著者
松浦 敏雄
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.12, pp.661, 2021-11-15

このコラムでは,主として高校でのプログラミング教育を想定して,プログラミングの面白さを伝えるにはどうしたらよいかについてお話しします.プログラミング教育の目的は,プログラミングの面白さ・難しさ(思い通りに動かないなど)を体験することを通して,コンピュータの本質に近づくことと考えています.具体的な目標は,自ら簡単なプログラムを組めるようになることです.この目的を少ない授業時間(50分×10回程度を想定)で達成するための具体的な方法を提案します.
著者
松浦 哲也 加納 正道
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.96-105, 2008 (Released:2008-10-16)
参考文献数
41
被引用文献数
1

動物行動の多くは,さまざまな環境要因によって決定される。また,それらのうちあるものは特定の刺激により発現し,しかも定型的である。コオロギは空気流刺激に対し,逃避行動をはじめとして飛翔や遊泳など,さまざまな行動を発現する。すなわち,発現する行動はコオロギのおかれた状況により大きく異なる。このことから,空気流刺激に対するこれらの行動は単なる反射ではないことがわかる。コオロギの腹部末端には尾葉と呼ばれる突起があり,尾葉上には多数の機械感覚毛が存在する。これら感覚毛の動きによって感覚ニューロンの活動へと変換された空気流情報は,腹部最終神経節内の複数の巨大介在ニューロンへと伝えられ統合される。巨大介在ニューロンの活動は,逃避行動の発現に重要な役割を担っている。本稿では,はじめにコオロギの逃避行動と尾葉上に存在する機械感覚毛および巨大介在ニューロンの反応特性について概説する。次に,巨大介在ニューロンの活動と逃避行動の関係,成長にともなうこれらニューロンの反応特性の変化について述べる。また,片側の尾葉を失ったコオロギの行動補償と,巨大介在ニューロンの可塑的性質に関する最近の知見も紹介する。コオロギの神経系の研究は,動物行動の神経基盤を理解する上で重要な手がかりになると考えられる。
著者
阿部 隆之 谷 英樹 松浦 善治
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.608-615, 2009 (Released:2010-02-16)
参考文献数
27

バキュロウイルスは,環状の二本鎖DNAを遺伝子に持っている昆虫を宿主とするウイルスであり,現在,大腸菌発現系と同様にさまざまな組換え蛋白質の発現系システムとして広く汎用されている.その一方で,近年,複製はしないが,広範囲な哺乳動物細胞にも感染できることが示され,新しい遺伝子導入ベクターとしての有用性が期待されている.これまでに,筆者らは,バキュロウイルスのウイルスベクターワクチンとしての評価を検討したところ,バキュロウイルス自身に哺乳動物細胞に自然免疫応答を誘発できることを見いだした.近年同定された,自然免疫認識分子であるToll様受容体は,さまざまな病原微生物由来の構成因子を認識し,炎症性サイトカインやインターフェロンを誘発して生体防御反応に寄与することが知られている.さまざまなToll様受容体およびそのシグナルアダプター分子であるMyD88を欠損した免疫細胞内では,バキュロウイルス感染に伴う炎症性サイトカインの産生が著しく減少することが示されたが,インターフェロンの産生は正常であることが確認された.Toll様受容体非依存的にインターフェロンを産生する分子としてRNAヘリケースであるRIG-IおよびMDA5が同定され,さまざまなRNAおよびDNAウイルス感染に対するインターフェロンの発現制御に関与していることが報告されている.しかしながら,バキュロウイルスによるインターフェロンの産生はこれらRNAヘリケースにも非依存的であることが示され,既報のシグナル経路とは異なる機序にてインターフェロンの産生が制御されている可能性が示唆された.
著者
松浦 健二
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.227-241, 2005-08-31 (Released:2017-05-27)
参考文献数
83

