著者
左高 真理雄 原田 元 岡崎 幸紀 竹本 忠良 飯田 洋三 榊 信広 小田原 満 永富 裕二 斉藤 満 後藤 一紀 竹内 一憲 多田 正弘
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.739-744_1, 1982

胃Xanthomaの発生機序をうかがうため,その背景粘膜との関係に注目し,内視鏡的コンゴーレッド法,メチレンブルー染色法および直視下生検を行ない,内視鏡学的,組織学的に胃Xanthomaの発生胃粘膜について検討した. その結果,Xanthomaは萎縮性胃炎の高度な胃に多く存在するが,萎縮性胃炎の比較的軽度と思われる胃粘膜にも少数ながら存在した.さらに,コンゴーレッド変色帯内にも75個中4個(5.4%)存在した.この4個の胃底腺領域のXanthomaを検討すると,Xanthoma上皮および周囲粘膜に組織学的にも軽度ないし中等度の萎縮性変化が認められ,胃底腺領域内といえども萎縮性胃炎を発生母地としていることも示唆された.また,Xantho-ma上皮および近接粘膜は腸上皮化生がみられないか,軽度である例が多く,Xanthomaの発生には腸上皮化生は関係しないと考えた.
著者
曽田 武史 矢倉 千昭 高畑 哲郎 岡 真一郎 田原 弘幸
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.515-519, 2008 (Released:2008-10-09)
参考文献数
23

[目的]本研究では,背臥位から腹臥位,続いて立位に姿勢変化させたときの血圧レベルの変動について調査した。[対象と方法]健常成人54名(男性27名,女性27名,平均年齢22.0±2.7歳)を対象に各姿勢における収縮期血圧(SBP),拡張期血圧(DBP)および脈拍数(PR)を測定した。[結果]腹臥位は背臥位や立位に比べてSBPが有意に低下し,背臥位に比べてPRが有意に増加した。立位は背臥位や腹臥位に比べて有意にDBPは上昇し,PRも増加した。[結語]本研究の結果から,背臥位から腹臥位への姿勢変化における短時間の血圧レベルの変動は,背臥位から立位への姿勢変化に比べてDBPやPRの変動が少なく,SBPが低下する可能性があることが示された。
著者
田原 範子
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
no.62, pp.397-425, 2016

ハンセン病は、日本社会において、それを病む人びとが、長らく隔離政策のなかで生きてこざるをえなかったことは広く知られている。もともと感染力が弱く、1940年代の特効薬プロミンの発見で治療可能な病気となったにもかかわらず、世界の動向に反して、日本では漫然と隔離政策が続けられた。こうした社会背景のなかで、ハンセン病は、「差別・隔離・偏見」などという言葉で語られることが多い。 現在、国立ハンセン病療養所は13施設あり、総入所者数は1,840人、平均年齢は83.6歳である(2014年)。日本政府の隔離政策の問題、ハンセン病施設の問題、入所者のライフヒストリー、高齢化する入所者の問題など、さまざまなアプローチにより研究が蓄積されている。各療養所でも入所者自身によって機関誌が発行され、文芸活動なども活発に行われてきた。また2015年は隔離施設の世界遺産化をめざす動き、2016年には家族による訴訟が報道され、現在もなお、その歴史をいかに生きるのかが、社会的にも個人的にも問われ続けている。 本稿の目的は、現代社会におけるハンセン病についてのメディア報道の動向をとおして、ハンセン病にかかわる現在の状況を明確にすることである。四天王寺大学付属図書館を通して検索できる新聞記事データベース「聞蔵Ⅱビジュアル」により2015年度におけるハンセン病にかかわる新聞報道279件の記事により、新聞記事の内容分析を行う。第1 節で各月ごとに、第2 節でトピックごとに紹介しよう。
著者
田原 花蓮 植村 あい子 北原 鉄朗
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2021-MUS-130, no.9, pp.1-8, 2021-03-09

