同時に両眼の視力低下を認め, 敗血症による両眼の内因性細菌性眼内炎と診断された. 内因性細菌性眼内炎は, 視力予後不良な疾患として知られているが, 幸いにも速やかな診断の上で抗菌薬の全身投与と抗菌薬の頻回点眼により最終的には視力回復を得た. 今回, われわれは早期の診断と適切な抗菌薬の全身投与によりG群β溶血性レンサ球菌 (GGS) の敗血症から発症した内因性眼内炎から視力回復した症例を経験した.
著者
豊田 智規 倉島 巧 藤山 泰三 佐々木 泉 宮沢 和之 清水 秀樹 松村 正人 古田 拓也
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.108-113, 2011

ヘアスタイリング剤は,その時代の髪型やファッションの流行に合わせ,さまざまな剤型の変遷をたどってきた。これらヘアスタイリング剤は一般的に固定力とアレンジ力の2軸で評価されるが,この2つの因子は背反事象であり,両立は難しい。われわれはこの課題を解決するため,粘着性を特徴とするポリアクリレートクロスポリマー-3 (Polyacrylate Crosspolymer-3)を開発した。ビニル系,アクリル系のポリマーに代表される従来のヘアスタイリング剤用のポリマーは,スタイルを保持することを目的として設計したため,固定には長けているが,アレンジや再整髪が難しい。そこでわれわれは,従来ヘアスタイリング剤で「べたつき」として認識されてきた「粘着性」をあえて発現させることで,1 つのポリマーでアレンジ力と固定力との両立を試みた。ポリマーのガラス転移点 (Tg)を低く設計すること,架橋部位を導入することにより,粘着性を発現させることができた。このポリマーを用いることで,新しいスタイリング剤の開発が可能となった。
著者
高林 純示 松井 健二 松田 一彦 佐藤 雅 松村 正哉 五味 剣二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2007

本研究では(1)植物の香りの生合成経路であるフィトオキシリピン経路の間接防衛に果たす役割の全体像の解明とその応用の研究から、みどりの香りの生態機能に関する多くの新知見を得た。とくに除虫菊の研究から新たな植物防衛の機構が明らかになった。また(2)植物の揮発性物質が生態系の生物間相互作用ネットワークに及ぼす影響の解明とその応用に関する研究では、相互作用・情報ネットワークの概念を確立するとともに、揮発性物質の利活用による害虫防除法を発見した。
著者
平吉 功 岩田 悦行 松村 正幸
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.155-162, 1969-11-29
被引用文献数
3

前2報に引続き,和牛放牧が混牧林地内のササに及ぼす影響を調査した。調査地は岐阜県益田郡小坂町滝上牧場の第4牧区で,ここはもと,ミズナラ,ヒノキなどを主とする自然林であったが,その後皆伐され,現在ではカラマツおよびヒノキ苗が植栽されているが,クマイザサの密生はなはだしく,これらの樹苗をおおう程である。この地に1968年5月中旬から10月中旬までの間,和牛76頭が約50haの地積に放牧された。調査は閉放直後に行なわれたものであり,これによって5ヶ月間の夏放牧がこの地の植生に及ぼした直接的影響を知ることができた。調査の結果は次のように要約される。1.放牧によってササは緑葉を失い,その地上部は変形して,ササ型草地としての群落相観は著しく変化したが,未だ新規植物の侵入はみられず,群落組成上の変化の兆は認められなかった。2.放牧地内のヒノキ幼樹(1.5〜2m高)は約15%が食いちぎりによる枝条の折損をみ,カラマツ(1〜1.5m高)では約40%がふみつけによる樹幹基部擦傷の被害を受けた。3.放牧によりササは矮小化の傾向をたどり,その草丈は禁牧区のそれに対して平均約10cm低くなった。特に丈の高いササは稈頂部が折損しやすく,結局放牧区のササでは大体100cm内外の草丈にそろい,草丈の個体間のばらっきは少なくなった。4.放牧区のササは地上40cm以上の高さにある節からの分岐が目立ち,多数の細小枝を生じて,ササの外形は「ほうき状」を呈するようになった。但し地際近い節および地下茎の節からの分岐は未だ認められなかった。5.放牧によってササの成葉はいったん全部採食され,その後新葉の再生と採食が繰返される結果,放牧区では葉数は多くなったが,葉形は極めて小さかった。なお放牧区のササの葉が細長くなる現象は未だ確認されなかった。6.禁牧区のササの現存量(乾重)を測定し,放牧区のそれと比較した。葉量比は前者で約30%に及んだが,放牧区では僅かに1.3%内外で葉量は極めて少なかった。但し後者では稈重が増大しているため,地上部全重は禁牧区で1587.3g/m^2,放牧区で1521.0g/m^2となり,両区かなり近似した値を示した。7.放牧期間内におけるササの再生量が不明のため,現存量測定値から直ちに当ササ型草地での採食量(飼料提供量)を推定することはできなかった。ササの再生量究明は今後の重要課題である。
著者
桝潟 俊子 野崎 賢也 松村 正治 佐藤 亮子 榊田 みどり
出版者
淑徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近年、グローバル化のもとでローカル・フードムーブメント(地産地消やCSA:地域が支える農業、AMAP:農民農業を支える会、短い流通など)が、内外で広がりをみせている。また、欧米諸国では、ローカル・フードシステムの再評価がすすんでいる。本研究では、欧米におけるローカル・フードムーブメントの動向および日本各地の事例調査にもとづき、「安全・安心」「安全保障」「環境」以外の社会的な視点・論点(たとえば、食をめぐる社会関係や食と農のシステムを支える労働の社会的公正など)を導入し、日本におけるローカル・フードシステムの意義について実証的検証を行った。
著者
Maslog Florita S. 本部 真樹 林田 直樹 吉原 一浩 両角 徹雄 松村 正利 廣田 好和
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:9167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.283-285, 1999-03-25
被引用文献数
4 5

フィリピンのアヒルから分離したPasteurella multocida serotype A菌体のリポ多糖体 (LPS), 莢膜抗原(CCA), リボゾーム(RS), および細胞外層(OCL)の分画に対するニワトリ末梢血白血球の貧食能の影響を, フローサイトメーターにより検討した. これら4つの分画の中でCCAのみに, 単核細胞及び多形核白血球の貧食能を増強する作用かみられた. この成績から, CCAは貧食能増強誘発作用を有することが示された.