著者
宮川 俊夫 白井 靖男 津田 元久 一色 真幸 西村 英之 遠藤 正治 長嶋 正春
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.205-213, 1993-06-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14

This paper is the first one of scientific reports on Tsui-shu (wooden, urushi lacquered and engraved) cameras. These were made and used in the last days of the Tokugawa shogunate. It was considered that three sets of this kind of cameras were in existence. But today, we can see only two. The authors show X-ray computed tomograms of the camera kept in Fukui Municipal Museum of History. Coating layer on the outer surface of the wooden camera body was estimated at 6 mm thickness in maximum. Hg and Fe were detected by means of fluorescent X-ray spectroscopic analysis, as metal element components contained in the layer. It was observed that the painted crust composed of a thin coated reddish pigment-urushi lacquer layer on a heavy coated and reliefed clay-urushi layer, by means of soft X-ray photography and low magnification micrography. Computed tomograms also showed that the optical system of this camera was composed of only two pieces of single lenses and had about 17 cm of focal length. The F-number was estimated at about 7. The first lens was almost a flat plate and the second was in plano-convex type. UV-visible spectrogram showed that the former was made of glass, not quartz. It was considered that the Tsui-shu Camera was made in Japan, not in China, because of following reasons: 1) an imitative “tsui-shu” and Japanese style wooden craft, 2) the optical system, and its cloisonne wared lens cap and the outer cylider were prepared in Owari area of this country.
著者
服部 尚子 朝比奈 昭彦 渡辺 孝宏 白井 明 鑑 慎司 渡辺 玲 岸 晶子 大原 國章
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.270-279, 2007-01-15 (Released:2008-01-15)
参考文献数
26

可変式ロングパルスダイレーザー(Vビーム®,595nm-long pulsed dye laser with adjustable pulse duration (ALPDL))は波長595nm,最大出力40 J/cm2のパルスダイレーザーであるが,パルス幅が可変(0.45ms~40ms)で,ダイナミック・クーリング・デバイス®とよばれるテトラフルオロエタンガス(-26.1℃)による皮膚冷却装置を付属していると言う特徴を有する.従来型の機種より波長の長いことから,より深くまでレーザー光が到達し,長いパルス幅,大きい出力により,より少ない副作用で,より大きな血管をターゲットとできる.ALPDLは5種類の円形のハンドピースと3x10mmの矩形のハンドピースを装着することができる.色素斑用ハンドピースは,患部の血管を障害することなく,老人性色素斑等の色素性病変を治療可能としている.ALPDLは,単純性血管腫,苺状血管腫,毛細血管拡張症,老人性色素斑,ウイルス性疣贅, 瘡,肥厚性瘢痕/ケロイド,乾癬,光老化等,様々な病変の治療に利用され,有効であるとの報告が示されている.ALPDLのこれらの疾患への治療可能性について報告する.
著者
白井 徹郎 笠尾 昌史 井上 清
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.284-290, 1997-05-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
16

心室性不整脈発生と自律神経機能, 特に交感神経活性との関連については以前から注目されているが, 自然発作時における交感神経活性の意義については未だ充分に明らかにされていない.そこで非持続性心室頻拍 (NSVT) およびtorsade de pointes (TDP) 出現前のRR時間および心拍変動を分析し, これら不整脈発生に及ぼす交感神経活1生の影響と予後との関連につき検討した.検討は1) NSVT84例においてNSVT1日出現回数, 最大連発数, 先行洞調律RR時間, 先先行洞調律QT時間, 連結時間等のNSVTに関連したあるいはNSVT出現に関連したHolter心電図所見と長期予後との関係, 2) NSVT21例のNSVT出現前における心拍変動スペクトラル解析からみた交感神経活性と予後との関連, 3) Holter心電図にて単形性NSVTとTDPを頻回に記録し得た二次性QT延長例での心拍変動とTDP発生との関連の3点につき行った.その結果NSVT84例中5例で心臓性急死 (SCD) を認め, これらの先行RR時間は特発性の予後良好例に比し有意に短く, 交感神経活1生優位の状態でNSVTが出現していたと推定された.NSVT出現前10分間でLow frequency power/High frequency power (LF/HF) 比が有意に上昇した交感神経関与群9例では, 非関与群12例に比しVTrateは有意に高く, SCDあるいは心室細動発生率が高い傾向にあった.いずれの検討においても予後不良例は陳1日性心筋梗塞あるいは拡張型心筋症の重症基礎心疾患を有していた.二次性QT延長例においてはVT出現前6心拍においてshort-long-shortサイクルを繰り返しつつその程度が強まるcascade現象を示し, 且つVT開始時のVTrateが高いとTDPになりやすい傾向を認めた.このVT開始時のVT rateの亢進は交感神経活性優位の状態を間接的に示していると考えられた.基礎に重症心疾患があり, NSVT発生に交感神経活性が関与している例でのVT rateは高く, 予後不良となる可能性が示唆された.二次性QT延長例ではcasoade現象を認め, VT開始時に交感神経活性優位の状態にあるとTDPが出現しやすいと考えられた.
著者
萩谷 功一 安宅 倭 河原 孝吉 後藤 裕作 鈴木 三義 白井 達夫 渥美 正
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.345-351, 2004 (Released:2006-07-26)
参考文献数
17
被引用文献数
8 8

