著者
大林 稔 落合 雄彦 松浦 さと子 遠藤 貢 武内 進一 牧野 久美子 戸田 真紀子 栗本 英世 船田クラーセン さやか 川端 正久 児玉谷 史朗 高橋 基樹
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、現代アフリカ社会のダイナミズムにおけるメディアの位置と機能を確定するための基礎的作業であり、90年代以降のアフリカの構造変化に、メディアの発展がどのような影響を及ぼしているかを検証するものである。上記の研究目標達成のため、サハラ以南アフリカ数カ国(フランス語圏二カ国を含む)で、現地研究者の協力を得て進められた。アフリカにおけるメディアの発展史の整理、政治・社会的発展、特に民主化・紛争・経済の自由化及び開発との相互関係を主なテーマとした。またメディアの種類として、新聞・ラジオ・テレビ・携帯電話を含むICTを対象としたが、伝統的な口誦(oral)および筆記(chirographic)メディアは扱わなかった。そこから次のような成果を得た:(1)1990年代の政治的自由化前後より、メディアは政治過程に大きな影響を及ぼすようになった。(2)メディア自由化は一直線には進まず、その速度と深度は政府と市民社会の力関係に依存する。(3)メディアの自由化が始まってから、旧メディア市場への新規参入と新メディアの発展により、メディアの数と種類の増加、到達範囲の拡大が著しい。(4)メディアの発展は情報アクセス量を増加させたが、都市と農村、貧富の格差は縮小していない。(5)自由化により政治以外の分野でもメディアの役割に関心が広がった。とりわけ開発におけるメディアの重要性が認識されるようになった。(6)メディアが社会と(エリートではなく)普通の人々の行動に影響を及ぼし始めている。(7)メディアの今後の発展には、自由化の徹底と人材育成および経営基盤の確立が重要だ。本研究は、メディア自由化の進展により、社会経済発展において情報とそれを伝達するメディアの重要性が増加していることに注意を向けた。今後、政治・経済・文化・社会・開発など全ての分野におけるアフリカ研究において、メディアと情報の役割はますます重要となると思われ、研究の提示した視角は今後の研究発展に貢献できるものと考える。メディアの多様化と情報アクセスの増加につれて、今後、人々とメディアが相互にどのように影響しあっていくのかが注目される。
著者
竹村 明子 小林 稔
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.426-437, 2010-12-30
被引用文献数
1

本研究の主な目的は,親の家庭での関わりを規定する要因を明らかにすることであった。そのために,小学1・3・5年生の保護者525名を対象に,規定要因として親の動機づけ要因(効力感)および子育てに関して親が認知する家庭状況(時間や気力の心理的余裕,知識や技術の所有感,経済的余裕)を取り上げ,家庭での関わりの4側面(文化活動,勉強,しつけ,生活習慣)との関係について調べた。その結果,子と関わる時間や気力に心理的余裕がある,および子育ての知識や技術を持つと親が認知することが,親の家庭での関わりを説明することが明らかとなり,親が認知する家庭状況が親の関わりを規定する重要な要因であることがわかった。さらに,親として子に関わる効力感が高くても,時間や気力の心理的余裕または知識や技術の所有感が低いと親が認知する状況では,親の関わりが低下することが示唆された。また,子の放課後時に毎日不在と答える親は時間や気力の心理的余裕が低く,母子家庭の親は子育てに関する経済的余裕が低いことが明らかとなり,このような親の状況が間接的に親の家庭での関わりに影響していることが示唆された。
著者
玉木 秀和 東野 豪 小林 稔 井原 雅行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.35-45, 2013-01-01

Web会議に代表される小規模な遠隔会議システムは利用や導入の手軽さがあるが,映像,音声の品質に制限があるため,大規模で高精細な遠隔会議システムに比べ,円滑な会話がしづらい.Web会議システムを用いて,司会者のいない創造会議を実施すると,複数の参加者の発話が衝突してしまうことが多い.我々はWeb会議において発話の衝突を低減し,快適な会話を実現することを目標に研究を進めているが,発話衝突の原因とその影響は明らかになっていない.本論文では,音声会議において,発話衝突の原因の一つと考えられる音声遅延量を変化させることで,発話衝突確率の変化と,それによる精神的ストレスを測定する実験を行った.実験の結果,音声遅延量が600msの条件で発話衝突確率が最大となり,その後減少することが分かった.また発話衝突による精神的ストレスは,音声遅延量が増えるほど増加するという結果が得られた.
著者
天白 成一 三木 睦明 岸田 大輔 中林 稔堯
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.486, pp.73-78, 2007-01-19
参考文献数
4