進化生物学においてHamilton(1964)の血縁選択説の登場は、Darwinの自然選択説以降の最も重要な発展の一つである。本論文では、この40年間の真社会性膜翅目とシロアリの研究を対比しながら、昆虫における真社会性の進化と維持に関する我々の理解の進展について議論する。まず、真社会性膜翅目の性比に関する研究により血縁選択説の検証が行われていった過程について概説する。一方、シロアリにおける真社会性の進化に関して、血縁選択の観点からのアプローチを紹介し、その妥当性も含めて議論する。なぜ「性」が進化し、維持されているのか。この間題は古くから、そして現在も最も重要な進化生物学の課題の一つである。実は真社会性の進化と維持の問題は「性」の進化と維持の問題と密接な関係にある。社会性昆虫の社会は血縁者に対する利他行動で成立しており、血縁度の側面から社会進化を考えるならば、コロニー内血縁度の低下を招く有性生殖よりも、いっそ単為生殖の方が有利なはずである。つまり、真社会性の生物では、ほかの生物にも増して単為生殖によって得られる利益が大きく、それを凌ぐだけの有性生殖の利益、あるいは単為生殖のコストが説明されなければならない。現在までに報告されている産雌単為生殖を行う真社会性昆虫に関する研究をレビューし、真社会性昆虫にとっての有性生殖と単為生殖の利益とコストについて議論する。
著者
松浦政泰 訳註
出版者
東西社
巻号頁・発行日
vol.第四編, 1908
著者
大久保 智生 堀江 良英 松浦 隆夫 松永 祐二 永冨 太一 時岡 晴美 江村 早紀
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.112-125, 2013 (Released:2017-06-02)

本研究の目的は、香川県内の事業所の店長と店員を対象に聞き取り調査を行い、万引きの実態と万引きへの対応と防止対策の効果について検討することであった。香川県内の店舗の店長90名と店員110名が聞き取り調査に参加した。店長を対象とした聞き取り調査の結果、業種によって万引きの実態も対応や防止対策も異なっていた。また、対応では学校への連絡が効果的であり、防止対策ではソフト面の整備が効果的であることが明らかとなった。店員を対象とした聞き取り調査の結果、アルバイト・パートは、万引きを見た経験がないことが多く、防犯意識が低かった。万引きの多い店舗では、万引きに関する規範意識が低かった。以上の結果から、店舗全体で万引き防止に対する意識を高めていくことの必要性が示唆された。
著者
松浦 健治郎 日下部 聡 横田 嘉宏 山口 庸介 浦山 益郎
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.70, no.588, pp.87-94, 2005-02-28 (Released:2017-02-11)
参考文献数
32
被引用文献数
4 2

This paper aims to clarify how to form Civic Center in Castle area in relation to Castle-Towns basis analyzing cases of prefectural capital 17 Cities based on Japanese Castle-Towns from Meiji and Taisho era to the early Showa era. Findings are as follows: 1) Government and municipal offices tended to be dispersed, 2) The whole government and municipal offices tended to be located outside Castle area, but those which formed Civic Center tended to be located inside Castle area, 3) Paying attention to "Class" and "Axis" as space elements of making Castle area, as a result of analyzing relationship between those and Civic Center, we discover various Urban Design method of Civic Center such as Discrimination by locating Prefectural office in the site of the main enclosure of a castle and making identified and symbolic Urban Space by locating government and municipal offices together along moat or skirts of a mountain or main streets.
著者
松浦 啓一
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.5-11, 2011-08-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
6

Taxonomy is recognized as an important infrastructure of biodiversity research and nature conservation. However, taxonomy itself has been declining in terms of number of taxonomists and expertise covering various taxonomic groups. The animal taxonomy in Japan is not an exception. How can animal taxonomists improve this situation? This paper provides several suggestions including basic assessments on animal taxonomy in Japan (e.g., number of taxonomists and number of specialists on various animal taxa), making a nation-wide list of animals in Japan, research projects by groups of different specialists covering different animal taxa, and using biodiversity databases to implement new researches on distribution and phylogeography.

