著者
植野 一芳
出版者
大東文化大学
雑誌
環境創造 (ISSN:13468758)
巻号頁・発行日
vol.1, no.9, pp.1-16, 2006-07

1997年、児童福祉法は制定以来50年ぶりに改正された。以降、保育所にかかわる主な改正は、2001年、2003年と続いた。これら-連の改正の中に、現在、そして今後の保育所のあり方を規定する大きな「うねり」の起点があるのでは、という問題意識が膨らむ。その「うねり」とは、保育分野の規制緩和であり 、さらには、それを具現化した公立保育所の民営化などを含むいわゆる「保育改革」である。本稿の目的は、97年以降の保育所にかかわる児童福祉法改正の動きを追い、その中に保育改革につながる起点を確認していくことにある。
著者
宇都 雅輝 植野 真臣
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.12, pp.2069-2081, 2011-12-01

本研究では,妥当かつ多様な論文構成の構築を支援するシステムの開発と評価を行う.ここでは,「論文構成」を情報理論における情報源からの出力符号系列とみなしたメタファとしてとらえ,論文構成の構築過程を定式化する.具体的には,過去の優良論文100件の論文構成を論文要素カテゴリーの系列データとし,それがm重マルコフ情報源に従うと仮定する.多重度の推定法として,情報論的アプローチでは,ベイズ符号語長(Bayes code length)最小化による推定法が高精度であると知られている.しかし,本論文で扱うようなデータ長の短いデータから学習する場合,多重度の増加に伴いベイズ符号語長が単調減少し,多重度を正しく推定できないことがある.そこで,本研究では,ベイズ符号語長が単調減少する場合の推定補正法を提案し,過去の優良論文100件から予測精度の高いm重マルコフ情報源を推定する.更に,推定されたマルコフ情報源に基づき論文構成の構築過程を逐次的にナビゲーションするシステムを開発する.最後に,評価実験を行い,補正手法及び提案システムの有効性を評価する.
著者
古川 清香 森 智恵子 植野 正之 品田 佳世子 川口 陽子
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.33-43, 2008-01-30
参考文献数
22
被引用文献数
1

口腔疾患が日常生活に障害を引き起こすことが報告されているが,日常生活の障害と喫煙行動との関連については明らかにされていない.また,タバコをとりまく環境が変化している現在,労働者の意識や知識を喫煙対策に反映していく必要もある.そこで,喫煙と日常生活への障害,人々のタバコ対策への意識およびタバコの害への知識を明らかにすること,そして,職域における歯科保健活動における喫煙対策の必要性を探索することを目的として本研究を行った.対象者は,2004〜2005年に,歯科健診および質問票調査に参加した電子機器メーカの事務および技術職の男性従業員855名(平均年齢42.1±6.4歳)である.健診項目は,歯の状況(DMFT),歯周組織の状況(CPI),歯垢の付着,口腔粘膜,咬合・歯列,顎関節の異常の有無,質問内容項目は,歯科保健行動,口腔に関連する日常生活の障害,タバコ関連の質問である.その結果,本研究の対象者は,喫煙者38.7%,過去喫煙者12.9%,非喫煙者48.4%であった.口腔に関連した日常生活の障害は,「見かけが気になる(20.6%)」が最も多く,次に「おいしく食事ができない(13.7%)」,「話しづらく感じる(10.1%)」,「仕事に集中できない(6.1%)」,「よく眠れない(3.5%)」であった.ロジスティック解析において,喫煙習慣と口腔に関連する日常生活の障害のうち3項目について関連がみられた.喫煙者は非喫煙者に比べて1.60倍「見かけ」が気になり,喫煙者は2.03倍,過去喫煙者は1.98倍,非喫煙者に比べて「おいしく食事ができない」と感じ,喫煙者は非喫煙者に比べて4.01倍「よく眠れない」と回答した.会社における禁煙支援が不十分だと回答したのは23.7%,会社における歯科専門家からの禁煙支援が必要だと回答した人は29.3%であった.労働者のタバコ関連疾患の認識は,肺がん95.4%,口腔癌67.1%,歯周病54.6%であった.以上の結果,男性労働者の喫煙行動と口腔に関連する日常生活の障害の間に強い関連があること,労働者は禁煙支援が必要だと考えていること,タバコに関連する情報の提供が必要であることが明らかとなった.それにより,職域における口腔保健活動に禁煙支援活動が必要だと考察された.歯科専門家は職域においても積極的に禁煙支援活動に携わるべきである.
著者
藤井 洋子 井出 祥子 阿部 圭子 片岡 邦好 片桐 恭弘 堀江 薫 植野 貴志子 菅原 和孝 石崎 雅人
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

