著者
河上 強志 小濱 とも子 酒井 信夫 高木 規峰野 高橋 夏子 大嶋 直浩 田原 麻衣子 五十嵐 良明
雑誌
日本薬学会第141年会(広島)
巻号頁・発行日
2021-02-01

目的:感染防止対策としての家庭用マスクの重要性が認識されマスクを着用する機会が増加すると共に、皮膚の異常を訴える事例が報告されている。これらの事例の多くは摩擦や蒸れ等に起因すると考えられるものの、家庭用マスクに含まれる化学物質が皮膚炎の要因となる可能性がある。そこで、本調査ではホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物(VOCs)、及び光感作性が報告されているベンゾフェノン系紫外線吸収剤について、家庭用マスク中の実態を調査したので報告する。方法:2020年4月~6月を中心に関東地方の小売店及びインターネットサイトで家庭用マスク及びマスク関連製品(マスクシート等)を91点購入した。その素材は、不織布、布及びポリウレタン等であった。VOCsのうちホルムアルデヒドは家庭用品規制法で用いられているアセチルアセトン法にて分析したが、不織布と抽出に使用する精製水との濡れ性を考慮し、溶出には20%(v/v)エタノール水溶液を用いた。その他のVOCsについては放散試験を実施し加熱脱着GC-MS法にてスクリーニング分析を実施した。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤についてはウレタン製マスクを対象として、LC-MS/MSにて測定した。結果:ホルムアルデヒドについて、不織布製や布製マスクのいくつかの製品から家庭用品規制法の乳幼児製品の基準値(16 μg/g)を超えるホルムアルデヒドの溶出が確認された。東京都の2011年の報告では、不織布マスクからのホルムアルデヒドの溶出を報告しており、簡易樹脂加工識別試験により、ホルムアルデヒドの由来を検討している。我々も今後、ホルムアルデヒドの由来について同様に検討する予定である。また、紫外線吸収剤については19種類の一斉分析法を構築した。ポスターでは放散試験の結果と合わせて報告する。
著者
香川(田中) 聡子 大河原 晋 田原 麻衣子 川原 陽子 真弓 加織 五十嵐 良明 神野 透人
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第41回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-163, 2014 (Released:2014-08-26)

【目的】近年、生活空間において“香り”を楽しむことがブームとなっており、高残香性の衣料用柔軟仕上げ剤や香り付けを目的とする加香剤商品の市場規模が拡大している。それに伴い、これら生活用品の使用に起因する危害情報も含めた相談件数が急増しており、呼吸器障害をはじめ、頭痛や吐き気等の体調不良が危害内容として報告されている。本研究では、柔軟仕上げ剤から放散する香料成分に着目し、侵害受容器であり気道過敏性の亢進にも関与することが明らかになりつつあるTRPA1イオンチャネルに対する影響を検討した。【方法】ヒト後根神経節Total RNAよりTRPA1 cDNAをクローニングし、TRPA1を安定的に発現するFlp-In 293細胞を樹立した。得られた細胞株の細胞内Ca2+濃度の増加を指標として、MonoTrap DCC18 (GLサイエンス社)を用いて衣料用柔軟仕上げ剤から抽出した揮発性成分についてTRPA1の活性化能を評価した。また、GC/MS分析により揮発性成分を推定した。【結果】市販の高残香性衣料用柔軟仕上げ剤を対象として、それぞれの製品2 gから抽出した揮発性成分メタノール抽出液についてTRPA1に対する活性化能を評価した。その結果20製品中18製品が濃度依存的に溶媒対照群の2倍以上の活性化を引き起こすことが判明した。さらに、メタノール抽出液のGC/MS分析結果より、LimoneneやLinallolの他に、Dihydromyrcenol、Benzyl acetate、n-Hexyl acetate、Rose oxide、Methyl ionone等の存在が推定され、これらの中で、Linalool 及びRose oxideがTRPA1を活性化することが明らかになった。これらの結果より、柔軟仕上げ剤中の香料成分がTRPイオンチャネルの活性化を介して気道過敏性の亢進を引き起こす可能性が考えられる。
著者
竹内 淑子 中坪 拓也 福居 篤子 藤井 隆太 田原 耕平 竹内 洋文
出版者
公益社団法人 日本薬剤学会
雑誌
薬剤学 (ISSN:03727629)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.164-176, 2017-04-01 (Released:2017-05-01)
参考文献数
19

