著者
北澤 和也 阿部 積 風間 守 工藤 雅孝
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.185-189, 2015 (Released:2015-07-17)
参考文献数
5
被引用文献数
1

The influence of liquid cleaners on the inner wall coating of aluminum bottle cans was examined by a combination of 20 cleaners and 21 bottles. The bottle cans were classified into three types by their inner resin coatings. The coatings were an epoxy resin, another type of epoxy resin and a polyester resin. After a small portion of liquid cleaners were dropped on the epoxy resin inner coatings of bottles, one of the cleaners generated hydrogen bubbles but the other 19 cleaners caused no effect. This phenomenon was not observed even after about twenty hours when using other liquid cleaners. A mixture of alkalis (NaOH and KOH) and a solvent (diethylene glycol mono-n-butyl ether) in the components of the liquid cleaner in question brought the same phenomenon, and the concentration of the solvent and the time taken to start bubbling were correlated. Therefore, we concluded that because the solvent denatured the inner resin coating of aluminum bottle cans, the alkalis were made accessible to aluminum and generated hydrogen bubbles as a result.
著者
麦山 亮太 西澤 和也
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.214-227, 2017 (Released:2018-03-27)
参考文献数
37
被引用文献数
2

本稿の目的は,新卒求人情報サイトのデータから,企業が新卒者に対して求める能力の構造を明らかにするとともに,その企業規模による違いを検討することにある.先行研究は,近年ほど企業が学生へ自律的な能力を求めるようになってきたと主張する.しかし,これまでの研究は大企業を中心に検討されており,企業規模間での差異は十分に明らかにされてこなかった.そこで本稿は2016年に新卒求人情報サイトより収集した大小含む20859企業の「求める人物像・採用基準」に関する自由記述データを用い,企業の求める能力が企業規模によっていかに異なるのかを検討する.トピックモデルを用いた分析の結果,企業が新卒者に提示する能力は多様であるのみならず,企業規模によって重視される点が異なっていることが示された.大企業においては主として新たな課題や価値を創り出し解決していく自律的な能力が提示される.一方で中小企業においては,チャレンジ精神やアピアランスといった,真面目さや規律の遵守と結びつく能力が提示される.とくに中小企業においては,先行研究で増加していると指摘されてきた自律的な能力とは別様の能力が重視されていることを明らかにした.
著者
佐伯 いく代 横川 昌史 指村 奈穂子 芦澤 和也 大谷 雅人 河野 円樹 明石 浩司 古本 良
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.187-201, 2013-11-30 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
2

我が国ではこれまで、主に個体数の少ない種(希少種)に着目した保全施策が展開されてきた。これは貴重な自然を守る上で大きな成果をあげてきたが、いくつかの問題点も指摘されている。例えば、(1)「種」を単位として施策を展開するため、現時点で認識されていない未知の生物種についての対応が困難である、(2)人々の保全意識が一部の種に集中しやすく、種を支える生態系の特徴やプロセスを守ることへの関心が薄れやすい、(3)種の現状をカテゴリーで表すことに困難が生じる場合がある、などである。これらの問題の克服に向け、本総説では絶滅危惧生態系という概念を紹介する。絶滅危惧生態系とは、絶滅が危惧される生態系のことであり、これを保全することが、より包括的に自然を保護することにつながると考える。生態系、植物群落、および地形を対象としたレッドリストの整備が国内外で進められている。22の事例の選定基準を調べたところ、(1)面積が減少している、(2)希少である、(3)機能やプロセスが劣化している、(4)分断化が進行している、(5)開発などの脅威に強くさらされている、(6)自然性が高い、(7)種の多様性が高い、(8)希少種の生息地となっている、(9)地域を代表する自然である、(10)文化的・景観的な価値がある、などが用いられていた。これらのリストは、保護区の設定や環境アセスメントの現場において活用が進められている。その一方で、生態系の定義、絶滅危惧生態系の抽出手法とスケール設定、機能とプロセスの評価、社会における成果の反映手法などに課題が残されていると考えられたため、具体の対応策についても議論した。日本全域を対象とした生態系レッドリストは策定されていない。しかし、筆者らの行った試行的なアンケート調査では、河川、湿地、里山、半自然草地を含む様々なタイプの生態系が絶滅危惧生態系としてあげられた。絶滅危惧生態系の概念に基づく保全アプローチは、種の保全の限界を補完し、これまで開発規制の対象となりにくかった身近な自然を守ることなどに寄与できると考えられる。さらに、地域主体の多様な取組を支えるプラットフォーム(共通基盤)として、活用の場が広がることを期待したい。
著者
長澤 和也 三橋 正基
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.e131-e133, 2019-08-01 (Released:2019-09-03)
参考文献数
15
著者
長澤 和也 上野 大輔 Tang Danny
出版者
日本生物地理学会
雑誌
日本生物地理學會會報 = Bulletin of the Bio-geographical Society of Japan (ISSN:00678716)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.103-122, 2010-12-20
被引用文献数
1

