著者
吉井 二郎 藤本 浩平 山口 達也
出版者
高知県立森林技術センター
雑誌
高知県立森林技術センター研究報告 (ISSN:13486004)
巻号頁・発行日
no.30, pp.45-54, 2005-03

高知県東部のスギ・ヒノキ高齢林の立地環境、林分構造、林床植生の調査を行った。立地環境は、土壌型でスギ・ヒノキともBD型ないしBD(d)型がBB型やrBA型に比べて成長が良い傾向がみられた。林分構造は、スギ・ヒノキとも胸高直径・樹高階分布にバラツキがみられ、特にスギの胸高直径のバラツキが非常に大きかった。また、スギでは後生枝、ヒノキでは枯れ枝が付いているものが多くみられた。林床植生は、高齢林と壮齢林では「種の豊富さ」に差はみられないが、「種多様度指数」「均等度指数」で違いがみられ、高齢林は壮齢林に比べて豊かな植生を構成していた。
著者
高橋 幸雄 三好 直人 山田 孝子 藤本 衡
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

混雑システムを構成するインテリジェントな客の例として,本研究では最終的にa)交差点の歩行者,b)電車内の客,c)インターネットの利用者をとりあげ,それぞれについて,全くといってよいほど異なったアプローチからのモデル化およびシミュレーションプログラムの作成を行った.現在,それぞれ論文にとりまとめる作業を行っている.a)交差点の歩行者については,自分の速度によって決まる情報空間(視野)の中に入る対向者の速度と向きから,その対向者との衝突可能性を予測し,衝突を避けられる範囲で最も効用の高い速度と向きで歩く,という基本コンセプトでモデル化した.シミュレーションにより歩行者密度と平均歩行速度の関係を求めたところ,実際の歩行流に対して観測した従来の研究結果とよく合致することが確認された.b)電車内の客については,他人との近さおよび他人の視線を主に,他人から受ける影響をポテンシャル関数の形でとらえ,これに降りるときと乗るときのインセンティブを加え,各客が自分のポテンシャルを最小にするように振る舞うものとして,モデル化をし,シミュレーションプログラムを作成した.ここではa)のような行動予測は全く入っていない.このモデルにしたがって客の乗降に必要な時間を計測したところ,電車の混雑率と乗降客数によって.その時間が興味深い動きをすることが確認された.c)インターネット利用者については,http通信データをもとに,個人行動を考慮に入れたモデルを構築した.結果から見ると,ここでは個人の動向よりも,クライアントやサーバ側の事情というのが,ネットワークの混雑状況により大きく関係していることが観察された.
著者
高井 正三 藤本 幸夫
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目標は,刻手及び印影画像と古文書の写真画像を現行データベースに組み込めるよう,DBシステムを再編成し,画像データを追加して,Ajaxによる画像データベース検索ツールを研究開発することである.この目標を達成するため,(1)入力した写真画像は4,561枚,フィルム画像は11,135枚で,この古文書・絵画等からの刻手・印影画像の切り出しとAjax用の画像の細分化を実施する予定であったが,刻手の版心部の画像は通常山折りになっている部分の記号であり,半分の画像しか得られていないこと,この画像と刻手の同定が不可能に近いこと.また,所蔵者の印影は原文画像との重なりが多く,入力した原文画像からの切り出しが困難であること.絵画に多く押印されている著者印の印影については,逆に日本現存朝鮮古書との関連付けが困難なことが判明し,今日まで藤本幸夫氏が蓄積してきた日本現存朝鮮古刊本刻手名データベースを作成し,これに今後刻手関連画像を連携させることとした.(2)Ajax技法によるUnicode入力支援ツールは完成したので現行の日本現存朝鮮古書データベース・システム(DOKB)に組み込み,実運用している.(3)Ajax技法による検索語類推表示システムは試作品が完成し,DOKBシステムの更新に合わせて組み込む準備ができている.(4)Ajax技法による画像検索ツールは試作版が完成し,画像データベースの本格稼働に向けてシステム開発を進めている段階である.研究成果は学術情報処理研究,電気関係学会北陸支部連合大会の他,「Ajax技法による日本現存朝鮮古書DB入力援と画像DBシステムの開発」という論文を富山大学総合情報基盤センター広報Vol.5に公表した.改訂版DOKBシステムにはAjax漢字入力支援システムが組み込んである.なお,Unicodeの拡張Cの進捗を見極め,Ajaxの有効性を探るため,第30,31回国際化Unicode会議に出席し,DOKBシステムに関するレビューと意見交換を行った.
著者
田中 慶悟 藤本 典幸
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2011論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.76-83, 2011-10-28

