著者
松村 隆
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.1-30, 1996-07-30 (Released:2009-11-06)
被引用文献数
2

This paper intends to make an analysis of management of a timber merchant in the period of industrialization from 1880s to 1920s in Japan. As the target of a case study, the management of Zaisou, a famous timber merchant in Nagoya is chosen. Zaisou has maintained its predominant position in the lumber industry since Edo era. In Meiji and Taisho period, Zaisou started to develop its business of finance, securities, and real estates in addition to the lumber industry.In parallel with the industrialization, the demand of timber, sleepers and wooden boxes were greatly expanded. As a result, Zaisou could not afford to continue its traditional business, namely investment in forests in Kiso district. Under such a business climate, two goals for the growth of the enterprise emerged : acquisition of suitable wood for various kinds of demand, and making steady profits.In order to achieve the former goal, Zaisou diversified the purchasing routes of wood. In the field of wood needed a high quality, for example, such as sleepers, wooden boxes and luxury timber, Zaisou continued to invest in forests as in Edo period. Concerning to the latter target, Zaisou firstly diversified ways of the use of funds, secondly enlarged means of purchasing. It was effective for Zaisou to buy timber in large amount in the shortening turnover of funds and elaboration of inventory management.
著者
目須田 康 西澤 典子 松村 道哉 古田 康 福田 諭
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.358-361, 2005-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
11

性同一性障害は過去8年の間に本邦にても診断・治療が施行されるようになったが、音声の変化を望む症例に対する治療、特にMTF (male to female) に対するピッチ上昇手術はこれまでガイドラインに明確な定義がされていなかったこともあり、本邦における報告は極めて少なく、手術を強く希望する場合海外の施設を訪れている例があると推測される。今回われわれは東南アジアの某国でピッチ上昇手術を受け、帰国後発声開始後に高度の気息性発声を呈した例を経験した。肉芽切除と各種保存的治療が施行されたが手術後約5カ月の時点で患者の満足は得られていない。今後本邦でも各地で性同一性障害で音声変更を望む例が出現すると予想されるため、ピッチ上昇手術の適応の検討、またこの問題における関係各科との連携の重要性について改めて認識することが必要であると考えられた。
著者
松村 洋一郎
出版者
国立音楽大学
雑誌
国立音楽大学研究紀要 (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.219-228, 2015

本稿は、明治・大正期の音楽誌以外の雑誌に掲載された、作曲家の伝記情報を扱った記事に関する調査の中間報告である。音楽誌以外を扱う理由としては、当時、それぞれの分野の雑誌はあまり個別化されていなかったこと、また、ほかの人文系の分野に比べて、音楽雑誌の成立、確立が遅かったこともあり、音楽誌以外の雑誌に音楽関係の話題が掲載される場合が多かったことが挙げられる。そして、広い影響力を持った一部の作曲家を理解するには、こうした多義的な視点を持つことが求められよう。本稿の内容としては、記事一覧を作成し、そこから読み取れるいくつかの点を指摘する。たとえば、ヴァーグナーに関する記事の多さや、作曲家の作品ではなく人となりに注目が集まる傾向などである。これらは、文学誌等を材料にすでに指摘がなされているものだが、本稿では、美術誌や、少年誌、婦人誌など、これまでとは異なった材料から裏付けることが出来た。
著者
村上 幸生 香村 亜希子 岡田 知之 川田 朗史 松村 正晃 丸山 直美 大井 優一 田村 靖子 町野 守 片山 直
出版者
日本口腔診断学会
雑誌
日本口腔診断学会雑誌 (ISSN:09149694)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.28-31, 2017-02-20 (Released:2017-05-23)
参考文献数
26

Oral lichen planus is an intractable chronic inflammatory lesion with dyskeratosis, appearing more commonly on the buccal mucosa. Here we describe a case of oral lichen planus starting on the bilateral buccal mucosa in a 70-year-old female patient that showed great improvement. The patient's condition gradually improved after treatment with cepharanthin, an alkaloid agent extracted from Stephania cepharantha Hayata. A review of some additional literature pertaining to probable mechanisms of action is included.
著者
長谷川孝博 松村宣顕 高橋秀年 井上春樹
出版者
国立大学法人 情報系センター協議会
雑誌
学術情報処理研究 (ISSN:13432915)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.107-114, 2013

