著者
菅野 純夫 羽田 明 三木 哲郎 徳永 勝士 新川 詔夫 前田 忠計 成富 研二 三輪 史朗 福嶋 義光 林 健志 濱口 秀夫 五條堀 孝 笹月 健彦 矢崎 義雄
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

日本学術振興会未来開拓研究事業(平成16年度終了)、文部科学省特定領域研究「応用ゲノム」(平成16度-平成21年度)と合同で、国際シンポジウム「ゲノム科学による疾患の解明-ゲノム科学の明日の医学へのインパクト」及び市民講座「ゲノム科学と社会」を平成18年1月17日-1月21日に行なった。国際シンポジウムの発表者は未来開拓5人、本特定領域6人、応用ゲノム3人、海外招待講演者9人であった。市民講座は、科学者側6名に対し、国際基督教大学の村上陽一郎氏に一般講演をお願いし、最後にパネルディスカッションを行なった。参加者は延べ550人であった。また、文部科学省特定領域「ゲノム」4領域(統合、医科学、生物学、情報科学、平成16年度終了)合同の一般向け研究成果公開シンポジウム「ゲノムは何をどのように決めているのか?-生命システムの理解へ向けて-」を平成18年1月28,29日に行なった。本シンポジウムの構成は、セッション1:ゲノムから細胞システム(司会:高木利久)講演4題、セッション2:ゲノムから高次機能(司会:菅野純夫)講演6題、セッション3:ゲノムから人間、ヒトへの道(司会:小笠原直毅)講演7題を行い、さらに、小原雄治統合ゲノム代表の司会の下、門脇孝、小笠原直毅、漆原秀子、藤山秋佐夫、高木利久、加藤和人の各班員、各代表をパネリストとしてパネルディスカッションを行なった。参加者は延べ700人であった。また、本領域の最終的な報告書を作製した。
著者
小原 雄治 菅野 純夫 小笠原 直毅 高木 利久 五條堀 孝 吉川 寛 笹月 健彦
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

4領域全体の調整・推進、わが国のゲノム研究の機動的・有機的な研究推進のシステム作り、ピーク研究を支えるための基盤研究事業の支援、すそ野を広げるための研究支援事業、社会との接点などの活動をおこなった。主なものとして以下をあげる。研究支援委員会:シーケンシングセンター委員会では、4領域のゲノム/cDNAシーケンシングについて全面的に請け負った。原始紅藻、ホヤ、ゼニゴケY染色体、メダカゲノムについてホールゲノムショットガン法をベースにプラスミド、フォスミド、BAC配列を加えて決定した。また、日本産由来のマウス亜種MSM系統についてB6標準系統との比較のためにホールゲノムショットガンを1Xまで進め、1%程度のSNPsを見出した。cDNAについては、ミジンコ、線虫C.elegans、近縁線虫、ホヤ3種(カタユウレイボヤ、ユウレイボヤ、マボヤ、ヌタウナギ、メダカ、シクリッド、ドジョウ、アフリカツメガエル原始紅藻、細胞性粘菌、ヒメツリガネゴケ、ゼニゴケ、コムギ、オオムギ、アサガオをおこなった。リソース委員会では、本特定領域研究で作成された遺伝子クローンの維持・配布支援をおこなった。対外委員会:広報委員会では、ホームページ、メールニュース、シンポジウムなどの活動をおこない、対社会、対研究コミュニティへの情報公開・発信をおこなった。社会との接点委員会では、ゲノム科学と社会との双方向のやりとりの場として「ゲノムひろば」を3年にわたり計8回(東京、京都、福岡)開催し、高校生、一般市民との交流の実をあげた。また、医科学倫理問題の検討を進めた。
著者
種村 健太郎 五十嵐 勝秀 松上 稔子 相崎 健一 北嶋 聡 菅野 純
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第37回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.146, 2010 (Released:2010-08-18)

