著者
高橋 俊明 井根 省二 竹内 雅治 伏見 悦子 関口 展代 木村 啓二 林 雅人 斉藤 昌宏 高橋 さつき
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.749-754, 2003 (Released:2005-03-29)
参考文献数
15

1995年から2001年の6年間に4例の劇症型心筋炎 (男2例, 女2例, 年齢21~67歳) を経験した。診断は臨床症状, 心電図, 心エコー所見などから総合的に行い, 3例では病理学的に確定診断された。4例全例が発熱などの感冒症状で発症し, 1例は心肺停止で来院し, 蘇生できなかった。残り3例は初発から5~7日後にショック状態で入院し, 一時ペーシング, カテコラミン, ステロイドパルス療法, そのうち1例では経皮的心肺補助 (PCPS) を導入したが, 3例とも入院1~10日後死亡した。心電図では心室調律, 異常Q波, ST上昇, 低電位を呈した。血清酵素の著明な上昇, 代謝性アシドーシス, DICは予後不良の徴候と考えられた。劇症型心筋炎の救命のためには, まず本症を早期に的確に診断すること, そして積極的に補助循環を導入し, 急性期を乗り切ることに尽きる。
著者
林 雅秀 金澤 悠介
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.241-259, 2014 (Released:2016-07-10)
参考文献数
72
被引用文献数
1

多くのコモンズ研究は,人々の過剰利用によりコモンズが荒廃するリスクがあるという想定のもと,過剰利用を防ぐ制度的な仕組みを解明してきた.しかし,現代日本のコモンズに目を転じると,近代化や少子高齢化といった社会変動の結果,従来のコモンズ研究が想定しない状況が生じてきた.本研究の目的は,既存の研究を検討することで,このような新しいコモンズ問題を解明する糸口を探ることである.まず,新しいコモンズ問題の特徴を把握するために,従来のコモンズ研究の到達点を確認した.次に,新たなコモンズ問題として,社会変動の問題,資源利用の多様化の問題,過少利用問題をとりあげ,それぞれの問題の解明を試みた.その結果,社会的ジレンマモデルに基づく従来の研究では利用者のコミュニティが大きな役割を果たしているが,新しいコモンズ問題では利用者のコミュニティとその外部の関係が大きな役割を果たしていることが判明した.加えて,新しいコモンズ問題を探求する研究の絶対数が少ないことも判明した.
著者
肥田野 登 武林 雅衛
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.121-128, 1990-11-20 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13
被引用文献数
4 3

The purpose of this paper is to construct hedonic price functions of residentialand commercial land which can depict the benefits of multi-use facilities improvement in large urban areas and to propose a method to estimate the various benefits by a unified measure, i. e. property value, using the hedonic price functions. The proposed hedonic functions include accessibility variable for trip purposep (ACP) by sum of actural transport movement divided by generalized costs and areestimated with hight goodness-to-fit. The accessibility measures for commuting and shopping, accessibility to large parks and a residential area restricted to medium and high rise housing dummy are ones of significant explanatory variables. The study examines the validity of the functions comparing with existing land price functions in similar areas and demonstrates the applicability of the method to estimate the benefits of a transport project with road, parks and light rail transit system on suburban areas in Tokyo.
著者
濱田 博史 林 雅
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.301-306, 2021-05-20 (Released:2021-11-26)
参考文献数
16