ホルスタイン種における月1回の検定記録から乳期全体の記録を予測する方法について比較検討した.データは,1990年から2002年までに独立行政法人家畜改良センターの4つの牧場で飼養されたホルスタイン種における771個体からの232,337の初産次の乳量における検定日記録である.乳期あたりの乳量は,分直後から分後305日までの乳量(以下,305日乳量)の合計とした.分析では,検定日間隔(Test Interval ; 以下,TI)法,最良予測(Best Prediction ; 以下,BP)法および多形質予測(Multiple Trait Prediction ; 以下,MTP)法からの推定値と真の305日乳量を比較検討した.MTP法における泌乳曲線の説明には,WoodまたはWilminkのモデルを採用した.TI法およびBP法を比較した場合,泌乳初期から中期の検定日記録に対してBP法が優れており,泌乳末期の検定日記録に対してTI法が適していた. MTP法は,Wilminkのモデルを採用した場合に,Woodのモデルを採用した場合よりも乳期全体において推定精度が高かった.Wilminkのモデルを採用したMTP法の推定精度は,泌乳初期から中期にかけてBP法と同程度であり,泌乳末期で他との比較において真の値にもっとも近似した.このことより,Wilminkのモデルを採用したMTP法は,乳期全体を通じて優れた推定法であることが示唆された.
著者
白井 啓 川本 芳 森光 由樹
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.34, pp.15, 2018

<p>日時:2018年7月13日(金) 14:40-17:50<br>場所:8号館6階8603教室<br><br>日本で特定外来生物に指定されているタイワンザル,アカゲザルが野生化し,ニホンザルへの交雑等が問題になっている。<br>2004年に青森県下北半島のタイワンザルの全頭捕獲が達成されたのに続いて,2017年12月,和歌山県北部で野生化していたタイワンザルの群れの根絶達成が,5年間の残存個体有無のモニタリングを経て,和歌山県知事によって公表された。366頭目である最後の交雑個体が捕獲,除去された2012年4月30日に根絶が達成されていたことになる。自由集会では群れ根絶の報告とともに,経過をふりかえり学んだことを整理する。<br>一方,千葉アカゲザル問題は対策が進められているものの,さらなる課題がある。房総半島南部に野生化しているアカゲザル個体群では,2000頭を超える捕獲,除去が進んでいるものの,半島中央部の房総半島ニホンザル地域個体群に交雑が波及し,ニホンザルのメスが交雑個体を出産しているという緊急事態になっている。そこには国の天然記念物「高宕山サル生息地」もあり,ニホンザル,ひいては房総半島の生物多様性保全のための今後の課題を整理する。<br>以上,行政を含む和歌山タイワンザル関係者,千葉アカゲザル関係者から報告し,会員のみなさまと議論する予定である。<br><br>責任者:白井啓,川本芳,森光由樹(保全福祉委員会)<br>連絡先:shirai@wmo.co.jp</p>
著者
佐藤 建吉 白井 靖幸 赤坂 拓郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.74, no.746, pp.2429-2434, 2008-10-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
8

The working model of Brunel's atmospheric railway (BAR) was made and demonstrated at a museum event and a university festival event. The original system of BAR was run commercially in England for a year during 1847-1848. The driving system of BAR is very simple but there were many difficult problems in working service. In this paper, the authors made the working model of BAR to realize and show the Brunel's challenge : the driving mechanism, the design know-how, the dream and passion, etc. The all person played with and watched at the model enjoyed very much due to the running by a vacuum cleaner. The present paper describes the summary the detail of the model, such as materials, sizes and shapes, performance, problems, and further applications.
著者
池松 秀之 鍋島 篤子 山路 浩三郎 角田 恭治 李 文 林 純 後藤 修郎 岡 徹也 白井 洸 山家 滋 柏木 征三郎
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.905-911, 1998-09-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