自閉症児向けに開発したコミュニケーション支援ツール「ピクチャーエイド」について研究開発の背景と使用例に関して報告する.
著者
有賀 玲子 前田 篤彦 小林 稔
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.119-128, 2012

Consumers are very keen to communicate with a richer set of media and 3D shape is a very intuitive and powerful means of communication. Recently, users and developers have become more interested in capturing, in 3D, things that currently exist. New services will emerge if consumers can access 3D capture devices that are low cost and low effort. Existing 3D scanners take too long and are difficult to set up. We propose a box type capture device with which anyone can rapidly capture whole surfaces of target objects without any complicated operations. This paper proposes the three basic technologies of the capture device and demonstrates their feasibilities.
著者
竹村 明子 小林 稔 Takemura Akiko Kobayashi Minoru
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.215-224, 2008-08

本研究は,親子関係と児童の学習動機の関係について明らかにするために自己決定理論(Deci & Ryan, 1985)を基に,学習動機を4水準の自己決定性-内発調整(楽しいから勉強をする),同一化調整(大切なことだから勉強をする),取入調整(恥ずかしい思いをしないために勉強をする),外的調整(親や先生に言われるから勉強をする)-に分け,親子ペアを対象に児童の4水準の自己決定性と親との信頼関係および親の家庭での関わりについて調べた。先ず,小学3~6年生173名のデータを用いて,子が認知する親との信頼関係と4水準の自己決定性の間の相関分析を行った。その結果,親との信頼関係が良好と認知するほど児童の内発調整および同一化調整が高いことが明らかとなった。次に,親子ペア141組のデータを用いて,親の家庭での関わりと児童の4水準の自己決定性の間の相関分析を行った。その結果,①親が子への経済的支援を惜しまず,将来について会話するほど児童の自己決定性は高くなること,②親が子と伴に文化的活動に関わるほど児童の内発調整は高くなること,③親が子の生活習慣の形成に関わるほど児童の同一化調整は高くなること,などが見出された。
著者
川端 正久 勝俣 誠 原口 武彦 大林 稔 落合 雄彦 望月 克哉
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

平成9年度は日本側研究者とナイジェリア側研究者との共同研究を主たる内容とした。研究項目は「変貌する西アフリカとナイジェリア」および「世界の中の西アフリカとナイジェリア」であった。日本側研究者とナイジェリア側研究者は共同研究シンポジウム(1997年12月、ナイジェリア国際問題研究所)を開催した。現地調査を実施し、大学の研究者と交流を実施した。西アフリカにおけるポスト構造調整への移行、ナイジェリアにおける民政移管の進行、ナイジェリアの状況(ビジョン2010、民政移管のプロセス、ナイジェリア経済の現状、日本・ナイジェリア経済関係、ナイジェリアの政治経済社会、市民社会の形成など)について分析した。平成10年度は日本側研究者とコートジボワール側研究者との共同研究を主たる内容とした。研究項目は「変貌する西アフリカとコートジボワール」および「世界の中の西アフリカとコートジボワール」であった。日本側研究者とコートジボワール側研究者は共同研究シンポジウム(1998年9月、社会経済研究センター)を開催した。現地調査を実施し、大学の研究者と交流を実施し、日本の援助案件のサイトを視察した。西アフリカの政治経済情勢、西アフリカにおける政治的民主化と民族・部族問題、CFA と非CFA、農業産品の生産と輸出、農業経済の状況、人民経済の可能性、アフリカ・アジア経済関係、日本のアフリカ外交などについて分析した。平成11年度は日本側研究者とアフリカ側研究者2人および研究協力者の共同研究を主たる内容とした。研究項目は研究課題全体の総括的研究であった。2回の共同研究シンポジウム(1999年9月と11月、アジア経済研究所)を開催した。西アフリカの持続的開発と金融制度、民族問題と民主化、人民経済の展望、宗教と社会、市民社会と新たなアクター、西アフリカの民主化、アフリカの民主化の成果と限界などについて分析した。研究分担者および研究協力者の論文12本で研究成果報告書を作成した。内容は西アフリカにおける政治的民主化、持続的経済開発、社会的変動などについて分析した論文から構成されている。
著者
南部 昌敏 浦野 弘 三橋 功一 小林 稔 井上 久祥 城間 祥子
出版者
上越教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

