著者
津久井 亜紀夫 小林 恵子 斉藤 規夫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.115-119, 1989

フィリピン酸紫ヤム塊根粉末中のアントシアニン色素の安定性に関する研究の一環として, 蝶豆花アントシアニン色素とpH, 温度, 紫外線ならびに窒素ガス中での貯蔵における影響について検討し, 下記の結果が得られた.<BR>1) UBEおよびPAのANの23日後の色素残存率は, それぞれ 30℃ で 97% と 77%, 60℃ で 61% と 30%であった. 90℃ では4~5日でほとんど分解された.<BR>2) UBEおよびPAのANをアンプル管に入れ, 60℃で23日間加熱した.空気中での色素残存率はUBEが62%, PAが30%であったが, 窒素中では, それぞれ約85%で安定であった.<BR>3) UBEおよびPAのAN溶液に殺菌灯を直接照射した場合は6時間後約20~30%の色素残存率であったが, アンプル管中のPAの色素残存率は100%, UBEが約95%で安定であった.また屋外に放置した場合は両ANとも1日間で分解退色した.<BR>4) PAのAN溶液に各種添加物を添加し, 加熱した結果, とくにレアスコルビン酸および過酸化水素水によって, 分解退色した.<BR>以上の結果, UBEのANは, ANの中では温度には比較的安定で紫外線照射さえ避ければ十分に加工食品への利用が可能であると考える.
著者
筑波大学農林技術センター 筑波大学農林技術センター教育推進部国際交流班
巻号頁・発行日
1997

1992年6月、ブラジルのリオ・デ・ジェネイロで開催された国連環境開発会議(United Nations Conference on Environment and Development:UNCED)を契機として、森林・林業の分野においては環境問題への対応に向けたためさまざまな取り組みがなされ、今日世界中で大きな変化が起きている。いくつか例を挙げると、まず第一に、個別の森林経営について環境問題が強く意識されるようになり、森林施業が皆伐から択伐へ、天然林施業の増加、伐採量の減少、野生生物との共存を可能にする施業の導入等が、各林業セクターによって行われるようになってきていることがあげられる。第二に、自然環境を ...
著者
小林 通有
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.20-27, 2001

Spray drying is used as a very convenient means for drying liquid into powder instantly, continuously and economically in laboratory use and large production, but at high temperature, e.g. over 100°C as inlet air temperature. Freeze-drying is a typical drying technology for drying heat-sensitive products at 20-50°C during desorption drying, but for several hours. Due to invention of Four Fluid Nozzle (patented in USA, Europe and Japan), spray drying at low temperature closer to atmospheric temperature below 80°C as hot air temperature is possible and therefore a new drying technology as low temperature spray drying has been realized based on the principle of quicker drying speed by huge heating surface area of droplets minimized below abt. 10 μm by the new nozzle. The Four Fluid Nozzle, which was developed by the design concept of minimization and uniformity of droplet size for quicker drying speed and elimination of wet deposits on chamber wall, has a special acceleration zone on it for forming thin film of liquid just before atomization in addition to a focusing point of compressed air as a newly designed structure for removing loss of atomization energy. Thus, the droplet size distribution is in a very narrow range resulting in the uniform particle size distribution of dry powder all in a single micron. The smaller and uniform droplet size makes heating surface area bigger by abt. 10 times compared with conventional atomization systems and so such smaller droplets are dried quickly and completely before reaching chamber wall even at low temperature without wet deposits on chamber wall. The geometry of the new nozzle is quite the same even in smaller or larger types of the nozzles and so the quality of dried product is also the same even in case of the so-called circle nozzle for larger production scale, for example having the atomization capacity of max. 1000 Itr/h. There is a possibility that conventional low temperature drying technology like freeze-drying, vacuum drying, etc. can probably be replaced by the low temperature spray drying technology. Drying of parenteral drugs will also be possible by the new drying technology with Four Fluid Nozzle using CIP/SIP systems, powder recovery system with metal mesh cartridge filter and isolation technology as a validatable system in the near future.<br>
著者
太田 俊也 塚谷 秀範 根津 定満 柏尾 栄 近藤 正 山田 泰博 田中 郁夫 今林 泰
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.17, no.35, pp.171-176, 2011