この3年間の研究成果は、(1)2009年3月、2011年2月の東京国際ワークショップにて、「場の理論」についての理解を深められたこと、(2)アラビア語のデータ収集とその分析をしたこと、(3)国際語用論学会にて、日本語と英語とアラビア語の比較研究を発表したこと、(4)2009年にJournal of Pragmaticsの『解放的語用論』特集号第一号を発行できたことなどが主な成果といえる。
著者
永岡 慶三 竹谷 誠 北垣 郁雄 米澤 宣義 赤倉 貴子 植野 真臣
出版者
早稲田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は,複数の人間により形成されるグループに対して「グループの学力」を定義し,その評価法を開発することにある.今後のネットワーク社会のさらなる進展を考えれば,社会の各分野においては個人的活動は限られ束面となり,ほとんどがプロジェクトなど複数の人間の協力する活動が多くを占めることになると思われる.そこでは,個人個人の能力の高さだけでなく,いかに複数のメンバーの協同によるグループとしての能力の高さが要求されるものと考えられる.その評価法の開発・実用は,特定の人材の集合からどのように効率的なプロジェクトメンバー構成をすればよいかという人材活用の方法論としての価値を持つものと考える.さてテストを科学的に、計量的に扱うもっとも根本的な主要概念は信頼性である.信頼性(の推定方法)は考え方により多くの定義があるが,理論的明快さや実用性など種々の利点から最も多く用いられるのはCronbachのα係数である.本研究においても信頼性といった場合,Cronbachのα係数をさすものとする.研究実績の成果は,これまでのテスト理論では扱われていなかった受検者側の内部一貫性の特性・概念を導入したことといえる.さて有力な応用目的として,たとえば,N人の受検者集団から構成員数2のグループを構成するとする.すなわち二人ずつのペアを組むとする.Guttmannスケールの項目群を仮定すれば,個別学力の大きい順に第1位から第N/2位までのN/2人を異なるグループに配すればよく,いささか自明解である.ここに受検者側に内部一貫性の特性を導入すれば,話は別で,グループ(ペア)内のθ値の大小だけでは決まらないのである.すなわちペアで考えれば,お互いがお互いの弱点を補い合うような組合せ,すなわちその2名の1,0得点パターンの排他的論理和が全体で最大化するような組合せを行うことで最大化が見込まれる.
著者
植野 優
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

私は銀河系内宇宙線の起源として殻型の超新星残骸に注目している。シンクロトロンX線が超新星残骸で宇宙線が加速されている証拠となっている。しかし、知られている220個の超新星残骸のうち、10天体程度からしかシンクロトロンX線が受かっていないため、宇宙線加速が超新星残骸で普遍的に行われているかどうかがわかっていない。そこで、本研究ではシンクロトロンX線を示す超新星残骸を新たに発見することで、他の超新星残骸と何が異なるのかを明らかにし、また、シンクロトロンX線を示す超新星残骸が銀河系内に何天体程度存在するのかを推定することを行った。透過力に優れた硬X線による銀河面のサーベイであるASCA銀河面サーベイのデータを詳細に解析したところ、超新星残骸の候補を新たに、10天体発見した。この結果は、初年度や2年度目のG28.6-0.2やG32.45+0.1の発見と合わせると、電波のサーベイで見つからなかったような超新星残骸がまだ銀河面に数多く存在することを示している。さらに、これらの超新星残骸のスペクトルはX線がシンクロトロンである可能性が高いことを示している。つまり、今後のX線サーベイによってシンクロトロンX線を示す超新星残骸が数多く見つかるであろうことが分かった。また、これらの超新星残骸が電波で暗いのは、物質密度の低いところに存在していることを示唆し、そのような超新星残骸からシンクロトロンX線が検出される可能性が高いといえる。これら、超新星残骸の研究と平衡して、X線偏光測定装置を開発している。本年度は読み出し回路の完全2次元化を行った。その結果の性能評価のため、偏光度の高い放射光を用いて実験を行った。ネオンやアルゴンの検出ガスを用い、8keVや15keVのX線に対して偏光測定に成功した。今後は、増幅率の一様性の改善などを行う必要がある。
著者
辰巳 浩隆 黒田 洋生 竹本 靖子 小川 歓 福島 久典 佐川 寛典 植野 茂 白数 力也 神原 正樹 大東 道治 毛利 学
出版者
大阪歯科学会
雑誌
歯科医学
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.403-407, 1994
被引用文献数
14

