著者
佐藤 圭 田中 友里愛 李 紅 小川 志保 畠山 史郎
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.145-153, 2007
参考文献数
26
被引用文献数
2

To study long-range transport of organic aerosols from East Asian countries to the East China Sea, 3- to 7-ring parental polycyclic aromatic hydrocarbons (PAHs) in aerosols collected at Cape Hedo, Okinawa, Japan (128.3°E, 26.9°N) during 2005-2006 were analyzed by high performance liquid chromatography. The total PAH concentrations were 0.00-16.0 (av. 1.22) ng m<sup>-3</sup> during the entire period. The seasonal average of total PAH concentration increased between winter and spring and decreased in summer. It is interpreted that the pollutants are transported to Cape Hedo by the monsoons from the Asian Continent between winter and spring, whereas oceanic air mass is transported by the monsoons from the Pacific in summer. The benzo[a]pyrene to benzo[e]pyrene ratios were 0.23-0.98 (av. 0.48) in winter and were lower than that measured in East Asian cities, showing that PAHs observed at Cape Hedo are aged by the photochemical reactions proceeding during long-range transport. The average total PAH level measured at Cape Hedo was only 1/10-1/20 of those measured in Japanese cities, but a total PAH level comparable with the average levels in Japanese cities was recorded during a long-range transport event in March, 2006.
著者
髙橋 遼 田中 友也 美﨑 定也 杉本 和隆
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11851, (Released:2020-11-20)
参考文献数
20

【目的】人工膝関節全置換術(以下,TKA)後の深部静脈血栓症(以下,DVT)に対する予防が重要である。しかし,DVT の理学的予防法の報告は限られている。本研究の目的は,TKA 後のDVT 予防に対する当日理学療法の効果を検証することとした。【方法】研究デザインは,性にて層別化したランダム化比較試験とした。当院で初回TKA を受けた440 名の患者のうち,適格基準を満たした84 名がPT ケア群と対照群に割りつけられた。PT ケア群は,術後当日に下肢挙上位にて下腿マッサージおよび足関節他動的底背屈運動を同時に実施した。メインアウトカムは,術後翌日のDVT 発生割合とした。【結果】術後翌日DVT の発生割合は,PT ケア群11.9%(5/42 名),対照群40.5%(17/42 名)となり,PT ケア群のほうが有意に減少した(リスク比0.29,p=0.003)。【結論】TKA の術後当日理学療法は,DVT 予防に有効であることが示唆された。
著者
亀山 祐美 田中 友規 小島 太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

2025年には日本に認知症患者が700万に増えると予測されており、その前段階の軽度認知障害MCIも400万人程度いると言われている。正常からMCIになる、また、MCIから認知症になる高齢者を早期に発見し、介入できるよう、認知症早期発見ツールを開発し一般化させることを予定している。認知症の早期発見ツールは、どこでもでき、特別なスキルを要さず、簡便、安価であることが求められている。高齢者健診の一環で、スクリーニングができることが理想である。顔(表情)で認知症を診断できないだろうか。顔や声をAIで認知症か正常かスクリーニングできれば、採血や注射、放射線、腰椎穿刺などの侵襲は一切なく、費用も安い。
著者
田中 友理 比企 直樹 小菅 敏幸 峯 真司 布部 創也
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.1137-1144, 2015 (Released:2015-10-20)
参考文献数
17
被引用文献数
2

