著者
長澤 和也 上野 大輔
出版者
広島大学総合博物館
雑誌
広島大学総合博物館研究報告 (ISSN:18844243)
巻号頁・発行日
no.11, pp.97-107, 2019-12-25

1936–2019年に出版された文献に基づき,日本産魚類から記録された7属16種のエラジラミ科カイアシ類の情報を寄生虫– 宿主リストと宿主– 寄生虫リストとして示した。それらはエラジラミ属(新称)Bomolochus(2種),ウオノハナヤドリ属(新称)Naricolax(1種),ツルギエラジラミ属(新称)Nothobomolochus(5種),ザゼンジラミ属(新称)Orbitacolax(3種),メダマジラミ属(新称)Pumiliopes(1種),ウオノハナヅマリ属(新称)Tegobomolochus(1種),ウオノハナジラミ属(新称)Unicolax(3種)に属する。寄生虫– 宿主リストでは,各種の標準和名,最新の学名,過去にわが国で使用された学名,寄生部位,地理的分布等の知見を整理して示した。宿主– 寄生虫リストでは,宿主別にエラジラミ科カイアシ類の和名と学名を示した。
著者
横山 博 長澤 和也
出版者
広島大学大学院生物圏科学研究科
雑誌
生物圏科学 : 広島大学大学院生物圏科学研究科紀要 (ISSN:13481371)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.73-97, 2014

日本産養殖魚介類の寄生虫の標準和名目録を作成した。国内の養殖対象魚介類に寄生する微胞子虫類7種,鞭毛虫類4種,繊毛虫類7種,粘液胞子虫類32種,単生類24種,吸虫類9種,条虫類3種,線虫類10種,鉤頭虫類6種,ヒル類5種,甲殻類30種を含む合計137種の寄生虫について標準和名を整理し,うち40属,77種について新標準和名あるいは改称を提案した。また,日本における発生事例や寄生虫の生物学や病理学など,魚病学的に重要な参考文献を付記した。
著者
相澤 和也 鄭 顕志 本位田 真一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.1025-1039, 2019-04-15

ソフトウェアシステムの安全性は,通常,開発時に想定した実行環境の前提下において保証される.この前提が実行時の環境変化等によって崩れると,システムの安全性は保証されない.実行時に起こる環境変化に対して可能な限りの安全性を維持・保証するためには,変化した環境下でどのような安全性が保証可能かを実行時に分析する必要がある.実行時の情報を用いた分析手法は環境情報の分析にかかる計算時間オーバヘッドが課題となる.本論文では,(1)環境変化の差分情報から効率的に安全性保証の判定を行うアルゴリズムを提案し,(2)アルゴリズムの効率性に関する評価と(3)安全性保証に関する証明を行う.このアルゴリズムは安全性を構成する要素ごとの保証可否と,環境変化によって生じる差分の2つの観点に基づいて分析している.これら2つの観点を組み合わせることによって既存技術を用いた分析と比べて計算時間を最大0.2%程度にまで削減できることが実験結果によって確認できた.
著者
長澤 和也
出版者
広島大学大学院生物圏科学研究科
雑誌
生物圏科学 : 広島大学大学院生物圏科学研究科紀要 (ISSN:13481371)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.7-12, 2016-12-25

高知県沿岸で養殖されていたブリSeriola quinqueradiata 幼魚2尾の筋肉に大型吸虫の寄生を認めた。この吸虫は各尾に1個体が寄生し,生時の体長約7–15mm で,わが国の養殖カンパチから報告されている「ヒルディネラ類吸虫」によく似ていた。寄生魚が見出されたのは2015年5月中旬で,養殖種苗はその約1か月前に高知県沖の北西太平洋で漁獲された。寄生魚の皮膚は寄生部位付近で凹凸を有し,筋肉には吸虫から排泄されたと考えられる黒色異物が見られた。Two big trematodes, provisionally identified as a hirudinellid, were found individually in the muscle of two juveniles (ca. 150 mm fork length) of Japanese amberjack, Seriola quinqueradiata Temminck and Schlegel, 1845, cultured in mid-May 2015 in coastal waters of Tosa Bay off Kochi Prefecture, Shikoku, western Japan. The trematodes were 7-15 mm long in fresh conditions. The juveniles were caught in the western North Pacific Ocean off Kochi Prefecture around 10 April 2015 and then cultured in net pens. The body surface of the infected juveniles was uneven in the affected area, and black substances, probably excreted by the trematodes, were found in the host's muscle.
著者
長澤 和也 上野 大輔
出版者
日本生物地理学会
雑誌
日本生物地理學會會報 = Bulletin of the Bio-geographical Society of Japan (ISSN:00678716)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.17-25, 2011-12-20
参考文献数
50

