著者
井上 裕 森田 夕貴 斉藤 麗美 天野 留美子 沼尻 幸彦 金本 郁男 杉林 堅次
出版者
日本社会薬学会
雑誌
社会薬学 (ISSN:09110585)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.30-35, 2014-06-10 (Released:2015-08-11)
参考文献数
17

In 2012, the external prescription rate was 66.1% of the national average. A dispensing doctor is recognized by the escape clauses of Article 22 of the Medical Law, Article 21 of the Dentist Medical Law, and Article 19 of the Pharmacists Act. In this study, the medicine inventories of dispensing doctors and pharmacies were compared. The medicine supplies of 7 dispensing doctors and 11 pharmacies in Saitama were classified according to the medicinal effects. We also investigated the conditions in which high-risk medicines, poisons, or drugs were stored. The average number of medicines in the medicine inventory of a dispensing doctor was 262.3 (range : 99, 439), whereas the average number of medicines in the medicine inventory of a pharmacy was 1179.7 (minimum, 275 ; maximum, 1980). Further, among these medicines, there were an average of 41.0 high-risk medicines (minimum, 18 ; maximum, 76) in the inventory of a dispensing doctor and an average of 176.7 high-risk medicines (minimum, 5 ; maximum, 299) in the inventory of a pharmacy. In addition, poisons (average, 0.3) and narcotics (average, 0.9) were found to be stored by dispensing doctors. The study results revealed that pharmacies as well as dispensing doctors stored high-risk medicines. The dispensing doctor may be indirectly associated with critical medical accidents to need cross-check by pharmacist exceedingly high-risk medicine. Thus, for patients to use medicines appropriately and for them to be reassured of the safety of medicines, only professionals such as pharmacists, rather than doctors, should dispense medicines.
著者
井上 和仁 小林 正美
出版者
神奈川大学
雑誌
年報 (ISSN:13420917)
巻号頁・発行日
vol.98, 1999-03

河川や土壌等の重金属による汚染が深刻な環境問題をひき起こしている。一度、汚染された環境中より重金属などの汚染物質を除去するには膨大なコストと時間がかかる。一方、自然界にはこれらの汚染物質を、自らの体内に取り込み集積する微生物が存在する。これらの微生物が持つ重金属集積能を解明し、応用することで、新たな重金属除去法を開発することが期待される。酸性鉱山廃水から単離された好気性光合成細菌Acidiphilium rubrumはpH3.5-4.0という酸性環境下で生育し、亜鉛を含むバクテリオクロロフィルaを産生する。これまで、光合成生物が生産するクロロフィル類は全て、ポルフィリンにマグネシウムを結合したものであったが、A. rubrumにおける亜鉛バクテリオクロロフィルの合成はこの常識を覆すものである。本研究はA. rubrumにおいて合成される亜鉛バクテリオクロロフィルの化学的性質を調べ以下のような結果を得た。亜鉛バクテリオクロロフィルの基本骨格は通常のバクテリオクロロフィルaとまったく同じだが、中心金属のみ異なり、亜鉛バクテリオクロロフィルのフェオフィチン化速度は通常のバクテリオクロロフィルaに比べて遥かに遅いことが明らかになった。今後は、亜鉛バクテリオクロロフィルの生合成過程を明らかにし、亜鉛の集積能に関する基礎的知見を得る予定である。
著者
桜井 謙資 小林 京子 高橋 利禎
出版者
繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.22-26, 1989-01-10 (Released:2008-11-28)
参考文献数
8
被引用文献数
4

脱アセチル化度の異なるキトサン膜を酢酸水溶液からキャスト法で調製した。塩化カリウムに対する膜電位からTeorell-Meyer-Sievers理論によって求めた膜の有効固定電荷密度および水和度は,予想に反して脱アセチル化度の増加とともに減少した。この挙動は非晶部の体積分率の低下により解離可能なアミノ基の数が減るためと推測された。同じキトサン膜で4種の単純無機塩についての透過係数を測定した。低い塩濃度においては透過速度はDonnan効果によって制限され,塩濃度とともに増加するが,高濃度においてはイオンの水和半径のみに依存する一定値となり,水和半径が大きいほど拡散係数は小さくなった。微多孔膜の透過速度は緻密な膜よりも数倍大きいが,その塩濃度依存性は類似していた。
著者
林 優花 ハヤシ ユウカ Hayashi Yuuka
出版者
鹿児島国際大学大学院
雑誌
鹿児島国際大学大学院学術論集 (ISSN:18838987)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.41-53, 2014-11

