著者
荒木 のりこ 江上 敏哲 坪内 奈保子 西川 真樹子 渡邊 伸彦
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.2042, 2019-08-31 (Released:2019-09-11)

2018年,国際日本文化研究センターはOCLC WorldCat に蔵書の目録情報を登録し,OCLC WorldShare ILL による海外からの本格的なILL 受付サービスを開始した。目録は30万タイトルを一括登録し,またILLは1 年間で236件の受付を実施した。実施までには紀伊國屋書店,OCLC,海外の日本研究司書コミュニティとの連携・協力があった。実施後は多方面に広報を実施した。これらにより海外の日本研究への寄与や,日文研自体の存在感向上が期待できる。課題として,謝絶の多さ,参加料・労働力等のコスト,国内他大学の参加を増やすこと等がある。
著者
鈴木 秀樹 坂本 拓 塩野 真弓 長坂 和茂 佐藤 りん 西川 真樹子 八木澤 ちひろ 古森 千尋 天野 絵里子
出版者
京都大学図書館機構APC ワーキンググループ
巻号頁・発行日
pp.1-50, 2016-02

本学では、多額の経費を支払い多くの電子ジャーナルを読むことができる環境を整えているが、購読費として支払う経費に加え、近年は、論文をオープンアクセスにするための費用(「オープンアクセス費」)を著者が出版社に支払い、誰もが無料で読むことができる電子ジャーナルもしくは論文として公開するケースが増加している。このことにより、従来からの購読費は上昇を続け、さらに、オープンアクセス費の増加により、総額として大学が研究活動のために係る費用が急増しているという課題が顕在化している。(詳細は、資料1「オ ープンアクセス費の定義」を参照) 本ワーキンググループでは、昨年度に引き続き、以下のとおり本学教員によるオープンアクセス費の支出やオープンアクセス費を巡る状況を調査した。
著者
加納 靖之 橋本 雄太 中西 一郎 大邑 潤三 天野 たま 久葉 智代 酒井 春乃 伊藤 和行 小田木 洋子 西川 真樹子 堀川 晴央 水島 和哉 安国 良一 山本 宗尚
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

京都大学古地震研究会では,2017年1月に「みんなで翻刻【地震史料】」を公開した(https://honkoku.org/).「みんなで翻刻」は,Web上で歴史史料を翻刻するためのアプリケーションであり,これを利用した翻刻プロジェクトである.ここで,「みんなで」は,Webでつながる人々(研究者だけでなく一般の方をふくむ)をさしており,「翻刻」は,くずし字等で書かれている史料(古文書等)を,一字ずつ活字(テキスト)に起こしていく作業のことである.古地震(歴史地震)の研究においては,伝来している史料を翻刻し,地震学的な情報(地震発生の日時や場所,規模など)を抽出するための基礎データとする.これまでに地震や地震に関わる諸現象についての記録が多数収集され,その翻刻をまとめた地震史料集(たとえば,『大日本地震史料』,『新収日本地震史料』など)が刊行され,活用されてきた.いっぽうで,過去の人々が残した膨大な文字記録のうち,活字(テキスト)になってデータとして活用しやすい状態になっている史料は,割合としてはそれほど大きくはない.未翻刻の史料に重要な情報が含まれている可能性もあるが,研究者だけですべてを翻刻するのは現実的ではない.このような状況のなか,「みんなで翻刻【地震史料】」では,翻刻の対象とする史料を,地震に関する史料とし,東京大学地震研究所図書室が所蔵する石本コレクションから,114冊を選んだ.このコレクションを利用したのは,既に画像が公開されており権利関係がはっきりしていること,部分的には翻刻され公刊されているが,全部ではないこと,システム開発にあたって手頃なボリュームであること,過去の地震や災害に関係する史料なので興味をもってもらえる可能性があること,が主な理由である.「みんなで翻刻【地震史料】」で翻刻できる史料のうち一部は,既刊の地震史料集にも翻刻が収録されている.しかし,ページ数の都合などにより省略されている部分も多い.「みんなで翻刻【地震史料】」によって,114冊の史料の全文の翻刻がそろうことにより,これまで見過ごされてきた情報を抽出できるようになる可能性がある.石本文庫には,内容の類似した史料が含まれていることが知られているが,全文の翻刻により,史料間の異同の検討などにより,これまでより正確に記載内容を理解できるようになるだろう.「みんなで翻刻」では,ブラウザ上で動作する縦書きエディタを開発・採用して,オンラインでの翻刻をスムーズにおこなう環境を構築したほか,翻刻した文字数がランキング形式で表示されるなど,楽しみながら翻刻できるような工夫をしている.また.利用者どうしが,編集履歴や掲示板機能によって,翻刻内容について議論することができる.さらに,くずし字学習支援アプリKuLAと連携している.正式公開後3週間の時点で,全史料114点中29点の翻刻がひととおり完了している.画像単位では3193枚中867枚(全体の27.2%)の翻刻がひととり完了している.総入力文字数は約70万字である.未翻刻の文書を翻刻することがプロジェクトの主たる目的である.これに加えて,Web上で活動することにより,ふだん古文書や地域の歴史,災害史などに興味をもっていない層の方々が,古地震や古災害,地域の歴史に関する情報を届けるきっかけになると考えている.謝辞:「みんなで翻刻【地震史料】」では,東京大学地震研究所所蔵の石本文庫の画像データを利用した.
著者
森田 学 西川 真理子 石川 昭 木村 年秀 渡邊 達夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.158-163, 1997-04-30 (Released:2017-10-20)
参考文献数
22
被引用文献数
3