1898-2011年に出版された文献に基づき,日本産魚類から記録された以下のヒトガタムシ科カイアシ類11種および未同定種2種に関する情報(異名リスト,宿主,寄生部位,地理的分布,文献)を種ごとに整理した:ツバサヒトガタムシ(新称) Lernanthropinus sauridae, マルツバサヒトガタムシ(新称) Lernanthropinus sphyraenae, タイノヒトガタムシLernanthropus atrox, サガミヒトガタムシ(新称) Lernanthropus belones, クロダイノヒトガタムシ(改称) Lernanthropus chrysophyrs, ダツノヒトガタムシ(新称) Lernanthropus cornutus, ニベノヒトガタムシ(新称) Lernanthropus gisleri, ブリノヒトガタムシ(改称) Lernanthropus seriolae, シシドヒトガタムシLernanthropsis mugilii, アシナガヒトガタムシ(新称) Mitrapus heteropodus, ヨロイヒトガタムシ(新称) Sagum epinepheliおよび未同定種Lernanthropus sp. 1とLernanthropus sp. 2. また,Lernanthropinus,Lernanthropsis,Mitrapus,Sagumの各属にツバサヒトガタムシ,シンヒトガタムシ,アシナガヒトガタムシ,ヨロイヒトガタムシの新標準和名を提唱した.今後の研究課題として,亜熱帯海域におけるヒトガタムシ類相に関する研究のほか,各種の生態や生活史研究の必要性を述べた.Based on the literature published between 1898 and 2011, a checklist is compiled for the following 11 nominal species and two unidentified species of the copepod family Lernanthropidae from Japanese fishes: Lernanthropinus sauridae, Lernanthropinus sphyraenae, Lernanthropus atrox, Lernanthropus belones, Lernanthropus chrysophyrs, Lernanthropus cornutus, Lernanthropus gisleri, Lernanthropus seriolae, Lernanthropsis mugilii, Mitrapus heteropodus, Sagum epinepheli, Lernanthropus sp. 1, and Lernanthropus sp. 2. This checklist contains information for each lernanthropid species regarding its host(s), attachment site, known geographical distribution in Japanese waters, and references.
著者
藤澤 和也 能勢 順多
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.22-29, 1995-01-10