【目的】胃癌術後早期は経口摂取が不十分のため、静脈栄養を併用した効果的な栄養管理が必要となる。胃癌術後に脂肪乳剤・アミノ酸・糖を含む末梢静脈栄養法を併用する新しいクリニカルパス(CP)の有用性と安全性について検討した。【対象および方法】胃癌周術期に新しい CPを使用した94例(新 CP群)と従来の CPを使用した91例(旧 CP群)を対象とし、パス完遂率、合併症率、術後在院日数、体重変化、栄養指標について後ろ向きに比較検討した。【結果】パス完遂率、合併症率、在院日数に差を認めなかった。脂肪乳剤連日投与を含む術後栄養管理で重篤な有害事象を認めなかった。新 CP群における術後1ヶ月の血清アルブミンの減少割合は有意に少なく、術後7日目の体重減少率も少なかった。【結論】胃癌術後に脂肪乳剤・アミノ酸・糖を含む末梢静脈栄養法を併用する CPは術後合併症の発生を増加させることなく、早期に栄養状態を改善し体重減少を抑制する可能性がある。
著者
山﨑 薫 石神 優紀子 綿貫(吉澤) 仁美 奈良 一寛 池田 加奈 飛川 由梨枝 田中 友里恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.141, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】自然界には多くの有用微生物が存在し,近年,自家製の天然酵母を使用したパン作りが注目されている。そこで,自然豊かな本学町田校舎敷地内に生息する野草から野生酵母を採取することを目的とし,パン製作への応用を検討した。【方法】試料に本学の敷地内から採取した12種類の野草を用い,各試料を1.0%糖液に浸け,30℃で24~48時間培養後,普通ブイヨン寒天培地等にて培養,目視にて形状別にコロニーを釣菌し,液体培地に培養,酵母様の細菌が単一になるまで寒天培地から釣菌,液体培地への培養を繰り返し行い,目的の酵母を単離した。単一になった菌は形状や構造などを肉眼・顕微鏡観察,カタラーゼ活性試験等を行った。加えて,糖の資化性試験を行った。市販ドライイーストを比較対照のためにポジティブコントロールとして使用した。単離野生酵母を食品(パン)に応用するために,市販温州ミカンを活用した自家製天然酵母パンの製作方法を参考に,市販温州ミカン発酵液+ノアザミ酵母(本学敷地内より分離)発酵液を調整し,実際にパン製作をして市販ドライイーストで製作したパンと比較した。【結果】一試料から平均3~5種の形状が異なるコロニーを確認し,野草から7種の酵母様の細菌を採取した。糖資化性テストの結果,いずれも病原細菌ではないことが明らかになった。単離ノアザミ酵母発酵液に市販温州ミカン発酵液も併用した自家製天然酵母パン製作を行ったところ,発酵時間は市販ドライイーストを用いた場合の約3倍近くかかったが,ドライイースト利用時に劣らない発酵力が認められた。今後は単離した野生酵母のみにて,パン製作に必要な発酵力を持たせる条件を探索していく予定である。
著者
田中 友
出版者
早稲田大学
巻号頁・発行日
pp.1-122, 2013

早大学位記番号:新6408
著者
田中友二 高橋寛幸 徳永幸生 杉山精
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.185-186, 2013-03-06

情報入手では検索エンジンの利用が一般的であり,この情報入手の支援は重要である.一方で,自然文でやりとりするQ&Aサイトも利用される.そこで,本研究では従来の情報入手支援手法を更に強化することを念頭に,Q&Aサイトの質問回答データの分析を進めた. 本稿では,Q&Aサイトのテキストデータを用いて,検索エンジンに入力される検索語と関連する語の抽出とその評価を行ったことを報告する.具体的には,テキストデータにおける単語の出現頻度や閲覧者の評価値に基づいて,抽出アルゴリズムを構築し,抽出された語を既存検索エンジンのサジェスト語と比較した.
著者
北垣 徹 山根 明弘 中馬 充子 川上 具美 田中 友佳子 K.J Schaffner
出版者
西南学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2017年5月に西南学院大学にて研究会議を開催し、研究代表者である北垣徹が司会を務め、先ず自身が、「労働する生-優生学の政治的無意識」と題する報告を行い、その後、研究分担者、連携研究者、及び、研究協力者が各自の研究計画を発表した。7月には西南学院大学生命倫理研究会分科会「生命倫理の学際的研究」を西南学院大学にて開催し、『日本が優生社会になるまで』(勁草書房, 2015)の著者である横山尊を招聘し、「拙著『日本社会が優生社会になるまで』が生命倫理の学際的研究に為しうることー相模原障害者殺傷事件から1年を踏まえて」と題する講演を行って頂き、研究分担者である中馬充子が討論者として、書評を含みつつ、この講演に対する批評を行った。その後、横山氏と参加者達との白熱した討議が展開された。当分科会には自立生活センター久留米代表の古川克介氏も招待し、障害者の観点からこの講演に対する感想を述べて頂いた。2018年3月には、西南学院大学大学院にて公開シンポジウム「優生保護法下で何が行われたのか」を開催した。立命館大学生存学研究センターの利光惠子氏、福岡合同法律事務所弁護士の久保井摂氏をシンポジストとして招聘し、前者は「戦後日本における障害者への強制的な不妊手術をめぐって」と題する報告を、後者は「優生保護裁判と国家賠償への展望」を題する報告を行った。また、前述の横山尊氏と分科会員である、日本薬科大学元教授、波多江忠彦氏にコメンテーターを務めて頂いた。加えて、前述の中馬充子もシンポジストとして登壇し、「優生思想を支えた戦後の保健科教育」と題する報告を行った。当シンポジウムにはマス・メディアの記者も招待し、熊本日日新聞の4月8日付けの記事でこのシンポの内容が紹介された。
著者
田中 友梨 菅原 文香 川原 哉絵 富永 史子 加藤 由美 鈴木 千春 下國 達志 増田 創 東舘 義仁 中川 幸恵
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.479-487, 2019 (Released:2019-08-28)
参考文献数
6

