著者
安田 麗 林 良子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.451, pp.13-17, 2010-02-25

日本語音声の特徴的現象である母音の無声化は,聞き手が誰であるかという会話の状況によって,その出現が変化する要素の一つであると考えられている.本研究では,そもそも母音の無声化が少ないとされている近畿方言話者が、東京方言話者と話す場合,近畿方言話者と話す場合,そして外国人と話す場合にどのような発音がなされているのかについて,母音の無声化に焦点を当て実験を行った.その結果,近畿方言話者の会話における母音無声化の出現については,個人差があるものの、平均すると対東京方言話者,対外国人留学生,対近畿方言話者の順で,母音無声化率が高い傾向があることがわかった.この結果より,近畿方言話者は対話相手が誰であるかによって母音無声化を制御し,話し方を変化させていることが示唆された.
著者
前田 一行 中嶋 佑一 市川 雛代 鬼頭 良幸 古﨑 貴大 斎藤 臣雄 本山 高幸 長田 裕之 小林 哲夫 木村 真
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.69-74, 2014-01-31 (Released:2014-06-21)
参考文献数
21

赤かび病菌Fusarium graminearumはトリコテセン系かび毒を産生し穀類を汚染する病原菌である.トリコテセン類は安定性が高く,分解・除去が困難であるため,かび毒の産生そのものを制御する手段の確立が望まれている.我々は赤かび病菌のトリコテセン系かび毒の産生制御に向けた制御化合物の探索を行っている.理化学研究所天然物化合物バンク(NPDepo)から供与される化合物を直接,毒素誘導条件下の菌体に処理してトリコテセン産生への影響を調べる方法に加え,化合物アレイを用いてトリコテセン生合成酵素の阻害剤を探索している.本稿では,これらの手法によって現在までに得られつつある有用化合物に関する活性評価と作用機作についての概要を紹介する.
著者
松田 久雄 若林 昭 郡 健二郎 高田 昌彦 辻橋 宏典
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.513-516, 1989-03

Traumatic rupture of the testicle is rare because of the protection afforded by surrounding structures. Many clinicians now speculate that this entity is underreported due to misdiagnosis. However, the condition should not be overlooked because of the importance of early treatment for the preservation of testicular function. A more aggressive approach to scrotal hematoma has been advocated. A case of traumatic rupture of testicle in a 21-year-old patient is reported. The testicle was surgically explored 6 days after trauma to the scrotum. The tunica albuginea was repaired and the testicle was preserved. Discussion is made especially on the injury to scrotum.
著者
中林 雅士
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.317-323, 2011
参考文献数
5

大学財政規模が縮小する中,図書館運営予算も削減を余儀なくされている。加えて,大学間の競争は激しさを増しており,図書館はこのような環境変化の中で,自らのミッションを堅持しつつも,新たな環境に適応する必要に迫られている。直近の課題の1つは,図書館運営費の安定確保である。図書館を取り巻く多くのステークホルダーに対する社会的責務を果たすためには,財政問題を避けては通れない。本稿では,図書館運営費の安定確保について,図書館と国庫助成,図書費,業務委託費を取り上げつつ考察する。
著者
ナイフー チェン 小林 孝雄 佐井 りさ
出版者
日本経済国際共同センター
巻号頁・発行日
2006-08

銀行の貸出債権は流動性が低い.これは,貸出債権が貸出先企業のプライベート情報をふんだんに含むためである.一方,貸出債権から生じるキャッシュフロー自体は流動的であることが多い.近年のフィナンシャル・イノベーションは後者の点に着目して,銀行貸出債権を原資産とするクレジット・デリバティブやMBS,CMO,CLO,CBOに代表される証券を発行し,貸出債権を市場に売却することを可能にした.これによって,銀行は貸出債権の信用リスクを広範な投資家層に移転し,プライベート情報と信用リスクを凝縮したレジデュアル部分だけを保有すればよくなった。われわれの試算によれば,商業用貸出債権ポートフォリオを証券化するにあたって,銀行が留保するべきレジデュアル・トランシェはわずか3%前後である.これこそが,市場の論理から決定される銀行の自己資本比率である.この仕組みに加えて,決済システムの安全性を確保できれば,バンキング・システムは従来の金融仲介機能を果たしながら,完全に安全なシステムに生まれ変わることができる.かつてアービン・フィッシャーをはじめ幾人もの有力な経済学者達が主張した「100%マネー」のバンキング・システムは,新しいフィナンシャル・テクノロジーの登場によってその実現可能性を飛躍的に強めた.この新体系は,預金保険の利用に起因する銀行行動のモラル・ハザードに苛まれ続け,しばしば危機に晒されてきた従来の部分リザーブ型バンキング・システムより明らかに優れている.
著者
池田 弘人 金子 一郎 多河 慶泰 遠藤 幸男 小林 国男 鈴木 宏昌 中谷 壽男
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.190-194, 2001-04-15