太陽電池を主要素子とした太陽光発電システムの実用化技術開発は20年前のオイルショックを契機に、通商産業省工業技術院のサンシャイン計画(現在はニューサンシャイン計画)の下で、21世紀のエネルギー源を確保するため、官民一体となって取り組まれてきた。その成果は数ワットの街路灯、時計塔及び交通標識等からMワットオーダの大規模太陽光発電所まで、様々な形態、規模で、着実に実りつゝある。このような技術背景のもとで、平成6年度、政府は太陽光発電システムの設置者に対し、1/2の補助金を出資すると言った太陽光発電システムの普及・導入策を打ち出している。いよいよ太陽エネルギーの時代到来を思わせるような状況になってきた。財団法人日本品質保証機構(Japan Qaulity Assurance Organization : JQAと略称している)は昭和55年度より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受けて、サンシャイン計画に基づく太陽光発電システム実用化技術開発の一環で、太陽電池評価システムの研究開発を行なっている。この太陽電池評価システムの研究開発は太陽電池セルの標準校正法及び太陽電池モジュール(以下、モジュールと略す。)の電気出力特性評価法に係る「性能評価法の開発」及びこのモジュールの耐候性、耐久性の評価に係る「信頼性評価法の開発」の2つのサブテーマを設定して行なっている。本稿は後者の信頼性評価法の開発において、各種モジュールの実用的な耐候性及び耐久性試験方法の研究開発を行なっていて、その中で、加速試験法の開発のため、アモルファス系モジュール(a-Siモジュールと略す。)の長期暴露試験が行なわれ、この実験研究で得られた劣化傾向について解説するものである。太陽光発電システムの実用化、普及のカギはモジュールの信頼性にあると云っても過言ではないであろう。現在、モジュールの耐用年数がオーソライズされていないため、太陽光発電システムのコスト評価がし難い状況にある。したがって、モジュールの信頼性評価法の開発は非常に意味のある研究テーマであるとともに、早急に確立しなければならない重要な課題にもなっている。太陽電池評価システムの研究開発は東京都世田谷区(6年12月に浜松市村櫛町<浜名湖に近接したところ>へ移転)で行なっているが、信頼性評価法の開発の一環で、実験研究を進めている長期暴露試験は、この世田谷区、北海道北見市、佐賀県鳥栖市及び沖縄県宮古島の4ヵ所に試験サイトを設置して、気象環境の異なる地域での長期暴露試験による各種モジュールの出力特性の挙動及び劣化モード等の地域差を究明する目的で行なっている。
著者
一ノ瀬 充行 砂子 拓也 澤 和也 薗田 徹太郎 ICHINOSE Mitsuyuki SUNAKO Takuya SAWA Kazuya SONODA Tetsutaro
出版者
社団法人日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.27-36, 2006-03

Amber is the fossilized resin or sap of pine trees which grew in forests around 45-100 million years ago. Amber is used for jewelry and decorative articles nowadays, but it was also used for healing and health enhancement in Eastern and Western countries in ancient times. In order to investigate the physiological effects of amber when burning it like incense, we analyzed the contingent negative variation(CNV) of electroencepha-lograms(EEG) and autonomic nervous activities such as respiratory interval, heart rate and fluctuation of heart beat interval. Amber used in the present study was mined in Kuji, Iwate Prefecture. Areas of CNV on 19 out of 23 recording spots were increased after amber incense stimulation. On the other hand, the well-known incenseagalloch, i.e.Jinko, enhanced the area of CNV less effectively than amber incense. During CNV procedures, the respiratory interval was reduced and the heart rate was increased. These parameters were changed by amber incense. Reduction of amplitude in high frequency fluctuation of the heart rate, which may correspond to activities of the parasympathetic nervous system, was suppressed during exposure to amber incense. It is known that CNV represents activities of expectation, conation, motivation and attention in humans and activation of theparasympathetic activities induces relaxation in the human mind. These data suggested that amber incense enhanced expectation, conation, motivation and attention in humans, and also suggested that a stressful burden such as the CNV trial was alleviated by amber incense in the case of the present subject.琥珀は、4500万~1億年前のマツ科植物の樹脂や樹液が化石化したものである。現在、琥珀は宝飾品や装飾品として使われているが、古代より洋の東西問わず癒しや健康増進のために使われてきた。琥珀をお香のように燻らせた時に、生体にいかなる生理作用があるかを調べるために、脳波随伴陰性変動(CNV)及び自律神経活動を解析した。用いた琥珀は、岩手県久慈産である。琥珀のお香の刺激により、23ヶ所の脳波測定電極のうち、19ヶ所でCNV面積が増大した。一方、お香として良く知られる沈香の場合には、琥珀に比べCNV面積の増加はわずかであった。CNV試行中に、呼吸数と心拍が増加した。これらの指標は、琥珀お香の刺激中に変化があった。心拍変動の高周波成分(副交感神経の活性)の減少が、琥珀お香の刺激中に抑制された。CNVは期待感、意志、動機や集中力の程度を表し、また副交感神経活性化はリラックス状態を誘導するとされている。以上の結果は、本研究の被験者において琥珀お香が生体における期待感、意志、動機や集中力を促進し、また琥珀お香の最中にはCNVなどのストレス不負荷を軽減することができたことを示唆した。
著者
平林 公男 荒河 尚 吉田 雅彦 風間 ふたば 吉澤 一家 有泉 和紀 長澤 和也
出版者
日本陸水学会
雑誌
日本陸水学会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.69, pp.176-176, 2005