本研究は既存のポピュラー音楽をファミコン風の音楽に自動編曲することを目的としたものである.ファミコン音楽は最大同時発音数が 4 音までという制約が決められているため,音を削除しなければならない.そこで各パートに対して適切な音削除が行えるよう,各パートに対して音を簡略化する「変換ルール」を複数設計し,遺伝的アルゴリズム (genetic algorithm:GA) を用いて最も相応しい変換ルールをパートごとに決定していく手法を用いてファミコン風音楽の生成を行った.MIDI ファイルを用いてファミコン風アレンジを行い,主観評価と客観評価に分けて評価実験を行った.主観評価では,プロの作曲家に評価(1 から 7 の 7 段階)してもらったところ,リズムの自然さについては,変換ルールありで小節ごとに GA を行ったアレンジ 1 では平均 5.8 が得られた.一方,主旋律とベース以外のパートの選び方の妥当性については,ランダムよりも低い結果になるなど,課題が残った.客観評価では,変換ルールありで小節ごとに GA を行ったアレンジ 1,続いて変換ルールなしで小節ごと GA を行ったアレンジ 4 が総合的に高い評価が確認できた.
著者
田原 伊織 宮崎 彰吾
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.4-12, 2021 (Released:2021-10-28)
参考文献数
16

【目的】シワは4割以上の中高年者が美容上の悩みとして抱えている。その予防・改善には、シワの溝が真皮に至る前に保湿成分を継続的に表皮内に送達し、水分の蒸散を防ぐ必要があるが、皮膚表面の角質層はバリア機能が高く、物質の透過性が極めて低い。本研究では、経皮的DDS技術の一つであるマイクロニードルから着想を得て、「小ジワ」 に対して散鍼術を行い、その直後に保湿成分を含む美容液を塗布した際の有効性、安全性について質の高いエビデンスを得ることを目的とした。 【研究デザイン】アウトカム評価者に対して割付結果を盲検化したランダム化比較試験。 【セッティング】単一施設試験。 【参加者】抗シワ製品評価ガイドラインのシワグレード(0:無い~7:著しく深い)において小ジワ(1~3)に該当し、適格基準を満たした25例。 【介入】介入群には、毎日1回、2週間、洗顔・消毒後に片側の目尻に鍼長0.3mmの円皮鍼を用いて、5回/秒程度の頻度で1分間タッピングした直後に指定の美容液を塗布するよう指示した。対照群には、鍼を抜去した円皮鍼を用いて介入群と同様のスキンケアを行うよう指示した。 【主要なアウトカム評価】主要なアウトカム評価項目はシワグレードとし、シワの評価に熟達した者が1/4値で評価した。なお、効能表現として、1未満の減少を軽減、1以上の減少を改善とした。 【主な結果】対照群では12例中3例(25%)が軽減したのに対して、介入群では13例中4例が改善、5例が軽減し、計9例(69%)で効能が認められ、リスク比は2.8(95%信頼区間:1.0~7.9、P =0.03) であった。 【結論】小ジワに対して円皮鍼で散鍼術を行い、直後に美容液を塗布するスキンケアを14日間行うと、わずかな痛みを伴うが約7割の対象者に効能が認められ、その割合は美容液を塗布するだけより約3倍であった。
著者
Nguyen Viet Xuan 吉野 煕道 田原 誠
出版者
日本育種学会
雑誌
Breeding science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.273-280, 1998-09-01
被引用文献数
1

サトイモ(Colocasia esculenta (L.) Schott)の系統進化を解明するため,アイソザイムによる分析を試みることとし,その最初の研究として,アルコールデヒドロゲナーゼ,エステラーゼ,ロイシンアミノペプチダーゼおよびホスホグルコムターゼの4種の酵素について,アイソザイムの多型並びにこれを支配する遺伝子座と対立遺伝子を調査した。材料としては,交雑と種子繁殖が可能なネパール及びタイ原産の2倍体8系統とこれらを自殖または交配して得た後代系統を用いた。葉身から抽出した試料を,ポリアクリルアミトゲルを用いて電気泳動後,活性染色した.得られた酵素泳動像から,各酵素のアイソザイムについて,これを支配する遺伝子座と対立遺伝子を推定し,後代における分離を検定することによって,アロザイム,遺伝子座および対立遺伝子を同定した。その結果,4つの酵素について,複数の対立遺伝子が存在する9遺伝子座を確認した。また,これら9座が支配する酵素のうち,4座については単量体であり,アルコールデヒドロゲナーゼ,エステラーゼの2つの座については,二量体であることが分かった。サトイモの栽培種の多くは3倍体であり,その起源は,2倍体の非還元分裂配偶子と正常配偶子の受精によるものとされている。後代検定による関連遺伝子の同定が可能な2倍体を材料に,さらに他の酵素のアイソザイムを調査することにより,サトイモ全般にわたる遺伝変異,遺伝的な関係や系統進化の解明に貴重な情報をもたらすことが期待される。
著者
小田原 謡子 Y. Odawara
出版者
中京大学教養部
雑誌
中京大学教養論叢 (ISSN:02867982)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.p725-740, 1978

