著者
宮新 美智世 松村 木綿子 石川 雅章
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.987-994, 1994
被引用文献数
2

歯髄切断法の術式と長期的臨床経過を検討することを目的として,外傷により歯冠破折をきたした幼若永久歯64歯に対して,歯髄切断後長期にわたり臨床的X線学的な経過観察を行った.患児は60名で初診時年齢は平均9歳3か月,経過観察期間は3年から19年まで平均10年1か月であった.その結果,46歯(72%)が経過良好であった一方,術後5年以内に歯髄炎もしくは歯髄壊死が18歯(28%)に認められたが,歯髄生存中は歯根形成の継続が見られた.X線写真上のdentin bridgeは58歯(91%)に,多くは術後1年以内に認められ始めた.うち12歯は歯髄炎または歯髄壊死に陥った症例であった.経過良好例のうち33歯に対しては,糊剤を除去してdentin bridge上における電気歯髄診断,抵抗値測定,糊剤の再貼布を試み,除去した糊剤を光学顕微鏡により観察した.この結果,修復物下には空隙,壊死組織などが観察された.dentin bridgeには穿孔もなく,その電気抵抗値には幅があった.dentin bridge直上での電気歯髄診断への反応値は歯冠上における値よりも小さい傾向があった.糊剤の再貼布後の異常はなかった.以上から,歯髄切断後におけるdentin bridgeの形成は必ずしも良好な予後を確約せず,糊剤を再貼布することや,術後経過を5年以上観察することが望ましいことが示唆された.
著者
松村 みち子 中村 文彦 田中 伸治 王 鋭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_1107-I_1117, 2014

一般道路の路上に高齢者等の運転者が駐車できる「高齢運転者等専用駐車区間制度」が,わが国で2010年4月に導入された.本制度は日常生活に必要な施設の直近に,安全で快適な駐車環境を提供することで高齢運転者等を支援するものである.公共施設等の路外駐車場の移動制約者用駐車スペースとは異なり,対象車両が明確化され罰則もある.本研究では,事例として神奈川県における高齢運転者等専用駐車区間を取り上げ,利用実態,周辺施設の駐車場の整備状況,目的施設への公共交通によるアクセスのしやすさ等を併せて調査し,制度の導入効果を評価する.高齢者のモビリティを確保する上での課題や方策についても整理してみた.
著者
松村 暢隆
出版者
關西大學文學會
雑誌
關西大學文學論集 (ISSN:04214706)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.143-171, 2016-12

日本学術振興会科研費(基盤研究 (C):26381345,研究代表者:松村暢隆)
著者
松村 暢隆 西村 優紀美 小倉 正義 田中 真理 桶谷 文哲 柘植 雅義
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

発達障害/学習困難児者の、得意・興味等の才能面を活かせる支援の体制・方法と、学校間の連携の在り方に関して、多方面の視点から調査、資料収集、プログラム実施を進めた。(1)シアトル市の教育委員会及び公立小中学校を訪問して、2E教育プログラムの実践研究の実態調査を進めた。2E教育として、才能教育と特別(支援)教育担当部署が連携して、家庭環境や障害の多様性のある児童生徒に公正なプログラムが実施されている様子が見て取れた。発達多様性のある「不協和感のある才能(GDF)児者」の特性を把握するために、自己評定「GDFチェックリスト」を開発して、6因子が見出された。(2)富山大学で発達障害のある高校生に向けた大学進学プログラム「チャレンジ・カレッジ」を開催した。「大学の障害学生支援」について説明を行い、発達障害学生から当事者の視点で大学の授業の一端が説明された。大会シンポジウムで、このような大学体験イベントは、支援ニーズのある高校生・保護者が大学に主体的に繋がれる貴重な場であることが共有された。また発達障害のある生徒の中で病弱や精神的な不調により入院・在宅を余儀なくされる生徒とその家族へのインタビューを行った。学習保障とクラスの仲間意識を育てるための取り組みの必要性を感じた。(3)一昨年度から実施してきた徳島県内の高校での教育相談体制・特別支援教育体制、および鳴門教育大学での体制整備・教職員への啓発・学外連携の在り方の検討を継続して行い、進展が見られた。加えて本年度は読み上げソフトなどのICTの通常学級への導入を促進するための研究、およびGDF児者に関する研究を開始し、一定の成果を得た。(4)大学進学を目指す中学生を対象として、自分の障害特性に関する理解とそれに基づいた事例検討を進めた。自己評価、他者に映る自己評価、他者評価との関連の中で、自己理解の様相を把握していくことの意義が示された。
著者
松村 翼 鳩山 紀一郎 木村 大地 佐野 可寸志 Faniya SULTANOVA Valentina BARABANSHCHIKOVA
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.A_1-A_7, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
13