1927–2010年に出版された文献に加えて, 筆者らが海水魚から採集した標本の観察結果に基づき, 日本産魚類から記録されたウオジラミ属カイアシ類32種と未同定種に関する情報 (異名リスト, 宿主, 寄生部位, 地理的分布)を種ごとに整理した:ヒラマサウオジラミ(新称) Caligus aesopus, カツオウオジラミ (新称) C.bonito, ベラウオジラミ (新称) C. brevis, ブダイウオジラミ (新称) C. calotomi, ニザダイウオジラミ (新称)C. cordiventris, シイラウオジラミ(改称) C. coryphaenae, ナンカイウオジラミ (新称) C. cybii, アカエイウオジラミ (新称) C. dasyaticus, ハタウオジラミ (新称) C. epinepheli, ヤガラウオジラミ (新称) C. fistulariae,フグウオジラミ (新称) C. fugu, カガミダイウオジラミ (新称) C. glandifer, イシダイウオジラミ (新称) C.hoplognathi, モジャコウオジラミ (新称) C. lalandei, シイノウオジラミ (新称) C. laticaudus, クロダイウオジラミ (新称) C. latigenitalis, シマアジウオジラミ (新称) C. longipedis, サンマウオジラミC. macarovi, メバチウオジラミ(改称) C. mebachii, トウヨウウオジラミ (新称) C. orientalis, エンガンウオジラミ (新称)C. oviceps, マダイウオジラミ (新称) C. pagrosomi, サワラウオジラミ (新称) C. pelamydis, モンガラカワハギウオジラミ (新称) C. polycanthi, ガイヨウウオジラミ (新称) C. productus, ゴマフウオジラミ (新称) C.punctatus, タイカイウオジラミ (新称) C. quadratus, ゴウシュウウオジラミ (新称) C. sclerotinosus, ヤマグチウオジラミ (新称) C. seriolae, ブリウオジラミ(改称) C. spinosus, ウミタナゴウオジラミ (新称) C. tanago,キュウセンウオジラミ (新称) C. triangularis, および未同定種 Caligus spp. また, プランクトンとして記録されたウキウオジラミ (新称) C. undulatusの情報も含めた.本目録により, 北太平洋から23種, 瀬戸内海から17種, 東シナ海から10種, 日本海から5種, オホーツク海から2種が報告されていることが明らかになった. また今回, 筆者らが調べた標本は, ヤガラウオジラミ, フグウオジラミ, モンガラカワハギウオジラミ, ゴマフウオジラミに同定され, それぞれヤガラ科のアオヤガラ, フグ科魚類のコモンフグとシロサバフグ, カワハギ科魚類のソウシハギ, フグ科のクサフグが新宿主として追加された. これらの整理と結果に基づいて, 亜熱帯海域における研究や生態・生活史研究の必要性などを述べた.Based on the literature published between 1927 and 2010 and an examination of new material of the specimens collected from Japanese marine fishes, a checklist is compiled for the following 32 nominal species and some unidentified species of the copepod genus Caligus from Japanese fishes: Caligus aesopus, C. bonito, C. brevis, C. calotomi, C. cordiventris, C. coryphaenae, C. cybii, C. dasyaticus, C. epinepheli, C. fistulariae, C. fugu, C. glandifer, C. hoplognathi, C. lalandei, C. laticaudus, C. latigenitalis, C. longipedis, C. macarovi, C. mebachii, C. orientalis, C. oviceps, C. pagrosomi, C. pelamydis, C. polycanthi, C. productus, C. punctatus, C. quadratus, C. sclerotinosus, C. seriolae, C. spinosus, C. tanago, C. triangularis, and Caligus spp. Information on C. undulatus reported in plankton is also included. This checklist contains information for each Caligus species regarding its host(s), attachment site(s), known geographical distribution in Japanese waters, and references. The new material consisted of: Caligus fistulariae from two fistulariid fishes, Fistularia petimba and F. commersonii (new host); Caligus fugu from two tetraodontid fishes, Takifugu poecilonatus (new host) and Lagocephalus heeleri (new host); Caligus polycanthi from one monacanthid fish, Aluterus scriptus (new host); and Caligus punctatus from one tetraodontid fish, Takifugu niphobles (new host). Twenty-three, 17, 10, 5, and 2 nominal species of Caligus have been found, respectively, in the North Pacific Ocean, Seto Inland Sea, East China Sea, Sea of Japan, and Sea of Okhotsk.
著者
長澤 和也 上野 大輔 何 汝諧
出版者
広島大学大学院生物圏科学研究科
巻号頁・発行日
vol.52, pp.117-143, 2013 (Released:2014-05-12)