臨床の場から分離した methicillin-resistant staphylococci (MRS) 8株と標準株4株に対するアクア酸化水の殺菌効果を検索するために, アクア酸化水と対照の消毒剤 (グルタルアルデヒド, 次亜塩素酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウム) の最小殺菌濃度を測定し, 比較検討した.<br> その結果, 4倍希釈したアクア酸化水では, 標準株の <i>Staphylococcus aureus</i> Oxford 209P と <i>Candida albicans</i> ATCC 10259 の発育が, また2倍希釈液では <i>Staphlococcus aureus</i> Oxford 209P の発育が認められた. しかし, 原液のアクア酸化水では, すべての供試菌株に対して全接触時間とも菌の発育が抑制された. 一方, 対照の消毒剤では, MRS 1株に対する 0.01% 次亜塩素酸ナトリウムの場合を除いて, すべて有効であった.<br> このことから, 原液のアクア酸化水は, 対照の消毒剤と同等あるいはそれ以上の優れた殺菌力を有すると考えられる.
著者
植野 真臣 森本 康彦 藤原 康宏 永森 正仁 橋本 貴充 安間 文彦 安藤 雅洋
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本eポートフォリオ・システムの特徴は、(1)個人のeポートフォリオを構造化し、ハイパーリンクでつなぐことにより、多様なパスで有用な他者情報の発見を支援する、(2)高度な検索機能により、キーワード検索、過去の優秀なレポートやテスト成績の良い学習者、相互評価の高い学習者などが容易に検索できる、(3)すべての階層で多様なアセスメント機能が用意されており、自己のリフレクションを誘発するだけでなく、優秀な他の学習者の発見に利用できる、などが挙げられる。実データより、本システムの有効性を示す。
著者
植野 和文
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.81-92, 2007

This paper aims to show a mechanism that people produce satisfaction by the combination of filling two kinds of desires based on T. Scitovsky's theory. Some hypotheses are first put as; i) Satisfaction consists of comfort and pleasure. ii) When people feel discomfort, they act to relieve it and consequently get comfort. They simultaneously enjoy pleasure generated in the process, iii) When people feel boredom, they act to pursue a certain stimulus and also enjoy pleasure generated in the process. iv) Generation of pleasure induces more desire for pleasure and then drives people to actions to relieve discomfort or to pursue stimulus, often resulted in spoiling their satisfaction produced by filling the two kinds of desires. Results are as follows. People would need a manner to restrain the pursuit of pleasure from running recklessly hard if they wanted to produce enough satisfaction through filling their desires. The manner would be that people skillfully combine a desire for comfort as the goal of an act with a desire for pleasure as the power of practicing the act, then make a comprehensive plan for the process of filling the desires ,and finally carry out the plan. Thus it would be possible that people get comfort and enjoy pleasure simultaneously to maximize the satisfaction. This manner is probably to be useful for the argument on an affluent life.
著者
森本 康彦 植野 真臣 柴田 晋吾 横山 節雄 宮寺 庸造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.581, pp.25-30, 2006-01-21
被引用文献数
1

現在e-Learningシステムの主流となっているWBTの学習コンテンツについて記述する標準規格としてSCORMがある. しかしSCORMは, 教師が通常の授業で行っているような, 学習者の状況に応じて学習者同士で議論させたり, 個別の質問に応じたりという, 本来授業に必須となる学習者のインタラクションによる学習状態遷移を記述することができない. そこで, 本論文では, e-Learning上で, 学習者のインタラクションを中心とした授業を実現させることを目的とし, 現在のSCORMに学習者のインタラクションによる学習状態遷移と各状態でのコントロールを記述する枠組みを追加した(SCORM-LST). さらに, SCORM-LSTに基づくLMSについて提案した. このLMSは, 学習者のインタラクションと教師のコントロールを容易に実現でき, クラスルーム的な授業の展開を可能にする. さらにLMSの標準化とそれを使った教育支援システムの発展が期待できる.
著者
高橋 正行 森本 康彦 植野 真臣 横山 節雄 宮寺 庸造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.47, pp.19-24, 2005-05-07
被引用文献数
1

本研究では, e-Learningを用いて複数の学習者が一斉に同期的に授業を受けながらも個に応じることのできる授業を実現させることを目的とする.本研究が目指す授業の実現には, 授業中の学習者のさまざまな状態に応じて教師が適切な行動をとる必要がある.しかし学習者の行動と状況に対応した適切な教師の行動のバリエーションは多く存在しており, このことがe-Learningシステムの開発を困難にしている.そこで, 本論文では, 学習者の行動と状態を基にした学習状態遷移図と, それを形式的に記述する手法を提案する.本手法で記述した遷移図は, 学習者の行動, 状態, 教師(システム)の動作が明示的に記述できるため, e-Learningシステムの設計・開発の遂行を容易にすると考えられる.