近年,汎用計算ができるようになったGPU上でCUDAを用いて,Somersの高速なN-Queens問題求解アルゴリズムをさらに高速化する手法を提案する.提案手法はN-Queens問題をSomersのアルゴリズムで計算可能かつ独立な部分問題の集合にCPU上で分割し,生成した部分問題をGPUのVRAM上へと転送し,各スレッドへ動的に割り当て,効率よく並列計算を行う.評価実験を行ったところ,NVIDIA GeForce GTX480と2.93 GHz Intel Core i3 CPUを用いた場合,提案手法はSomersのアルゴリズムと比べN=19で24.5倍高速であった.また,GPUを用いたFeinbubeらの既存手法に比べ,提案手法は2倍高速であった.
著者
藤本 拓也
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.77-89, 2006-03-31

This paper is concerned with the relationship between intersubjectivity and religion. The concept of intersubjectibity, which is based on the phenomenology of Husserl (1859-1938), was transformed into the mind-body theory by the French philosopher Maurice Merleau-Ponty (1908-1961). Through an application of the theory to the human body, he interpreted the concept of intersubjectivity on the physical and concrete level. Although the ontological concept of intersubjectivity implies a modality of being together in this world, community in general is also grounded on this same modality. From a religious study's perspective, I examine his main works Phenomenology of Perception (1945) and posthumous works The Visible and the Invisible (1964), and analyze the structure of intersubjectivity apparent in them. The structure has to be totally resolved in order to illuminate the connection between religion and community. On the point that the self and the other exist together causing a unit of "we" to emerge, a kind of moment may support it. A moment means not only God or a divine thing, but also something monistic/This paper will attempt to show that intersubjectivity is based on the monistic concept of being.
著者
廣野 哲朗 小村 健太朗 藤本 光一郎 伊藤 久男 ジェームズ モリ ジロウ 佐藤 比呂志
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.122, no.2, pp.323-342, 2013-04-25 (Released:2013-05-31)
参考文献数
111
被引用文献数
2 2

Several fault-drilling projects have been conducted with the common aim of seeking direct access to zones of active faulting and understanding the fundamental processes governing earthquakes and fault behavior, as well as the factors that control their natural variability. Here, we review recent scientific drilling projects related to the Nojima Fault which slipped during the 1995 Hyogo-ken Nanbu Earthquake, the Chelungpu Fault which slipped during the 1999 Taiwan Chi-Chi earthquake, the San Andreas Fault Observatory at Depth, and the Nankai Trough Seismogenic Zone Experiment. We also briefly introduce the ongoing drilling research by the Geophysical Observatory at the North Anatolian Fault Zone, the Deep Fault Drilling Project at the Alpine Fault, and the Japan Trench Fast Drilling Project. One of the main findings of fault-drilling research is a better understanding of the physico-chemical processes of the primary slip zone during an earthquake, which is closely related to the mechanism of dynamic fault weakening. In the case of the Chelungpu fault, integrated research with borehole experiments, core sample analyses, and numerical simulations were performed, and the results indicate that thermal pressurization occurred during the 1999 earthquake, explaining the peculiar seismic behavior during the earthquake. These fault-drilling projects related to active faults certainly improve our knowledge and understanding of earthquakes. In addition, we discuss new technical problems related to handling core samples, identifying the latest slip zone, and overprinting by ancient earthquake events.
著者
重田 眞義 高田 公理 堀 忠雄 豊田 由貴夫 福田 一彦 藤本 憲一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

これまで科学的側面に偏っていた人間の睡眠行動に関する研究を、人間の文化的行動=「睡眠文化」として考究する新しい学問的な視座の確立と普及につとめた。医学、心理学などの分野でおこなわれてきた最新の睡眠科学研究の成果をふまえながら、アジア、アフリカにおける睡眠文化の多様性とその地域間比較をおこなった。また、現代社会において、睡眠をめぐるさまざまな現象が人間の健全な生活に対する「障害」としてのみ問題化されている現実をふまえ、生物医療的観点に偏りがちな睡眠科学による知見を文化の観点から相対化してとらえなおす作用を備えた「睡眠文化」という視点を導入した。
著者
松井 隆尚 松下 洋一 菅本 和寛 宮窪 建児 藤本 英人 落合 克紀
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大學工學部紀要 (ISSN:05404924)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.23-26, 2005-08