1918-2013年に出版された文献に基づき,日本産魚類から記録されたツブムシ科Chondracanthidaeカイアシ類の20属48種,未同定種(4種),未確定種(3種)に関する情報(異名リスト,宿主,寄生部位,地理的分布,文献)を種ごとに整理した。Acanthocanthopsis,Acanthochondria,Bactrochondria,Brachiochondria,Brachiochondrites,Chelonichondria,Chondracanthodes,Cryptochondria,Diocus,Hoia,Jusheyhoea,Markevitichielinus,Praecidochondria,Prochondracanthopsis,Prochondracanthus,Protochondria,Pseudacanthocanthopsis,Pseudochondracanthus,Ttetaloiaの各属に対して,コブツキツブムシ,トゲナシツブムシ, ドウナガツブムシ,ウデツブムシ,クビナガツブムシ,カメガタツブムシ,ツブムシモドキ, ミツオツブムシ,フクヨカツブムシ,ワキバラトゲツブムシ,タマガシラツブムシ,イカリツブムシ,スンヅマリツブムシ,ツツガタツブムシ, ヒメツブムシ, ヒョウタンツブムシ,ダルマツブムシ,ニセツブムシ,ハナビラツブムシの新標準和名を提唱した。また,和名をもたない種に対して新標準和名を提唱した。
著者
長澤 和也 石山 尚樹
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.11-19, 2021-02-28 (Released:2021-02-28)
参考文献数
53

The lernaeopodid copepod Salmincola markewitschi Shedko and Shedko, 2002 was collected in July 2019 from the buccal cavity of whitespotted char, Salvelinus leucomaenis (Pallas, 1814) (Salmonidae), reared at the Ishikawa Prefecture Fisheries Research Center (36°15′11″N, 136°25′17″E) in Kaga, Ishikawa Prefecture, central Japan. This represents the first record of Salmincola markewitschi from Ishikawa Prefecture. All of the four whitespotted char examined (263–324 mm standard length) were infected each by 2–5 adult females of Salmincola markewitschi. The adult female of copepod is described. The species is considered to have been introduced along with infected whitespotted char transported alive from a commercial trout farm in the same prefecture into the research center in January 2019. However, no infection was found after September 2019, which was caused by manual removal of copepods in July 2019 and their possible mortality due to unusually high water temperatures (up to 23℃) in August 2019. Since Salmincola markewitschi is morphologically similar to copepods previously reported as “Salmincola carpionis (Krøyer, 1837)” from salmonids (mainly chars Salvelinus spp.) from various localities of Japan, it is desirable to reidentify those copepods.
著者
長澤 和也 山岡 耕作 大塚 攻 海野 徹也 奥田 昇 山内 健生
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

