著者
川床 裕香 植野 拓 本多 亮平 太田 祐子 塩貝 勇太 小峠 政人 大和 枝里 永淵 郁 森松 明彦
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.138, 2008

【はじめに】<BR> 生態心理学領域において視覚情報が身体にもたらす影響が論じられており、臨床上、周辺視野内の情報が患者様の多様な身体反応を引き出す場面をしばしば経験する。側方にテーブルを設置すると同側へのリーチ距離が有意に延長したという先行研究報告もあり、視野内の物的環境を手がかりに身体にも変化をもたらすことがうかがわれる。<BR> 今回、周辺視野内のテーブル設置の有無やその設置条件の違いで前方リーチ距離や自覚的安定感に影響があるかを測定・検証し、リハビリテーションアプローチへの展開の可能性を検討する。<BR>【対象】<BR> 健常者44名(男性15名、女性29名、平均年齢26.04±4.22歳、平均身長161.79±9.22cm)を対象とした。<BR>【方法】<BR> 被験者は閉脚裸足立位で、両肩屈曲90度・肘伸展・前腕回内位の開始肢位から足底全面接地のまま水平方向に前方リーチを行い、TOEI LIGHTファンクショナルリーチ測定器T-2795を用いて、両中指を指標に測定を行った。<BR> 測定環境は、前方10m空間内にテーブル、測定器以外の視覚的要素の無い状態を設定した。<BR> 測定条件は、2回の前方リーチ練習を行った後、テーブル設置なし、テーブル設置ありで高さ2通り(膝蓋骨・大転子)、足尖からの距離2通り(30cm・60cm)の計4通り、合わせて5条件で行った。また、測定を行った後、自覚的にはどの条件下がもっとも前方リーチが行いやすかったかを、被験者に聴取した。<BR> 各測定条件下でのリーチ距離の比較についてはFriedman順位検定後多重比較検定(Bonferroni法)を、自覚的安定感の比較についてはカイ2乗検定を用いて統計解析を行った。<BR>【結果】<BR> テーブルの有無やそれぞれの設置条件間において、リーチ距離や自覚的安定感に有意差はなかった(p>0.05)。<BR>【考察】<BR> 今回の検証では、テーブル設置の有無や設定条件にかかわらず、前方リーチ距離や自覚的安定感の間には有意差はなかった。各々の設定条件は、被検者個々人の身体運動能力や主観に一律の影響を与えるような周辺視野情報とはなり得なかったと考えられる。リハビリテーションアプローチとして視覚情報を用いるとき、個別性を考慮した介入が必要であることが示唆される結果となった。今後も、臨床に活かすために他のテーブル設置の条件などを検討し、臨床場面への応用の糸口を探っていきたい。
著者
植野 義明
出版者
東京工芸大学工学部
雑誌
東京工芸大学工学部紀要 = The Academic Reports, the Faculty of Engineering, Tokyo Polytechnic University (ISSN:03876055)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.14-24, 2019-12-25

数学教育学会では、研究グループ「数式音読SG」が新たに発足し、第1回ワークショップが2018年8月6日に開催された。この研究グループでは、数式を声に出して読むことの教育的意義に関する教育心理学における先行研究に基づいて、学校現場で数式を読む方法の標準を構築するための基礎研究を目的としている。このような研究は、小学校から大学までの教育現場に直接影響を与えることが期待されており、多くの人々の知識と実証データを収集することにより促進されるべきである。本論考では、上記の研究グループが本格始動する前の準備として、小学校から大学までのカリキュラムに含まれるいくつかの数式について、日本語と英語での読み方を比較・検討したい。
著者
渡辺 祐子 早川 潔 植野 洋志
出版者
日本茶業学会
雑誌
茶業研究報告 (ISSN:03666190)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.107, pp.107_61-107_69, 2009-06-30 (Released:2011-12-09)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

