著者
小林 慎吾 田中 賢
出版者
山形大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

Regio選択的な開環メタセシス重合法を適用可能なモノマー構造の拡張と、得られた高分子の血液適合性材料への応用を目指した研究を行った。アリル位に官能基を導入したシクロアルケン類を合成し、Grubbs触媒を用いた開環メタセシス重合を行った結果、重合はregio選択的に進行し、側鎖の配列が制御された新規定序性高分子が得られた。得られた高分子の含水試料について、DSC測定を用いた水和構造の解析を行った結果、ポリマー構造の変更により、発現する中間水量が変化することがわかった。得られた高分子のヒト血小板粘着試験を行った結果、中間水発現量の増加に伴って発現する血液適合性が向上することが分かった。
著者
中北 英一 鈴木 賢士 坪木 和久 大石 哲 川村 誠治 橋口 浩之 高橋 劭 城戸 由能 田中 賢治 中川 勝弘 岩井 宏徳 市川 温 杉本 聡一郎 鈴木 善晴 出世 ゆかり 若月 泰孝 相馬 一義 大東 忠保 山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

集中豪雨やゲリラ豪雨による水災害軽減のための総合的基礎研究を実施した。最新型偏波レーダーとの同期フィールド基礎観測実験においてビデオゾンデ観測の汎用化をはかることでこれまで夢に描いてきた積乱雲内の多地点連続観測を実現するとともに、ヒートアイランドの影響を受ける都市域での積乱雲形成・発達過程のマルチセンサー同期観測の緒も開いた。それらを土台に積乱雲のモデル化と豪雨予測手法の開発を行い、加えて早期警戒情報提供や水位予測などの水管理に重要な手法をも構築した。特に、開発したゲリラ豪雨の早期探知・危険性予測手法は国土交通省で現業化され試験運用が開始されており、科学的にも社会的にも意義深い貢献を果たした。
著者
田中 賢一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.53, pp.23-26, 2001-08-31

本報告では, 印象派芸術とりわけ点描画における技法から現在研究開発されている立体映像技術へどのような関わり合いを持っているかを考察する.まず, 印象派芸術の代表的存在ともいえる点描の技法と, 印刷技術や写真技術との関係について述べる.次に, 現代において点描の技法は, 擬似中間調処理を媒介として計算機ホログラフィなどの3次元画像表現, 更には, ホログラフィックアートの根底にある思想に至るまで多岐にわたり応用されていることを示す.
著者
山本 明 吉田 哲也 安楽 和明 稲葉 進 井森 正敏 上田 郁夫 音羽 真由美 折戸 周治 木村 誠宏 佐貫 智行 鈴木 純一 田中 賢一 西村 純 野崎 光昭 槇田 康博 松永 浩之 松本 浩 元木 正和 矢島 信之 山上 隆正 吉村 浩司 Golden Robert Kimbell Barbara Mitchell Jon Ormes Jonahtan Righter Donald Streitmatter Robert
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.103-119, 1996-03

超伝導マグネット・スペクトロメーターを用いた宇宙粒子線観測・気球実験(Balloon Borne Experiment with a Superconducting Magnetic Rigidity Spectrometer)は,宇宙起源反粒子探索及び宇宙粒子線の精密観測を目的とする日米・国際共同実験として推進されている[1-7]。NASAおよび宇宙科学研究所を相互の代表機関とし,東京大学,高エネルギー物理学研究所,神戸大学,ニューメキシコ州立大学が研究に参加している。日本側グループがスペクトロメーター本体を準備し,アメリカ側グループが気球の飛翔,制御を担当している。この実験計画は,1980年代にNASAを中心に検討されたASTROMAG計画の準備研究に於て,ソレノイド型超伝導マグネット・スペクトロメーターの構想を提案し,基礎開発を行なった事から,その第一段階となる気球実験としてスタートした[8-9]。この実験協力が1987年にスタートして以来6年の準備期間を経て,1993年に第一回の気球飛翔実験に成功した。1994年には第二回,1995年には第三回・気球飛翔実験に成功した。実験は,北磁極に近いカナダ北部のマニトバ州リンレークからアルバーター州ピースリバーにかけて実施され,合計約50時間の科学観測に成功し,実験機器も無事回収されている。これまでにBESS93の気球飛翔実験についてデータ解析を完了し,運動エネルギー500MeV以下の運動エネルギー領域で,反陽子を4イベント検出した[10-12]。この結果は,低エネルギー領域(<500MeV)での初めての明確な宇宙線反陽子の観測として評価を受けている。BESS93&acd;95の総合的なデータ解析からは,途中経過として,運動エネルギー<1.2GeVに於て,合計&acd;50イベントの反陽子候補を検出している。また反ヘリウムの探索については,1993年&acd;1995年のデータを合わせ,従来の観測よりも一桁高い感度での存在上限値(反ヘリウム/ヘリウム比=8×10^<-6>,@95%CL)を得ている[13-15]。実験は,結果が現われ始めた段階であるが,経過と現状を報告する。
著者
田中 淳 纐纈 裕美 大藪 崇司 藤原 道郎 田中 賢治 朝日 伸彦 杉浦 弘毅
出版者
JAPANESE SOCIETY OF REVEGETATION TECHNOLOGY
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.139-142, 2011-08-31
被引用文献数
2 3

