著者
佐竹 賢治 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.419-426, 2001-05-01
被引用文献数
2

本論文では磁気記録通信路に適用可能な誤り訂正符号を対象として、新しい復号法を提案する。この復号法はインタリーブされた符号内の2個以上の受信語において訂正能力を適えない誤り系列が生起している場合、訂正不能の誤りが生起した残りの受信語を訂正することを特徴としている。具体例としてインタリーブ数4,6及び8の符号を対象にして提案手法を解析し、考察を加える。その結果、本提案復号手法により、従来、CRCによって使用不可能な領域と判定していたセクタ領域の70〜80%が再利用可能となることを示す。
著者
長尾 敦 和田山 正 若杉 耕一郎 笠原 正雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論
巻号頁・発行日
vol.95, no.79, pp.49-54, 1995-05-26
参考文献数
6
被引用文献数
8

本稿では,近年,磁気記録符号の分野で重要性が高まりつつあるEPR4(Extended Partial Responce 4)チャネルに対して有効な符号化法を提案する.従来より,記録密度が低い場合の磁気記録系モデルである1-Dチャネルに対して,さまざまな記録符号が提案されているが,より高密度な記録系のモデルであるEPR4チャネルに対する検討は少ない.そこで,本稿では,基本的にはHoleとYtrehusらが提案している1-Dチャネルに対する符号を基礎として,EPR4チャネルに適した符号を探索した.またHoleとYtrehusらはプリコーダを用いる場合のみを考察しているが,ここでは新たにプリコーダのない場合も検討した.その結果として,特に符号化率の低い範囲で優れた符号が見出された.
著者
小笠原 正彦 宮崎 佳典
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.71, pp.711-712, 2009-03-10

現在のwebの特徴としてブログなどユーザーの手による参加が挙げられる.現在のブログは様々な機能を持っているが,数式に関してはプレーンテキストによる一次元記述か,画像化して添付ファイルとして載せる方法など直接二次元表記を行うことができない.本稿では, Javaアプレットを用いて二次元記述可能な数式作成支援ツールを開発し,ブログシステム上への実装を行った.また,ブログシステムヘの数式の反映については,数学用マークアップ言語であるMathMLを利用し,作成された数式に関する情報を維持可能とした.
著者
倉谷 和彦 増山 博之 笠原 正治 高橋 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.203, pp.87-92, 2008-09-04

近年,インターネットを利用した実時間通信サービスとして,Peer-to-Peer (P2P)技術に基づいたユーザ管理機構をもつSkypeが注目を集めている.Skypeではユーザノードから選ばれたスーパーノードによってユーザ情報の管理,呼設定,Network Address Translation (NAT)越えの中継がなされており,スーパーノードはユーザノード数に応じてその数を動的に増減させることで負荷の分散を図っている.本稿ではこの機構に着目し,スーパーノード利用型P2P実時間通信網の負荷分散性能を解析的に検証する.具体的には,一般ユーザの参加を非斉時ポアソン過程で表現したM(t)/M/∞待ち行列モデルでユーザノード数の状態確率を計算する.数値例より,ピアノード数が大規模に変動する環境下においても,スーパーノードに対する負荷を高めることなく実時間サービスを提供できることが明らかにされた.
著者
畠山 悠馬 髙橋 武彦 小笠原 正剛
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.33-40, 2023-03-20 (Released:2023-03-31)
参考文献数
13

スギ粗粉末をリング媒体利用粉砕機で粉砕した粉末は高い酵素糖化性を示すことが知られている。この高い酵素糖化性をもたらす構造的要因は明らかにされているが,粉砕力などの物理的因子と構造変化との関係は十分に明らかとなっていない。本研究ではリング媒体粉砕における物理的因子として,接触応力とせん断角速度を定義した。そして,接触応力とせん断角速度が構造変化に与える影響を調査した。スギ粗粉末の粉砕は接触応力が27 MPaから42MPaの範囲でせん断角速度が147 rad/sから168 rad/sの範囲で実施した。粉砕粉末のメディアン径,セルロース結晶化度(CrI)およびドメインサイズを評価することで接触応力およびせん断角速度との関係を調査した。粉砕粉末のメディアン径は接触応力とせん断角速度に関係なく,凝集によって増加した。接触応力はCrIと正の相関を示し,ドメインサイズとは負の相関を示した。一方で,せん断角速度はCrIとドメインサイズと相関がないことが分かった。
著者
小笠原 正弘 平尾 孝 藤田 静雄
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.634-638, 2017-09-15 (Released:2017-09-20)
参考文献数
22