つまようじ法とフロッシングを併用したバス法の2種類の刷掃法について,歯肉炎に対するマッサージ効果を比較した。実験的歯肉炎を有する24名の男子学生を対象とした。各被験者の上下顎を左右に2分割した。それぞれランダムに,一方をつまようじ法で刷掃する部位,残りの2分の1顎をバス法で磨き,かつデンタルフロスで清掃する部位とした。以降,歯科医師が毎日1回,21日間,染色された歯垢が完全に取り除かれるまで,被験者の口腔内を清掃した。刷掃方法の割付を知らされていない歯科医師が,歯周ポケットの深さ(PD)とプロービング時の出血(BOP)を診査した。また,上顎第1小臼歯の頬側近心歯間乳頭と頬側中央部の遊離歯肉の上皮の角化程度を,パパニコロ染色法により判定した。その結果, 1. 21日後には,つまようじ法で刷掃した部位のBOP値が,バス法とデンタルフロスで清掃した部位の値よりも有意に低かった。2. つまようじ法で刷掃した歯間乳頭部のみ,ベースラインと比較して,21日後には角化細胞数の割合が有意に増加した。3. 歯垢が完全に除去されるまでに要した時間では,つまようじ法の場合は,バス法とデンタルフロスを併用した場合の約70%であった。以上の結果から,つまようじ法はデンタルフロスを併用したバス法と比較して,短時間で,より有効なマッサージ効果を得られる可能性が示唆された。
著者
河本 幸子 岡崎 眞奈美 西川 真理子 平岩 弘 岸本 悦央 森田 学 渡邊 達夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.685-690, 1998-10-30 (Released:2017-10-27)
参考文献数
17
被引用文献数
8

岡山大学歯学部附属病院予防歯科診療室では,患者に定期的来院を促し,術者による徹底した歯口清掃(Professional toothbrushing)を中心とする歯周治療を行っている。本研究では,予防歯科診療により歯の喪失がどの程度抑えられたのかについて,同附属病院内の他診療科で歯周治療を受けている外来患者の場合と比較した。1982年から1989年までの間に,当病院を6年以上継続来院して歯周治療を受けた者を対象に,予防歯科で歯周治療を受けた患者群と,他科で歯周治療を受けた患者群(対照群)とに分類した。両群間で治療開始時の年齢,性別,現在歯数をマツチングし,各群112名(男性30名,女性82名,平均年齢45.4歳)の6年間の歯の喪失状況を比較した。その結果,1.予防歯科受診者群の喪失歯の総計は91本,対照群では189本であり,予防歯科受診者群の歯の喪失は,対照群の約48%に抑えられていた。2.年代別では40,50歳台,歯種別では前歯部,特に下顎前歯部で,予防歯科受診者群の喪失歯数が抑えられていた。3.6年間の予防歯科受診者群の平均来院回数は対照群の約1.7倍であった。また,対照群と比較して,歯周外科処置の割合が少なかった。以上のことから,術者による徹底した歯口清掃を定期的に行う予防歯科診療は,歯周病罹患歯の保存に有効であることが示された。
著者
原竹 留美 西川 真樹子
巻号頁・発行日
2016-03

派遣先: ライデン大学、日本資料専門家欧州協会(European Association of Japanese Resource Specialists)第26回年次大会等, 期間 平成27年9月14日 - 平成27年9月21日
著者
澤田 晶子 西川 真理 中川 尚史
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.34, pp.36-37, 2018