乳酸菌による茶葉中でのγ-アミノ酪酸(GABA)の生産を目的に,新たにGABA生産性の高い菌を検索すると共に,乳酸菌の茶葉中での生育条件とGABA生産及び緑茶カテキンの変化について検討した。その結果,GABA生産性の高い乳酸菌L.brevis L12を得ることができた。さらに,L. brevis L12を10%茶懸濁液中で25°C,4日間培養することにより,ギャバロン茶とほぼ同量のGABAを含む新しい茶を作ることが可能になった。しかし,乳酸菌の生育向上の為グルコースを添加した場合,GABAは生成しなかった。GABAの豊富な茶葉生産時,茶葉中のグルタミン酸から理論変換量以上のGABAが得られた。原因として,茶葉中のグルタミン酸のアミド誘導体がグルタミン酸を経てGABAとなっている可能性が示唆された。
著者
植野 研
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 = Journal of Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, 2006-01-01

演奏家や体操選手などの技芸実践者は, 長い年月をかけて高度な運動スキルを獲得し, 通常は成し遂げることのできない技を実演することができる.しかしながら, 多大な労力と時間をかけて磨き上げた技芸スキルは, 一般に, 個人差や筋骨格の冗長性・流派などの違いから, 言葉で説明することが困難であり, これを正しく理解することが困難であることが知られている.本研究では, このような身体知の構築問題に対し, 身体制御のタイミングに着目し, 高度なスキルをピークタイングシナジー(PTS)としてモデル化する方法を提案する.PTSとは, 身体各部のタイミングの協調制御に関する動作一貫性制約で, 運動タスクにおいて遵守すべき身体知のことである.次に, このPTSを, 身体計測データから自動構築するアルゴリズムPRESTO (Phasic Relation Extraction for Skill Training and Optimization)を提案する.PRESTOは, 多角形近似を用いて波形の変化ピークとその時間ずれを特徴点とし, 時系列マイニングによりタイミングの法則性を導き出す.本方法により, 多変量時系列波形から身体各部の連鎖動作を点と線で捉えるPTSのモデル化が可能となる.本論文では, チェロ演奏における運弓動作をとりあげ, 計測データからPTSを構築する検証実験を行った.この検証実験により, 熟練者に共通する共通スキル, 特定の熟練者に特化した個性スキルをモデル化でき, 解釈可能な身体知を構築することを確認した.技芸スキル教育におけるスキル解析の一つの道具立てを提供することができ, 技芸スキル理解における足がかりをつけることができた点で, 本研究は大きな意義をもっていると考えられる.
著者
宇都 雅輝 植野 真臣 Masaki UTO Maomi UENO
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18810225)
巻号頁・発行日
vol.J103-D, no.5, pp.459-470, 2020-05-01

近年,学習者の実践的かつ高次な能力を測定する手法の一つとしてルーブリック評価が注目されている.ルーブリックは評価者の主観による評価基準をより客観的にするためのツールであるが,それでも評価がパフォーマンス課題や評価者,ルーブリックの評価観点の特性に依存してしまうことが指摘されてきた.この問題を解決する手法の一つとして,これらの特性を考慮して学習者の能力を測定できる項目反応モデルが近年多数提案されている.しかし,既存モデルは学習者・課題・評価者・評価観点で構成される4相の評価データに直接には適用できず,課題・評価者・評価観点の特性を同時に考慮した能力測定は実現できない.また,ルーブリック評価の評点は一般に段階カテゴリーとして与えられ,各カテゴリーに対する評価基準は評価者と評価観点の特性に依存する.しかし,既存モデルでは評価基準は評価者と評価観点のいずれか一方にのみ依存すると仮定している.以上の問題を解決するために,本論文では,評価観点と評価者の評価基準を考慮して,ルーブリック評価の4相データから学習者の能力を測定できる新たな項目反応モデルを提案する.また,シミュレーション実験と実データ実験を通して提案モデルの有効性を示す.
著者
大平 美咲 角銅 しおり 門司 映美 鍋島 一樹 塩貝 勇太 深山 慶介 ハーランド 泰代 植野 拓 中司 貴大 澤田 芳雄
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.332, 2010