Light emitting diodes (LEDs) possess advantages to be applied as one of the key medical devices in the field of phototherapy. In this paper, effects of blue light on inducing sleep have been examined based on the experiments for 100 test subjects. Narrow-band (<11 nm in full width of half maximum in the emission spectrum) irradiation was found to be more effective for inducing sleep. It should be noted that the intensity of light employed in this study was far less that that suppressing the secretion of melatonin and obstructing the circadian rhythm, which has recently extended widely. Since a variety of light sources in terms of wavelengths, bandwidths, and intensity are required in the medical applications or light therapy, LEDs are the ideal device and the efforts of developing new LEDs with the materials research of semiconductors are strongly demanded.
著者
金子 猛 磯部 潔 笠原 正男
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.46-50, 2003 (Released:2011-06-08)
参考文献数
9
被引用文献数
5 4

術前腹部CTで石灰化を伴う小腸腫瘤性病変を認め, 開腹手術で小腸間膜に異所性膵組織を認めた1例を報告する. 症例は54歳の男性. 1996年9月25日より腹痛出現し, 入院精査で小腸に石灰化を伴う腫瘤性病変をCTで認めた. 保存的治療で腹痛軽快するが, 2週間後のCTでも縮小した腫瘤性病変を小腸に認めた. 小腸造影では異常所見を認めなかった. 1996年11月7日, 再び腹痛が出現し救急外来受診. CTでは前回と同様に小腸壁の肥厚と石灰化病変を認めた. 開腹手術を施行し, トライツ靱帯より50cm肛門側に, 小腸に接する小腸間膜内に4cm大の腫瘤性病変を認めた. 小腸とともに切除した. H.E.染色および特殊染色において腺房組織, 導管とランゲルハンス島を検索され, Heinrich I型の異所性膵組織と診断された. 好酸球浸潤を認め, 異所性膵組織が膵炎を引き起こしたものと考えられた.
著者
荒木 速雄 加野 草平 西間 三馨 小笠原 正志 松崎 守利 田中 宏明 田中 守 進藤 宗洋
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3-1, pp.205-214, 1991-03-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

気管支喘息児12名に自転車エルゴメーターを用いて4週間のトレーニングを行い, WBPLA_1 (work load at first braking point of lactic acid) より設定した5段階負荷強度にて physical working capacity の向上, EIB の改善をトレーニング前後で比較した. また, 高張食塩水吸入による気道反応の変化についても検討し, 以下の結果を得た. 1)心拍数はトレーニング前の WBPLA_1 175%強度に相当する仕事率で, トレーニング前値の188.5±9.6bpmよりトレーニング後178.4±9.7bpmへと, また WBPLA_1 150%強度では174.0±11.9bpmより165.6±11.3bpmへと, それぞれトレーニング後に有意に低下した. また最大酸素摂取量(Vo_2max/wt)は34.5ml/min/kgより41.lml/min/kgに有意に上昇した. 2) FEV_<1.0>の運動負荷後のMax.%fall は WBPLA_1 175%強度にて, トレーニング前37.4±17.4%よりトレーニング後30.3±17.4%へと, また WBPLA_1 150%強度では27.1±24%より18.0±17.1%へとそれぞれトレーニング後に有意に低下した. 3) 3.6%高張食塩水吸入試験ではトレーニング群においてPD_<20>は4.2±5.9mlから8.1±8.0mlへと有意に増加した. なお, コントロール群では3.7±5.8mlより4.3±6.3mlへと有意な変化は認められなかった.
著者
脇本 仁奈 吉成 伸夫 小笠原 正 薦田 智 河瀬 瑞穂 河瀬 聡一朗 大木 絵美 伊能 利之 金銅 英二 岡田 芳幸
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.84-90, 2021

<p>歯肉肥大を誘発する薬物の服用や遺伝的素因はないが,水平性歯肉肥大を認める重症心身障害児・者を散見する.重症心身障害児・者病棟入院中の患者で,歯肉肥大を誘発する薬物の服用や遺伝的素因がなく,3.5mm以上の水平性歯肉肥大がある者の比率,臨床的特徴を検討した.</p><p>対象者は,重症心身障害児・者病棟入院中の患者73名であった.入院記録から年齢,性別,疾患,ADL,常用薬,栄養摂食状況を調査用紙に転記した.口腔内診査は,プロービング検査,咬合状態,Plaque Index,3.5mm以上の水平性歯肉肥大の有無を評価した.水平性歯肉肥大は,歯肉肥大を誘発する薬物の服用はなく,WHOプローブにて水平的に3.5mm以上の肥大を1カ所でも認めたものとした.水平性歯肉肥大を認めた者は,入院記録からフェニトインなどの服用経験を調査し,保護者へ家族で遺伝性歯肉線維腫症を認めた者の有無を聴取するとともに水平性歯肉肥大の臨床的特徴を検討した.</p><p>特発性水平性歯肉肥大の発現率は,重症心身障害児・者で73名中4名(5.5%),胃瘻のみでは18名中4名(22.2%)であった.特発性水平性歯肉肥大を認めた者は,そうでない者と比較して平均年齢が低く,経管栄養と開咬の者の割合が有意に多かった.特発性水平性歯肉肥大の特徴は,上顎前歯部と上下顎臼歯部の口蓋側・舌側への水平性の肥大で,薬物性歯肉肥大症や遺伝性歯肉線維腫症とは歯肉肥大の形態特徴が明らかに異なっていた.4例とも経口摂取の既往を認めなかった.</p>
著者
笠原 正治 笹部 昌弘 川原 純 張 元玉
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