高齢者における不活化インフルエンザワクチンの連続接種の際の, ワクチン接種回数とワクチン効果との関連について, 血清HI抗体価より検討した.60歳以上の長期入院患者146名 (男性28名, 女性118名, 平均年齢82.4歳) に不活化インフルエンザワクチンを接種した.69名は前年度インフルエンザワクチンの接種を受けており, 77名は前年度未接種者であった.2年連続ワクチン接種者中, 35名が今回1回のみ, 34名が今回2回, ワクチン接種を受けた.接種前, 1回接種後, 2回接種後, 流行後のInfluenza A/H1N1, A/H3N2, 及びBに対する血清HI抗体価を測定した.各インフルエンザウイルスに対するワクチン接種前のHI抗体価は, 2年連続接種者が前年度未接種者より有意に高かった.ワクチン接種後のHI抗体価は, 2年連続接種者で今回2回接種を受けた群が最も高かったが, 3群間に統計学的な有意差は検出されなかった.ワクチン接種後に, HI抗体価の4倍以上の上昇が見られる率は, 2年連続接種者で低かったが, これはワクチン接種前のHI抗体価が高いためと考えられた.ワクチン接種後のHI抗体価128倍以上の割合は, 2年連続接種者で今回2回接種を受けた群が他の群より高かったが, 3群間に統計学的な有意差は認められなかった.2年連続接種者では, 2回目接種により, HI抗体価が128倍未満から128倍以上に上昇した者は認められなかった.以上の成績より, 高齢者では, 不活化インフルエンザワクチンに対する抗体反応は, 前年度接種の有無に係らず良好で, 連続接種の際には, 接種回数1回でも2回接種と同等の予防効果が期待できると考えられた.
著者
若菜 真実 山﨑 裕子 岩佐 太一朗 部谷 祐紀 白井 智美 本間 和宏 福山 直人 田中 越郎 若菜 宣明
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.68-73, 2019

<p>近年,便秘や下痢などの腸のトラブルに対する腸内環境が注目されている。腸内環境を改善するために,日本ではプロバイオティクスとして様々な発酵食品およびプロバイオティクス飲料が日常的に販売されている。特に,「こうじ菌(<i>Aspergillus oryzae</i>)」は,日本で1千年以上前から,酒,味噌,醤油を発酵させるために使用されてきた。「こうじ菌」については食品の抗酸化活性や抗菌性の増強またうま味向上に関する多くの研究があるが,ヒトの腸の改善に関する研究は報告されていない。そこで,こうじ含有食品の摂取がヒトの排便状況と糞便中の細菌数に及ぼす影響について評価をした。被験者は30代から50代3人(男性2名,女性1名)の健康成人とした。被験者には甘酒(1日1本125mL)または生塩こうじ(1日7.5g)を14日間摂取させた。0日目,7日目,14日目,35日目に採便を行い,便中の総菌数,さらに有用菌の代表として<i>Bifidobacterium</i>, 日和見菌の代表として<i>Enterobacteriaceae</i>, 有害菌の代表として<i>Clostridium perfringens</i>のそれぞれの菌数を測定した。また,排便に関するアンケート調査も行った。被験者には排便頻度と主観を記録してもらった。全期間を通して糞便中の総菌数および3種類の菌の細菌数に変動は認められなかった。しかし,こうじ含有食品摂取によって排便回数の増加や便の形状が良くなることが明らかとなった。したがって,こうじ含有食品摂取を日常的に摂取していくことは,安定した腸内環境と便通を保つのに有用である可能性が示唆された。</p>
著者
白井 利明 伊藤 淳 伊藤 真紀
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.212-217, 2011-03-18 (Released:2011-04-19)
参考文献数
8

人工膝関節全置換術 (TKA) 後の歩行能力の獲得時期と手術時年齢,性別,BMI,罹患関節 (片側・両側),手術アプローチ,日本整形外科学会変形性膝関節症治療判定基準 (以下JOA score) を調査し,歩行能力の回復に影響する予測因子を検討した.当院でTKAを施行した67 例 (男性7 例,女性60 例),88 膝を対象とした.原因疾患は変形性膝関節症80 膝,特発性骨壊死症8 膝であった.術後歩行能力の獲得時期として平行棒歩行,T字杖歩行,手すりによる階段昇降が可能となるまでの期間を調査した.平行棒歩行が可能となった時期は平均5.7 日,T字杖歩行16.1 日,階段昇降23.0 日であった.術後の歩行能力に影響した予測因子は罹患関節(片側・両側),手術時年齢,術前JOA score,手術アプローチであった.
著者
小松 侯子 森田 雅之 山本 道子 桜井 磐 吉田 正樹 松本 文夫 高橋 京子 三浦 香苗 関根 優子 石田 政子 辻原 佳人 国分 勝弥 高橋 孝行 白井 裕二
出版者
日本環境感染学会
雑誌
環境感染 (ISSN:09183337)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.41-48, 1995

