著者
川口 侑子 牛頭 夕子 水原 寛美 田原 雄一郎
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.7-12, 2015-05-25 (Released:2019-04-10)
参考文献数
7

シリカゲルのゴキブリに対する効果は,粒子径の大きさに左右された.470 meshであれば,1m2あたり3gの処理で感受性系統ならびに抵抗性系統のチャバネゴキブリに対して,24時間で85%以上の個体が死亡した.30 mesh, 40 meshの粒子径のシリカゲルでは殺虫効力が見られなかった.トビイロゴキブリ老齢幼虫に対する殺虫効果 は劣った.470 meshのシリカゲルを室内に7日間放置した時の吸湿の程度は低く,殺虫効力には大きな影響をもたらさなかった.シリカゲルで死亡したゴキブリの肢や触角は硬直し,時間とともに脱落した.一連の試験から,処理面が乾いている場所でのシリカゲル微粉末処理は,チャバネゴキブリ駆除に対し有効で,現場での実用性が期待される.
著者
田原 敬
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.69-78, 2019

<p>新生児聴覚スクリーニングの普及や聴覚補償技術の発展を受け、聴覚障害者の聴覚活用を取り巻く環境は大きく変化してきている。そのような現状において、近年では聴覚障害者の環境音認知にも関心が向けられるようになった。そこで本研究では、聴覚障害者の環境音認知を扱った国内外の研究を整理し、補聴器装用者および人工内耳装用者における環境音認知の特徴や、聴覚障害者の環境音認知に関する新たなアプローチについて論じた。先行研究を概観すると、環境音認知は言語音認知と共通する点も多くみられ、環境音認知を高めることで、聴覚障害者の聴覚活用全般が向上する可能性が示唆された。一方で、聴覚障害者の環境音認知を扱った研究が少ないという現状もあり、環境音認知の発達過程の検討、評価バッテリーの開発、個人差をもたらす要因の検討、指導法の検討などが、今後の研究上の課題として挙げられた。</p>
著者
林 建二郎 宍戸 俊英 菅田 明子 中村 雄 板谷 直 原 秀彦 多武保 光宏 桶川 隆嗣 東原 英二 奴田原 紀久
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.137-141, 2015 (Released:2015-05-27)
参考文献数
10

【目的】高齢者におけるホルミウムレーザー前立腺核出術(holmium laser enucleation of the prostate:HoLEP)の治療成績を若年者の成績と比較検討した. 【対象と方法】2005年12月から2010年5月の期間にHoLEPを施行した患者168例を後期高齢者とされる75歳以上51例の群と74歳以下117例の群にわけ,自覚症状の変化や尿流動態および合併症を比較検討した. 【結果】両群でともに有意な自覚症状の改善,尿流動態の改善が認められた(p<0.001).合併症は74歳以下の群で一過性尿閉5例(4.3%),精巣上体炎5例(4.3%),後出血4例(3.4%)を認め75歳以上の群より多かった.両群間で術後のヘモグロビン減少や輸血率,尿失禁の合併に有意差はなかった. 【結語】HoLEPは高齢者の前立腺肥大症に対し,比較的侵襲の少ない有用な術式と考えられた.
著者
田原 優 平尾 彰子 坪井 琢磨 田中 麻貴 吉田 晶子 柴田 重信
出版者
日本生理学会
雑誌
日本生理学会大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.90, 2008

Glycine is now used as a chemical for promotion of sleep in humans. It has been demonstrated that glycine administration up to 2g/kg causes the increase of NREM sleep in sleep disturbed rat and hypothermia (0.6 C decrease) in rat. The administration of benzodiazepine not only caused the sleep but affected the circadian rhythm; it blocked the light-induced phase advance of activity rhythm and elevation of Per1 gene expression in the suprachiasmatic nucleus (SCN) in hamsters. In the present experiment, we examined the possibility whether glycine affect light-induced phase shift and c-fos expression in the SCN and retina of mice. Glycine dose-dependently decreased the body temperature of mice (1C decrease with 2 g/kg). After extended light exposure for 2 hrs in the night under LD cycle mouse was kept under constant dark condition. Glycine (0.5-2 g/kg) pretreatment before light exposure dose-dependently attenuated light-induced phase delay. Glycine (2g/kg) pretreatment slightly attenuated light-induced increase of Fos immunoreactivity in the mouse SCN. Further experiment should elucidate whether glycine administration itself causes the phase shift or not. The present results suggest that high dose of glycine may attenuate the light-induced phase shift of circadian clock. <b>[J Physiol Sci. 2008;58 Suppl:S90]</b>
著者
平尾 彰子 田原 優 井筒 裕之 本間 さと 本間 研一 柴田 重信
出版者
日本生理学会
雑誌
日本生理学会大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.198, 2008