For the central stations in big cities that serve regional area, it is impossible to discontinue the railway operations and difficult to transfer the railway tracks. The passengers' safety and convenience need to be secured at first in order to start the development of the stations. This paper describes the case of JR Hakata Station project which solved such issues in the large central station development which were restricted by urban conditions, using various structural methods and techniques.
著者
林 和治
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.416-417, 2010-01-31
著者
相澤 章仁 田中 愛子 小林 弘和 小林 達明
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.527-533, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
28
被引用文献数
4

外来種を管理・防除するためには,どの外来種が在来生態系に影響を与えているかを評価する必要がある。本研究では千葉県北西部を流れる利根運河の堤防植生を対象として,コドラートを使ったランダムサンプリングによる植生調査を行い,TWINSPANと統計モデリングを用いて外来種の在来生態系への影響評価を行った。TWINSPANの結果,対象地の植生はセイバンモロコシ・セイタカアワダチソウを指標種とした 2つの外来植物群落と 2つの在来植物群落に分かれ,統計モデリングでもこの外来種 2種が在来種の分布に影響を与えていることが示された。影響の度合いはセイバンモロコシの方が強く,個体レベルでの影響 (50 cm × 50 cm)と個体群レベルでの影響 (5m × 10 m)の両方の空間レベルで在来種に影響を与えていた。セイタカアワダチソウは個体レベルでの影響は検出されなかったため,本種の完全排除というよりは,低密度管理を行うことで在来種の回復が望める可能性があることがわかった。現地において防除活動を進める際には本研究の調査方法を用いてモニタリングを進めていくことが有用であると考えられる。
著者
早川 富博 鈴木 祥子 小林 真哉 福富 達也 井出 正芳 大野 恒夫 大河内 昌弘 多気 みつ子 宮本 忠壽 丹村 敏則 岡田 美智子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.438-446, 2009-11-30 (Released:2010-04-12)
参考文献数
12
被引用文献数
3 5

発芽玄米の糖代謝・脂質代謝に対する影響を知ることを目的に,糖尿病患者に試験食 (発芽玄米: 白米を1:1に調整) を3か月間摂食させて,その前後で糖・脂質のパラメーターを比較検討した。3か月間の試験食摂取によって,グリコヘモグロビンは,摂取前の6.40±0.23%から6.23±0.19%へと有意な低下が認められた。空腹時血糖値に有意な変化はなかったが,インスリン値とHOMA-IRは低下傾向を示した。T-CHO値,TG値は試験食の摂取によって変化はみられなかったが,LDL-c値は低下傾向,HDL-c値は増加傾向を示し,LDL/HDL比は摂取前の2.03±0.13から,摂取3か月後には1.83±0.12へと有意に低下した。試験食摂取量を多い群と少ない群に分けて検討すると,試験食の摂取量が多い群で,LDL-c値は有意に低下,HDL-c値は有意に増加した。今回,糖尿病患者において,3か月間の発芽玄米摂取によって糖代謝と脂質代謝がともに改善する結果が得られた。これらは,糖尿病患者の食事療法として発芽玄米が有効であることを示すものであるとともに,高コレステロール血症の治療にも有効である可能性を示すものと考えられた。
著者
小菅 啓子 小林 茂雄
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.38-45, 1990-01-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

2色配色のストライプ柄のイメージについて, 因子分析法により解析した.ストライプ柄は, ストライプの形態と幅ならびに配色の異なった, 132種 (縦, 横) を色紙を用いて作成した.132種のストライプ柄のイメージは, 軽快性, 明瞭性, 単純性の3因子で表される.軽快性については, 黒白のストライプ柄は, 白の分量が関係し, 純色と無彩色の2色配色のストライプ柄は, 純色の色相と無彩色の明度に関係する.明瞭性については, 黒白柄は, ストライプの形態と幅ならびに黒の分量が関係し, 純色と無彩色の柄は, ストライプの幅と無彩色の明度が関係する.単純性については, 黒白柄は, 白の分量とストライプの幅が関係し, 純色と無彩色の柄は無彩色の明度に関係する.ストライプの方向性は, 黒白柄, 純色と無彩色の柄とも, 軽快性, 単純性について, 横の方が縦より因子性が大きい傾向にある.
著者
佐藤 廉也 鳴海 邦匡 小林 茂
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100208, 2014 (Released:2014-03-31)