山梨県四尾連湖において、1994年4月から2004年3月までの10年間、動物プランクトンネットによって、水深ごとにチョウ(Argulus japonicus)の浮遊個体数、齢別構成などを調査した。調査期間中、チョウ類が観察されたのは、2000年から2002年の3年間のみで、他の年には、全く発生していなかった。発生ピーク年は2001年で、196.3個体/tであった。夏期の水温の上昇とともに浮遊個体は多くなり、8月にピークが認められた。また、水深2m層で、個体数が多かった。
著者
佐伯 いく代 横川 昌史 指村 奈穂子 芦澤 和也 大谷 雅人 河野 円樹 明石 浩司 古本 良
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.187-201, 2013-11-30

我が国ではこれまで、主に個体数の少ない種(希少種)に着目した保全施策が展開されてきた。これは貴重な自然を守る上で大きな成果をあげてきたが、いくつかの問題点も指摘されている。例えば、(1)「種」を単位として施策を展開するため、現時点で認識されていない未知の生物種についての対応が困難である、(2)人々の保全意識が一部の種に集中しやすく、種を支える生態系の特徴やプロセスを守ることへの関心が薄れやすい、(3)種の現状をカテゴリーで表すことに困難が生じる場合がある、などである。これらの問題の克服に向け、本総説では絶滅危惧生態系という概念を紹介する。絶滅危惧生態系とは、絶滅が危惧される生態系のことであり、これを保全することが、より包括的に自然を保護することにつながると考える。生態系、植物群落、および地形を対象としたレッドリストの整備が国内外で進められている。22の事例の選定基準を調べたところ、(1)面積が減少している、(2)希少である、(3)機能やプロセスが劣化している、(4)分断化が進行している、(5)開発などの脅威に強くさらされている、(6)自然性が高い、(7)種の多様性が高い、(8)希少種の生息地となっている、(9)地域を代表する自然である、(10)文化的・景観的な価値がある、などが用いられていた。これらのリストは、保護区の設定や環境アセスメントの現場において活用が進められている。その一方で、生態系の定義、絶滅危惧生態系の抽出手法とスケール設定、機能とプロセスの評価、社会における成果の反映手法などに課題が残されていると考えられたため、具体の対応策についても議論した。日本全域を対象とした生態系レッドリストは策定されていない。しかし、筆者らの行った試行的なアンケート調査では、河川、湿地、里山、半自然草地を含む様々なタイプの生態系が絶滅危惧生態系としてあげられた。絶滅危惧生態系の概念に基づく保全アプローチは、種の保全の限界を補完し、これまで開発規制の対象となりにくかった身近な自然を守ることなどに寄与できると考えられる。さらに、地域主体の多様な取組を支えるプラットフォーム(共通基盤)として、活用の場が広がることを期待したい。
著者
上澤 和也 上原 伸夫 伊藤 清孝 清水 得夫
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.867-872, 2001-12-05
被引用文献数
2 9