The Faerie Queene を書くにあたって Spenser が用いた方法は, C. S. Lewis の表現を借りるならば, 「アレゴリーの核を各々の巻に置ぎ, まわりをタイプのロマンスと呼ばれるもので囲み, 純粋に架空の逸話をちりばめる^1」というものである。第三巻に於けるアレゴリーの核は, Canto VIのGarden of Adonis と名付けられた豊饒の園であるが, この Garden of Adonis という名称は, Spenser の発案ではない。すでに紀元前700年に最古の記録を持つという Adonis 信仰の祭式の一部として存在したものであった。自然祭祀の一つである Adonis 祭祀に於て「はかない一時の美わしさと, すみやかな荒廃の象徴^2」とされていたGarden of Adonis と同じ名称を持つ Spenser の Garden of Adonis は, 生の豊饒が印象的な園であるが, これは, Adonis 祭祀の遠い記憶とどのような関係にあるものなのか。この園の描写にあらわれている豊饒, 輪廻, 再生の観念, 無常の観念と, Adonis 祭祀の記憶とのかかわりあいをさぐってみたい。
著者
田原 敬 久保 愛恵 勝二 博亮
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.179-183, 2021-08-01 (Released:2021-08-01)
参考文献数
33

本稿では主に注意機能の視点から雑音下聴取の神経生理学的機序について論じ, 雑音下のような聴取困難な状況で高まる心的な労力であるListening effortについて概説した。脳波や脳機能イメージングを用いた報告からは, 雑音下においてより効率的に音声を聴取するために注意機能が重要な役割を担っていることが確認された。あわせて, Listening effortについても, 注意機能や実行機能等の脳内ネットワークが関与していることが確認された。また, Listening effortを評価するための生理指標として瞳孔径や脳波が活用されていたが, それらの指標間には十分な一貫性がなく, その発生機序も含めさらなる検討が求められていた。以上より, 雑音下聴取やListening effortを扱う際には, 注意機能に代表されるような聴覚機能以外の視点からのアプローチも重要になると示唆された。
著者
田原 英一 後藤 雄輔 吉永 亮 井上 博喜 矢野 博美
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.94-101, 2020

<p>四物湯を含む処方が奏功した6例を経験した。症例1は13歳男性で起床困難であったが,集中力低下を目標に治療したところ,通学も可能になった。症例2は18歳女性で,起床困難だったが,同じく通学が可能になった。症例3は10歳女性で,治療により部分的に通学可能となった。症例4は42歳男性で,社交不安に対して四物湯を追加したところ改善した。症例5は多愁訴であったが,四物湯を含む処方で症状が軽減した。症例6は56歳女性で同じく多愁訴であったが,四物湯を含む処方で症状が軽減した。いずれの症例もうつ,不安が明らかであり,4例でコルチゾールの低下を認め治療により回復した。四物湯は血虚を治療することで集中力,判断力を回復し精神症状を改善すると考えられる。</p>
著者
大野 桂司 田原 一二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.135, no.6, pp.255-260, 2010

ラスリテック<sup>®</sup>(一般名:ラスブリカーゼ(遺伝子組換え))は,<I>Aspergillus flavus</I>由来の尿酸オキシダーゼの遺伝子を<I>Saccharomyces cerevisiae</I>株に導入し,発現させた遺伝子組換え型尿酸オキシダーゼであり,尿酸を水溶性の高いアラントインに変換する新規作用機序を有している.本剤は欧米を含む世界50ヵ国以上で承認されており,本邦では「がん化学療法に伴う高尿酸血症」を効能または効果として2009年10月に承認された.悪性腫瘍に対して化学療法は有効な治療方法の1つであるが,しばしば腫瘍崩壊症候群(急激な腫瘍細胞の崩壊が生じた結果,大量の核酸,カリウムおよびリン酸などが細胞内から血中に放出され,それにより高尿酸血症,高カリウム血症,高リン酸血症が生じること)を引き起こすことがある.尿酸は通常,腎臓から排泄されるが,多量に産生された尿酸を十分排泄することができず,腎で析出することがあるため,がん化学療法により高尿酸血症に至った患者では腎機能障害や急性腎不全が発現し,致命的な経過をたどることがある.このため,化学療法後の高尿酸血症を予防することが重要であるとされている.本剤承認前までの本邦における予防方法は,輸液,尿のアルカリ化,アロプリノールの投与などがあげられるが,これらの対処方法では尿酸値を下げるまでに時間を要することやアロプリノールが経口薬のみであることから服薬が困難な患者では使用できないことなどの問題があり,十分対処できない患者が存在した.ラスリテック<sup>®</sup>は投与直後から尿酸値を速やかに低下させることが期待でき,国内臨床試験においてはほとんどの患者で投与後4時間までに尿酸値を1 mg/dL以下まで低下させた.近年,優れたがん治療薬が開発されていく中で,がん化学療法に伴う高尿酸血症への対処の重要性は増しており,本剤はその一助となることが期待される.
著者
田原 静
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18834930)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.48-54, 2017