平成30年度の診療報酬改定は、多職種や近隣施設との連携強化、すなわち、地域包括ケアシステムの構築に向けた政策の1つと言える。そこで本研究では、管理栄養士の「入院支援」と「退院支援」の参画を開始し、有用性について検証した。「入院支援」への参画では、入退院センター利用患者の概要を把握し、管理栄養士介入の手順を考案した。「退院支援」への参画では、「看護及び栄養管理に関する情報(2)」の運用方法を検討し、近隣の病院や施設等との連携を図った。「入院支援」では、先行研究同様、入院まで良好な栄養状態を保つことで治療に寄与すること、多職種が介入することで業務軽減につながることが示唆された。「退院支援」では、近隣の病院や施設と転院前後の情報共有を円滑に行うことで迅速な患者の栄養管理が可能となり、患者の食事摂取量の維持や増加、また栄養状態の維持や向上につながることが示唆された。「入院支援」、「退院支援」における管理栄養士の参画は、院内外のスタッフ連携に加え、患者支援につながると考えられた。
著者
田中 友紀
出版者
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科附属イスラーム地域研究センター
雑誌
イスラーム世界研究 = Kyoto bulletin of Islamic area studies (ISSN:18818323)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.131-151, 2017-03

This paper examines the appointment of political elites and the transformation from the United Kingdom of Libya to the founding of the Great Socialist People's Libyan Arab al-Jamāhīrīya established in 1977. First, this paper analyzes how Mu'ammar Qadhdhāfī took power after the 1969 coup d'état using the perspectives of Libyan tribalism and localism as its theoretical framework. In particular, localism is appropriate for analyzing modern Libyan politics because the United Kingdom of Libya was formed in 1951 by the three regions—namely, Tripolitania, Cyrenaica and Fezzan. Second, to demonstrate the continuity and transformation of the political elites, this paper focuses on the allocation of political posts in the Kingdom of Libya (1951–69). During the federal era, the local tribal leaders obtained ministerial posts in the local governments; however, the central government abolished the federal system in 1963. The allocation of political posts to the Cyrenaican notables engaged with the King's aides, caused an imbalance among these regions. Additionally, the fact that the Sanusi did not assume the features of a ruling family; Herb (1999) indicated that the more political posts which were allocated within the ruling family, the more resilient the governments were. In 1969, the statement of the Free Officers Movement promised to root out corruption and guarantee equality among the Libyan citizens. However, this analysis shows that Qadhdhāfī appointed members of the prominent tribes of Cyrenaica as ministers and he made use of their power to manipulate the political institution and security organizations. Thus, despite his promises, Qadhdhāfī included the ousted regime. Qadhdhāfī deeply understood how difficult yet important it was to manipulate the stability of Libya's three regions and its tribal society.
著者
大門 利都子 萩生田 明徳 田中 友章 富井 尚志
雑誌
じんもんこん2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.239-246, 2015-12-12