The dialect of Yoronisland in Kagoshima prefecturehas complicated expressions for the potential form. It is a rare feature and can't be found in other dialects. Forms of expression in Yoron can change depending on the grammatical personof performingsubject. However, there have been fewstudies on the dialect,of Yoron, the detailed expressionfor the potential form hasn't been understood sufficiently. Therefore, in this paper I report the result of investigationon dialect in Yoron island and its analysis. Furthermore, I explore the system of the potential form in order to understand the division of dialectal use. As the result of the analysis, I propose that Yoron people might regard the grammatical person of performing subject as important when the form of use for dialect is decided. In the case of first person, Yoron people use the"Nayun" series in the affirmative form for the potential form of the kind of passionand ability. And they use the "Ryun" series in the potential form for inner and outer conditions. In the negative form, they all use the "Raji" series regardless of the kind of potential form. On the other hand, except for the first person as subject, in the affirmative form they all use the "Nayun" series, in the negative form they use the "Naraji" series regardless of the kind ofpotentiality.
著者
古川 祥子 藤原 和哉 尾本 美代子 村山 友樹 呉 龍梅 笹木 晋 熊谷 亮 五十野 桃子 秋根 大 小林 浩幸 高屋敷 典生 鈴木 浩明 島野 仁 野牛 宏晃
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.913-920, 2014

症例は21歳女性.2年前から繰り返す発熱,倦怠感,頭痛,動悸,嘔気が1ヶ月前より増悪し来院.血圧186/133 mmHg,脈拍106/分,体温38.5 ℃,血液検査上HbA1c 8.2 %,血糖356 mg/d<i>l</i>と糖尿病を認め,CRP 40.21 mg/d<i>l</i>, IL-6 100 pg/m<i>l</i>と高値だった.画像上<sup>123</sup>I-MIBGシンチグラフィーで集積のある7 cm大の左後腹膜腫瘤を認め,カテコラミン・メタネフリン高値であり褐色細胞腫と診断した.ドキサゾシン,プロプラノロールの他,発熱,炎症反応高値に対しナプロキセンを使用した結果,CRP 0.15 mg/d<i>l</i>, IL-6 1.7 pg/m<i>l</i>まで低下した.同時に耐糖能は改善し,インスリン療法を術前に中止し得た.IL-6高値を伴う褐色細胞腫では,ナプロキセンが二次性糖尿病を改善し,高血糖による手術リスクを減少し得ることが示唆された.
著者
舟根 和美 川端 康之 鈴木 龍一郎 藤本 瑞 北岡 本光 木村 淳夫 小林 幹彦
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学 : 日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.179-185, 2011-04-20

Bacillus circulans T-3040株由来の環状イソマルトオリゴ糖グルカノトランスフェラーゼ(CITase,EC2.4.1.248)は,デキストランから環状イソマルトオリゴ糖および環状イソマルトメガロ糖(両者あわせてサイクロデキストラン,CI)を合成する酵素であり,中でもグルコース8分子から成るCI-8を最も多く生産する。部位特異的変異導入によりN末端領域(Ser1-Gly403)に在るAsp145,Asp270,Glu342が触媒活性に重要な役割を果たすことが示唆された。C末端領域を4つ(R1,Tyr404-Tyr492;R2,Glu493-Ser596;R3,Gly597-Met700;R4,Lys701-Ser934)に分け欠失変異導入を行った結果,R2およびR3はCITaseに必須,R1およびR4は糖質結合モジュールであり,R1はCI-8生産特異性と酵素の安定化にも関与することが示唆された。CI-Taseは,生産菌をデキストランを炭素源として培養した場合に生産誘導されると考えられていたが,T-3040株のCITaseはデンプンを炭素源として培養した場合にも生産誘導された.これまでのCI生産にはショ糖からデキストランを生産する菌株を必要としていたが,1菌株でデンプンからCIを生産する系が存在することが示唆された。
著者
佐藤 悦子 小林 茂雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.693-700, 1996-07-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
10