海産栽培漁業種の生態を寄生虫を生物標識に用いて解明するために、瀬戸内海における主要放流魚であるマダイ、クロダイ、メバル類などの外部・内部寄生虫相を明らかにした。瀬戸内海の6水域からマダイ1歳魚を採集し、寄生虫相を比較することにより、系群識別を試みたところ、マダイは比較的狭い海域で小さな地方群を形成していることが示唆された。また、クロダイは内部寄生虫相に基づくと、日本各地で異なる系群を形成していると推測された。
著者
和田 由美子 深澤 和也
出版者
九州ルーテル学院大学
雑誌
応用障害心理学研究
巻号頁・発行日
no.10, pp.127-136, 2011-03

高齢者施設職員への質問紙調査により, 認知症高齢者における人物の見当識障害について検討した。施設に入所している認知症高齢者(n=29) が「よく接する施設職員」, 「たまに面会にくる人(月1回程度)」, 「よく面会にくる人(週1回程度)」が誰かを理解できるかについて3段階で評価を求めたところ, 軽度の認知症では人物の見当識にはほとんど障害が見られず, 認知症の重症度が進むにつれて見当識障害が顕著になった。また, 見当識障害の程度は対象人物によって異なっており, 施設職員に対する見当識障害が重度の認知症の8割で見られたのに対し, 面接に来る人に対する見当識障害は4割に留まった。アルツハイマー型認知症における人物の見当識障害は, 脳血管性認知症, 診断名不明と比べてより顕著であった。「毎日面接に来ている娘のことはわからないが, たまに面会に来る娘婿のことははっきりと理解している」というような症状を示す認知症高齢者を知っているかについて自由記述で回答を求めたところ, 「配偶者, 子どものことはあまり覚えていないが, 婿や嫁の事ははっきり覚えている」という症例が1例報告された。このような症例が生じる原因について, 認知症高齢者の覚醒水準と人物の意味記憶の観点から考察した。Disorientation in person among elderly residents with dementia was examined using a questionnaire survey administered to nursing home staff. The nursing home staff evaluated whether each elderly resident with dementia (n=29) knew "who the nursing home staff he/she interacts with are", "who a familiar person visiting him/her more than once a week is", and "who a familiar person visiting him/her once a month is" on a 3-point scale. The result indicated that disorientation in person was not evident in the mild dementia group, but its prominence depended on the severity of eachd resident's dementia. The severity of the disorientation in person also varied according to the category of person the elderly interacted with; 80% of the elderly with severe dementia showed disorientation in person for the nursing home staff, whereas only 40% of them showed disorientation in person for a familiar person. The disorientation in person among the elderly with Alzheimer's disease was severer than that in elderly with vascular dementia and dementia that cannot be attributed to known factors. We also asked an open-ended question "Have you ever seen or heard about dementia cases similar to those of the elderly dementia patient who easily recognized his/her son-in-law visited him/her occasionally but did not recognize his/her daughter visited him/her every day? ". We learned of one such case where "an elderly with dementia did not recognize his/her partner, son, and daughter, but recognized his/her son-in-low and daughter-in-low". The possible factors behind such cases were discussed in terms of the dementia patients' arousal level and semantic memory for people.
著者
長澤 和也 Vlastimil Baruš 小城 春雄
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.22-30, 1998-03-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