<p>群れで生活する霊長類は,他個体との親和的な関係を維持するために社会的行動をとる。複数の動物種が同所的に生息する環境では,異種間での社会的行動も報告されており,ニホンザルとニホンジカが高密度で生息する鹿児島県屋久島や大阪府箕面市においても,両者による異種間関係(以下,サル-シカ関係)が報告されている。サル-シカ関係の大半は,シカによる落穂拾い行動(樹上で採食するサルが地上に落とした果実や葉を食べる)であるが,稀に身体接触を伴う関係もみられる。本発表では,これまでに発表者らが西部林道海岸域で観察した異種間交渉の事例を報告する。敵対的行動(攻撃・威嚇)と親和的行動(グルーミング),いずれの場合でもサルが率先者になることが多かった。シカへのグルーミングはコドモとワカモノで観察され,サルとシカの組み合わせに決まったパターンはなかった。シカがグルーミングを拒否することはなく,シカからサルへのグルーミングは確認されなかった。コドモとワカモノによる「シカ乗り」も数例観察された。ワカモノのシカ乗りは交尾期(9月~1月)に起きており,前を向いて座った状態でシカの背中や腰に陰部を擦りつける自慰行動がみられた。実際に交尾に至ることはなかったものの,ワカモノにとってはシカ乗りが性的な意味合いをもつことが示唆される。一方のコドモは,非交尾期でもシカに乗ることがあった。その際,シカの首に座ったり背中にぶら下がったりと体位や向きにバリエーションがみられたこと,自慰行動を示さなかったことから,コドモにとってのシカ乗りは遊びの要素が強いと考えられる。先行研究との比較を通して,サル-シカ関係について議論し情報を共有したい。</p>
著者
西川 真理奈 岡崎 章
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.70, 2012 (Released:2012-06-11)

チャイルドライフ・デザインとは,子どもの入院生活のすべてに渡り,大人の知り得ぬ恐怖心や自責の念から解放し,治癒効果を高めるためのデザインのことである.しかし,いまだ理解されているとはいえない状況である.本研究では,医療の専門家, 看護学を学んでいる人が,チャイルドライフ・デザインについてより理解できるようにするためのデザイン要素を明らかにし,リテラシーサイトの制作を行うことを目的とした.既存のWEBサイトであるChild Life-Design(childlife-desing.com)での問題点の抽出,対応措置を検討し,新しいウェブサイトを制作したので報告する.
著者
今井 弥生 津久井 亜紀夫 西川 真理枝 高野 美栄
出版者
東京家政学院大学
雑誌
東京家政学院大学紀要 (ISSN:02866277)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.23-29, 1982-12-20
被引用文献数
3

消費者の色彩嗜好動向を把握し,衣,食,共有因子を抽出して,暮らしの中に役立てる目的で,1980年5月7日,女子学生205名,年齢19〜21歳を対象に,JIS標準色票16種,果実34種,形容詞(衣10,食10)を用いて質問紙法で,色彩から連想する果実,好きな果実と好きな色彩との関係,好きな色彩の感情要因を主因子法で求めたところ,次のことがわかった。(1)一般に総得点率が高く,また高得点を有する果実は,色彩から連想することができた。(2)イチゴを好むものは,水,白,赤を好む。(3)好きな色彩のイメージ・プロフィールは,衣の形容詞の方が,上・中位群であった。(4)正の相関の強い尺度は「新鮮なとさっぱりした」,「にがいと渋い」,負の相関は「新鮮なと毒々しい」,「さっぱりしたとこってりした」であった。(5)因子負荷量の第1因子は,さっぱりしたとこってりしたをわける軸であり,第2因子は,甘さと渋さをわける軸であった。(6)因子得点の位置に,個有値の色彩を照合して解釈すると,衣,食,共有因子が抽出された。いわゆる挑,赤,橙は,若さの因子。水,白,黄は,さわやかさの因子。赤紫、紫は,強さの因子。黒、茶は,渋さの因子であるといえる。これらのことから,暮らしの中で,赤は甘い,可愛らしいという若さのイメージと結びつき,白は新鮮な,さわやかなイメージと結びつく。そして赤紫は大人ぽい,高級なイメージと,茶は渋さ,にがさのイメージと結びつく。したがって色彩嗜好は視覚的,味覚的側面から,心理的イメージ表現に効果があることが判明した。終りに本研究に,中村やよ江氏,山崎(鈴木)美智子氏の協力を得たことを付記すると共に,被験者として協力してくださった学生の皆様に感謝いたします。本論文の要旨は1980年10月11日,第32回日本家政学会総会において報告した。
著者
片岡 真 大西 賢人 井川 友利子 西川 真樹子 栃原 幸恵 天野 絵里子
出版者
メディア教育開発センター
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:18846777)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.19-31, 2011-03-03