仮想通貨の基盤技術であるブロック・チェーンには,分散性・安全性・拡張性の三要素を同時に満たすことができないトリレンマ関係が存在し,そのため不特定多数の参加ノードからなる分散システム上で,高度なセキュリティを保証しかつ高速なトランザクション承認を提供するブロック・チェーンの実現が不可能と言われている.本研究課題では,ブロック・チェーンのトリレンマを克服するための方法論を情報学横断的に探求する.本研究で得られる成果はブロック・チェーン・ トリレンマの解決という意義に加え,IoTやフィンテック,ヘルスケア,行政・物流とい った幅広い分野での応用が期待される.
著者
秋枝 俊江 吉田 明弘 小笠原 正 朝比奈 滉直 宮原 康太 松村 康平 荘司 舞 島田 茂 島田 裟彩 谷口 誠
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.287-298, 2020

<p>経管栄養と経口摂取の要介護高齢者における口蓋・舌・咽頭の細菌叢を明らかにするために次世代シークエンス解析(NGS)を行い,さらに細菌叢に影響を与えている要因を検索する目的で主成分分析と相関比を用いた.経管栄養者20名と経口摂取者19名の要介護高齢者を調査対象とした.入院記録より栄養摂食状況,年齢,性別,疾患,寝たきり度を確認し,Japan Coma Scale,意識レベル,意思疎通の有無,残存歯とう蝕の有無,CPI測定を行った.検体採取は,口蓋,舌,咽頭をスワブ法にて実施し,DNA抽出,PCR法,次世代シークエンス・メタゲノム解析を行い,塩基配列を解読し,細菌の種類と構成率を評価した.</p><p>Shannon指数は,経管群で口蓋と咽頭において経口群よりも有意に低く,舌では,平均値で経管群が低かったが,有意差を認めなかった.経管群における口蓋,舌,咽頭は,好気性菌が有意に多く,通性嫌気性菌は,経管群で有意に多く認めた.経管群における口蓋,舌,咽頭の細菌叢は<i>Neisseria</i>属,<i>Streptococcus</i>属,<i>Rothia</i>属の割合が多かった.主成分分析による口蓋の第1主成分の寄与率は21.3%,舌で32.7%,咽頭で30.1%であった.「経管/経口」「意思疎通」「年齢」「全身疾患の種類」などを含めた18項目と細菌叢との関連を示す相関比は,「経管/経口」の相関比が最も高いことが認められ,口蓋・舌・咽頭の細菌叢に最も影響を与える要因は,「経管/経口」であった.</p>
著者
朝比奈 滉直 小笠原 正 秋枝 俊江 宮原 康太 松村 康平 荘司 舞 島田 茂 島田 裟彩 柿木 保明
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.375-381, 2020

<p>要介護高齢者は発熱がみられることがあり,さらに誤嚥量の増加,脱水,免疫機能の低下により肺炎となることが危惧される.要介護高齢者において発熱を予防していくことは重要である.今回,経管栄養者の患者背景および口腔内所見と発熱との関係を検討した.</p><p>対象者は要介護高齢者のうち経管栄養がなされ,一切経口摂取がされていない患者16名であった.入院・入所記録より年齢,基礎疾患,寝たきり度,調査時より過去6カ月以内の発熱の有無を記録し,意識レベル(Japan Coma Scale),意思疎通の可否を確認した.発熱は,37.5℃以上とした.口蓋粘膜より採取された膜状物質は,顕微鏡にて重層扁平上皮由来の角質変性物が認められた.発熱との単相関は,Fisherの直接確率計算,<i>χ</i><sup>2</sup>検定,あるいはStudentのt検定にて解析した.</p><p>年齢,性別,寝たきり度,意識レベル,意思疎通,基礎疾患,および残存歯,う蝕歯,CPIと発熱との関連は,統計学的に有意な差は得られなかった.剝離上皮膜の有無と発熱は有意差を認め,剝離上皮膜を有する者は発熱が有意に多かった.剝離上皮膜がみられる口腔や気道は乾燥傾向にある.口腔と気道の乾燥は,局所の免疫能低下と特異的な細菌をもち,発熱を起こすことが疑われた.発熱を予防するためには,口腔粘膜の擦拭と保湿の粘膜ケアが重要であることが示唆された.</p>