【目的】<BR>包括的呼吸リハビリテーション(以下、呼吸リハ)における患者教育の重要性は広く認識され、効果も実証されつつある。しかし、呼吸器疾患に対するクリニカルパスは、さまざまなバリアンスがあるため困難なことが多く、慢性呼吸器疾患に対するクリニカルパスについての報告は少ない。今回、当院にて2週間の呼吸リハビリテーション教育入院を開始し初期評価での継続と非継続の因子の検討を行った。<BR>【対象】<BR>2008年2月~2009年12月に入院しインフォームドコンセントが得られた慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)患者(継続群10名68歳±14歳、非継続群11名 71歳±21歳)。<BR>【方法】<BR>入院期間の2週間で運動療法と多職種での包括的な患者教育を中心とした呼吸リハビリテーションクリニカルパス(以下、呼吸リハパス)を作成した。肺機能検査(肺活量、%肺活量 以下%VC、1秒率 以下FEV1.0%)、標準評価(MRCの息切れスケール、身体所見、BMI、横隔膜呼吸の熟達度grade)、ADL評価(千住らのADLテスト)、下肢筋力検査(等尺性膝伸展筋力)、運動耐容能検査(シャトルウォーキングテストまたは6分間歩行テスト)、セルフマネージメント検査(Lung information Needs Questionaire 以下LINQ)を多職種で検査・評価を行う。両群内において初期評価の各項目をそれぞれ比較した。解析方法はwilcoxon順位和検定を用い、p<0.05を優位水準とした。<BR>【結果】<BR>両群間において統計学的な有意差は認められなかった。継続群ではMRCスケールより呼吸困難は様々であったが下肢筋力は保たれておりLINQの点数は低くセルフマネージメントは高い傾向であった。非継続群ではFEV1.0%が低くMRCスケールは重症傾向でありLINQの点数は高くセルフマネージメントは低い傾向であった。<BR>【結論】<BR>継続群では呼吸困難は様々であったが身体機能・セルフマネージメントは比較的保たれていた。初期評価時に呼吸リハの教育を受けた経験がない症例が多く呼吸リハパス終了時の最終評価ではセルフマネージメントにおいて統計学上有意に向上した。非継続群ではLINQの点数よりセルフマネージメントに欠ける傾向がみられた。FEV1.0%が平均56%と低肺機能でありMRCスケール3以上、下肢筋力、運動耐容能が低く初期評価の介入で呼吸困難が増強し運動への動機づけが困難であり継続できなかったと思われる。COPDの呼吸リハは運動療法を主軸としたプログラムが有効であり患者教育も同様に必須条件である。今回の検討を通して同一疾患においても肺機能以外にも呼吸困難の程度や下肢筋力の個々の身体能力を評価し、現呼吸リハパスの適応と不適応を判別できる基準が分かった。パス適応ではない患者にはコンディショニングやADLを中心とした介入が必要であり個別性を重視した内容のプログラムと継続方法についての検討が必要である。また、個々に必要な患者教育を十分に行なっていくことが運動療法を進めていく上でも改めて重要であると感じた。
著者
植野 洋志
出版者
大阪医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