ベーリング海で表層流し網によって捕獲された海鳥類3種(ハイブトウミガラス,ウミガラス,エトピリカ)の胃から線虫 Contracaecum variegatum の第3期幼虫と第4期幼虫を見出し,その形態を記載した。エトピリカは C. variegatum の新宿主である。調べた海鳥はほとんどすべて個体が C. variegatum の寄生を比較的多数受けていた。他の海鳥類から記載された Contracaecum yamaguti は C. variegatum の同種異名と考えられる。また,胃盲嚢部の形態が異常な Contracaecum sp. の成虫をウミガラスの胃から採集し,その形態を記載した。
著者
長澤 和也 谷口 倫太郎
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.29-37, 2021-08-31 (Released:2021-08-31)
参考文献数
45

An adult female of the argulid branchiuran Argulus coregoni Thorell, 1864 was collected from the dorsal body surface of an oily bitterling, Tanakia limbata (Temminck and Schlegel, 1846) (Cyprinidae: Acheilognathinae), in the lower reaches of the Asahi River, Okayama Prefecture, western Japan. This represents a new host record for A. coregoni and its new prefectural record in Japan. The external morphology of the female collected is reported in detail. Tanakia limbata is the second acheilognathine host of A. coregoni. The occurrence of A. coregoni on the oily bitterling is unusual because this parasite usually infects various salmonids and ayu, Plecoglossus altivelis altivelis Temminck and Schlegel, 1846 (Plecoglossidae), in the upper and middle or lower-reaches of rivers, respectively, in central and western Japan. The individual of A. coregoni probably parasitized the oily bitterling after detachment from ayu near the collection locality.
著者
長澤 和也 秋山 明彦 河合 幸一郎
出版者
広島大学大学院生物圏科学研究科
巻号頁・発行日
vol.54, pp.75-79, 2015 (Released:2016-08-24)

山形県最上川水系小国川の支流である大横川で採集したヤマメOncorhynchus masou masou (Brevoort,1856)の鰾と,島根県益田川で採集したヤマメの鰾から,マスウキブクロセンチュウ(鱒鰾線虫)Salvelinema salmonicola (Ishii,1916)を得た。本線虫は両県から初記録である。
著者
斉藤 英俊 河合 幸一郎 長澤 和也
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、釣餌輸入にともなうヒッチハイカー種(非意図的輸入種)および寄生種の日本国内への侵入状況を調査した。1)ヒッチハイカー種および寄生種の出現リストの作成 小売店における調査の結果、スジエビ類にチョウセンブナを含む外来種や寄生性等脚類エビノコバンが混入していることを確認した。2)ヒッチハイカー種および寄生種の野外への侵入状況の解明 広島県瀬野川において、チュウゴクスジエビは3~7月に抱卵しており、繁殖していることが判明した。また、本種は、福岡県や神奈川県を含む7県で生息が確認された。さらに、東京都の河川においてスジエビ類に寄生するエビノコバンを確認し、その寄生生態を調べた。
著者
何 汝諧 長澤 和也
出版者
遠洋水産研究所
雑誌
遠洋水産研究所研究報告 (ISSN:03867285)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-5, 2001-03
被引用文献数
1

和歌山県勝浦沖で開催されたKatsuura Billfish Tournamentの際に漁獲された大型表層性魚類から,以下の寄生性カイアシ類6種を得たので,宿主名とともに報告する:ハナガタムシAnthosoma crassum(Abildgaard)[宿主: アオザメ],シイラジラミCaligus coryphaenae Steenstrup and Luetken[宿主: カマスサワラ,キハダ],カジキジラミGloiopotes huttoni(Thomson)(=G. longicaudatus)[宿主: クロカジキ,マカジキ,バショウカジキ],カマスサワラジラミ(新称)Gloiopotes hygomianus Steenstrup and Lutken[宿主: カマスサワラ],サメジラミPandarus satyrus Dana[宿主: アオザメ],マグロヒジキムシ(新称)Pennella filosa(Linnaeus)[宿主: クロカジキ,フウライカジキ]。アオザメからのハナガタムシおよびクロカジキとマカジキからのカジキジラミを除いて,他種はすべてわが国における新宿主からの記録である。マグロヒジキムシは,今回,世界で初めてクロカジキとフウライカジキから記録された。