本研究は、渋滞下のドライバーに対して適当な副次課題を与えることにより、ドライバーの精神疲労や知覚時間が軽減されるだけでなく、運転のパフォーマンスが向上する可能性にも着目し、ドライバーが運転操作以外の副次課題を行うことの影響を明らかにすることを目的とする。具体的には、渋滞下での運転操作を模した室内実験環境において 15 分間にわたり 4 種類の副次課題を課す実験を行い、その影響を反応遅れ時間や多角的な心理指標によって計測を試みた。結果として、副次課題によって注意レベルに明確な差異は生じない一方、受動的な副次課題は知覚時間を増大させ、能動的な副次課題は短縮させる効果がみられた。また、「会話をする」という能動的な副次課題は、男性のストレス及び疲労は軽減させるが、女性の場合は増大させる可能性が明らかとなった。
著者
松村 真宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回全国大会(2012)
巻号頁・発行日
pp.1P2OS9a5, 2012 (Released:2018-07-30)

仕掛学の根底には「副作用性」がある[松下11]。本稿では、なぜ主作用ではなく副作用なのか、主作用と副作用は本質的に何が違うのか、という問いへの答えとして、双対問題としての仕掛学について考察する。社会的課題からなる目的関数とその制約条件からなる仕掛学のラグランジュ方程式に対し、主問題の解が主作用を利用するものであり、双対問題の解が副作用を利用するものであるとする考えについて述べる。
著者
松村 憲太郎 澳本 定一 井下 謙司
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1256-1265, 2016-11-15 (Released:2017-11-15)
参考文献数
32