個体の胎生期~幼若期は脳の発生期~発達期に相当し,その基本構造と共に,神経伝達物質とその受容体を介した神経シグナルによ り神経回路が形成される時期である。従って,この時期の神経作動性化学物質の暴露による神経シグナルかく乱は,異常な神経回路形 成を誘発し,それが成熟後の異常行動として顕在化する蓋然性がある。しかしながら,従来の成熟動物を主対象とした神経行動毒性試 験では,その様な遅発性の異常を検出し難い。そこで,我々は暴露タイミング,情動・認知行動解析,及び神経科学的物証の収集の最 適化により,遅発性中枢神経毒性の発現メカニズム解析と効率的な検出システムの構築を進めている。今回,アミノ酸系神経伝達物質 受容体シグナルをかく乱するイボテン酸(テングダケ毒成分)の結果を報告する。 胎生期(胎生14.5日齢),幼若期(生後2週齢),及び成熟期(生後11週齢)のマウスに対して,イボテン酸(1mg/kg)を単回強制経口投 与(胎生期は母獣投与による経胎盤暴露)した。いずれの群にも,一般状態の異常を認めなかったが,生後12~13週齢時の行動解析に おいて,幼若期投与群に,オープンフィールド試験と明暗往来試験における不安関連行動の逸脱,条件付け学習記憶試験における音 連想記憶能の低下,プレパルス驚愕反応抑制試験における顕著な抑制不全が認められた。投与後2,4,8及び24時間における,海馬 のPercellome法による網羅的遺伝子発現解析の結果,幼若期投与群では,神経系発達において重要な役割を演じるGnRHシグナルや CRHシグナル及びEph受容体シグナルへの影響が,成熟期投与群と比べて極めて大きいことが明らかとなった。これらは幼若期の海馬 の感受性がイボテン酸に対して高いことを示し,また,そのプロファイルは成熟後の遅発性の中枢神経行動毒性発現の分子メカニズム 解明の端緒となる情報をもたらすと考えられた。
著者
菅野 純
出版者
一般社団法人日本リスク研究学会
雑誌
日本リスク研究学会誌 (ISSN:09155465)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.169-174, 2011 (Released:2012-03-27)
参考文献数
6
被引用文献数
1

After the crisis of Fukushima Daiichi nuclear reactors, the media started to broadcast comments of radiation doctors and researchers saying “there is no harm up to 100mSv”, “it would be worse for your health if you do not take proper amount of exercises or green vegetables by avoiding radiation”, “smoking is much worse than the current levels of radiation”, some of them were totally against the decades-long efforts of the toxicologist who have been campaigning the harmful effects of smoking, poor exercise, low vegetable intake, etc. These comments can be given as a “Mund Therapie” given by a doctor to a patient in a hospital, only to the people who were, unfortunately, exposed to radiation. The source of confusion of the public was such a sudden change in radiation risk information which is very different from ICRP-based radiation protection guidance. Here, differences and similarities of radiation and chemical in biology, risk assessment, risk management and risk communication are briefly discussed as a starter for a closer interaction between radiation and chemical biologists/scientists/regulators.
著者
小川 幸男 関田 清司 梅村 隆志 斎藤 実 小野 敦 川崎 靖 内田 雄幸 松島 裕子 井上 達 菅野 純
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 = Journal of the Food Hygienics Society of Japan (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.8-18, 2004-02-25
被引用文献数
11

雌雄のWistarラットに,0.00, 0.01, 0.10および1.00%の割合でギムネマ・シルベスタ葉の抽出粉末(GS)を基礎飼料に添加した餌を52週間与えた.試験期間中,GS投与に関連する動物の死亡はなく,体重,摂餌量,血液学,血液生化学および病理組織学的検査における変化は認められなかった.52週間のGS 1.00% 添加飼料(一日平均摂取量,雄504 mg/kg/day, 雌563 mg/kg/day)の摂取量は,ラットにおいて毒性変化の認められない用量(NOAEL)であると推論した.
著者
小川 幸男 関田 清司 梅村 隆志 斎藤 実 小野 敦 川崎 靖 内田 雄幸 松島 裕子 井上 達 菅野 純
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.8-18, 2004-02-25 (Released:2009-01-21)
参考文献数
29
被引用文献数
4 11