<p>構成員約12,000人(アカウント総数約13,000)の国立大学法人において,120日間のパスワード定期更新の管理策をシステム要求として徹底実践した場合に起こる課題と成果を8年間の運用実績とデータに基づき考察した.パスワード定期更新の管理策を順当に履行できる利用者は約7割であった.残る約3割のパスワード失効者および忘失者に対して「IDカード認証するパスワード自動再発行機」,「指静脈の生体認証を用いた無人パスワード自動再発行機」および「窓口における対面の再発行申請手続き」を併用して対応した.「IDカード認証するパスワード自動再発行機」が最も有効に機能し,その他の再発行機能が補助的に機能した.その結果,長期に亘る本管理策運用が可能であることが示された.</p>
著者
山越 健弘 山越 康弘 松村 健太 廣瀬 元
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.154-165, 2009-04-10 (Released:2009-09-09)
参考文献数
37

Physiological monitoring was carried out during the motor sport of Racing Kart driving. In addition to highlighting the importance of physiological measurement during motor sports, this study may have social relevance through its potential to contribute to decreasing automobile accidents in overload situations by using appropriate biosignals. The measurement quantities collected in this study were instantaneous heart rate, HR, vector magnitude of acceleration, G, blood pressure, BP, and core body temperature, Teardrum. After giving informed consent 11 healthy male subjects (34.4 ± 7.7 S.D. yrs) were tested in the racing circuit. We successfully monitored the physiological variables during karting, finding a statistically significant decrease in BP (p < 0.01) and a rise in Teardrum (p < 0.01) immediately after the driving period. In addition, we have confirmed that HR was maintained at approximately 150bpm, which, by means of time-frequency analysis, could be explained by sympathetic acceleration. Furthermore, it is strongly suggested that the rise in HR could be closely related to the G forces to which the drivers were subjected. These results clearly disclose to us one aspect of the possible physiological responses and the importance of physiological monitoring during motor sports.
著者
森川 理 大竹 貫洋 埴 英郎 松村 光明 三浦 宏之 高橋 英和 西村 文夫 本橋 孝志
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.213-222, 2002-04-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
19

目的: 口腔内で使用する合金は生体適合性に優れ, 各種修復物に応用可能なものが望まれる. 最近, 耐食性に優れ, 生体適合性も良いとされる歯科用金チタン合金が市販された. そこで, この合金の機械的性質および陶材との焼付強さを測定し, その有用性を検討した.方法: 実験には市販の陶材焼付用金チタン合金を使用した. 各種鋳造試験片はメーカーの指示に従って鋳造, 熱処理を行い作製した. 機械的特性として引張特性, 硬さを, 熱的特性として熱膨張係数を測定した. 金チタン合金と従来型陶材, 超低溶陶材との焼付強さをDIN13927に準じて求めた. 対照として, 従来の陶材焼付用金合金と従来型陶材の焼付強さも求めた. 金チタン合金に従来型陶材を築盛し割断した試料をEPMA分析した.結果: 引張特性と硬さは熱処理により変化し, 軟化熱処理した値は有意に小さかった. 硬化熱処理ではタイプ4金合金に近い機械的性質を示した. 熱膨張係数は従来の陶材焼付用金合金よりも大きかった. 焼付強さはいずれの陶材を用いても40MPa以上を示し, 従来型陶材焼付用金合金の値とは有意な差を認めなかった. 剥離面を観察したところ金属側には陶材の成分が, 陶材側にはチタンが存在していた.割断面を観察したところ, 焼付界面直下に酸化チタンが認められた.結論: 今回検討した金チタン合金は, 単一合金で広範囲な修復が可能な機械的性質を有し, かつ十分な焼付強さを示したことからその有用性が示唆された.
著者
小粥 勇作 松村 嘉之 大谷 毅 高寺 政行 星野 雄介 保田 俊行 大倉 和博
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.590-598, 2017