はじめに 演者らは、1945年8月までアジア太平洋地域で日本が作製した地図(広義の外邦図)の調査を継続する過程で(小林編2009など)、アメリカ国立公文書館Ⅱ(NARAⅡ)の収蔵資料の調査を重ね、同館でU-2機撮影の中国大陸偵察空中写真を公開していることを知った。地形図や空中写真の利用が厳しく制限されている中華人民共和国の地理学研究に際しては、すでにCORONA偵察衛星の写真が広く利用されてきた(渡邊・高田・相馬2006、熊原・中田2000など)。これに対しU-2機による空中写真は、高度約2万メートルで撮影されたもので、地上での解像度は2.5フィート(75センチ)といわれ、実体視も可能である。ただし、その撮影はアメリカの軍事的関心に左右され、また衛星写真と違い広範囲をカバーしないことなど、利用に際しては注意が必要である。まだ未調査の点も多いが、本発表ではここ一年間にわかってきたことを報告し、関係者の関心を喚起したい。U-2機による偵察撮影の背景 よく知られているように、U-2機はアメリカ合衆国の秘密の偵察機として開発され、当初はソ連の核兵器やミサイル開発の偵察に利用された。高空を飛行するため、その攻撃は容易でなかったが、1960年5月にソ連軍により撃墜されパイロットが捕虜になって以後、その存在が広く知られるとともに、ソ連上空の偵察飛行は停止された。当時CORONA衛星の開発が進行していたことも、この停止に関与すると考えられる(Day et al.1998)。これ以前より中華民国空軍のパイロットに訓練を施すなど、U-2による偵察の準備が開始されていたが、1962年初頭からその中国大陸上空飛行が本格的に開始された。 中華民国空軍では、すでに通常の飛行機による中国大陸の空中偵察をアメリカとの秘密の協力関係のもとで実施しており(通称「黒コウモリ中隊」による)、U-2機の偵察についてもアメリカの関与を秘匿するため特別の中隊(通称「黒猫中隊」)を創設し、アメリカ国家安全保障会議の専門グループと大統領および中華民国政府の承認のもとで偵察飛行を行った。撮影済みのフィルムはアメリカに運ばれてからポジフィルムが複製され、中華民国に戻されていたが、一時期には横田基地のアジア写真判読センター(ASPIC)で処理されたこともある(Pedlow and Welzenbach 1992: 226,229)。なお最近の台湾では「黒猫中隊」に関する公文書が公開されるようになっている(荒武達朗徳島大准教授による)。U-2機の撮影対象、写真の特色と今後の課題 以上のようなU-2機の偵察飛行については、CIAが刊行したCentral Intelligence Agency and Overhead Reconnaissance: The U-2 and OXCART Programs, 1954-1974 (Pedlow and Welzenbach 1992)が詳しい。2013年6月に新たに公開されたこのテキストにも伏せ字が残るが、核兵器開発や潜水艦の建造、飛行場やミサイル基地の偵察が主目的であった。また中印国境紛争(1962~3年)に際しても偵察を行い、インドのネルー首相に写真を提供している。ただし中華人民共和国の防空能力は徐々に向上し、1968年以降陸上の偵察は行われなくなり、電子偵察に移行する。 U-2機搭載のカメラは首振り型で、垂直写真のほかその両側の斜め写真も撮影し、いずれも各コマは進行方向に向かって長細いかたちとなる(47×22.5cm)。またフィルム・ロールは右と左に分かれている。1フライトで撮影されるコマは8000にのぼり、ロールが50本以上に達することもあり、特定の地域のコマを探し出すのに長時間が必要である。この背景としては、経度1度、緯度1度の表示範囲に分割されているNARAⅡ備え付けの標定図(マイクロフィルム)からフライトやコマの番号を知ることができても、目指す番号のコマを参照するにはフィルム・ロールの缶に記入された番号だけが頼りなので、場合によってはカンザス州の倉庫に保存されている当該フライトのロールを全部取り寄せる必要があるという事情がある。取り寄せに数日かかるだけでなく、1回の閲覧で参照できるのは10ロールにすぎない。また偵察飛行なので、雲のため地上が写っていないこともしばしばである。今後はU-2機による写真の全容を把握するためには全104のフライトの飛行ルートの図示も目指したいが、標定図のないフライトのある可能性もみとめられ、利用の条件整備には関係者の協力が必要である。なお、本発表の準備に際しては、岩田修二首都大学東京名誉教授のご教示を得た。