電子書籍サービス等のデジタル・コンテンツ提供サービスでは,従来の有形グッズの所有とは異なり,利用者は所有対象に対する所有権を持たない。本研究では,これらのサービスが作り出す不安定な所有の状況に対する消費者の意識と反応,またサービスの一環として提供される,所有権を伴わない消費対象に対し所有意識を持つケースがあることを明らかとした。この結果は従来のデジタル・コンテンツおよびアクセス・ベース消費の研究を補完し,サービスの価値や利用者の満足度に関する経営診断に新たな知見を与える可能性を開く。
著者
森 哲也 岸野 かなえ 田原 麻衣子 守山 隆敏 和田 真太郎 伊藤 武
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.129-132, 2021-08-25 (Released:2021-09-01)
参考文献数
13

3MTM病原菌検出アッセイ2 STEC遺伝子スクリーニン-stx用キットを,食品からの腸管出血性大腸菌検査におけるVT遺伝子スクリーニングに使用することを目的に,検出感度を調べた.純培養菌での検出感度,食品として牛スライス肉やタンドリーペースト,きゅうりなどを供試して食品培養液を調製し検出感度を調べた.食品培養液中の検出感度は,BPW,mEC培地ともに3から4 Log CFU/mLレベルであった.3MTM病原菌自動検出システムを用いたVT遺伝子検出は,通知法が要求する検出下限値(4 Log CFU/mL)を満たしていた.本手法は食品からの迅速簡便なVT遺伝子スクリーニング法として有用であった.
著者
小田原 康貴 島田 諒也 池見 陽
出版者
関西大学大学院心理学研究科心理臨床学専攻
雑誌
Psychologist : bulletin of the Graduate School of Professional Clinical Psychology, Kansai University = サイコロジスト : 関西大学臨床心理専門職大学院紀要
巻号頁・発行日
no.10, pp.9-16, 2020

最近、池見が執筆する心理療法論に散見される「追体験」という語についての理解を深めることが本論の目的であった。まず、追体験について池見がすでに論じていることをまとめ、次に国内の心理学文献を中心に池見以外の研究者による追体験の記述を調べた。さらに池見へのインタビューを行い、そのインタビューで語られた内容について考察した。考察では、追体験のもつ特徴と聴き手の追体験が話し手にもたらすものといった2点について、これまでの池見の記述に見当たらないもの、あるいは強調されていない点に注目した。追体験は人が生来持つ機能であると池見は考え、他者の体験をそのまま理解しようという目論見があるときに追体験が立ち現れていること、その追体験は全く新しい間主観的な現実であることが考察された。
著者
田原歩美
雑誌
福山大学こころの健康相談室紀要
巻号頁・発行日
vol.4, pp.59-66, 2010

The purpose of this study was to construct a sexual self-determination scale and examine the effect of sex experienceon sexual self-determination. A questionnaire which included items on sexual experience and dating violence, andsexual self-determination scale was administered to 117 university students as a part of the requirement of a socialpsychology course. Sexual self-determination was found to be constructed from four factors: sexual diversity, sexualself-receptiveness, sexual liberty, and sexual health/rights. However, both the reliability based on alpha coefficients andthe criterion-related validity were not sufficient. It was found that women without sexual experience are able torecognize sexual diversity. In addition, men were found to be more sexually liberated than women, and those who hadhad sexual experience were more sexually liberated than their counterparts.