病院給食は, 食事療法を目的とした患者に細心の注意を払い, 安全かつ衛生的に食事を提供しなければならない. そこで医療機関における配膳車および食器類の衛生管理運営状況についてのアンケート調査を実施した. またこの調査を基に, 当院の給食用配膳車および食器類の細菌汚染調査を行った.<BR>1. アンケート調査結果から細菌調査を実施した医療機関は74%あり, その内訳は手指培養試験が21%, まな板無菌試験が21%, 厨房室内汚染菌調査が19%などであった.<BR>2.病院給食の配膳および食事介助者は病棟看護婦, 病棟婦で76%を占めていた. その時の手洗い励行率は67%, マスク着用率は15%であった.<BR>3. 当院の給食用配膳車の配膳前, 下膳後の細菌汚染調査では, 配膳前と比べて下膳後に<I>Staphylococcus aureus (S. aureus), Staphylococcus epidermidis (S. epidermidis)</I> および腸内細菌群が多く検出された.<BR>4.配膳車の天蓋, 棚, 手スリ, タイヤの細菌汚染調査で, タイヤから<I>S. aureus, S. epidermidis</I>および腸内細菌群が多く検出された. また, 配膳搬送専用エレベータ床, 配膳室床からも配膳車のタイヤと同様の菌が検出された.<BR>5.独食患者および介助必要患者の病院給食用食器, トレーからは, 下膳後に<I>S. aureus, S. epidermidis</I>, 腸内細菌群が検出された.<BR>以上, 今回の細菌汚染調査結果から, 定期的な配膳車のタイヤ汚染調査は院内の環境汚染状況を把握する一つの方法とも考えられた. また食器類は患者個人専用ではないため, 感染防止上, 使用後は十分に洗浄消毒する必要がある. さらに患者給食の配膳は病棟看護婦, 病棟婦の大部分が携わっていることから, 手洗いの励行を徹底することが改めて認識された.
著者
白井 良成 松田 昌史 藤田 早苗 小林 哲生 岸野 泰恵
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.1660-1679, 2020-11-15

位置情報ゲームをWWWをフィールドとして実現するゲームの概念,WBG(WWW-based games)を提案する.膨大なコンテンツが存在し,多くの人が日常的に利用するWWWをフィールドにしたゲームを構築することで,WWW上のデータを利用したヒューマンコンピュテーション,Webコンテンツを利用した能力開発,Webサイトへの集客効果など様々な効果が実現できる.一方,その構築においては,実世界とは異なるWWWの特徴を考慮する必要がある.本論文では,実世界を対象とした位置情報ゲームとの対比からWBGの概念を整理し,また,WWW上の文字列を擬人化してWebサイトを奪い合うゲーム,テキストモンスターを題材に,WBGによる新たなゲーム体験の実現性,構築によって得られた設計に関する知見,副次的効果の実現可能性について論じる.
著者
白井 丈晴 藤田 真浩 荒井 大輔 大岸 智彦 西垣 正勝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.1901-1911, 2017-12-15

LTE網に接続可能なスマートフォン等の端末の急速な普及により,通信の前に端末に無線リソースを割り当てるためにLTE網内で発生する制御信号も増加している.制御信号が設備の容量を超えた場合には,LTE網全体の通信品質の低下を招く恐れがある.制御信号の輻輳への対策として,通信端末が発するすべての通信に対し,プロトコルエラーとならない程度の短時間のランダムな遅延を付与し,端末が制御信号を発生させるタイミングを分散する端末制御方式がすでに提案されている.端末制御方式では,付与する遅延を最大8秒としており,この遅延により制御信号スパイクが抑制できることをシミュレーションにより示している.しかし,端末制御方式によって付与される通信遅延による利用者の体感品質(QoE)の低下が懸念される.そこで本論文では,ユーザの心理的側面からアプローチすることによって,他の対策(設備投資の増加や補償金の支払い等の方法)よりも低コストで,通信遅延によるユーザのQoEの劣化を緩和する方式の提案・評価を行う.提案方式は,「ユーザが注目してしまうようなコンテンツ」をコンシェルジュのようなキャラクタが表示することによってユーザの注意をそらし,ユーザに通信遅延の発生を気付かせない方式となっている.提案方式の有効性を示すために,クラウドソーシングを利用した500名規模のユーザ評価実験を行った.
著者
上原 皓 河本 浩明 今井 壽正 白井 誠 曾根 政富 野田 幸子 佐藤 栄人 服部 信孝 山海 嘉之
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.206-214, 2019-12-10 (Released:2020-02-29)
参考文献数
34