Abstract ###From the quantitative analysis of steam-condensed solution which was obtained by the ###steam-dried treatment of Sugi wood at 90-120 ℃ (dry-bulb temperature) for 54-93 hours, the ###amounts of phenolics were found to be very small. The total extracts of organic solvent ###extractions (hexane and ethyl acetate) of steam-condensed solution were 0.16 w/v %. The ###adsorbate amount from steam-condensed solution using HP-20 adsorbent were the same as ###that of the solvent extract. The analysis of solvent extract and HP-20 adsorbate by capillary ###gas chromatography-mass spectrometer (GC-MS) revealed eight sesquiterpene compounds in ###the steam-condensed solution from Sugi wood.
著者
藤本 学 大坊 郁夫
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13496174)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.347-361, 2007-03-31
被引用文献数
2 23

コミュニケーション・スキルに関する諸因子を階層構造に統合することを試みた。既存の尺度を構成する因子を分類することで,自己統制・表現力・解読力・自己主張・他者受容・関係調整の6カテゴリーが得られた。これらの6因子は理論的に基本スキルと対人スキル,また,表出系,反応系,管理系に分類された。こうしてコミュニケーション・スキルの諸因子を階層構造に統合したものがENDCOREモデルであり,各スキルに4種類の下位概念を仮定した24項目の尺度が,ENDCOREsである。
著者
伊藤 泰郎 藤本 倫史 申 明姫
出版者
広島国際学院大学現代社会学部
雑誌
現代社会学 (ISSN:13453289)
巻号頁・発行日
no.10, pp.101-114, 2009

本稿では、広島東洋カープが二軍の本拠地を置く山口県の由宇町を事例として、プロスポーツを軸とした地域おこしの取り組みについて考察を試みた。関係者への聞き取り調査に加えて、2008年8月に由宇練習場の観客を対象とした大量調査を実施し、観客の構成や集客上の問題点、地域への波及効果に関して分析を行った。この調査データは、スポーツファンの研究においても基礎資料ともなるものである。商工会や観光協会を中心に結成された広島東洋カープ由宇協力会は、イベント開催などの取り組みを行っており、二軍チーム専門の応援団である広島東洋カープ由宇応援隊も様々な活動を行っている。これらは一定の成果を上げており、「由宇球場が好き」という回答は観客の7割近くを占める。しかし、由宇練習場の位置付けがあくまでも「練習場」であることから、観客のための設備は不十分な状態にあり、公共交通機関によるアクセスの悪さや駐車場不足などの問題も抱えている。また、現地での物販が制限されていることから、観客の需要が高いにも関わらず、直接的な経済効果はほとんど上がっていない。また、由宇町が当初期待していた既存の観光資源との相乗効果も生まれていない現状にあるが、調査結果ではPR 方法の工夫などによりこうした現状が変化する可能性があることも示された。In this paper, the author looks at a case of regional vitalization with a professional sport, withan example of the town of Yuu, Yamaguchi Prefecture, in which the farm of the professionalbaseball team is based.In addition to interviews with people involved, the author conducted a mass survey of audienceat the Yuu stadium in August 2008, to analyze the composition of the audience, problems inattracting audience and the ripple effects on the town.The approach has accomplished certain achievements; however, facilities for the audiencein the stadium ― a mere practice ground ― remain insufficient, and the access by publictransportation and parking space is limited. Also, because the sales of merchandise in the stadium are restricted, there are few direct economic effects in the town, despite demands fromthe audience.The synergetic effects with existing local tourism resources are yet to come ; however, theresults of the survey show the possibility that the circumstance may change with, for example,a twist of publicity.
著者
木村 淳 佐々木 晶 藤本 正樹
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.146-151, 2013-09-25

日本が木星系探査に参加する. 2012年5月に欧州宇宙機関(ESA)の大型惑星探査プログラムとして選定され2022年の打ち上げを目指す木星氷衛星探査機JUICE(ジュース: JUpiter ICy moons Explorer)は,日本チームもその開発に参加する国際協同計画として始動した.太陽系最大の衛星ガニメデの周回探査とエウロパ,カリストのフライバイ探査を行って氷の表面に広がるテクトニクスの全容や内部海の存否を明らかにし,さらに木星大気や磁気圏プラズマ環境などの調査を通して,木星と衛星,それらの相互作用の様相をつまびらかにする.日本のコミュニティにとって数年前まではただの夢だった木星探査へついに手が届くようになった経緯を記し,これからのあゆみを連載していく.
著者
藤本 大三郎
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.284-287, 1986-08-20