ゴシポールの多岐にわたる作用機構の解明の為に、二枚貝であるSpisula solidissimaの精子をモデルとして実験を進めた。まずは、精子の細胞膜表面に存在するゴシポールの受容体と思われるタンパク質の同定を目標とした。Spisulaより多量の精子を採取し、Triton X-100を含む緩衝液で精子を処理後、可溶化されたタンパク質の精製をアフィニティーカラムを使って試みた。アフィニティーカラムには、ゴシポール、および、ゴシポールの酸化物であり、精子とのインターラクションの後、誘導されると思われるゴシポロンを幾種かの市販のアフィニティーゲルにカップリングさせたものを準備した。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法による解析の結果、幾種の特徴的なバンドが観測された。その内、3種類のタンパク質をゴシポール受容体として精製をおこなった。ゴシポールの構造類似化合物および誘導体と精子との相互作用を検討した。これにより、ゴシポールの構造上、どの部位がその生理作用発現に関与するかを知る事ができると考えた。20種近い構造類似物および誘導体が及ぼす精子の運動能力、酸素消費量、そして卵子との受精効率への効果を比較検討した。その結果、アルデヒド基の存在は全ての生理作用に必須であり、受精効率と構造上との間での相関はなかったものの、ゴシポロンの生成には第2芳香族環に存在する水素原子の存在が必要であることが判明した。ゴシポールのもつ生理作用をより深く理解する意味で精子運動を阻害する他の化合物、例えばカルシウムチャンネルブロッカーやtricyclic antidepressant剤の作用を検討した。これらの試薬とゴシポールとの拮抗作用も検討した。近年、生殖のメカニズムに神経伝達物質であるGABAおよびGABAの合成を司るグルタミン酸デカルボキシラーゼの関与が示唆されており、我々は偶然に抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ抗体が前出のゴシポール受容体タンパク質の一部と反応することを見つけた。現在、その意味合いを解明中であるが、GABAを通じての精子運動の制御機構は未だ知られておらず今後の課題として興味深い。
著者
青木 尚子 渡邊 恵都子 ハーランド 泰代 植野 拓 由川 明生
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.277, 2010

【はじめに】<BR>心臓リハビリテーション(以下、心リハ)は退院後の患者教育と運動療法が継続できれば効果的とされている。当院での外来心リハ通院患者の継続・非継続因子の調査では、非継続因子として統計学的に有意差はないものの1、男性が継続しにくい2、遠方の方が継続しにくい3、自己負担が高い方が継続しにくい傾向にあった。今回は、低心機能にもかかわらず自覚症状が軽度なため過負荷に陥り易い男性の症例に着目した。仕事帰りに利用することができる自宅近辺の非医療施設であるスポーツジムへの利用に繋げることが出来たので、今後の課題と共に報告する。今回の報告は、本症例に対して説明し同意が得られている。<BR>【症例紹介】<BR>70歳台、男性、既往に狭心症や急性心筋梗塞(以下、AMI)など繰り返しており、今回4度目の入院となる。2009年12月に胸痛ありAMI(2枝病変)と診断され経皮的冠動脈形成術を施行した。PeakCK3039U/L。心エコー結果より、左室駆出率40%、後壁、心室中隔・前壁の壁運動低下、中等度の大動脈弁狭窄症みられた。当院のMIパス2週間コースを用い心リハを開始した。5病日目から個別運動療法介入し、その後大動脈弁狭窄症から心不全を合併し、MIパスが停滞したものの19病日目から集団リハを開始し、自転車エルゴメーターにて旧Borg指数11レベルの負荷設定とした。4週間入院リハを行い、退院時には近隣スポーツジムに週3回、当院の外来心リハを週1回継続することとした。その際にスポーツジムには運動許可を示す主治医からの文責と併せて担当セラピストより情報提供目的の心リハ連携シートを渡し、持参して頂いた。内容は、疾患の状態、安全に出来る運動内容、リスク管理チェック項目を記載した。症例にもスポーツジムスタッフにも分かりやすい言葉を用い、定期的に評価を行い運動内容の変更も記載出来るようにし、安全でスムーズな連携を図った。1ヶ月後、歩行時の呼吸苦あり外来心リハ時に受診し、心不全増悪(左室駆出率30%)がみられたため利尿剤の追加あり。その後、スポーツジム利用を週3回から1回に、外来リハを週1回から3回に変更し、医学的管理を中心に心リハを継続した。<BR>【まとめ】<BR>今回、心リハ連携シートを用い患者宅近隣スポーツジムへの紹介と運動指導を行った。本人への運動管理意識の向上と外来心リハも併用したことで症状に応じた運動指導を即座に変更・実施することが出来た。また、症状悪化に伴い循環器の外来受診を薦めることで医学的管理も可能となり、外来での症状コントロールが可能となった。今後の課題として1、症状に合わせた医療施設と非医療施設との役割分担の明確化2、使用料金や場所を考慮した連携施設の選択と拡大3、心リハ連携シートの見直しなどを行っていく必要がある。
著者
竹内 智一 田中 裕幸 藤岡 英二 植野 彰規
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.267-271, 2017-12-10 (Released:2018-03-29)
参考文献数
12
被引用文献数
2