<p><tt>繊維・アパレル産業の企業間取引ネットワークにおいて,</tt>8 <tt>分野(総合アパレル,レディス,メンズ,デザイナー,ベビー・子供服,インナーウエア・靴下,スポーツウエア,ジーンズ・ユニフォーム)計</tt>1476 <tt>社について,複雑ネットワーク分析を実施した.全体</tt>1476 <tt>社についてと代表的な</tt>3 <tt>分野として,総合アパレル</tt>217 <tt>社,レディス</tt>603 <tt>社,メンズ</tt>202 <tt>社のそれぞれの取引関係数について,次数分布の両辺対数変換を施したところ,全体と</tt>3 <tt>分野それぞれにおいて,べき指数</tt> γ <tt>⋍</tt> -2 <tt>の自己相似的構造が確認された.また,全体と</tt>3 <tt>分野のそれぞれはネットワーク直径が</tt>6 <tt>次以下であるスモール・ワールド性も確認された.さらに,ネットワークの中心性に関する指標により,繊維・アパレル産業の多くの分野で,商社がネットワークの中心的な取引を展開していることが判明した.</tt></p>
著者
松村 嘉久
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.72, 2008

<BR>1.はじめに<BR> 寧夏回族自治区の区都・銀川市で比較優位性の高い観光資源は,西夏王陵と中国映画の代表作『紅高粱』のロケ地となった寧夏鎮北堡西部影視城くらいしかなく,国際観光客は極めて少なく国内観光客も多くない。清真寺(モスク)が点在する銀川市旧市街地の空間も,イスラムの文法よりもむしろ漢族の文法で編成されていて,ウルムチやラサと比較するとエスニックな魅力は乏しい。回族文化を展示する中華回族文化園(2006年10月開業)といった新たな観光空間も創造されているが,イスラム教やイスラム文化を可視化しスペクタクル化するのは難しく,民族問題に発展しかねない危険性もはらんでいる。<BR> このような観光事情のもと,銀川市への来訪者は観光という文脈よりも,ビジネス・コンベンション・求職目的など,区都としての機能に由来する区内や近隣地域からのものが多数を占める。そのため,観光業の盛んな地方の中心都市と比較するならば,宿泊施設の規模や機能も多様である。本発表では,銀川市の旧市街地で実施した270軒余りの宿泊施設の現地調査の結果を踏まえ,都市計画や都市構造などとの関連にも言及しつつ,宿泊施設の類型・機能・分布特性などを考察したい。<BR><BR>2.銀川市旧市街地における宿泊施設の類型について<BR> 中国における宿泊施設の呼称は,賓館・飯店・旅館・旅店・旅社・招待所・客桟・度假村など多彩であり,施設の名称と内実は必ずしも一致しない。日本には「旅館業法」を基本法として,高級ホテルから簡易宿所まで,宿泊施設の構造設備を細かく定める法体系が存在するが,中国ではまだ整備されていない。<BR> 中国の場合は80年代から国際観光振興と連動して,「旅游(観光)旅館」と「渉外(国際観光客用)飯店」に限定して,規模・設備・サービス内容から等級付けが進む。その一方で,国内客向けの旅社・招待所の類を規制する法律は見当たらない。90年代半ば以降の国内旅行需要の急増と不動産開発バブルのもと,銀川市旧市街地でも高級ホテルから劣悪なものまで,様々なタイプの宿泊施設が急増していく。<BR> 本発表では銀川市旧市街地に立地する宿泊施設を,規模・等級・標準客室宿泊料金・経営主体・開業年次・外観などの基準から,いくつかの類型に分けることを試み,その類型に対応して機能や分布特性を分析している。<BR><BR>3.銀川市旧市街地における宿泊施設の機能と分布特性<BR> 銀川市旧市街地の宿泊施設の機能と分布特性は,おおよそ以下のようにまとめられる。<BR> 1)旧市街地北側の広幅員の都市計画道路(北京路・上海路)沿いに立地する大規模な高級ホテルは,1996年の都市計画と関連して,企業・投資集団が経営主体となって90年代半ば以降に建設されたものが多い。主な顧客層は国際観光客と国内富裕層の観光・ビジネス客である。<BR> 2)旧市街地の繁華街や交差点角に立地する二星・三星クラスの中規模ホテルは,80年代半ばから90年代半ばにかけて建設され,一部では老朽化が進む。地方政府や政府系部門が経営するところも少なくない。主な顧客層は国内の観光・ビジネス客で,コンベンションもよく開催される。<BR> 3)小規模な旅社や招待所の類は,都市域と農村域がせめぎあう市街地周辺部や市街地内のインナーシティに立地し,ほとんどが個人経営である。部屋を時間貸しするところ,売買春の温床となっているところも散見される。利用客は国内の観光・ビジネス客,乗り換え・求職などで一時的に滞在する者が主流である。立地条件や機能などから,バス停近接型・城中村型・寄せ場型・インナーシティ型などに分けられる。<BR><BR>4.おわりに<BR> 結節性の高い宿泊施設の機能と分布特性の考察が,都市の構造やダイナミズムを解明するうえで重要であることは言うまでもない。本発表では観光客向けの宿泊施設のみならず,一時滞在者を主な顧客とする小規模なものまで分析対象に含めた。そのなかで,例えば,地方の中心都市で,寄せ場と宿泊施設がセットで形成されているという知見が得られたことなどは貴重であろう。<BR> 中国でも近年,「宿泊」という概念では捉えきれない夜を過ごす様々な都市空間が急速に増殖しつつある。今後はこれらも視野に入れて分析することが課題となろう。<BR>
著者
大礒 正嗣 松村 嘉之 保田 俊行 大倉 和博
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.18-28, 2011-02-15 (Released:2011-05-10)
参考文献数
28
被引用文献数
2 4