近年,文化財の保存および価値の共有のために,多数のデジタルアーカイブの公開が進められている.それらは主に専門家による閲覧が目的とされており,簡易な作りが主流である.そのため,専門知識を持たない一般人には,その価値を理解することが難しい.したがって,広く文化財の価値を共有できるようにするためには,一般人でも文化財の価値を理解することができるようなデジタルアーカイブを構築することが望ましい. そこで我々は,貴重な文化財である小袖屛風を対象として,背景知識を取り入れた一覧型の閲覧シ ステムを構築した.構築したシステムでは,屛風に貼られた小袖を複数の軸を用いて比較し,結果を 2 軸比較表の形式で閲覧することが可能である.また,構築したシステムを用いることにより,デジタ ルアーカイブ上で専門家による展示のストーリーを閲覧することが可能であることを示す.
著者
田中 友香理
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、明治期における「転向」の学者として知られる加藤弘之の国家主義思想を解明することで「明治国家の思想」の形成―変容過程を明らかにし、新たな明治国家像を提示するものである。加藤弘之は、初代東京大学綜理、教科書調査会会長等を歴任し生涯にわたって文部行政の枢要な地位に在り続け、また元老院議官、貴族院議員として明治国家の形成を担った重要な人物の一人である。それだけでなく、天賦人権論者から「優勝劣敗」の思想家へ転じた「転向」の学者としても知られ、近代日本思想史を解明する上でも重要な人物である。そのような人物の国家主義思想の究明することで、明治国家とは何であったかという問いに一つの答えを提示できるといえよう。本研究の具体的な課題は、第一に、加藤の言動を政治史的文脈に還元して同時代的位置づけを明らかにすること、第二に、加藤の知的基盤である東京大学(書生社会)に着目しその知的環境を分析すること、第三に、加藤の国家主義思想の根幹にあった「進化論」を解明し、初期の立憲政体論から最晩年の「族父統治論」にいたる思想形成の過程を明らかにすることである。昨年度は、雑誌論文および博士論文を執筆することで、上記の課題を解決した。第一の課題に関して、元老院会議における地方自治制関連法案審議、貴族院会議における民法、条約改正論等に関する審議を分析し加藤の政治的立場を剔出した(博論第3、5章)。第二の課題に関して、加藤が主宰した雑誌『天則』の誌面をメディア史的手法によって分析し、書生社会における思想の「横」の広がりを把握し、明治憲法制定から日清戦争までの「進化論」と「日本主義」の関係を考察することができた(雑誌論文、博論第4章)。第三に、従来「転向」とされてきた加藤の思想を進化論思想の展開として捉え直し、それを基底として国家思想がいかに構築されたかを明らかにした(博論第1~5章)。
著者
葛谷 孝文 小林 孝彰 羽根田 正隆 岩崎 研太 田中 友加
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

臓器移植後に使用される各種免疫抑制剤の薬剤暴露時間によるリンパ球の増殖抑制効果について健常人の末梢血リンパ球を用いたin vitroの系で検討した。始めに、添加した免疫抑制剤の洗浄方法について検討を行い、分析機器(シクロスポリン:CLIA法、ミコフェノール酸HPLC)の検出限界以下まで洗浄できていることを確認後以下の実験を行った。CFSE染色した末梢血リンパ球に免疫抑制剤(シクロスポリン、ミコフェノール酸)添加後、anti-CD3/28 microbeadsで刺激し3日間培養した。培養期間中、刺激1日または2日後に薬剤洗浄を行った。3日間培養後各々の群におけるTリンパ球をCD3で染色し、細胞増殖抑制効果をフローサイトメトリーにより観察し、薬剤間における特徴を比較検討した。その結果シクロスポリンは3日の薬剤暴露に比し1日の暴露後の薬剤除去で同程度のリンパ球増殖抑制効果が観察された(3日の暴露で47±15%の抑制、1日の曝露で37±13%の抑制)。一方、ミコフェノール酸では1日の暴露後の洗浄ではリンパ球増殖は十分抑制されず、暴露時間によるリンパ球の増殖抑制効果に関してシクロスポリンとは異なる傾向を示した(3日の暴露で83±10%の抑制、2日の暴露で73±6%の抑制、1日の暴露で29±11%の抑制)。これらの結果からミコフェニール酸モフェチルは時間に依存した免疫抑制効果を発揮し、シクロスポリンに関しては一度リンパ球の増殖を抑制することにより継続的な効果が期待できることが示唆された。このことはT細胞受容体の刺激後速やかなカルシニューリンの活性を阻害することが重要であり、初期段階の阻害によりその後の細胞増殖はある程度の期間抑制できることが示唆された。