目的:高尿酸血症における血管内皮機能障害と高ホモシステイン血症との関連性について検討した. 対象と方法:血清尿酸と血漿総ホモシステイン(tHcy)を同時測定した1396例(尿酸降下薬非服用1209例,服用187例)中,非服用例(男性493例,女性716例,平均72±14歳)を対象にした.血清尿酸値7.0 mg/dL<を高尿酸血症とした.血清尿酸値8.0 mg/dL以上で尿酸降下薬を投与した174例で治療前後6カ月の諸指標の変化を検討した.検査項目は血液生化学検査,血清脂質,血漿tHcy(nmol/mL),上腕動脈FMD(flow-mediated dilation:%). 結果:高尿酸血症は9.2%(男性14.0%,女性5.9%,p=0.000)にみられた.尿酸降下薬服用例を含めた高尿酸血症発生頻度は21.4%(男性31.6%,女性13.1%,p=0.000)であった.血清尿酸を従属変数とする重回帰分析でBMI,eGFR,中性脂肪,血漿tHcyが有意独立変数であった.血漿tHcyは高尿酸血症群16.4±8.8,非高尿酸血症群12.6±7.9(p=0.000),高感度CRPは高尿酸血症群で有意に高かった.FMDは高尿酸血症群4.2±2.9%,非高尿酸血症群5.7±2.9%(p=0.000).治療前後で血漿tHcyは13.5±7.1→11.7±6.3(p=0.005),高感度CRPは0.296±0.345→0.172±0.177 mg/dL(p=0.000),FMDは4.3±2.4→6.0±2.5(p=0.000)へ変化した. 結論:高尿酸血症では血漿tHcyとCRPが増加しており,慢性炎症による血管内皮機能障害がみられた.尿酸降下薬で血漿tHcyが低下し,血管内皮機能が改善した.
著者
松村 葵 建内 宏重 永井 宏達 中村 雅俊 大塚 直輝 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Aa0153, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 上肢拳上動作時の肩関節の機能的安定性のひとつに肩甲骨上方回旋における僧帽筋上部、下部線維と前鋸筋によるフォースカップル作用がある。これは僧帽筋上部、下部と前鋸筋がそれぞれ適切なタイミングでバランスよく作用することによって、スムーズな上方回旋を発生させて肩甲上腕関節の安定化を図る機能である。これらの筋が異常な順序で活動することによりフォースカップル作用が破綻し、肩甲骨の異常運動と肩関節の不安定性を高めることがこれまでに報告されている。しかし先行研究では主動作筋の筋活動の開始時点を基準として肩甲骨周囲筋の筋活動のタイミングを解析しており、実際の肩甲骨の上方回旋に対して肩甲骨周囲筋がどのようなタイミングで活動するかは明らかとなっていない。日常生活の場面では、さまざまな運動速度での上肢の拳上運動を行っている。先行研究において、拳上運動の肩甲骨運動は速度の影響を受けないと報告されている。しかし、運動速度が肩甲骨周囲筋の活動順序に与える影響については明らかになっておらず、これを明らかにすることは肩関節の運動を理解するうえで重要な情報となりうる。本研究の目的は、上肢拳上動作の運動速度の変化が肩甲骨上方回旋に対する肩甲骨周囲筋の活動順序に与える影響を検討することである。【方法】 対象は健常男性10名(平均年齢22.3±1.0歳)とした。表面筋電図測定装置(Telemyo2400, Noraxon社製)を用いて僧帽筋上部(UT)・中部(MT)・下部(LT)、前鋸筋(SA)、三角筋前部(AD)・三角筋中部(MD)の筋活動を導出した。また6自由度電磁センサー(Liberty, Polhemus社製)を肩峰と胸郭に貼付して三次元的に肩甲骨の運動学的データを測定した。動作課題は座位で両肩関節屈曲と外転を行った。測定側は利き腕側とした。運動速度は4秒で最大拳上し4秒で下制するslowと1秒で拳上し1秒で下制するfastの2条件とし、メトロノームによって規定した。各動作は5回ずつ行い、途中3回の拳上相を解析に用いた。表面筋電図と電磁センサーは同期させてデータ解析を行った。筋電図処理は50msの二乗平均平方根を求め、最大等尺性収縮時の筋活動を100%として正規化した。肩甲骨の上方回旋角度は胸郭に対する肩甲骨セグメントのオイラー角を算出することで求めた。肩甲骨上方回旋の運動開始時期は安静時の平均角度に標準偏差の3倍を加えた角度を連続して100ms以上超える時点とした。同様に筋活動開始時期は安静時平均筋活動に標準偏差の3倍を加えた値を連続して100ms以上超える時点とした。筋活動開始時期は雑音による影響を除外するために、筋電図データを確認しながら決定した。筋活動のタイミングは各筋の筋活動開始時期と肩甲骨上方回旋の運動開始時期の差を求めることで算出し、3回の平均値を解析に用いた。統計処理には各筋の筋活動開始時期と肩甲骨上方回旋の運動開始時期の差を従属変数とし、筋と運動速度を要因とする反復測定2元配置分散分析を用いた。事後検定として各筋についてのslowとfastの2条件をWilcoxon検定によって比較した。有意水準は0.05とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には研究の内容を十分に説明し同意を得た。なお本研究は本学倫理委員会の承認を得ている。【結果】 屈曲動作において、slow条件ではAD、UT、SAが肩甲骨上方回旋よりも早く活動を開始していた。一方でfast条件では全ての筋が上方回旋よりも早く活動を開始していた。分散分析の結果、筋と運動速度の間に有意な交互作用が得られ(p<0.01)、事後検定の結果、運動速度が速くなることでMTの筋活動は有意に早く開始していた。外転動作において、slowではMD、UT、MT、SAが肩甲骨上方回旋よりも早く活動を開始していた。一方でfastでは全ての筋が上方回旋よりも早く活動を開始していた。分散分析の結果、筋と運動速度の間に有意な交互作用が得られた(p<0.05)。事後検定の結果、運動速度が速くなることでMTとLTの筋活動が有意に早く開始していた。【考察】 本研究の結果、運動速度を速くすることで屈曲動作においてMTが、また外転動作においてはMTとLTの筋活動のタイミングが早くなることが明らかとなった。また運動速度を速くすると、肩甲骨の上方回旋の開始時期よりもすべての肩甲骨固定筋が早い時期に活動し始めていた。これは運動速度が肩甲骨固定筋の活動順序に影響を及ぼすことを示唆している。拳上動作の運動速度を増加させたことにより、速い上腕骨の運動に対応するためにより肩甲骨の固定性を増大させるような戦略をとることが考えられる。【理学療法学研究としての意義】 本研究の結果、運動速度に応じて肩甲骨固定筋に求められる筋活動が異なることが示唆され、速い速度での拳上動作では、肩甲骨の固定性を高めるために僧帽筋中部・下部の活動のタイミングに注目する必要があると考えられる。
著者
松村 翼 鳩山 紀一郎 木村 大地 佐野 可寸志 Faniya SULTANOVA Valentina BARABANSHCHIKOVA
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.A_1-A_7, 2021