図書館が扱う学術情報は,電子ジャーナルやデータベース,学術情報リポジトリの例に見られるように,電子化が進み,ユーザはこれらの電子リソースにWebを通じてアクセスすることが主流になった。多様な携帯デバイスを用いた電子書籍の利用もこれからますます増加していく。一方,図書館の外のWebの世界では,GoogleやAmazonなどが検索の周辺技術を進化させ,ユーザがリソースを利用するための,より利便性の高い検索とインターフェースを提供しており,そのようなWebの環境に慣れ親しんだユーザの期待と図書館の提供するソリューションにはギャップがあった。しかしながら,ようやく図書館のサービスにもこのような最新のユーザ利用支援技術の実装が進んできている。本稿は,図書館で実践が行われつつある様々なユーザ支援技術として,ディスカバリ・インターフェースとWebスケール・ディスカバリ・サービスを基点として,シラバス連携などのサービスを紹介する。また,現在国内の多くの図書館が抱えているWeb技術適用に関する課題として,システム調達と人材開発における問題点を指摘し,持続可能な発展という観点から,その打開策を探る。最後に,図書館がWeb技術を身につけた上で,今後どのような役割を担うことができるのか,一つの方向性を提示する。It has become common for library users to access to electronic resources which libraries provide via the Internet, such as electronic journals, databases and institutional repositories. Usage of e-book on diverse mobile devices may increase more than ever. As Google and Amazon provide advanced search technologies and interfaces to give users a better findability and accessibility, there has been a gap between library solutions and expectations from users, who are familiar with such Web environment. However, the implementation of advanced Web technologies into library services has been promoted these days. This article, at first, introduces such user support technologies as discovery interface, Web-scale discovery and cooperation with Learning Management Service. Secondly, we discuss a common issue shared with libraries in Japan, lying in the system procurement and human resource development, from the point of view of sustainable evolution. At last, we propose a new role of libraries beyond implementation of the Web technologies.
著者
片岡 真 大西 賢人 井川 友利子 西川 真樹子 栃原 幸恵 天野 絵里子
出版者
放送大学ICT活用・遠隔教育センター
雑誌
メディア教育研究 (ISSN:18846777)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.S19-S31, 2011

図書館が扱う学術情報は,電子ジャーナルやデータベース,学術情報リポジトリの例に見られるように,電子化が進み,ユーザはこれらの電子リソースにWebを通じてアクセスすることが主流になった。多様な携帯デバイスを用いた電子書籍の利用もこれからますます増加していく。一方,図書館の外のWebの世界では,GoogleやAmazonなどが検索の周辺技術を進化させ,ユーザがリソースを利用するための,より利便性の高い検索とインターフェースを提供しており,そのようなWebの環境に慣れ親しんだユーザの期待と図書館の提供するソリューションにはギャップがあった。しかしながら,ようやく図書館のサービスにもこのような最新のユーザ利用支援技術の実装が進んできている。本稿は,図書館で実践が行われつつある様々なユーザ支援技術として,ディスカバリ・インターフェースとWebスケール・ディスカバリ・サービスを基点として,シラバス連携などのサービスを紹介する。また,現在国内の多くの図書館が抱えているWeb技術適用に関する課題として,システム調達と人材開発における問題点を指摘し,持続可能な発展という観点から,その打開策を探る。最後に,図書館がWeb技術を身につけた上で,今後どのような役割を担うことができるのか,一つの方向性を提示する。
著者
西川 真太郎 関村 敦 楠 弘充 佐藤 圭樹 横山 敏之
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.101-107, 2022 (Released:2022-08-26)
参考文献数
14

新型コロナウイルス感染症は,その変異株により病原性に変化があるとされている。当院に入院した患者208例を対象とし,その重症度や治療方法,転帰などから,変異株の病原性の変化について検討した。入院中の最大重症度は,第4波,第5波において中等症Ⅰ,Ⅱが増加し,重症は減少する傾向にあった。傾向スコアマッチングでの比較においても,やはり中等症Ⅰ,Ⅱは有意に増加していた。
著者
西川 真那 島田 典明 永山 泉 福島 和彦 天野 圭慧子 川北 智英子 澤田 真理子 木野村 賢 福島 正樹 浅野 健一郎
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.199-205, 2015 (Released:2015-03-27)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