Daily restricted feeding (RF) with fixed time during daytime causes an advance of circadian rhythm of mouse liver clock gene expression. However, the mechanism of entrainment signal is poorly understood. Here, we examine whether daily administration of various type of nutrition caused entrainment of liver clock gene expression rhythm using Bmal1-luciferase transgenic mouse. Circadian rhythm change of liver bioluminescence was recorded through Lumicycle after 1-6 days of administration of various nutrients. We administered the corn carbon dehydrate, egg albumin or soybean oil after adjustment of each calorie. Among these nutrients soybean oil has most strong effect on phase-shift of gene expression rhythm. Administration of glucose through oral or intraperitoneal caused the phase advance, however the value of change was small. Thus, slow supply of calorie may be important to cause phase shift. We still examine the other nutrients such as amino acids, dextrin and sugar. We also try to find the effect of combination of nutrients on phase-shift of liver clock. <b>[J Physiol Sci. 2008;58 Suppl:S198]</b>
著者
岩下 亜季 田原口 智士 高瀬 公三
出版者
鹿児島大學農學部
雑誌
鹿児島大学農学部学術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
no.56, pp.1-7, 2006-03

西日本の動物園および水族館で飼育されているペンギン(合計144羽)から、2002年8月-2004年5月にかけて採取された糞324検体についてサルモネラの分離を試みた。その結果、2002年8月にA動物園由来の16検体中8検体(50%)からサルモネラが分離され、すべてSalmonella Senfenberg(SS)と同定された。また、2003年12月にC水族館由来の糞15検体中1検体(6.7%)からサルモネラ(04群、血清型不明)が分離された。市販の12薬剤に対する薬剤感受性試験の結果、分離SS株はクロラムフェニコールに対して耐性を獲得していると思われた。04群血清型不明株は耐性を獲得しているとは考えにくかった。SSの7株および04群血清型不明1株を用いて、侵入遺伝子invAの検索を行ったところ、全てinvAを保有していることがわかった。
著者
井口 亜希子 原島 恒夫 田原 敬
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.137-148, 2019-03-31 (Released:2019-10-01)
参考文献数
56

指文字は、表記文字に対応した手型であり、それにより単語を視覚的に綴ることができる。本稿では、聴覚障害幼児の初期言語獲得における指文字の役割について検討する基礎的な資料とするため、指文字の性質と特徴を整理した上で、聴覚障害児の指文字の獲得過程、語彙獲得における指文字の役割について、欧米圏と我が国の研究を概観した。米国を中心に乳幼児期の指文字獲得過程や、親や教員による語彙獲得や文字移行を意図した指文字の使用方略に関する検討が進められている。我が国においてはそれらの研究が進んでおらず、日本の指文字の特徴を踏まえた指文字獲得過程や、日本語の語彙獲得における指文字の使用方略とその効果について検討する必要がある。特に語彙獲得における効果が期待される指文字と複数のモダリティ(手話単語、文字、音声言語等)を組み合わせた提示方略について、聴覚障害幼児の言語獲得等と関連させた研究が求められる。
著者
中村 佳子 田原 英一 三潴 忠道 木村 豪雄
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.669-674, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
21

漢方治療が奏効した再燃性胆管炎の1例を報告した。症例は31歳,女性。先天性胆管拡張症にて肝部分切除と胆管空腸吻合手術を受けたが,29歳頃から頻回に胆管炎を繰り返し,抗生剤による治療を受けていた。患者は挙児希望で,抗生剤の使用量を減らす為に漢方治療を希望し,当科を受診した。茵蔯蒿湯を基本処方とし大柴胡湯などで随証治療を行い,抗生剤の使用量を顕著に減量でき,妊娠出産に到った。妊娠中の経過は良好であった。胆道再建術後の再燃性胆管炎に対し,漢方治療は試みられてよいと考えられた。
著者
齊藤 ふみ 小田原 悦子
雑誌
リハビリテーション科学ジャーナル = Journal of Rehabilitation Sciences
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-69, 2016-03-31

精神障害を持った人が健康感を持って社会に参加するためには何が必要なのか,統合失調症者の西純一氏(仮名)の手記「精神障害を乗り越えて 40 歳ピアヘルパーの誕生」を読み,Schultz & Schkade の「作業適応過程モデル」を参考に回復段階ごとの日常生活の作業経験を分析した.本研究はナラティブ分析による質的研究である.Schultz & Schkade は,人は環境との交流の中で,「出来るようになりたい」と願い環境に働きかけ(習熟願望),環境は人に「できるように」期待,要求する(習熟要請)と述べた.その結果,その環境との交流で,人は作業に従事して環境に挑戦し,役割を得ると指摘した.西氏の場合,症状の強い段階では彼の環境は制限され,心身の保護とセルフケアが生活の主要な作業であったが,回復に従って環境からの要請が生産的なものへと移り変わり,それに応えて社会的な作業を通して環境に働きかけることで西氏は社会参加を実現させた.作業療法においては,健康感を持って社会に参加するように援助するためには,最大限の適応反応を導くことができる環境を見極めることが必要であることが示唆された.
著者
石綿 翔 高木 均 星野 崇 長沼 篤 坂本 直美 小板橋 絵里 相馬 宏光 乾 正幸 工藤 智洋 小川 晃 田原 博貴 金古 美恵子 岡本 宏明
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.109, no.4, pp.624-629, 2012 (Released:2012-04-05)
参考文献数
11