Flowability is one of the most important parameters of pharmaceutical powders during the handling and preparation of solid dosage forms. It is especially important to characterize the very poor flowability that some herbal powders show. In this study, the flowability of a traditional herbal powder formulated as an antitussive and expectorant was examined. This formulated herbal powder and two excipient powders, precipitated calcium carbonate and anhydrous dibasic calcium phosphate, were evaluated using two instruments. A shearing test, a wall friction test and a dynamic flowability test were performed with Powder Rheometer FT4 (Freeman Technology, Tewkesbury, UK). Internal friction and wall friction were measured. BFE (basic flow energy), SI (stability index) and FRI (flow rate index) were also measured. Angle of repose, bulk density, tapped density, angle of spatula and cohesiveness were measured with a Powder Tester (Hosokawa Micron, Osaka, Japan). The results were used to calculate Carr's Index values and compressibility, which in turn revealed that this herbal powder had poor flowability.The other aim of this study was to develop a new method of evaluating the flowability of powder through a medicine spoon. Two evaluation methods, the spoon-tap test and the consecutive medicine spoon test, were developed to design a new medicine spoon for the herbal powder. The results of these tests indicated that a polyethylene medicine spoon with holes at the bottom could reduce the adhesiveness to a medicine spoon of the formulated herbal powder.
著者
川名 のん 長沼 健 吉野 雅之 太田原 千秋 冨樫 由美子 笹 晋也 山本 恭平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.1F2GS10a02, 2021 (Released:2021-06-14)

e-KYCとは、インターネット越しの画像/映像で本人確認を行い、金融機関の口座開設の手続きを非対面で行なう仕組みのことである。本稿では、Deepfakeを用いて他人の顔になりすますことで、e-KYCなどの顔画像/映像を用いた本人確認に対してなりすまし攻撃ができるかの実験を行った。本稿の実験では、実システムに対してではなく、OSSをベースに独自に作成したe-KYCシステムに対して、運転免許証の写真とDeepfakeでなりすました人物の顔画像/映像が同一人物かの判定を行うものとした。より具体的には、システム側からe-KYC対象者に対して、顔を傾けるなどのランダムな動作を指示し、顔画像とこれら動作の認証を行い、本人性を確認する。実験の結果、なりすまし攻撃が成功し、これによりDeepfakeによるe-KYCへの攻撃が現実的な脅威であることが判明した。また本稿では、この攻撃に対していくつかの対策技術を検討した結果をまとめる。
著者
岩崎 祐貴 折原 良平 清 雄一 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.152-160, 2015-01-06 (Released:2015-01-06)
参考文献数
30
被引用文献数
2

Nowadays, anybody can easily express their opinion publicly through Consumer Generated Media. Because of this, a phenomenon of flooding criticism on the Internet, called flaming, frequently occurs. Although there are strong demands for flaming management, a service to reduce damage caused by a flaming after one occurs, it is very difficult to properly do so in practice. We are trying to keep the flaming from happening. It is necessary to identify the situation and the remark which are likely to cause flaming for our goal. Concretely, we propose methods to identify a potential tweet which will be a likely candidate of a flaming on Twitter, considering public opinion among Twitter users. Among three categories of flamings, our main focus is Struggles between Conflicting Values (SBCV), which is defined as a remark that forces one's own opinion about a topic on others. Forecasting of this type of flamings is potentially desired since most of its victims are celebrities, who need to care one's own social images. We proceed with a working hypothesis: a SBCV is caused by a gap between the polarity of the remark and that of public opinion. First, we have visualized the process how a remark gets flamed when its content is far from public opinion, by means of our original parameter daily polarity (dp). Second, we have built a highly accurate flaming prediction model with decision tree learning, using cumulative dp as an attribute along with parameters available from Twitter APIs. The experimental result suggests that the hypothesis is correct.
著者
ミンテイ グェン 川村 隆浩 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.105, pp.19-23, 2010-06-18