土壌化学性の改質による外来植物の防除技術の開発実験を実施した。土壌 pH を 4.6,5.5,6.8 に調整した土壌にナルトサワギクならびセイタカアワダチソウを移植した。土壌 pH 4.6 では,移植後約 1 ヶ月で 2 種ともほぼ枯死した。土壌 pH 5.5 の地上部の生育は,pH 6.8 とあまり変わらなかったが堀取った根は生育不良であった。また,土壌を酸性にする溶液をろ紙にひたし発芽実験を行った。ススキの発芽率は,精製水をろ紙にひたしたものと比較して発芽率の低下が少なかったが,ナルトサワギクの発芽率は低下し 0%となった。これらのことから,土壌化学性の改質が,外来植物から在来植物への植生構造の転換技術へ応用できることが示唆された。
著者
中北 英一 田中 賢治 坪木 和久 大石 哲 中川 勝広 鈴木 善晴 大石 哲 坪木 和久 鈴木 賢士 川村 誠治 高橋 劭 田中 賢治 中川 勝弘 市川 温 杉本 聡一郎 鈴木 善晴 出世 ゆかり 大東 忠保 山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

豪雨災害の軽減を目指して、次世代型偏波レーダーの降水量推定・降水予測への利用を目的に、偏波レーダーとビデオゾンデの同期集中観測を実施し、その結果、降水粒子の粒径と種類の推定手法を構築することに成功した。さらに、モデル予測への応用や現象の理解を深めることで降水量推定・降水予測の高度化を実現した。
著者
中北 英一 田中 賢治 戎 信宏 藤野 毅 開發 一郎 砂田 憲吾 陸 旻皎 立川 康人 深見 和彦 大手 信人
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究プロジェクトは「琵琶湖流域の水・熱循環過程解明に向けた総合研究と衛星同期共同観測」を骨子としたオープンなプロジェクトであり,1989年の山梨大学工学部砂田憲吾による提唱をベースに,様々な方々,関係機関のサポートを頂戴しながら,手弁当による参加をベースに継続して続けられてきたものである.フリーな議論をベースにそのあり方を問い続けてきたプロジェクトでもある.その土台をベースに砂田憲吾をプロジェクトリーダーとして進んできた第1ステージが1994年に終了し,1995年からは,1)衛星リモートセンシングデータの地上検証 2)衛星データを用いた水文量抽出アルゴリズム/モデルの開発 3)地表面-大気系の水文循環過程の相互作用の解明 4)水文循環過程の時空間スケール効果の解明 を目的として,本科学研究費補助金をベースとした第2ステージを進めてきた.そこでは,これまでの地上,衛星,航空機による観測に加え,対象領域全体を表現するモデルとのタイアップを新たに目指してきた.その中で,どのスケールをベースに水文過程のアップスケーリングを図って行くべきなのかの議論を深めながら,20km×20kmまでのアップスケーリングをめざし第3ステージに橋渡しをするのが,わが国に根付いてきた琵琶湖プロジェクトのこの第2ステージの果たすべき役割である.'95共同観測では,様々なサポートにより上記第2ステージの目的を追求するのに何よりの航空機,飛行船を導入した大規模な観測態勢を敷くことができた.また,96年度から初の夏期観測をスタートすると共に,モデルとタイアップさせたより深い共同観測のあり方についての議論を行ってきた.成果としては,上記目的それぞれに関する各グループの成果報告,観測・モデルを組み合わせたスケール効果の解明と今後のあるべき共同観測態勢,研究グループ外部をも対象としたデータベースや観測・解析プロダクツを報告書として啓上している.
著者
大畠 雅之 田中 賢治 中村 昭博
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.313-317, 2004-12