症例は70歳代女性.全身倦怠感,肝機能障害(ALT 2565IU/l)を主訴に入院.A,B,C型肝炎,EBV,CMV,自己免疫性肝炎は否定.2カ月ほど前から摂取し始めた菊芋によるDLSTで陽性を示し,薬物性肝障害(診断スコア8点)と診断された.その後保存血清でHEV-RNA陽性と判明し,E型肝炎と診断された.DLSTには偽陽性があり薬物性肝障害診断にHEV screeningの導入が必須と考えられた.
著者
甲斐 由紀子 田原 俊司 小川 幸吉
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.581-582, 2013

磁極構造がハルバッハ配列の4極6スロット永久磁石リニア同期モータにおいて磁極間間隔を変化した場合と、モータ中心部分の間隔を変化した場合の推力脈動を比較した。モータ中心部分に間隔を設けてさらに界磁側にわずかなスキューを施すと有効に推力脈動の低減が可能であることを確認した。
著者
甲斐 由紀子 田原 俊司 小川 幸吉
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.595-596, 2014

永久磁石リニア同期モータにおいて、可動子を積厚方向に3分割することで推力脈動は低減される。可動子の2つの部分は、可動子の中央部に対して移動方向の正負の方向に一定距離だけずれている場合に推力の第6及び第3高調波を大幅に低減することができる。分割した可動子の各部分には、隣り合う磁気回路の影響があると考えられる。この影響を調べるため、可動子の各部分に働く力について検討した。ハルバッハ配列構造の可動子モデルを3次元数値計算する。さらに、推力脈動軽減効果を確認するため、計算された推力波形を数値フーリエ級数解析によって評価する。
著者
大田原 菜々 稲子 明里 塚原 裕史 小林 一郎
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.722-736, 2020-06-15 (Released:2020-06-15)
参考文献数
26
被引用文献数
1

近年,車の自動運転の実用化に向けた活動が急速に進展している.今後,自動運転車の操作を容易に行うために,自然言語による対話的な操作を可能にすることが必要であると考えられる.そこで,本研究では,自然言語で表現される駐車指示から空間的意味内容を抽出し,その空間的意味内容と,車に備え付けられたセンサーによって認識される実世界を対応付け(グラウンディング)ることで,駐車指示内容に含まれる行動や物体などを表す言葉と,実世界上での行動や物体を結びつける手法を提案する.本研究では,駐車指示から空間意味内容を抽出する手法と,得られた空間意味内容と環境表現の対応付けを行う手法の2つを考えている.空間意味内容の抽出には,制約を組み込んだ特別な組み合わせ範疇文法(CCG)により与えられる構文木を中間情報として用いている.この際,未知語が現れた場合はCRFにより推定を行う.また,得られた構文木をリランキングすることで,精度を改善している.この構文木を,特定の変換規則によりSpatial Description Clause(SDC)と呼ばれる木構造による階層的空間意味記述に変換する.我々はKollarらにより提案されたSDCを拡張し,新たなタイプを追加している.グラウンディングを行う手法では,グラウンディンググラフと言う確率的グラフィカルモデルを生成し,グラフ全体の確率を計算することにより,それぞれの言語に対応したグラウンディングを出力している.構文解析が成功した文に対するグラウンディングの精度は全体で79.2%となった.
著者
田原 静
出版者
日本経営診断学会
雑誌
日本経営診断学会論集 (ISSN:18824544)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.48-54, 2017 (Released:2018-12-20)
参考文献数
8

電子書籍サービス等のデジタル・コンテンツ提供サービスでは,従来の有形グッズの所有とは異なり,利用者は所有対象に対する所有権を持たない。本研究では,これらのサービスが作り出す不安定な所有の状況に対する消費者の意識と反応,またサービスの一環として提供される,所有権を伴わない消費対象に対し所有意識を持つケースがあることを明らかとした。この結果は従来のデジタル・コンテンツおよびアクセス・ベース消費の研究を補完し,サービスの価値や利用者の満足度に関する経営診断に新たな知見を与える可能性を開く。