<p>本研究は、渋滞下のドライバーに対して適当な副次課題を与えることにより、ドライバーの精神疲労や知覚時間が軽減されるだけでなく、運転のパフォーマンスが向上する可能性にも着目し、ドライバーが運転操作以外の副次課題を行うことの影響を明らかにすることを目的とする。具体的には、渋滞下での運転操作を模した室内実験環境において 15 分間にわたり 4 種類の副次課題を課す実験を行い、その影響を反応遅れ時間や多角的な心理指標によって計測を試みた。結果として、副次課題によって注意レベルに明確な差異は生じない一方、受動的な副次課題は知覚時間を増大させ、能動的な副次課題は短縮させる効果がみられた。また、「会話をする」という能動的な副次課題は、男性のストレス及び疲労は軽減させるが、女性の場合は増大させる可能性が明らかとなった。</p>
著者
原田 将 松村 浩貴 古川 裕康
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.98-108, 2021-06-30 (Released:2021-06-30)
参考文献数
33

本研究の目的は,ブランド・コミットメントに及ぼす消費価値の交互作用効果を明らかにすることである。先行研究は,消費価値を構成する各価値と購買態度・行動との関係について検討してきたが,各価値間の交互作用効果を考慮していなかった。そこで,本研究は,消費価値における機能的価値,感情的価値,社会的価値の交互作用を考慮し,それらがランニングシューズのブランド・コミットメントに与える影響について検証した。研究の結果,ブランド・コミットメントに対する各価値間の交互作用効果が明らかになった。
著者
伊藤 愼介 村井 翔 北虎 叡人 松村 真宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.4B1OS23a3, 2017

<p>本稿では、大阪大学の待兼山に自生している竹林を阪大坂のブランディングに利用する試みとして行ったイベント「流しそうめん@阪大坂」について報告する。地域住民と一緒に竹林に入って竹の伐採、搬出、加工を行って約30メートルの流しそうめん台を阪大坂に設置し、そこに地元商店街が用意したそうめんを流した。地元商店街と地域住民と阪大生との交流、竹林の維持管理、阪大坂の有効活用が達成され、竹林の再価値化を実現した。</p>
著者
松村 高夫
出版者
慶應義塾経済学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.552(148)-557(153), 1979-08

書評
著者
上野 直樹 古沢 剛 松村 飛志 澤田 浩二
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.C16, 2007

グラフィティとは、ビルの壁や地下鉄へ不法に描かれた壁画もしくは文字のことである。日本では最近、渋谷地区で合法なグラフィティを支援する活動がNPO 法人Kompositionによって行われ始めている。Kompositionの活動は、ビルや公園の壁にグラフィティを描かせてもらうために渋谷区役所やビルオーナーと交渉を行うといったことである。今回私たちはKompositionの活動を支援するためにGoogle Maps APIを利用して渋谷グラフィティマップをデザインした。渋谷グラフィティマップはKompositionの人々とグラフィティ文化のファンたちを繋ぎ、渋谷地区に描かれたグラフィティへのアクセスを容易にするツールとして見なすことができるだろう。
著者
天谷 賢児 宝田 恭之 松村 修二 澁澤 香代 小曽根 操 宗村 正弘 根津 紀久雄 大沢 善康
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会大会講演要旨集 (ISSN:24238317)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.292-293, 2012

Micro hydroelectric generation facilities with battery systems were developed for the electric power supply of the EV and micro-EV. Micro-EV was developed as single driver vehicle for the town use only. These vehicles were used for the CO_2 reduction experiments and for the enhancement of regional community power. Solar energy systems were also used for mobility of micro-EV. In this paper, the some experimental trial about the EV utilization for the community development is reported.
著者
小宮 貴子 海瀬 博史 山田 公人 石川 孝 松村 一
出版者
一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会
雑誌
Oncoplastic Breast Surgery
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.8-16, 2019

<p>乳頭乳輪 (Nipple-areolar complex : NAC) 再建は, 乳房再建の仕上げの手術である。NACは乳房の象徴でもあり, これを再建することで乳房は完成し, 患者の再建への満足度は高くなる。NAC再建では突出度・色・形・サイズ・質感・位置の左右対称性が求められる。再建方法には乳頭移植+乳輪tattoo, 乳頭局所皮弁+乳輪tattoo, 乳頭局所皮弁+大腿植皮, 乳頭移植+乳輪移植, 乳頭移植+鼠径部陰部植皮, three-dimensional tattoo (3D tattoo) の6パターンがある。健側NACの形態 (乳頭と乳輪の大きさ・形) と, 再建乳房の状態 (放射線照射・形態) から医学的に適応とされる術式を選択し, さらに患者の背景や希望 (授乳予定・メスを入れてよいか・費用と時間等) を加えて最善な術式を選択することで, 患者満足度はさらに上がる。</p>