著者
山本 健 片岡 厚 古山 安之 松浦 力 木口 実
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.320-326, 2007 (Released:2007-11-28)
参考文献数
7
被引用文献数
6 8

紫外線から可視光線(278~496 nm)を波長幅約20 nmに分光して6樹種の木材に照射し,照射光の波長と材の変色との関係を調べた。照射前のCIELAB色空間におけるL* 値が70以上,a*値が8未満の淡色材には,紫外域での暗・濃色化と,可視域での明・淡色化が見られた。厳密には,暗・濃色化と明・淡色化の境界波長は樹種によって異なり,針葉樹では,境界波長が広葉樹よりもやや長波長側に見られる傾向があった。一方,照射前のL* 値が70未満,a* 値が8以上の濃色材の変色パターンは複雑であったが,抽出処理後の照射では,淡色材の変色傾向にやや近づく傾向が見られた。照射前の木材の色調と分光照射による変色の関係について,照射前のL* 値が小さい材ほど短波長の光でL* 値が減少から増加に転じ,照射前のa* 値が大きい材ほど短波長でa* 値が増加から減少に転じる傾向があった。しかし,b* 値にはこのような関係は見られなかった。
著者
松浦 誠
出版者
三重大学生物資源学部
巻号頁・発行日
no.22, pp.89-135, 1999 (Released:2011-03-05)
著者
松浦 加奈子
出版者
都留文科大学
雑誌
都留文科大学研究紀要 = 都留文科大学研究紀要 (ISSN:02863774)
巻号頁・発行日
no.87, pp.79-96, 2018-03-01

This paper examines how children regarded as having developmental disabilities become children with developmental disabilities by focusing on the practices for “special consideration” in the relationship between those special children and other children in the classroom. By studying learning scenes with teachers as the object of research, this paper clarifies the intended discipline in the classroom and observes mutual interaction for “special consideration” to be possibly performed. As a result of the analysis, the following three points are revealed. First of all, teachers perform “special consideration” by not cautioning a student for his or her problem behaviors such as running away from a classroom but approving “what he or she can do” in front of the class members; thus, such student can be eventually differentiated. Secondly, not all class members always expect practice of “supporting each other” based on teachers’ perspective on education. At last, when a class has more than one student with development disabilities, the relation with their parents as well as the characteristics of those children with special needs is necessarily for “special consideration” to be possibly performed. In addition, this study shows how “special consideration” especially for students with development disabilities becomes available in the classroom with other students with other problem behaviors; consequently, it also points out teachers’ struggle to practice their perspective on education and maintain classroom discipline.
著者
竹内 若菜 松浦 裕司 櫻谷 眞佐子 山村 仁
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.935-941, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
7

目的:本研究では小児の年齢や身長・体重に応じ適切な医療資器材や薬剤投与量を記載した小児用のファイルをドクターカーに導入し,その有用性を検討することを目的とした。方法:2014年7月〜2021年7月の期間における14歳以下の小児のドクターカー出動症例のうち,気管挿管とアドレナリン投与を要した心肺停止症例を対象とした。小児ファイルの使用の有無で,挿管チューブ挿入長・帰院後のチューブ調整の有無を比較検討した。アドレナリン投与量に関しては,体重が不明な現場での投与量が許容範囲内であったかを検討した。また,同乗看護師に対してアンケート調査を行った。結果:小児ファイル使用群で,位置不良で再調整を行った症例が減少した。アドレナリン投与量に関しても,許容範囲内で投与できていた。アンケート結果からは,ファイルを参照したことで,診療チーム内での認識統一や,準備時の混乱の軽減につながっていたことが明らかとなった。結論:小児ファイルはプレホスピタルにおいて,医療資器材や薬剤の準備と診療を正確に行うことにつながり有用であった。
著者
曽我部 功二 河田 正仁 小平 睦月 加藤 幸範 瀧上 雅雄 黑田 優 松浦 岳司 松本 晃典 平山 恭孝 足立 和正 松浦 啓 坂本 丞
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.656-660, 2018-06-15 (Released:2019-06-20)
参考文献数
8

症例は56歳男性.来院5年前に十二指腸癌で十二指腸切除を受けていた.見当識障害,両下腿浮腫,歩行障害で脳外科から紹介された.心拍数120/分で胸部X線ではうっ血と胸水を認めた.心エコー図では収縮能の低下は認めなかった.末梢神経障害を認め,脚気心を疑い,血中ビタミン濃度測定提出後,総合ビタミン剤を含んだ点滴を開始した.翌日には下腿浮腫は消失した.長谷川式簡易知能評価スケールは入院時の21点から第4病日には25点に改善した.入院時のビタミンB1は11 ng/mLと低値であった.持参MRIでは両側乳頭体と中脳水道周囲が軽度high intensityを呈した.以上より,十二指腸切除後5年で発症したWernicke-Korsakoff症候群を伴った脚気心と診断した.腸管切除後,同時期にWernicke-Korsakoff症候群と心不全を伴った脚気心の両者を発症した例は稀なため報告する.