Gait festination (GF) is one of the representative locomotion disturbances associated with Parkinsonism, which induces pulsion caused by increased stepping velocity. Fear of falling over and involuntary symptoms caused by GF can have a significant impact on quality of life. Considering previous interventional strategies for GF and their utility in daily life, physical intervention using a wearable system to assist postural disorder and the hastening phenomenon is necessary for patients with GF. The purpose of this study was to develop a wearable system that can assist the patient in extending the trunk and generating internal rhythm. Another objective was to confirm the effectiveness of the system for preventing GF by conducting a gait experiment in a Parkinsonism patient. To design an assistive method, we simulated lateral swing in the standing position based on features of Parkinsonism, and defined the mechanism and power configurations for the system. A power unit at the back of the waist transmits a cyclic force to the chest by a link in the frontal plane. A gait experiment was performed in a Parkinsonism patient with GF to confirm that reduction of the gait cycle is prevented by using the system. The result showed that the linear trendline slope of reduction of the gait cycle decreased. In addition, the maximum stooping angle decreased by half, and the cyclic assistance of the system and gait cycle were harmonized. These results suggest that the system developed is effective in preventing GF by supporting posture and generating internal rhythm.
著者
白井 和雄
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.723-728, 1958-03-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
6
被引用文献数
1

In the previous papers on the radioelements in skipjacks, 1)2) the identification of Cd113m as a main contaminant and the presence of Zn65, Fe55 and a trace of Ba140-La140 were reported. The present paper deals with a contaminated big-eyed tuna, Parathunnus mebachi, caught at a station (12°17'N, 167°04'E) in the Pacific Ocean on Oct. 20, 1956. Data on the specimen are given in Table 1 and the radioactivity of tissues and organs is shown in Fig. 1. The ashes of liver, pyrolic caeca, kidney, red muscle and ordinary muscle were fractionated by the group separation method using carriers and the considerable amount of radioactivity was found in Group II (Table 2). Radioactive elements contained in Group II were proved to be mostly composed of Cd113m and Cd115m by the further fractionation (Fig. 2). The existence of these nuclides was confirmed by the half lives of Cd fractions (57-71 days when estimated directly and 43-44 days when traversed with 263.9mg/cm2 Al absorber), energy of β-ray (1.6 Mev) calculated from absorption curves (Fig. 3) and energy of γ-ray (1.1 Mev). Group IIIB and IV obtained from the liver, pyrolic caeca and kidney were supposed to be chiefly consisting of Zn65 and Sr90-Y90 respectively, judging from the decay and energy of β-ray, measured on the unrefined fractions (Fig. 6, 7). Member of Group IIIA were not thoroughly examined in spite of higher activity due to the disturbance of phosphate. Further confirmation of these nuclides will be dealed in the following papers.
著者
白井 克弘 大町 達夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.53A, pp.306-312, 2007 (Released:2007-08-01)

The objective of this paper is how to control waveforms by means of all pass functions. Causal time functions such as earthquake records are factorized into minimum phase shift (MPS) and all pass (AP) functions, which is called factorization. This concept is applied to impulse response of SDOF to investigate effects of AP phases when they are parametrically changed. With linear AP phase shifts, waveforms of the response are unchanged but the time delays appear. With nonlinear AP phase shifts, waveforms of the response show irregular attenuation, and their maximum amplitudes are smaller than the original ones.
著者
白井 雅人
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
山形県立米沢女子短期大学紀要 (ISSN:02880725)
巻号頁・発行日
no.37, pp.71-84, 2002-12

要旨 : アンディ・ウォーホルとのコラボレーションの中で、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、音楽の演奏とマルチスクリーンによる映画の投影、同時に行われるパフォーマンスなど、あらゆる身体感覚を刺激する総合的体験としてのマルチメディア・ショーを行った。またその音楽は、おもにそのメンバーの中でクラシック畑出身であり、とりわけアヴァンギャルドな部分を担っていたといわれるジョン・ケイルの影響により、「ドローン」と「音の壁」という二重の形式を担うものであった。そのショーでは、音楽と映像は強調された反復と持続の感覚を身体に与えるものであり、ミニマリズムの対極にある、一種のカオスを観客に提供していたと考えられる。マルチメディア・ショーの原点といえるその活動の持つ意味を、その身体性を中心に、歴史、メディア、音楽などの側面から検証する。 キーワード : マルチメディア・ショー、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、アンディ・ウォーホル、ジョン・ケイル