本論文の目的は,twitterから取得した文中に現れる行動の基本属性(行動主,動作,対象,時間,場所)を自動的に抽出することである.しかし,先行研究では,頻度が低い行動を獲得できない.そして,抽出する前に,動詞リストとカテゴリワード(対象を表すワード)を予め準備しておく必要がある.そこで本論文では,条件付確率場(Conditional Random Fields)と自己教師あり学習(Self-Supervised Learning)を用いて,行動属性の自動抽出手法を提案する.提案手法では,人手でラベル編集や行動のドメインの定義などの必要がなく,頻度が低い行動も獲得できる.
著者
星 雄輝 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦
雑誌
研究報告知能システム(ICS) (ISSN:2188885X)
巻号頁・発行日
vol.2020-ICS-197, no.8, pp.1-7, 2020-02-10

昨今,PC やスマートフォン,インターネットの普及に伴い個人でもゲームを制作することが身近な存在となっている.しかし,作曲・演奏経験の乏しいゲームアプリ開発者にとって,オリジナルの BGM を用意するのはコストが必要となる場合がほとんどである.また,ゲーム音楽といっても,ゲーム音楽ならではの音楽的特徴は幅広く,ゲーム音楽そのものの理論は確立されていないのが現状である.そこで,ゲームのシーンに着目し,音楽をゲームのシーンに合った曲調に変換してくれるシステムによって,音楽理論を理解していなくてもゲームの BGM を用意できるのではないかと考えた.本研究では,CycleGAN を用いたドメイン変換に加え,テンポと音色を考慮することによって,クラシック音楽からシーン別のゲーム音楽を生成することを提案する.評価としては,分類器を用いた変換精度の客観評価とアンケート形式による生成楽曲に対するイメージ及び変換精度を答えてもらう主観評価の 2 つの評価方法を用いて評価を行った.客観評価と主観評価の総合的な評価の結果,「フィールド」と「戦闘」のシーンに変換した楽曲において高い評価が得られた.

18 0 0 0 OA 麻疹ウイルス

著者
田原 舞乃 竹田 誠
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.3-16, 2017-06-25 (Released:2018-03-29)
参考文献数
104

麻疹ウイルスは非常に感染力と病原性が強く,小児死亡の主要な原因ウイルスであるが,有効なワクチンが存在する.多くの国でワクチン接種を徹底することによって排除が進んでいる.麻疹ウイルスHタンパク質がレセプターと結合することが感染現象の始まりである.麻疹ウイルスは免疫細胞に発現しているSignaling lymphocyte activation molecule (SLAM)と,上皮細胞の基底膜側に発現しているnectin-4の2種類の分子をレセプターとして用いる.麻疹の病態は,麻疹ウイルスがSLAMとnectin-4の両方のレセプターを使うことと強く関係している.Hタンパク質のレセプターへの結合が引き金となって,Fタンパク質による膜融合が起きる.このFタンパク質のトリガーにはHタンパク質のストーク部分が重要である.また,Hタンパク質のエピトープの詳細な解析の結果,レセプター結合部位など,構造的・機能的にアミノ酸変化を許容できない複数の領域がエピトープになっていることが分かった.このことが抗原性の変化が起こらないことのひとつの原因と考えられる.実際に,約60年前の株から作られたワクチンが,現在の流行株に対しても有効性が低下していないことが示されている.
著者
坂部 龍太郎 山口 拓朗 長谷 諭 田原 浩 布袋 裕士 前田 佳之
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.983-987, 2017 (Released:2017-11-30)
参考文献数
14