研究室で充填した自作カラム(4.6mm i.d.× 50mm)を用いるイオン対逆相分配高速液体クロマトグラフィーにより, 鉄及び鋼中の微量ホウ素を直接定量した.自作カラムはスラリー法によりHPLC用ODS(C_<18>)充填剤(粒径5μm)0.7gを充填して作製した.鉄鋼試料を塩酸-硝酸で分解し, リン酸と硫酸を加えて蒸発乾固した後, 希塩酸に溶解した.この分解溶液から適量を分取し, 7.5×10^<-3>mol dm^<-3> 1, 8-ジヒドロキシナフタレン-3, 6-ジスルホン酸(クロモトロープ酸)溶液2.5cm^3, 0.275mol dm^<-3>エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液2.5cm^3及び0.5mol dm^<-3>臭化オクチルトリメチルアンモニウム溶液を含む1.0mol dm^<-3>酢酸緩衝液(pH4.8)2.5cm^3を加えてから水で25cm^3に定容とする.この溶液から200mm^3を自作カラムを装着した高速液体クロマトグラフに注入する.溶離液には5.0×10^<-2>mol kg^<-1>臭化オクチルトリメチルアンモニウム, 5.0×10^<-3>mol kg^<-1>リン酸緩衝液(pH8.0)を含む水-メタノールの混合溶液(45 : 55w/w)を用いた.検出波長を350nm, 流量を1.0cm^3 min^<-1>としてHPLC測定を行った.ピーク高さに基づく検量線はホウ素濃度が10^<-8>mol dm^<-3>レベルにおいて直線性を示し, 空試験値(n=5)の標準偏差の3倍と定義した検出限界(3σ)は1.3×10^<-9>mol dm^<-3>であった.本法を鉄鋼認証標準物質(日本鉄鋼連盟)等に適用し, 保証値あるいは参考値(0.2〜50ppm)とよく一致する定量値を得た.
著者
長澤 和也 DANNY Tang
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

わが国では近年,気温の上昇ばかりでなく,周辺海域における海水温の上昇が観測されており,地球温暖化が現実のものとなりつつある。水産分野で早急に対処しなければならないのは,地球温暖化による漁業生産への影響評価である。本研究では,1)沖縄産亜熱帯性魚類に寄生するカイアシ類の分類学・生態学的特性を明らかにするとともに,2)地球温暖化に伴う彼らの本土侵入を予測し,わが国の水産養殖業における病害虫としての彼らの影響を評価することを目的とする。本年度も,昨年度に引き続き現地での標本採集を行って同定するとともに,地球温暖化に伴って本土に侵入する種を推測した。得られた知見は以下のとおり。(1)沖縄県沿岸・近海で漁獲された海水魚を入手して寄生虫学的検査を行い,得られた寄生性カイアシ類の同定を行った。大きな研究成果として,アマダイ類の鰓に寄生するカイアシ類を新科Pseudohatschekiidaeとして認め,記載した。(2)人工飼育下(水産研究機関・水族館)の海水魚を調べ,寄生性カイアシ類の同定を行った。ハタ類からレペオフテイルス属の1種,ジンベエザメからプロシーテス属の1種が採集された。後者の分類・同定には混乱が見られたので,形態を詳細に観察して,この問題を解決した。また,前者は亜熱帯性で,水産養殖上重要なハタ類に特異的に寄生し,重度寄生の場合には宿主の斃死を招くほど病害性が高いことが判明した。
著者
進藤 榮一 柳澤 和也 山本 博史
出版者
神奈川大学経済貿易研究所
雑誌
経済貿易研究 (ISSN:03865193)
巻号頁・発行日
no.37, pp.1-56[含 抄録], 2011

シンポジウム 2010年10月2日(土)13:30~17:00 神奈川大学横浜キャンパス・セレストホール
著者
倉本 宣 芦澤 和也 岡田 久子 知花 武佳
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

河川生態系において出水によるかく乱とそこからの再生は生態系の動的な維持に重要な役割を持っている。多摩川では2007年に大規模な出水が発生したので,出水による生育地の変化と河川敷に生育している植物の生育のかかわりを検討した。調査の対象とした植物は,上流域で岩場に生育するユキヤナギ,中流域の礫河原に生育するカワラノギク,下流域に生育し,かく乱による裸地に依存して生育するウラギク,中流域の水域に生育し,出水によって流下するカワシオグサであり,それぞれ特徴的であった。
著者
海野 徹也 長澤 和也 小路 淳 斉藤 英俊
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

放流事業によって漁獲量が著しく回復した広島湾のクロダイについて、産卵場、卵分布、稚魚の分布、成長、食性などの初期生態を解明した。クロダイの主産卵場は広島湾の湾口部に形成され、産卵は夜間であり、卵は幅広い水深に分布した。卵密度と稚魚の日周輪解析より、産卵ピークは5月下旬から6月中旬であり、着底は7月上旬から中旬にピークを迎えることがわかった。稚魚の主食はヨコエビ類、カイアシ類、であったが、生息環境に応じ柔軟性を示していた。