同一形態のセミフレアースカートで明き部位の異なる4タイプの実験衣を用いて着脱動作を行わせた.スカートを着脱する場合, 明きの部位が異なると動作の仕方や所要時間, 動作挙動およびイメージや着脱のしやすさなどに影響を及ぼすことが明らかになった.得られた結果は次のようである.(1) 動作の所要時間において明き部位4タイプの有意差は補助動作において顕著であった.(2) ファスナーの開閉操作は, 利き手優先群と明き方向側によって調節する群が見られた.(3) スカートへの脚の出し入れ操作は, 明き部位との関連性は認められず, 利き足および非利き足の使い分けが動作の難易性のとらえ方と関係していると推察される.(4) 明き部位が異なると着用感とイメージにも有意差が認められた.着脱のしやすさは左上前の前明きを最も着脱しやすいと回答する者が有意に多かった.
著者
西村 秦 佐藤 雅之 江川 隆輔 小林 広明
雑誌
研究報告システム・アーキテクチャ(ARC) (ISSN:21888574)
巻号頁・発行日
vol.2015-ARC-216, no.38, pp.1-8, 2015-07-28

マルチコアプロセッサでは,ラストレベルキャッシュ (LLC) を複数のコアで共有している.このため,LLC 上には複数のスレッドで共有しているデータ (共有データ) が存在する.複数のスレッドからアクセスされる共有データは,単一のスレッドからしかアクセスされないデータ (私有データ) に比べ再利用性が高い.しかし,共有データと私有データの区別を行わないデータ管理では,私有データによる過剰なキャッシュ占有のため,共有データを十分に保存できずヒット率の低下を招く.そこで,本研究では,並列プログラムの実効性能向上を目的とし,複数のスレッドに共有されるデータとそれ以外のデータを LLC 上で個別に管理するキャッシュ機構を提案する.提案手法は,LLC 上のデータを共有データと私有データに分けて管理することで,再利用性の高い共有データを優先的に LLC に保持する.これにより,共有データのヒット率が向上し,並列プログラムの実効性能向上が期待できる.シミュレーションによる評価結果から,提案手法は,LRU 置換ポリシに基づくキャッシュ機構と比較して最大 1.70 倍,平均 1.13 倍の性能向上を可能にすることが明らかとなった.

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著者
勁林園 編
出版者
東洋社
巻号頁・発行日
1901
著者
久保田 喜久 島田 長人 下山 修 本田 善子 瀬尾 章 金子 奉暁 若林 峰生 三木 敏嗣 杉本 元信 籾山 浩一
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.30-34, 2005-02-28
被引用文献数
3

症例は74歳女性。内服薬を服用した直後から咽頭痛が出現し当院を受診した。上部消化管内視鏡検査を施行したところ胸部食道にPTPを認めたため透明プラスチックキャップを内視鏡の先端に装着し摘出したが, その際シートの辺縁で頸部食道粘膜を損傷した。損傷は軽度であったため帰宅させたが, 翌日になり咽頭痛の増悪と発熱を認め第5病日に再度受診した。内視鏡検査を施行したところPTP摘出時の粘膜損傷部に一致して径約4mmの穿孔部を認め, 損傷部の遅発性食道穿孔と診断し入院となった。全身状態は良好で炎症反応も軽度であり, CT検査では頸部と縦隔内に気腫像を認めたが高度な縦隔炎や膿瘍形成は認めなかったため保存的治療を行い軽快した。PTPは鋭利な辺縁を有するために容易に食道粘膜の損傷を来たし易く, 摘出時の工夫はもちろんのこと摘出後も厳重な経過観察が必要と考えられた。
著者
小林 麻里子 奥脇 義行 川井 英雄
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION FOR THE INTEGRATED STUDY OF DIETARY HABITS
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:18812368)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.211-216, 2006-12-30
被引用文献数
1