2 0 0 0 OA 石狩日誌

著者
松浦武四郎
出版者
巻号頁・発行日
1860
著者
松浦 章
出版者
関西大学出版部
巻号頁・発行日
2009-02-28
著者
松浦 茂樹
出版者
一般社団法人 日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.1-18, 2021-02-01 (Released:2022-05-09)
参考文献数
7

利根川の大分派川・江戸川は,1911(明治44)年度からの改修計画でその役割を大きく変えた。それまでの計画では,分派点上流での計画対象流量3,750m3/sのうち約26%の970m3/sが江戸川に分流され,河道工事を行う計画はなかった。だが,1910年の大出水後,分派点上流の計画流量は5,570m3/sに増大されたが,そのうち約40%の2,230m3/sが江戸川へ分流されることとなった。そして河道の拡幅とともに,流頭部にあった棒出しが撤去され,水閘門が設置された。江戸川工事費は,利根川改修工事費全体の約29%に及んだ。1911年度の計画改訂当時,利根川下流部では改修事業が行われていて,一部は竣工,一部は工事中であった。江戸川新計画策定のため,案として計画流量 1,400m3/sと2,230m3/sが比較検討された。計画流量を増大したら,それだけ 川幅は拡げなくてはならない。江戸川上流部では台地による狭窄部があり,また下流部では人家密集地があった。このため,計画流量を増大させることには工事費の観点から抵抗があった。だが,利根川下流部で手戻り工事をさせないためには江戸川計画流量を増大させねばならない。この結果,「心ならずも」 2,230m3/sと決定された。江戸川河道工事の重要な課題として舟運路の安定があった。水閘門は,そのために設置されたのである。1947(昭和22)年カスリーン台風による利根川氾濫による大水害後,利根川計画流量は分派点上流で14,000m3/sとされ,そのうち江戸川上流部では 5,000m3/sとされたため,再び河道拡幅が行われた。埼玉県西宝珠村の密集地が河道とされたが,西宝珠村から強い反対の声があがった。だが,建設省は住民側の要求をすべて受け入れるとして,用地買収が行われ,工事は進められた。

2 0 0 0 OA 東蝦夷日誌

著者
松浦武四郎
出版者
巻号頁・発行日
vol.1編,
著者
松浦,誠
出版者
東京昆蟲學會
雑誌
昆蟲
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, 1971-05-30

本稿では, 日本産のスズメバチ属(Vespa)ハチ類6種について, 1954年以来観察した350巣の記録をとりまとめた。1. Vespaでは種によって営巣場所に一定の選好傾向がみられ, 地上の非遮蔽空間を選好する種類と地上または地下の遮蔽空間を選好する種類に区別できた。2. 非遮蔽空間を選好する種類はV. analis insularisとV. xanthopteraの2種であった。前者は常に非蔽空間に営巣し, 86.0%(74/86)の巣は地表に近い草木の枝または茎に巣を設けた。後者のV. xanthopteraでは80.7%(134/166)の巣が非遮蔽空間にみられ, 68.1% (113/166)の巣は建造物の外部に営巣していた。また19.3% (32/166)の巣は地上または地中の遮蔽された空間に営巣しており, 邦産Vespa中, 営巣場所の選択にもっとも融通性を備えていた。3. 常に遮蔽空間に営巣する種類はV. crabro flavofasciata, V. tropica pulchraおよびV. mandariniaの3種であった。このうち前2種は地上および地下の広狭を問わず, いずれの遮蔽空間にも営巣していたがV. mandariniaでは常に地中の狭い既存空洞に営巣していた。4. V. simillimaはV. xanthopteraと同じように, 遮蔽空間および非蔽遮空間のいずれにも営巣していたが, どちらをより選好するかは, 観察例が少なく明らかでない。5. 非遮蔽空間選好種では, 外被は各巣盤を完全に被護しているが, 遮蔽空間選好種では, 外被は薄く下段の巣盤は被護されることなく常に露出していた。6. 営巣場所と方位との相関は各種ともみられなかった。7. 営巣場所の地表面よりの垂直距離についてみると, 空中巣のV. analis insularisでは2m以内の高さに84.5%の巣が分布していた。一方V. xanthopteraでは2∿7mの高さに79.5%の巣がみられた。遮蔽空間選好種のV. crabro flavofasciataとV. tropica pulchraの空中巣は4.5m以下にみられた。地中巣は, V. xanthoptera, V. crabro flavofasciata, V. tropica pulchraおよびV. mandariniaの4種とも, 地表より60cm以内の比較的浅い部分に分布していた。8. 地上または地中の遮蔽空間に建設された巣では, 営巣空間への入口と巣を結ぶ通路の長さは, 3∿420cmで, この間を巣の個体は歩行して巣に達した。9. 前年の同種の営巣跡に再び営巣を繰り返す例がV. xanthoptera, V. crabro flavofasciataおよびV. analis insularisの3種に観察された。10. Vespaの同種および異種間において1地域に相互に近接して営巣する例がみられた。
著者
藤原 俊哉 片岡 和彦 松浦 求樹 妹尾 紀具
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.753-759, 2008-07-15 (Released:2009-02-02)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