雌雄のWistarラットに,0.00, 0.01, 0.10および1.00%の割合でギムネマ・シルベスタ葉の抽出粉末(GS)を基礎飼料に添加した餌を52週間与えた.試験期間中,GS投与に関連する動物の死亡はなく,体重,摂餌量,血液学,血液生化学および病理組織学的検査における変化は認められなかった.52週間のGS 1.00% 添加飼料(一日平均摂取量,雄504 mg/kg/day, 雌563 mg/kg/day)の摂取量は,ラットにおいて毒性変化の認められない用量(NOAEL)であると推論した.
著者
渡邊 学 チェン アイリス 森 美香子 上野 絵美 中村 好孝 薮本 恵美子 阿部 佳澄 椿 真理 今村 清美 関森 悦子 西澤 理絵 若栗 浩幸 中川 貴之 望月 学 西村 亮平 佐々木 伸雄 鈴木 穣 菅野 純夫
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-6, 2012-04-10 (Released:2013-01-25)
参考文献数
15

イヌ舌組織における遺伝子発現、味覚受容体の構造の検討を行うため、遺伝子発現頻度解析および味覚受容体の構造解析を行った。正常イヌ舌組織よりRNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いてシークエンスを行った。シークエンスタグをイヌゲノムへのマッピングを行い各遺伝子の発現頻度を解析した。味覚受容体にマップされたシークエンスタグをもとに味覚受容体TAS2R40遺伝子およびアミノ酸配列を解析した。RNA-seq解析の結果、984,903シークエンスタグを得た。これらを用いてイヌゲノム上へのマッピングを行った。同定された遺伝子の中で、S100 calcium binding protein A8がもっとも高い発現を示した。また、骨格筋系遺伝子、心筋系遺伝子や解毒系遺伝子群の発現が認められた。味覚受容体をコードする遺伝子構造解析を行ったところ、TAS2R40、TRPV1、PKD1は既存の遺伝子構造よりも5' 端側にマップされるタグが認められ、これまでの遺伝子配列情報よりも完全長に近い遺伝子構造が推測された。また、TAS2R40遺伝子がコードするアミノ酸配列の相同性はヒトと76%マウスと62%であった。
著者
菅野 純夫 中井 謙太 橋本 真一 山田 智之 土井 晃一郎
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

われわれが開発したオリゴキャッピング法による完全長cDNAライブラリーを基盤に、特定領域研究「生命システム情報」及び特定領域研究「比較ゲノム」と連携し、多種類の生物の完全長cDNAリソースの整備とトランスクリプトーム解析を行った。同時に、次世代シークエンサーとオリゴキャップ法を組み合わせて、ゲノムワイドに転写開始点を同定し、その発現量を半定量的に測定する方法を確立した。
著者
根ケ山 光一 河原 紀子 大藪 泰 山口 創 岡本 依子 菅野 純 川野 健治
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、人間の対人関係において基本的に重要な役割を果たしている身体接触に関して、その正負両面にまたがる意味を、ライフサイクルのさまざまな時期にわたって注目し、生涯発達的に検討したものである。まず、胎児期においては接触が胎動という形で採り上げられ、母親が胎内の子どもの身体と接触的にコミュニケーションする様が、「オノマトペ」を通じて明らかにされた。乳幼児の研究としては、抱き(および抱きにくさ)・身体接触遊び・ベビーマッサージといった異なるアプローチを通じて、身体接触が母子間での重要なコミュニケーションチャンネルであることが示され、またそこに子どもも主体的にかかわっていることが明らかにされた。また、母子関係を離れても、子ども同士や保育士との身体接触には、子どもの対人関係構築上の大きな機能が示唆された。さらに、寝かしつけという睡眠・分離導入場面においては身体接触の様態に大きな文化差がみられ、接触・分離が文化規定性の強い側面であることも示された。青年期になると、親子の反発性、友人関係における性や攻撃性に伴う反発性など、身体接触の負の側面が強く前面に出てくることがある。親子関係でいえば、インセストなど身体的反発性が接触への嫌悪として強くみられることが明らかにされた。また、老化とともに、身体が相手に触れることの意味がさらに変化する。介護と身体接触につながるようなテーマが介護ロボットを用いて明らかにされた。以上のような研究の成果をもちよって報告会を行い、関係構築の確固たる土台としての身体と、それを触れあわせることの発達に伴う意味の推移とが議論された。そして、それをふまえて最後に報告書を作成した。