In this study, we developed a new approach for simultaneous noncontact measurements of electrocardiograms (ECGs) and pulse beats (PBs) using passive and semi-active capacitive-coupling methods. The applicability of this method to blood-pressure (BP) monitoring of subjects in bed was then evaluated. For ECG measurements, two sets of five-layered conductive-cloth electrodes were placed under the subject's upper back and waist. A so-called driven-seat ground (DSG) was adopted for ECG measurements to reduce interference with the PB detection circuit. The DSG signal was fed back to the fifth layer of the electrode. For PB detection, one conductive cloth sheet was placed under the right calf and another under the right heel. The sheets formed capacitive couplings with the body via clothing, and the couplings were incorporated into a multi-vibrator. Changes in the oscillatory frequency of the multi-vibrator caused by PBs were measured as voltage changes. To increase the sensitivity of PB detection under the heel, the sheet area ratio between the calf and the heel was set to 5:1. Seven participants were instructed to lie on a bed in the supine position, and experimental measurements were performed on them. In the experiment, the following procedures were conducted : the subject rested for 20 s;a Valsalva test (VT) was conducted for 15 s;and the subject rested again for 100 s. As reference signals, continuous measurements of BP from the left fingertip, as well as chest ECG and photo-plethysmographic signals from the right fingertip were recorded. For evaluation analysis, all PBs were detected over the 80-second period of the output signals beginning 10 seconds after the end of the VT. As a result, the sensitivity of the PB was 99.2±1.1%. The mean correlation coefficient between the PB arrival time and systolic BP was-0.83±0.15. These results suggest the possibility of using the proposed method for noncontact BP monitoring during rest in bed.
著者
ハーランド 泰代 植野 拓 渡辺 恵都子 青木 尚子 豊田 文俊 高畠 由隆 舟越 光彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.DbPI2348, 2011