グラム陰性ブドウ糖非発酵性のアシネトバクターは,自然環境や,健常人および免役能低下患者の皮膚や腸管などから分離され,免疫不全となるような基礎疾患を有する患者で肺炎やカテーテル感染症を起こす場合がある.またアシネトバクターは複数の抗菌薬に耐性を示すことが多いため,経験的治療として選択された初期治療薬に耐性を示す場合には予後が悪化する可能性がある.一方,担癌患者や終末期など状態が悪い患者での感染が多いこと,日本においては,海外に比較して多剤耐性菌のリスクが低いことなどの点も存在する.今まで初期治療とその予後に関しての研究は限られており今回は自施設での2009 年1 月から2018 年 7 月までのアシネトバクター菌血症68 症例を後ろ向きに解析し,初期治療の選択と予後への影響について検討した.患者の平均年齢は69 歳.感染巣は腸管感染症(34%),カテーテル感染(25%)が多かった.初期治療の抗菌薬が適切と判断された症例は43 例(63%),不適切と判断された症例は25 例(37%)だった. 2 群間の30 日死亡率において差は認めず9 名(21%)及び6 名(24%)(P 値=0.90)であった.現在の日本において,アシネトバクター菌血症では初期治療の選択は重要でなく,予後の規定因子として初期治療の選択には左右されず,背景疾患や年齢が予後を規定する因子である可能性がある.必ずしも初期から広域に加療する必要はなく,培養結果に応じて適切に選択することが重要であることが示唆された.
著者
小林 雅美 福島 潤子 野口 駿
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.7, pp.511-515, 1973-11-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
9
被引用文献数
1

The variation of fatty acid composition of oils at various parts in an individual was investigated with 19 kinds of commercially available fishes. A fish body was divided into five parts, namely, back, abdomen, tail, skin and dark-colored flesh (if any), and the lipid from each part was extracted with ether and converted into the corresponding methyl esters in an usual manner and thereafter analysed by gas chromatography.While the oil content varied considerably from part to part and generally decreased in the following order : skin, dark-colored flesh, abdomen, back, and tail, the fatty acid composition was not found to be appreciably different from each other in our examination using a pattern vector analysis, where the vector sum of the segments, which is obtainable by plotting the concentration of each component on the corresponding independent axis, is assumed to represent the pattern of the composition. Thus, the angle between two vector sums or cos θ is considered to be a measure of the degree of resemblance between the two patterns.Furthermore, on some fishes obtainable in all year round, the variations of the content and fatty acid composition of their oils at four seasons were found to be considerable, but the relationship between the variations mentioned above and the taste was found to be rather obscure and at random.
著者
林 雅子
出版者
日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
no.1183, pp.73-74, 1981-08
著者
草柳 浩子 福地 麻貴子 尾高 大輔 飯村 直子 中林 雅子 西田 志穗 平野 美幸 岩崎 美和 佐藤 朝美 平井 るり 江本 リナ 筒井 真優美
出版者
一般社団法人日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.44-51, 2005-09-05
被引用文献数
5

本研究の目的は、看護師の語りから、子どもの家族や医療職者を動かし子どものケアに影響を与えた看護師の技を明らかにすることである。エピソード・インタビューの方法を参考に、研究者らが作成した「子どもや家族へ行った看護場面を振り返るインタビューガイド」に基づく半構成的面接を、看護師12名に行った。その結果、5つのテーマが得られた。1.子どもが混乱している場面で、子どもの力を引き出すためのモデルを自ら示し子どものケアへ影響を与える。2.子どもが治療を拒否する場面で、子どもとの関係性を作ることから始め、カンファレンスを企画し子どもの反応の捉え方や関わり方を共有することでスタッフの子どもへのケアに影響を与える。3.気になる家族がいる場面で、「気になること」をスタッフと非公式に確認した後、家族を巻き込む看護を展開し子どものケアに影響を与える。4.通常の慣例では上手くいかないと判断した場面で、自らが考えた関わりを家族やスタッフを巻き込みながらその場で展開し、子どものケアに影響を与える。5.病棟変革を行う場面で、管理者が自分の信念をもとにスタッフ全体を巻き込みながら病棟のシステムを変化させることで、子どものケアに影響を与える。以上から、認知能力が発達途上であったり、自分のことを的確に表現できなかったりという発達の特徴を持つ子どもへの最善の利益を考えた看護が、家族や医療職者を動かしながら行われるためには、看護師の持つ看護観や倫理観とスタッフ間でのコミュニケーションが重要であることが再認識された。
著者
小林 雅之
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:24342343)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.115-134, 2012-05-30 (Released:2019-05-13)
参考文献数
51

