- 著者
-
白井 良夫
- 出版者
- 日本胆道学会
- 雑誌
- 胆道 (ISSN:09140077)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.5, pp.723-731, 2008-12-31 (Released:2009-03-27)
- 参考文献数
- 21
進行胆嚢癌の手術成績は概して不良であるが, pT2 (ss) 癌では根治手術により治癒が期待できる. 胆嚢癌進展の自然史 (natural history) からみると, pT2 (ss) 癌の主要な進展様式はリンパ節転移であり, その根治手術ではリンパ節郭清を重視すべきである. 一方, pT2 (ss) 胆嚢癌に対する標準術式は未だ定まっていない. 当科では, 1982年以来, pT2 (ss) 胆嚢癌の根治術式として胆摘+胆嚢床切除+肝外胆管切除+D2郭清からなる拡大根治的胆嚢摘出術 (Glenn手術変法) を基本とし. 膵頭周囲リンパ節転移が高度な症例では膵頭十二指腸切除を追加してきた. 本稿では, 主として自験例の成績に基づき, pT2 (ss) 胆嚢癌の根治手術について考察する. さらに, 胆石症などの良性疾患に対する胆摘後に発見されたpT2 (ss) 胆嚢癌に対する根治手術 (再切除) の適応, 術式についても考察したい.