【目的】心疾患を有する患者は、長期間運動を継続し、運動耐容能を維持・向上することが望ましく、運動を継続することが生命予後に関係するとされている。しかし、社会背景や身体的問題などの影響から、中には継続困難となり中断してしまう患者も経験する。そこで今回、外来通院による心臓リハビリテーション(以下、心リハ)の参加者を対象に、継続および非継続に関わる因子を調査および検討したため報告する。<BR>【方法】対象は、当院にて2008年1月から2009年11月の間に、外来通院型心リハプログラムに参加した心疾患患者63名(男性52名、女性11名、平均年齢69.9±10.4)である。疾患内訳は狭心症29名、心筋梗塞5名、慢性心不全12名、閉塞性動脈硬化症11名、開胸術後4名、大血管疾患2名である。公的医療保険給付の心リハ期限である150日以上の継続可能であった群を継続群、150日未満であった群を非継続群に分けて比較検討を行った。グループの内訳は、継続群30名(男性22名、女性8名)および非継続群33名(男性30名、女性3名)であり、検討内容は年齢、性別、疾患名、家庭環境(同居、独居)、冠危険因子数、費用負担、通院手段、通院距離、参加期間、NYHAの重症度分類の各値を診療録情報より調査し、後方視的に比較検討した。統計処理方法はX2検定、t検定を用いて統計学的検討を行い、危険率5%未満を有意差ありとした。さらに費用負担の有無に区分し、カプランマイヤー曲線により心リハ継続群の比較、およびコックス比例ハザードモデルにより費用負担有無による非継続群のハザード比を求めた。<BR>【説明と同意】対象者には研究の趣旨を説明し、同意を得た。<BR>【結果】今回の結果、継続群は30名(47.6%)であった。NYHAの分類のclassIIおよびclassIIIの継続群は有意に相関が高く、非継続群は低い結果となった(P<0.05)。性別では相関は認められなかったが、男性に比べて女性の継続率が高い傾向があった(P=0.1)。家族形態(同居ありおよび独居)の結果では、継続群と非継続群において有意な相関は認められなかった(P=0.7)。通院距離(遠方または近隣)においても有意な相関は見られなかったが、非継続群に比べて継続群は高い傾向にあり、近隣に比べて遠方の方が継続しやすい傾向であった(P=0.2)。また費用負担ありについても両群で相関は認められなかったが、継続群に対して非継続群は高い傾向があり、費用負担があると心リハ実施の継続率が低下しやすい傾向があった(P=0.1)。さらに、費用負担ありと非継続の年齢等を調整したハザード比では、1.67(95%CI 1.01-2.52)と有意に高く、自己負担があると継続が難しいという結果となった。<BR>【考察】重症度が低く、リスクファクターが少ない参加者が非継続の傾向が示唆された。おそらく重症度が低ければ自覚症状が少なく、意欲も低下するため継続困難であったのではないかと考えた。そのため、介入時から心リハの必要性や効果について十分な説明を行い、疾患を自己管理できるように教育などの介入を十分に行っていく必要がある。また重症度が高いと継続率は高い傾向があるが、急性増悪などを起こす可能性も高いため、増悪予防やセルフコントロールの徹底が必要である。社会的な面では、独居の方が継続率が高いと予想していたが、結果的に家族形態には違いは見られなかった。また通院距離では、近隣の対象者に比べて、遠方の対象者の方が継続しやすい結果となった。これは交通機関を利用して来院される方が多く、近隣の徒歩や自転車での通院に比べて、時間的スケジュールが確立されている事や運動負荷が少ない事などが上げられる。また加えて、医療費の自己負担がある対象者の方が、非継続の傾向が強い結果であった。このことにより、自己負担の有無が心リハの継続に影響を与える因子の一つになることが分かった。このような結果を踏まえて、心リハ開始時の情報収集では十分な社会的な特性を考慮し、必要な援助を行う必要があると考える。また心リハの通院期間や終了時期を明確に設定し、その後負担の少ない民間のスポーツジムや市町村の運動教室などへ繋げて、運動を継続するなどの配慮が必要である。また今後さらに症例を増やし、詳細な分析を行う必要がある。<BR>【理学療法学研究としての意義】患者の社会的な背景や重症度の違いにより、心リハ継続に影響を及ぼす一要因になることが示唆された。情報収集の際に社会的な背景に問題がある方に対しては、民間の施設への斡旋や連携を強化し、運動を継続していく必要がある。<BR>
著者
堤 瑛美子 塩野谷 周平 宇都 雅輝 植野 真臣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1O3J1201, 2019 (Released:2019-06-01)

近年,教育の現場では学習者の発達を促すために個々の特性や理解度を把握することが課題となっている.これまで,学習過程の学習者の理解度やある知識の習得状態を推定する手法として Bayesian Knowledge Tracing(BKT)開発されてきた.しかし,BKTモデルでは知識の習得状態が二値または多値で表されるが,実際には知識の習得状態は連続値であるため,知識の習得状態を段階的に表現することで習得状態の正確な評価をすることは難しい.本研究では,学習者の知識の習得状態の推定精度向上のために,堤ら(2019)で提案した学習過程において知識の習得状態が隠れマルコフ過程に従って変化する項目反応モデルをBKTの一般化モデルとして提案する.提案モデルは知識の習得状態を連続値で表現し,さらに学習データから知識状態の遷移確率を最適化するため,様々な学習過程に適応させることができる.従来のBKTと提案モデルを用いて学習過程での学習者の知識の習得状態を推定し,推定精度を比較する実験から,提案モデルを用いることで推定精度が向上することが示された.
著者
木下 涼 植野 真臣
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.3Rin482, 2020 (Released:2020-06-19)

