著者
高橋 正也 比屋根 哲 林 雅秀
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 = Journal of Rural Planning Association (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.174-182, 2012-09-30
被引用文献数
3 1

農山村集落(以下,集落と表記)は高齢化,担い手不足による農業の荒廃や伝統行事の途絶,地理的要因における生活水準の低下や経営困難に陥った交通機関の撤退など様々な面で不利な状況が続いており,何らかの維持・活性化が望まれている。本研究では集落住民の社会ネットワークに注目し,ソーシャル・キャピタルがどのように活動の展開に作用したのか過程をみながら分析した。本研究の分析から,集落のソーシャル・キャピタルが作用し,活動へと展開するためには,1)普段からの付き合い関係が豊富な住民を活動の初期段階から関係させること,2)集落住民自らにイベントや事業が実現可能か判断させること,の2つが不可欠であることが要件として明らかになった。
著者
栗原 陽介 河西 良拓 渡辺 嘉二郎 小林 一行 田中 博
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.91-98, 2009-02-01 (Released:2011-11-02)
参考文献数
16
被引用文献数
1

In the graying Japanese society, monitoring health-related human data with sensors embedded in the living environment is quite meaningful in terms of emergency response and of long-term health management. In using the body data monitoring system daily at home, the lack of invasiveness during the monitoring and the maintenance of the system are of great importance. We have proposed the method to surmise the sleep stages of sleeping subjects by measuring the heartbeats and the respirations without invasiveness using the pneumatic method with an air mattress. This method, however, has a problem in the maintenance, since it requires periodic refilling of the air into the mattress. In this paper, another pneumatic method, which applies silicon tubes instead of the air mattress, is proposed. The change of S/N ratio in heartbeat and respiration signals, while having the environmental noises increased, are compared among a room with wooden flooring, another with tatami mats, a bath tub, and a toilet room. The result shows that both the pulse waves and the breaths can be measured with the accuracy of around 30dB, and the identification of each pulse from among the pulse waves is also feasible, under the condition that the environmental noises in the room with wooden flooring, that with tatami mats, the bath tub, and the rest room are 0.01G, 0.09G, 100ml, and 0.01G respectively.
著者
石黒 広昭 内田 祥子 小林 梓 東重 満 織田 由香
出版者
北海道大学大学院教育学研究科
雑誌
北海道大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13457543)
巻号頁・発行日
vol.97, pp.181-223, 2005-12-20

2005年度第一クールの調査目的はファンタジー遊びの中で,子ども達の挑戦的な経験がどのように子ども達を育て,そうした経験が何を発達させるのか調べることであった.第一クールは五月から七月まで行われ,テーマは月探険である.この第一クールからは「こどもクラブ」と呼ばれるメンバー制が採用され,12名の子どもが参加した.そこには年長5名,年中6名,年少1名が参加した.その内,7名が女児で,5名が男児である.大人は6名が参加した.その内,2名は宇宙研究所の研究員という主要な役割を担った.彼女らはプレイショップの始まりでは「こどもクラブ」の先生だが,途中から急に宇宙調査隊員に変身した.彼女たちは子ども達にとっては,現実世界と空想世界をつなぐ媒介者として存在した.劇化の中で,子ども達はいくつかのコンフリクトを経験し,現実と虚構,探険への不安と希望といった曖昧な状態に投げ込まれた.子ども達は劇化の中で自分達で問題を発見し,大人に助けられながらそれを解こうとした.本研究では劇化,集団討論,描画を通して子ども達がどのようにストーリーを組み換え,創作していったのか分析した.
著者
石塚 徹 江川 遼 梅田 桂子 東海林 亙 八尾 寛
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.311-316, 2015 (Released:2015-11-28)
参考文献数
29

Since the discovery of channelrhodopsins in 2002-2003, the light is now engineered to manipulate physiological states of a cell, a tissue or a body with the progress of three kinds of researches: (1) molecular biology of photoreceptive proteins, (2) cause-effect relationships in the biological system and (3) fabrication of opto-electronics or nanodevices. The near-infrared light, which conveys energy deep into the tissues, is expected to be used for optogenetics with the creation of proteins that change their conformations with such energy or the improvement of nanodevices that transfer the energy to photoreceptive proteins.
著者
小林 隆
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.105-107, 2004-09-30

現代方言の社会的意味について,共通語と対比しつつ,方言の性格や機能の変貌という視点から考える.結論として,現代方言には「アクセサリー化」とでも呼ぶべき質的変容が起こりつつあることを指摘する.
著者
長尾 大道 小林 直樹 深尾 良夫 冨澤 一郎 樋口 知之
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集 第61回理論応用力学講演会
巻号頁・発行日
pp.47, 2012 (Released:2012-03-28)