57歳男性, 透析歴35年. C型肝硬変があり週初めの血液透析 (HD) 後にのみ肝性脳症Ⅲ度を繰り返した. 低カリウム血症などの誘因はなく, 分岐鎖アミノ酸製剤とラクツロース, レボカルニチンを追加し透析液の重炭酸濃度を低減した. しかし再び週初めのHD後に肝性脳症Ⅲ度となり血漿アンモニア濃度は219μg/dLであった. CTで太い門脈-大循環シャントを認め, ドップラー超音波で測定した門脈血流はHD後に低下していた. 血液濾過透析 (HDF) への変更で門脈血流の低下を減少でき, カナマイシンも追加し以後の肝性脳症はみられていない. 肝性脳症の原因にはアンモニアなどの代謝異常に加え, 門脈血の大循環への流入がある. HDにより大循環の圧が低下することで, 門脈-大循環シャントを介した門脈血の大循環への流入量が増えHD後の肝性脳症を惹起するとされる. HDFによる門脈血流の保持を含めた集学的治療で肝性脳症の再発を抑制できた.
著者
西川 真理子 西 一也 川野 留美 山本 啓子 小林 洋子 原田 由加 渡邊 達夫
出版者
Japanese Society for Oral Health
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.682-688, 1992-10-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

The purpose of this study was to evaluate the plaque removal effect of a dentifrice containing granulated zeolite. Fifteen volunteers, who were nurses, dental hygienists and dentists between the ages of 21 and 42 years participated in the experiments. Following professional toothbrushing, the subjects refrained from toothbrushing for 3 days. Then daily professional toothbrushing was performed by trained dental hygienists with the experimental dentifrice for 5 days. No oral hygiene procedure was performed for 3 days after the first clinical trial. The second trial with the control dentifrice was done for 5 days. During each trial, the subjects stopped all personal oral hygiene procedures. The plaque removal effect was evaluated using plaque scores before and after toothbrushing. At 24 and 72 hours after toothbrushing, the inhibitory effect on plaque formation was calculated. The results showed that the experimental dentifrice was significantly more effective in removing plaque on the lingual surfaces and gingival margins and the interproximal gingival margins of the teeth than the control dentifrice. Significant difference was also found between the two dentifrices in removing plaque in pits on the occlusal surfaces. There was no significant difference in the inhibitory effect of the two dentifrices on plaque formation. This suggests that the dentifrice containing granulated zeolite improved the effect of toothbrushing. A questionnaire survey indicated that many subjects preferred the dentifrice containing granulated zeolite. No clinical side effects were observed in the two dentifrices.
著者
澤田 晶子 西川 真理 中川 尚史
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第34回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.36-37, 2018-07-01 (Released:2018-11-22)

群れで生活する霊長類は,他個体との親和的な関係を維持するために社会的行動をとる。複数の動物種が同所的に生息する環境では,異種間での社会的行動も報告されており,ニホンザルとニホンジカが高密度で生息する鹿児島県屋久島や大阪府箕面市においても,両者による異種間関係(以下,サル-シカ関係)が報告されている。サル-シカ関係の大半は,シカによる落穂拾い行動(樹上で採食するサルが地上に落とした果実や葉を食べる)であるが,稀に身体接触を伴う関係もみられる。本発表では,これまでに発表者らが西部林道海岸域で観察した異種間交渉の事例を報告する。敵対的行動(攻撃・威嚇)と親和的行動(グルーミング),いずれの場合でもサルが率先者になることが多かった。シカへのグルーミングはコドモとワカモノで観察され,サルとシカの組み合わせに決まったパターンはなかった。シカがグルーミングを拒否することはなく,シカからサルへのグルーミングは確認されなかった。コドモとワカモノによる「シカ乗り」も数例観察された。ワカモノのシカ乗りは交尾期(9月~1月)に起きており,前を向いて座った状態でシカの背中や腰に陰部を擦りつける自慰行動がみられた。実際に交尾に至ることはなかったものの,ワカモノにとってはシカ乗りが性的な意味合いをもつことが示唆される。一方のコドモは,非交尾期でもシカに乗ることがあった。その際,シカの首に座ったり背中にぶら下がったりと体位や向きにバリエーションがみられたこと,自慰行動を示さなかったことから,コドモにとってのシカ乗りは遊びの要素が強いと考えられる。先行研究との比較を通して,サル-シカ関係について議論し情報を共有したい。