GISTを疑い切除した寄生虫による胃好酸球性肉芽腫の1例を報告する.症例は65歳の女性で,Helicobacter pylori菌に対する除菌治療を受けていた.上部消化管内視鏡検査で胃体中部大彎に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を指摘された.造影CT検査では,胃壁外へ突出する15mm大の腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査では,腫瘍は筋層と連続していた.超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診では十分な組織が採取できず,確定診断できなかった.GISTを疑い腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.病理組織学的検査では,粘膜下層に変性した虫体を認め,その周囲に肉芽腫を形成する好酸球性肉芽腫であった.寄生虫による胃好酸球性肉芽腫は稀な疾患であるが,胃粘膜下腫瘍の鑑別診断として認識しておく必要がある.
著者
小林 正子 竹本 泰一郎 田原 靖昭 田川 宜昌 東郷 正美
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衞生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.309-316, 1995-11-30
参考文献数
13
被引用文献数
12
著者
田和 篤史 田原 義太慶 日比野 友亮
出版者
日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.17-050, (Released:2018-03-30)
参考文献数
24

Snake eels in the genus Myrichthys, characterized by molariform teeth, moderate to very elongate body, short snout, dorsal fin origin before gill openings, short pectoral fin, anterior nostrils tubular and elongate, posterior nostrils opening into mouth, and spotted and/or striped coloration, include 10 valid species and are commonly found along most tropical shores worldwide. Two species, Myrichthys colubrinus (Boddaert, 1781) [striped coloration] and Myrichthys maculosus (Cuvier, 1816) [spotted coloration], having been previously recorded from Japan, Myrichthys paleracio McCosker and Allen, 2012 is described here from two specimens found in the stomach contents of a sea snake Laticauda laticaudata (Linnaeus, 1758) from Iriomote Island, Okinawa Prefecture, Japan, being the first speciemen-supported record of the species from Japan and the northernmost record of distribution. Myrichthys paleracio most closely resembles M. colubrinus in having striped body coloration, but differs in having 183 total vertebrae (vs. 193–202) and more than 50 irregularly patterned brown stripes (vs. 25–35 arranged in a regular pattern). The absence of an ethmoid pore on the head in one specimen was considered to be a malformation. A new standard Japanese name “Madara-shima-umihebi” proposed for the species. An underwater photograph of a snake eel from Yakushima Island, Kagoshima Prefecture, Japan, was identified as M. paleracio.
著者
八田原 慎悟 藤井 叙人 古屋 晋一 風井浩志 片寄 晴弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.2782-2795, 2009-12-15

脳活動とテレビゲームの関係に注目した関連研究の多くで,テレビゲーム実施時の前頭前野活動の低下が報告されてきた.しかし,これらはゲーム初中級者を対象としたものに限られ,熟達者の脳活動の活動様相および熟達にともなう変化については未解明の点が多い.本研究では2名の熟達者が「未熟達のゲーム」に訓練を重ねて熟達していく過程で脳活動にどのような変化が起こるのかを運動技能とあわせて検討を行った.その結果,当該熟達者の前頭前野活動は,学習初期に上昇し,学習中期には低下し,学習後期には再び上昇するというU-shapeを示した.
著者
井上 敬介 浦山 由巳 上久木田 務 白井 俊光 白木澤 治 杉山 篤央 須藤 眞生 田中 広徳 田原 繁広 那須川 真澄 平原 茂人 堀江 匠 光吉 浩 三原 宏美 宮本 貴之 村上 大吉郎 山中 邦昭
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.5-93, 2015 (Released:2015-08-12)

This publication has been prepared to express a sound and practical view on the better manufacturing environmental control for non-sterile pharmaceutical dosage forms, which has been discussed for several years by a special working group members of Kansai Study Group (KSG) accredited as one of the committees in Parenteral Drug Association (PDA) Japan Chapter. The opinions proposed or advanced in the document are formed for the purpose of furnishing a beneficial and valuable guide with advisability to any persons or organizations concerned in establishing appropriate manufacturing control systems for quality products.   The leading topics discussed among the WG are focused on the prevention against cross-contamination and foreign matter ingress, and categorized into five subjects composed of HVAC systems, premises, gowning, cleaning, and cleanliness standards. Constructive and earnest discussion therein has been devoted to the key processes, wherein considerable amounts of powders are handled for the successful operations of weighing, granulation, mixing, and tableting. In the expectation of good usage, many of the principles and the way of thinking presented hereupon, in particular can be applied or rearranged to a wide spectrum of other manufacturing processes for various dosage forms of non-sterile drug products.