大地震が起こった際には、それによって励起された波動が電離層内を伝搬していくことが、観測的に示されている。著者はこれまでに、固体地球‐大気結合系1次元モデルのノーマルモードを利用した数値シミュレーションにより、2008年に起こった岩手・宮城内陸地震によって励起された気圧変動を説明することに成功した。本研究では同じ手法を用いることにより、やはり同地震の際に菅平のHFドップラー観測で捉えられた電離層の上下変動を、中性大気を伝搬する音波波動として理解できることを示した。講演においては、他の地震の場合に得られたさらに多くの観測点で得られたHFドップラーデータを総合的に解析することにより、大地震によって励起される大気変動の時空間構造を包括的に理解することを目指す。
著者
小林 憲太郎
出版者
立教大学
雑誌
立教法学 (ISSN:04851250)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.410-355(31-86), 2010-03-31
著者
小林 義秀
出版者
海人社
雑誌
世界の艦船
巻号頁・発行日
no.688, pp.162-165, 2008-04
著者
中林 隆明 ナカバヤシ タカアキ Takaaki NAKABAYASHI
雑誌
人文・社会科学論集
巻号頁・発行日
vol.25, pp.141-153, 2008-03

The National Diet Library has legal deposit of all kinds of published materials, including publications printed by government and local public entities and other publishers. This function is based on the National Diet Library act (Law no. 5, Feb. 9, 1948. Amendment, Law no. 194, June 6, 1949). However, the stability of these activities has entailed much effort, because of the unhappy history of censorship in the era of the World War Г. In this paper, the writer focused on the National Diet Library's activities to build up the legal deposit library, acquiring the effective cooperation of influential publishers. Frankly speaking, it was Yamashita Nobutsune, Section Chief (1949-54) and Division Chief (1959-66) of Acquisitions who stood in the center of these activities.
著者
窪田 香織 野上 愛 高崎 浩太郎 桂林 秀太郎 三島 健一 藤原 道弘 岩崎 克典
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.143, no.3, pp.110-114, 2014
被引用文献数
1

我が国は超高齢社会を迎え,認知症患者数の増加は深刻な問題である.しかし認知症の根治的治療法は確立しておらず,患者の日常生活動作(activity of daily living:ADL)を低下させない新しい認知症治療薬が求められている.その中で,ADLを低下させずに認知症の症状を改善する漢方薬・抑肝散が脚光を浴び,主に幻覚,妄想,抑うつ,攻撃行動,徘徊などの行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)に使われている.しかし,その作用機序はよく分かっていない.そこで漢方薬である抑肝散の認知症治療薬としての科学的背景を明らかにすることが必要となった.我々は,抑肝散がメタンフェタミン投与による興奮モデル動物において自発運動の異常増加を抑制すること,単独隔離ストレスによる攻撃行動,幻覚モデルとしてのDOI投与による首振り運動,不安様行動,ペントバルビタール誘発睡眠の短縮や夜間徘徊モデルの明期の行動量増加のようなBPSD様の異常行動を有意に抑制することを明らかにした.また,8方向放射状迷路課題において,認知症モデル動物の空間記憶障害を改善することを見出した.記憶保持に重要な海馬において神経細胞死の抑制やアセチルコリン遊離作用が認められ,これらの作用によって抑肝散の中核症状に対する改善効果も期待できることが示唆された.さらに,中核症状,BPSDいずれにもNGFやBDNFなどの神経栄養因子の関与が注目されているが,抑肝散には神経栄養因子様作用や神経栄養因子増加作用があることが分かり,この作用も中核症状・BPSDの改善効果に寄与するものと考えられる.以上のことから,抑肝散は,認知症患者のBPSDならびに中核症状にも有効で,さらに他の神経変性疾患や精神神経疾患の治療薬としても応用が期待できることが示唆された.
著者
垂水 浩幸 林 敏浩 八重樫 理人
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

スポーツや音楽分野でのエンタテイナーの実演を遠隔の視聴者にインターネット中継で送れるようになったが、視聴者が現場に対して送ることのできる情報は現状では文字に限られている。本研究は主にスポーツの応援を遠隔から送り、選手に伝え、また選手から更に反応を返すことができるシステムを構築して実際のプロスポーツ公式戦で運用評価し、選手から高い評価を得ることができた。一方視聴者からの評価にはまだ課題が多く今後の課題である。
著者
小林一郎 [注釈]
出版者
平凡社
巻号頁・発行日
1942
著者
青木 健一 木村 亮介 川崎 廣吉 若野 友一郎 小林 豊
出版者
明治大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

新学術領域研究「交替劇」は、ネアンデルタールの絶滅およびヒトによる置換(交替劇)を両者の文化水準の違いによって説明する(学習仮説)ことを目的とした。社会が到達する文化水準は、文化進化のあり方に依存する。このため、領域傘下の我が計画研究班では、文化進化の決定要因およびこれを支える学習戦略の進化に関する理論研究を行った。得られた多くの成果は、査読付の国際学術雑誌や著書に発表済みであり、国際的にも文化進化および学習戦略進化の研究に大きく貢献している。また、ネアンデルタールとヒトの学習戦略に違いがあるならば、両者の認知に関わる遺伝子にも違いが認められるはずとの立場から、分子人類学的な研究も少し行った。