近年,人工知能分野において学習者の知識状態を動的に推定するKnowledge Tracingが注目を集めている.特に項目反応理論(IRT)と深層学習を組み合わせたDeep-IRTが提案され,高精度に学習者の反応予測が可能であることが報告されている.さらにDeep-IRTはIRTと同様に解釈可能な能力パラメータと困難度パラメータを持つ.しかし,Deep-IRTは得られる能力パラメータが解答する項目に依存しており,IRTと比較して解釈性に劣るため,適応型テストなど教育分野への応用は限られている.この問題を解決するため,本研究では測定モデルとKnowledge Tracing Modelを両立するItem Deep Response Model(IDRM)を提案する.IDRMでは,独立した学習者ネットワークと項目ネットワークから能力パラメータと困難度パラメータを推定するため,Deep-IRTよりも解釈性の高いパラメータが得られ,学習者の能力測定モデルとみなせる.さらに,実データ実験によりIDRMは既存モデルよりも高度に学習者の反応予測が可能であることが示された.
著者
福島 綾一 植野 真臣
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.18-28, 2016 (Released:2016-12-07)

This article introduces and reviews recent analyses methods on big data. We first introduce several kinds of definitions of big data based on Volume,Variety,Velocity, and Value extracted from data. Next, we describe that big data can be classified into three types – 1. various kinds of data with very large volume or producing very fast, 2. sparse data and 3. universal data –. Then we derive three important factors for utilizing big data – big data technologies, visualization and techniques for analyzing big data – and introduce the details of each factor corresponding to that three types of big data.
著者
植野 Yoshiaki UENO 東京工芸大学工学部基礎・教養
雑誌
東京工芸大学工学部紀要 = The Academic Reports, the Faculty of Engineering, Tokyo Polytechnic University (ISSN:03876055)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.86-92, 1998
被引用文献数
2

This paper will present an overview plot of a new discrete mathematics course. Its intended audience is non-science majors. The unique feature of this course is its use of computer algebra. After creating some super magic squares of size 5 by hand, super magic squares of size 4 are classified with the aid of Mathematica. Then the mathematical structure of these magic squares will be examined through an innovative approach by the author. Students can learn the use of arithmetic of modulo m, and the 4-dimensional geometry over the field with two elements. Overall, the goal of this course is to make the student a critical consumer of mathematical games, to understand what a mathematical structure is and how it works. We also mention that magic squares will provide good examples 'in nature' to motivate the student in a linear algebra course.
著者
植野 義明 Yoshiaki UENO 東京工芸大学工学部基礎・教養
雑誌
東京工芸大学工学部紀要 = The Academic Reports, the Faculty of Engineering, Tokyo Polytechnic University (ISSN:03876055)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.86-92, 1998

This paper will present an overview plot of a new discrete mathematics course. Its intended audience is non-science majors. The unique feature of this course is its use of computer algebra. After creating some super magic squares of size 5 by hand, super magic squares of size 4 are classified with the aid of Mathematica. Then the mathematical structure of these magic squares will be examined through an innovative approach by the author. Students can learn the use of arithmetic of modulo m, and the 4-dimensional geometry over the field with two elements. Overall, the goal of this course is to make the student a critical consumer of mathematical games, to understand what a mathematical structure is and how it works. We also mention that magic squares will provide good examples 'in nature' to motivate the student in a linear algebra course.
著者
瀧原 博史 植野 卓也 城甲 啓治 城嶋 和孝 酒徳 治三郎 中山 純
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.924-927, 1989-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
9

膀胱尿道異物は, 小郡第一総合病院泌尿器科において, 過去7年間に3例 (泌尿器科外来総受診患者の0.1%) 経験され, 2例が外来にて内視鏡下に経尿道的に摘出され, 1例は入院のうえ, 観血的に摘出された。患者はすべて男性で, 年令は24才, 42才, 56才であった。2例は尿道異物で, 1例は膀胱異物であった。異物の種類は, 電気コード, ボールペン, ビニールキャップであった。侵入経路は3例とも経尿道的で, 2例が自慰によるもので, 1例が就寝中に他人により挿入されたものであった。1例は尿道鏡下生検用鉗子にて摘出, 2例目は膀胱高位切開術にて摘出, 3例目は膀胱鏡下, 異物鉗子を用いて摘出した。本邦における本症の治療法の検討から, 明らかに以前の観血的治療が減り, 内視鏡を中心とした非観血的治療法が中心となっていくことが示唆された。