肺癌診療においてFDG-PET検査の有用性は知られているが,偽陽性,偽陰性症例も少なからず認められる.我々は,2005年7月~2007年6月までの2年間で良悪性診断または病期診断の目的でPET検査を行い,最終的に当施設で手術を施行した283症例を対象として,その有用性と問題点について検討した.内訳は男:女=156:127,平均年齢は66.3歳であった.良悪性診断の感度72.7%,特異度60.5%で,腫瘍径20mm以下のものでは偽陰性が多かった.組織型では肺胞上皮癌の成分を多く含む高分化腺癌や粘液の多い病変は多くの場合PET陰性であった.その一方で細胞密度の高い扁平上皮癌などは高感度に検出された.リンパ節転移診断は感度68.0%,特異度93.2%で特異度は高いものの偽陰性が多く,過小評価をする可能性があった.PET検査の有する長所,短所を十分理解し,臨床的に活用していく必要がある.特に腺癌では原発病巣が偽陰性を呈することが多く,CT診断と併せて手術適応を決定すべきである.
著者
植田 明彦 寺崎 修司 永沼 雅基 松浦 豊 橋本 洋一郎 平野 照之 内野 誠
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.461-464, 2004-09-25 (Released:2009-06-05)
参考文献数
10

症例は30歳男性.3年前よりソファーに寝そべり肘掛けから頭部を垂らし頸部を後屈させて,ドライヤーで髪を乾かす習慣があった.2002年12月2日,この姿勢で頸部を左に回旋させたところ,急に回転性のめまいが出現したため,当院を受診した.来院時,右注視方向性眼振,構音障害,顔面を含む右半身の温痛覚低下を認め,左延髄外側症候群を呈していた.MRIT2強調画像で左延髄外側に高信号域を認めた.左椎骨動脈V3部にMRIでinitimal flap,intramural hematomaを認め,脳血管造影では,string signを認めたため,椎骨動脈解離と診断した.近年,美容院での洗髪の際に頸部を後屈させた姿勢で発症する美容院卒中症候群(beauty parlor stroke syndrome)が注目されているが,本症例も同様の機序で発症したと考えられた.
著者
松浦竹四郎 著
出版者
巻号頁・発行日
vol.[7], 1860
著者
松浦 優
出版者
国際基督教大学ジェンダー研究センター
雑誌
Gender and Sexuality (ISSN:18804764)
巻号頁・発行日
no.15, pp.115-137, 2020-03-31

Judith Butler’s theory of melancholy gender echoes some findings inasexuality studies; however, it does not consider asexual agency. Thus, thisarticle aims to review Butler’s literature from the standpoint of asexualitystudies. I argue that Freudian theory denies the possibility of asexualitybecause of its hypothesis of primary narcissism. Similar to melancholia,primary narcissism has the “trace” of the object. However, Butler overlooksthe significant difference between melancholia and primary narcissism. Unlikemelancholia, primary narcissism is not marked by the experience of selfberatement;thus, it does not contain any affects that can be converted topolitical expression. In the system of compulsory sexuality, asexuality can besituated in a similar position. Based on the above points, I refer to theprohibition of homosexuality in melancholia as “foreclosure” and the denialof asexuality in primary narcissism as “erasure.” In this way, Butler’sframework is extended in order to theorize the possibility of resistance inasexuality.