多数の演算器を持ち並列計算可能な Graphic Processing Units(GPU)は,近年,CPU をはるかに上回る演算性能を持つようになり,GPU を用いて数値計算を高速化する研究が多くなされている.進化計算の計算量に対しても GPU 計算が注目されており,遺伝的アルゴリズム(GA)の分野において,集団の並列化についていくつかの議論が緒についた.本稿では,GPU 向け開発計算環境である CUDA を利用して,集団の並列化だけでなく個体単位での並列化を行うことによりGAの高速化とオーバーヘッドの隠蔽を行う実装手法を提案する.進化計算のベンチマークである関数値最小化問題とアプリケーションである進化ロボティクス問題に対して提案実装手法を適用し,計算機実験を行った.結果として,提案実装手法は従来の CPU による計算に対して 7.6~23.0 倍の高速化を達成した.
著者
松村 功徳
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

数10nm オーダーの金属粒子相と粒子表面の数nm の酸化物誘電体層を基本構造として持つ材料を作製した。この材料の電波透過特性と材料構造の関係を調べ、電波透過のメカニズムが金属粒子相間の電気的なパーコレーション現象に起因することを明らかにした。また、金属相粒子相直径と金属相体積率の関係を制御することにより、数10GHz の周波数帯域におい60%以上の電波透過率を持つ材料を実現した。特に、金属相の体積率が20%以上、試料暑さ1mm 以上の材料において、電波透過性を持つ誘電体と同等の電波透過率である透過率80%を実現できた。
著者
渡辺 航太 吉田 祐文 松村 崇史 相羽 整 八代 忍
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.31-34, 2004-01-01

19歳女.自転車運転中,乗用車に左側より衝突されて受傷した.多発肋骨骨折と血気胸,左上腕骨頸部骨折,左両下腿骨骨折,両肺挫傷と胸椎異常がみられ,更にTh8の脱臼骨折を認めた.受傷機転となった外力の加わった方向と椎体の転位方向に関して,全ての過去の報告の側方脱臼骨折例では脊柱変形の凸側に外力が加わっており,本例では凹側に加わっていた.ほかの全ては上位椎体は凹側に転位しているが本例では凸側に転位していた.本例では麻痺は伴っていなかったが,脊髄は脊柱管内に突出した骨片により圧迫されており,三つのcolumnが全て損傷している不安定骨折であったため,脊柱の安定性獲得と遅発性麻痺の予防のために手術を施行した.治療法決定には麻痺の程度や骨折型を十分に検討する必要があると考えられた