<I>Staphylococcus</I>属菌及び<I>Streptococcus</I>属菌はPETボトル入り清涼飲料水中でも長時間の生存が可能な場合がある。そこで,これらの中で口腔内に常在していることの多い<I>S.aureus</I>と<I>S.pyogenes</I>の一定濃度の菌液を調製し, 菌数の変動を検討した。<BR>(1) <I>S.aureus</I>と<I>S.pyogenes</I>を接種した実験において, スポーツ飲料と乳酸菌飲料では<I>S.aureus</I>では菌数の変化が見られなかったが, <I>S.pyogenes</I>は5時間後までに死滅した。<BR>(2) むぎ茶飲料では<I>S.aureus</I>は増加し, <I>S.pyogenes</I>はわずかな減少を示した。<BR>(3) 紅茶飲料 (ミルクティ) は両菌種ともに増加した。<BR>(4) スポーツ飲料と乳酸菌飲料はpH3, むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) はpH6程度であるため, 細菌の生存には成分も影響するが, pHの方がより強く影響することが示唆された。<BR>(5) むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) との比較では, むぎ茶飲料はタンパク質, 脂質, 炭水化物を全く含まず, 原材料が麦の浸出液のみである。これに対し, 紅茶飲料 (ミルクティ) は乳成分 (牛乳, 脱脂粉乳など) や砂糖を含むため, 細菌の増殖に適した条件であると言える。<BR>(6) 黄色ブドウ球菌食中毒が発症するエンテロトキシン量は平均100~200ngとされる。これは, 食品中における<I>S.aureus</I>が10<sup>6</sup>cfu/g以上と同レベルの増殖である。本研究の紅茶飲料 (ミルクティ) では, 接種24時間後でもっとも増殖した試料でも10<sup>4</sup>cfu/mL程度である。このためエンテロトキシンが産生される条件に満たなかったと考えられた。
著者
小林 麻里子 奥脇 義行 川井 英雄
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:18812368)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.211-216, 2006-12-30
参考文献数
10
被引用文献数
1

&nbsp;&nbsp;<I>Staphylococcus</I>属菌及び<I>Streptococcus</I>属菌はPETボトル入り清涼飲料水中でも長時間の生存が可能な場合がある。そこで,これらの中で口腔内に常在していることの多い<I>S.aureus</I>と<I>S.pyogenes</I>の一定濃度の菌液を調製し, 菌数の変動を検討した。<BR>(1) <I>S.aureus</I>と<I>S.pyogenes</I>を接種した実験において, スポーツ飲料と乳酸菌飲料では<I>S.aureus</I>では菌数の変化が見られなかったが, <I>S.pyogenes</I>は5時間後までに死滅した。<BR>(2) むぎ茶飲料では<I>S.aureus</I>は増加し, <I>S.pyogenes</I>はわずかな減少を示した。<BR>(3) 紅茶飲料 (ミルクティ) は両菌種ともに増加した。<BR>(4) スポーツ飲料と乳酸菌飲料はpH3, むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) はpH6程度であるため, 細菌の生存には成分も影響するが, pHの方がより強く影響することが示唆された。<BR>(5) むぎ茶飲料と紅茶飲料 (ミルクティ) との比較では, むぎ茶飲料はタンパク質, 脂質, 炭水化物を全く含まず, 原材料が麦の浸出液のみである。これに対し, 紅茶飲料 (ミルクティ) は乳成分 (牛乳, 脱脂粉乳など) や砂糖を含むため, 細菌の増殖に適した条件であると言える。<BR>(6) 黄色ブドウ球菌食中毒が発症するエンテロトキシン量は平均100~200ngとされる。これは, 食品中における<I>S.aureus</I>が10<sup>6</sup>cfu/g以上と同レベルの増殖である。本研究の紅茶飲料 (ミルクティ) では, 接種24時間後でもっとも増殖した試料でも10<sup>4</sup>cfu/mL程度である。このためエンテロトキシンが産生される条件に満たなかったと考えられた。