知識伝達型、問題解決型、省察型の研修スタイルを必要に応じて組み合わせた「協働と省察の継続と積み上げによる校内教員研修標準モデル」を構築し、実践した結果、教員の授業力と児童の学力の向上及び学習習慣の習得が明らかとなった。校内教員研修の効果は、全ての教員の行動変容として表れ(レベル3)、教職員一丸となって学校組織全体の自律的な取り組みも実現した(レベル4)。また、ニーズに応じた多様な集合型研修を行った結果、どの研修でもワークショップ型研修は好意的に受け止められ、授業力の向上に向けた改善点の明確化に寄与したことが確かめられた。
著者
小林 稔 志和 新一 北川 愛子 市川 忠嗣 一之瀬 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.933-943, 1998-05-25
被引用文献数
21

映像や音声を統合することで, サイバースペースはより豊かなコミュニケーションが可能な空間になってきている.これまでのサイバースペースの移動インタフェースには, 手による操作や視線方向を利用したものが多かった.しかしコミュニケーションにおいて豊かな表現力をもつ手や視線を, 移動のためのインタフェースに利用するのは適当ではない.本論文は, HMDを用いたサイバースペースでの使用を前提に, 足による移動インタフェースを提案する.本論文のインタフェースでは, ユーザは円盤に乗り, 進みたい方向に体重を移動することでサイバースペース内を自由に移動できる.本論文では, まずサイバースペース内を移動するためのインタフェース技術を整理し, それをもとに新しいインタフェースの設計を明らかにする.最後に本インタフェースを使用したユーザの移動軌跡と使用感に関する報告をまとめ, 本インタフェースの効果を整理すると同時に, 身体の向きを変えるときの足の踏み換え動作によるノイズなど特有の課題を示す.
著者
押田 京一 小林 稔 古田 照実 遠藤 守信 オバラン アグネス
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-2, エレクトロニクス 2-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.80, no.12, pp.421-426, 1997-12-25
被引用文献数
1

炭素材料の結晶構造やアモルファス組織などの微細組織の解明には, 透過電子顕微鏡(TEM)観察は非常に有効な手段である. TEM像のコントラストに関して検討するため, 炭素材料の一つであり配向性のないランダムな構造をもつアモルファスカーボンフィルムを試料として用いて, 異なる非点収差ΔfにおいてTEM観察し, Δfの違いによるTEM像の変化を調べた. また, TEM像をディジタル化してコンピュータに取り込み解析した. 2次元高速フーりエ変換により求めたパワースペクトルの解析から, 画像処理によってもTEM像の光回折パターンとほぼ同等なパワースペクトルを得られることがわかった. パワースペクトルの動径方向の積分からΔfとTEM像の等価関数との関係を検討し, 画像処理を用いた本手法はアモルファスカーボンフィルムのように特徴が明確でないTEM像の解析に特に有効であることを示した.
著者
井原 雅行 小林 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.640, pp.31-36, 2004-01-27

これまでモノがヒトに対して発する概念として理解されてきたアフォーダンスを,拡張してヒトに適用し,ヒトが発するアフォーダンスという概念を紹介する.この概念を用いてヒューマンコミュニケーションをとらえ,コミュニケーションにおいて知覚されるヒトの振る舞いと,その振る舞いの元となっているヒトの内部要因によりアフォーダンスを定義,モデル化する.コミュニケーションにおいて不足しがちなアフォーダンスを,コンピュータを用いて生成,強調することによってもたらされる効果について述べるとともに, Computer-Mediated Communicationのシステムデザインヘの適用を考察する.
著者
井上 裕嗣 上林 稔 岸本 喜久雄 渋谷 寿一 小泉 尭
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.57, no.542, pp.2523-2528, 1991-10-25
被引用文献数
2 1

The Laplace transformation is known as one of the most powerful mathematical techniques for solving wide range of problems in engineering. For its application to practical problems, many authors have extensively studied methods of numerical inversion. On the other hand, the method of numerical transformation has not been studied very much. For this reason, most of the applications were limited to theoretical or numerical analysis and there were few applications to experimental analysis. To overcome this problem, both of the numerical transformation and inversion are studied in this paper. Numerical accuracy is evaluated and discussed using two test functions, sinusoidal and step function. A chart is presented for determining the parameters of computation under a specified accuracy.