3 0 0 0 OA 西蝦夷日誌

著者
松浦武四郎 著
出版者
多気志楼
巻号頁・発行日
vol.初,2編, 1872
著者
松浦 出 和泉 潔 坂地 泰紀 松島 裕康 島田 尚
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1P2J1301, 2019 (Released:2019-06-01)

インデックス投資が市場の価格形成に与える影響を調べるため,証券市場とその参加者,価格決定をモデル化した.そのモデル上でインデックス投資が価格形成にほとんど影響を与えないことをシミュレーション実験により示した.
著者
寺本 渉 松浦 雄斗 浅井 暢子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第10回大会
巻号頁・発行日
pp.7, 2012 (Released:2012-07-20)

本研究では,社会的サイモン効果を指標として,バーチャル・リアリティ(VR)空間に提示される他者を身近に感じる程度,すなわち,臨(隣)人感を計測した。被験者は,別室にいる実験協力者とともに,ヘッドマウントディスプレイを通じて共通のVR空間を観察した。被験者の課題は,決められた色の球が画面の左手前または右奥に呈示された瞬間にできるだけ速く,反応キーを押すことであった。この課題中には画面右奥に他者(実験協力者)のアバターを表示した。実験では課題前にVR空間内で他者とコミュニケーションを取らせるとともに,他者の実際の頭部位置をアバターに反映させる条件と,コミュニケーションをせず,静止アバターを呈示する条件を設けた。その結果,他者の存在が十分に認識できたと考えられる,前者の条件でのみ,社会的サイモン効果が生じた。これは,VR空間内において,他者があたかも隣にいるように感じられていたことを示す。
著者
河上 淳一 後藤 昌史 松浦 恒明 寄谷 彩 政所 和也 永松 隆 今井 孝樹 烏山 昌起 原田 伸哉 工藤 憂 志波 直人
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11783, (Released:2020-09-08)
参考文献数
26

【目的】本研究の目的は,腱板断裂患者に対し患者立脚評価を用いた治療方針の予測をすることである。【方法】対象は腱板断裂患者229 名で,初診1 ヵ月以降の治療方針(手術または保存)を目的変数,患者立脚評価を説明変数とした決定木分析と傾向スコア分析を行い,治療方針のオッズ比を算出した。【結果】決定木分析にてもっとも手術療法が選択される手術療法傾向群と,もっとも保存療法が選択される保存療法傾向群に分け,それ以外を中間群とした。傾向スコア分析を考慮したオッズ比は,保存療法傾向群に対して手術療法傾向群で11.50 倍,中間群に対して手術療法傾向群で3.47 倍の手術療法が選択された。【結論】腱板断裂患者の治療方針の予測には,SST における4 つの質問の重要性が示唆された。
著者
松浦 晶子
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.100, no.3, pp.1-29, 2018-12

This article attempts to clarify the realities of Song Dynasty court music in terms of music history rather than as part of scientific, intellectual, or political history. It focuses on changes to the form of chime bells (bianzhong)—the core court music instrument—discussed in great detail by Northern Song Dynasty bureaucrats, and analyzes their musical significance. Since pre-Qin times, chime bells had a form that featured rows of studs or bosses on the bells’ surface that served to deaden reverberations. Their sides were flattened, and they were hung at an angle. Consequently, the bells had little sustained and in musical performance did not blend in with the other instruments. However, during Northern Song Emperor Renzong’s reign (r. 1022-1063), the official charged with reforming music institutions, Li Zhao, altered the instrument by making bells rounder and hanging them straight down. This changed their sound. The notes now lingered much longer and the sound became one that shrouded those of the other instruments. Two of Li’s successors, Tuan Yi and Hu Yuan, made further alterations of the same sort. They also changed the sizes of the bells. While the sizes of individual bells since pre-Qin times had varied, Tuan and Hu now divided them into two size-based classes and changed individual bell size so they roughly conformed to one or the other class. Some previous research on these instruments has been skeptical about these changes, wondering if they had made the bells impossible to play as musical instruments. However, it is clear from the historical record that—regardless of whether those made by Li or those made by Tuan and Hu are the subject—these changes were made with due consideration given to the bells’ musical function. The true significance of these alterations is that they indicate there was a change in the elements that comprise music, namely rhythm, harmony, and melody; namely, they show that the role of the bell-chimes in the musical performance as a whole had changed. We may surmise that the musical sensibility of people during Song had changed in a way that would have been unacceptable going back to pre-Qin times, and that this was accompanied by a major change in the musical landscape of court music.