1 0 0 0 OA 日本の美

著者
林 良一
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢大学文化 (ISSN:02896613)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.73-107, 1987-03

一八五三年、日本が開国してから、ヨーロッパには、日本産の美術品や工芸品がさかんに輸入され、いわゆる「ジャポネズリーJaponaiserie(日本趣味)」の流行をみ、やがてそれはアメリカにもひろがっていった。江戸期の陶器、蒔絵の硯筥(すずりばこ)や櫛(くし)、印籠(いんろう)、牙彫りの根付(ねつけ)、青銅の鍔(つば)や矢立て、香炉、その他煙管(きせる)などの日用の小物類が、各地のコレクションや美術館に蒐集された。なかでも、何十万点という浮世絵が買いつけられていったことは、パリやニューヨークの好事家たちの、想像以上の心酔ぶりをうかがわせている。一八八六年に、日本へ来朝したアメリカの有名な画家ジョン・ラ・ファージ(John La Farge)は、日本の美術の装飾性と手際の良さを賞讃し、ことに手仕事の根付や鍔などの小品にみられる斬新な意匠や入念な仕上げは「芸術と工業との幸福な結合」と絶唱している。(久富貢・桑原住雄訳『画家東遊録(An Artist's Letters from Japan)』)また、パリを中心とした印象派や後期印象派の画家たちに、日本の浮世絵が、大きな影響をあたえたことは、よく知られている。浮世絵の単純化した形象や装飾的な明るい色調、ことに視点を自由にとった大膿な構図は、ただひたすらに、古代ギリシア以来のレアリズム美術を本領としてきた作家たちにとって、全く新しい美の世界であった。一言でいえば、これまでのヨーロッパにはかつてみられなかった印象主義的な美術に、眼をひらかれ、この「日本の美」の発見が、かれらの新しい美術を産みだすエネルギーとなったのである。
著者
山口 信吉 山沢 新吾 若林 嘉一郎
出版者
農業食料工学会
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.239-245, 1981 (Released:2010-04-30)
参考文献数
13

米粒胚乳の応力緩和係数を求めるため, 前報と同様に円柱状の胚乳試片の単軸圧縮試験および応力緩和試験を行い, 次に示す結果を得た。(1) 米粒の長さ方向, 幅方向および厚さ方向の負荷試験より, 米粒はほぼ等方性であると認められた。(2) ひずみ約1%以内で, 米粒の粘弾性は線形を示し, 縦応力緩和係数E(t) およびせん断応力緩和係数G(t) を表す実験式は試片の温度と含水率の関数となる。(3) 米粒を熱および水分レオロジー的に単純な材料と仮定すると, 基準状態 (T0=293°K, w0=0.17d. b.) における応力緩和係数と換算時間の関係, すなわち, マスター曲線を表す実験式が得られた。
著者
福地 佑介 俵 直弘 小川 哲司 小林 哲則
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.8, pp.1-6, 2012-07-12

高精度な話者表現とクラスタリングアルゴリズムを統合した新たな話者クラスタリング手法を提案する.従来用いられる話者クラスタリング手法では,データ量が多くなると正確なクラスタリングが困難になるという問題があった.そのような条件下において正確な話者クラスタリングを実現するためには,音響変動に対して頑健なモデルにより話者を表現し,このモデルを用いて各発話を効率的にクラスタリングする手法が必要となる.そこで提案手法では,話者照合の分野で高い精度を達成しているi-vectorを話者の表現として用い,クラスタリング手法として非負値行列分解に基づいた効率的なクラスタリング手法を導入した.本手法の有効性を示すために,CSJデータを用いた話者クラスタリング実験を行い,従来手法と比較して,提案手法が発話データ量の変化に対し頑健に話者クラスタリングが行えることを確認した.We have developed a novel speaker clustering method by integrating highly accurate speaker representation and a clustering algorithm. The conventional method caused significant degradation in clustering accuracy when the number of utterances increased. High-accuracy speaker representation and high-performance clustering method are required to realize robust speaker clustering system against such a condition. For this purpose, we used i-vectors for the speaker representation, which contributes to the realization of high-accuracy speaker verification systems, and efficient non-negative matrix factorization for the clustering algorithm. Experimental results show that the proposed method outperforms the conventional methods, irrespective of the amount of data.