A middle-aged man was found unconscious at apartment after ingesting gamma hydroxybutyric acid (GHB) purchased via the internet sales and was admitted to our critical care center. He underwent gastric irrigation and respiratory assistance with intubation at the emergency room due to a probable drug overdose and respiratory acidosis. After fully recovering, he admitted he had taken large doses of GHB with alcohol. The US Federal Drug Administration (FDA) banned GHB sale as an OTC drug in 1991 but has not succeeded in controlling increased GHB addiction. Unconsciousness, coma, hypothermia, bradycardia, hypotention, muscle weakness, myoclonus, convulsion, respiratory distress, and vomiting are common symptoms after GHB ingestion. Treatment such as gastric irrigation, atropine for bradycardia, and respiratory assistance in hypoxia are recommended. Little attention is paid to GHB in Japan because of its rarity and its sale is not illegal, unlike the strict restrictions in the US and European countries. With GHB available over the Internet, its abuse is expected to increase.
著者
宮町 宏樹 泊 知里 八木原 寛 井口 正人 為栗 健 山本 圭吾 大倉 敬宏 安藤 隆志 尾西 恭亮 清水 洋 山下 裕亮 中道 治久 山脇 輝夫 及川 純 植木 貞人 筒井 智樹 森 済 西田 誠 平松 秀行 小枝 智幸 増田 与志郎 加藤 幸司 畠山 謙吾 小林 哲夫
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.227-237, 2013-03-29

2008年に実施された屈折法地震探査によって得られたP波初動走時により,姶良カルデラおよび桜島火山の深さ3kmまでの速度構造を推定した.本研究地域の基盤層である四万十層群は4.6-5.0km/sのP波速度を持ち,姶良カルデラの中央部に向け傾斜している.姶良カルデラの中央部には,4.2-4.4km/sの低速度域が深さ1.5-3kmに存在している.そして,この低速度域はカルデラ下に存在する深部マグマ溜まりからのマグマ供給系が活発であることを示唆している.また,基盤層は鹿児島地溝帯の北西域の境界に沿って深さ1kmから2.5kmに急激に落ち込んでいることがわかった.桜島火山の速度構造は3.6-3.7km/sの領域が存在することで特徴づけられる.桜島火山の山頂直下で発生している火山性地震の震源域と速度構造の比較から,地下構造が種々の火山性地震の震源域の広がりに強い影響を与えていることを示した.
著者
小林瞳 植竹朋文
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.343-345, 2015-03-17

多くの人は当日の朝にその日に着ていく服をコーディネートしていることが多い。最適なコーディネートをするためには、洋服間の相性や個人の好みや気分を考慮するだけでなく当日の天気や気温、着た服の履歴を参照しつつ着るべき服を決定する必要があるが、たくさんの洋服を持っている場合、時間的余裕のない朝の時間にこれらの作業を行うことは難しい。そこで本研究では、洋服間の相性や好み等の個人属性、天気等のその日の状況と着た服の履歴を考慮したコーディネート支援システムの提案を行う。本システムを利用することで、ユーザは着たいトップスかボトムスを1つ指定するだけで、最適なコーディネートを容易に実現することが可能となる。
著者
田中 秀和 下沖 光浩 Gustavo Dore 竹居 直哉 小林 茂 奥出 直人
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2010-GN-77, no.16, pp.1-6, 2010-11-18

近年ではコンピュータの小型高性能化によりユビキタス環境が可能になりつつある。家庭内においては、家具を新しいメディアにすることで、生活者は今までにない暮らしを経験することになる。本提案では、クロックに顔認識機能を持たせることにより、クロックと生活者の新しい関係性を提案する。