漏斗胸に対する胸骨翻転術,胸骨拳上術に変わる治療として2001年よりNuss法を行っている. Nuss法は金属プレートにより変形胸骨を表面より支える方法で現在まで12例に施行した. 8例にステンレス鋼を4例にチタン合金のプレートを使用した. 手術時間は48分から4時間11分で平均1時間47分であった. 出血量は前例20g以下であった. 術後の鎮痛として10例に硬膜外麻酔を用いた. 術後合併症が2例に発生し,1例は皮下気腫,他の1例は術後金属プレートの偏位のための金属プレートの抜去術が行われた. Nuss法後2年が経過した1例に金属プレートの抜去術が行われたが,胸郭の変形,再陥凹を認めていない. 多くの患児とその家族は術後の結果に非常に満足しているが,成長過程にある小児の場合注意深い経過観察が重要であると思われる.
著者
山本 明 安部 航 泉 康介 板崎 輝 大宮 英紀 折戸 玲子 熊沢 輝之 坂井 賢一 志風 義明 篠田 遼子 鈴木 純一 高杉 佳幸 竹内 一真 谷崎 圭裕 田中 賢一 谷口 敬 西村 純 野崎 光昭 灰野 禎一 長谷川 雅也 福家 英之 堀越 篤 槙田 康博 松川 陽介 松田 晋弥 松本 賢治 山上 隆正 大和 一洋 吉田 哲也 吉村 浩司 Mitchell John W. Hams Thomas Kim Ki-Chun Lee Moohyung Moiseev Alexander A. Myers Zachary D. Ormes Jonathan F. Sasaki Makoto Seo Eun-Suk Streitmatter Robert E. Thakur Neeharika
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.81-96, 2008-02

本研究は,南極周回超伝導スペクトロメータによる宇宙線観測(BESS-Polar 実験)を通して,『宇宙起源反粒子,反物質の精密探査』を目的としている.地球磁極領域に降り注ぐ低エネルギー宇宙線に注目し,反陽子スペクトルを精密に測定して,衝突(二次)起源反陽子流束の理解を深めるとともに,『原始ブラックホール(PBH)の蒸発』,『超対称性粒子・ニュートラリーノの対消滅』等,初期宇宙における素粒子現象の痕跡となる『宇宙(一次)起源反粒子』を精密探査する.反ヘリウムの直接探査を通して,宇宙における物質・反物質の存在の非対称性を検証する.同時に陽子,ヘリウム流束を精密に観測し,これまでのカナダでの観測(BESS実験,1993-2002)の結果と合わせて,太陽活動変調とその電荷依存性について系統的に観測し,宇宙線の伝播,相互作用に関する基礎データを提供する.本研究では,これまでのBESS 実験で培われた超伝導スペクトロメータによる宇宙線観測の経験をもとに,低エネルギー領域での観測感度を高め,南極周回長時間飛翔を可能とする超伝導スペクトロメータを新たに開発した.2004年12月13日,南極(米国,マクマード基地)での観測気球打ち上げ,高度37km での9日間に及ぶ南極周回飛翔に成功し,9億イベントの宇宙線観測データを収集した.運動エネルギー0.1〜1.3GeV の範囲に於いて,これまでの約4倍の統計量でエネルギースペクトルを決定した.結果は,衝突(二次)起源モデルとよく整合し,一次起源反陽子の兆候は観測されていない.太陽活動が極小期にむけた過渡期にあたる2004年の観測として予想に沿った結果を得た.反ヘリウム探索は,これまでのヘリウム観測の総統計量を2倍以上に高め,反ヘリウム/ヘリウム比の上限値を2.7×10^<-7>にまで押し下げた.本報告では,BESS-Polar(2004年)の成果を纏め,次期太陽活動極小期(2007年)における第二回南極周回気球実験計画を述べる.