本稿の目的は,教育費の負担をめぐる政策の動向とりわけ授業料・奨学金をめぐる政策について,各国の動向と,それに関する研究および関連する実証研究をレビューし,政策的インプリケーションを得ることにある.日本では,子どもの教育は親に責任があり,親が学費を負担するのが当然という根強い意識がある.しかし,翻って海外に目を転じると,教育費を誰が負担するかは非常に大きな問題となっている.最大の問題は,公的負担から私的負担,さらに親負担から子(学生本人)負担への移行である.本稿ではこの視点から,学生への経済的支援が,給付型奨学金から貸与型奨学金(ローン)に移行していること,しかし,ローン負担やローン回避問題が発生し,再び給付型奨学金の重要性が高まっていることを各国の事例から明らかにする.
著者
林 雅秀
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.101, no.6, pp.328-336, 2019-12-01 (Released:2020-02-01)
参考文献数
12

本研究は岩手県北部地方のウルシ所有者への聞き取り調査に基づいて,過去のウルシ植栽時にウルシとそれ以外の作物をどのように選択したかを,ウルシを植栽した際の収益性に着目して明らかにすることを目的とした。調査の結果,ウルシ植栽という選択は,雑穀・タバコ・果樹などの跡地になされる場合が多かったこと,ウルシとそれらの作物を比べると少ない労力で収益を得られる点でウルシが優れていたこと,ウルシとスギを比較した場合には収益までの期間が短い点でウルシが優れていたことなどから,土地所有者たちがウルシを選択してきたことが明らかとなった。また,ウルシ立木生産の収益性に関しては,下刈り回数が少ない場合には高い収益率を実現できることなどが明らかとなった。
著者
小林 雅英 榎本 啓士 前田 光博 稗田 登 寺岡 喜和
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会大会講演要旨集 (ISSN:24238317)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.102-103, 2017

<p>These days, the amount of domestic waste is decreasing in association with the depopulation and the need for small scale garbage disposal plant is growing among local governments. In this research, we imitated the power generation from biomass resources that includes domestic waste. We gasified woody biomass by using mixed gas of nitrogen as an oxidizing agent and measured the composition of the bio-syngas, temperature in the reactor and so on. Consequently, the bio-syngas produced low heat value. It is believed that the carbon conversion efficiency and the cold gas efficiency decreases when the flow rate of an oxidizing agent increases or the quantity of supplied oxygen into the reaction field decreases.</p>
著者
斎藤 一輝 榎本 啓士 小林 雅英 稗田 登 寺岡 喜和
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会大会講演要旨集 (ISSN:24238317)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.250-251, 2018

<p>Woody biomass of various moisture content for gasification of woody biomass is used. But there are few previous studies on woody biomass with moisture content of 15% or less. Therefore, we made a small scale gasifier and studied the effect of moisture content of woody biomass on gasification by using woody biomass reduced moisture content. It was found that carbon conversion efficiency and cold gas efficiency can be high depending on the moisture content.</p>
著者
小林 雅子
出版者
佛教大学教育学部学会
雑誌
佛教大学教育学部学会紀要 = Bulletin of the Faculty of Education of Bukkyo University (ISSN:13474782)
巻号頁・発行日
no.17, pp.39-49, 2018

学生が大学で幾何学を学ぶにあたり,高校までのような,ユークリッド空間内の図形の問題を解くのではなく,ユークリッド空間の部分集合としての図形のとらえ方などを習得するため,集合の記号や不等号の表す領域等,それまで図形と関連しては意識していなかった対象物を再確認することになる。その際,大学の数学テキストでは往々にして当然のように用いられている数学記号や図形の表現方法が学生には定着しておらず,幾何の問題そのもの以前に表現方法の理解不足から問題解決に至らないことがしばしばある。 そこで本稿では幾何学初年度講義において学生に調査を行い,図形表現方法の定着がどの程度であるか考察する。大学幾何学教育図形表現ユークリッド幾何