著者
鞆谷 純一
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.278-293, 2010-11-01 (Released:2017-05-24)

『中華民国よりの掠奪文化財総目録』は,中国側が調査した日清戦争以降の中国文化財の損失リストである。この目録には,日本軍などが,略奪したり破壊したりした文化財の名称,数量,当時の状況などが記載されている。占領期の日本政府は,目録の内容に反論し,むしろ文化財を保護したのだと主張していた。本研究は日中・太平洋戦争期の日本軍接収図書の研究の一環として,日本政府の主張を検証する。
著者
岡村 敬二 米井 勝一郎 鞆谷 純一
出版者
京都ノートルダム女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、戦前期、外地に存在していた図書館や資料室において活動を展開した図書館員について、その履歴や職歴、活動の実績などを総合的に調査・研究しようとするものである。その目標に掲げたのは、これら図書館員の人名辞典的なデータベースを完成させることであった。それがこの3年間の研究により、この人名辞典の過半を完成させ、それを冊子体の科研報告書として刊行することができた。そしてこの研究により、戦前期外地の図書館・調査機関で活動した図書館員の全体像をおおむね明らかすることができた。さらに、かれらが、図書館員としての仕事とは別に活動を繰り広げた文学・美術・出版・演劇などの領域にあってもその活動実態が明確となり、それらの領域の研究に対しても文献的・書誌的な貢献ができるものと考えている。
著者
升岡 正 黛 正己 新井 拓 谷 純一
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.93-98, 2007-03-15 (Released:2007-08-31)
参考文献数
17
被引用文献数
8 13

冷間圧延により圧下率を10%から40%まで変化させた低炭素ステンレス鋼SUS316L材を用いてCT試験片を製作し,BWR炉水模擬環境におけるSCCき裂進展試験を実施した.試験では一定荷重を与えコンパクト型 (1 T-CT) 試験片の初期応力拡大係数が20 MPa√mあるいは30 MPa√mになるようにした.マイクロビッカース硬さ (平均値:Hv) の増加に伴い,き裂進展速度は増大する傾向を示し,Hv 250以上では熊谷らによる加工硬化材の割れ進展速度暫定線図より大きな進展速度を示した.しかし,これら硬さ (圧下率) の大きい試験片の割れ形態はシュラウド熱影響部などに生じたSCC損傷と異なり粒内型SCCが支配的であった.一方,Hv 230 (圧下率 10%) の条件の試験片ではほぼ完全な粒界割れとなり,実機に生じたSCCと同様の割れ形態であった.これらの結果から,冷間加工材に対するき裂進展試験を行う際には,破面形態を十分に考慮し,実機と同等な破面を呈する加工度の試験片を用いる必要性が示唆された.
著者
竹谷 純一 宇野 真由美 山本 貴 中澤 康浩
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、溶液を塗布する簡便かつ低コストの製造プロセスによって、アモルファスシリコンの 5-10 倍もの性能を実現する画期的な次世代エレクトロニクス材料である有機単結晶界面において、その機能の源である界面の微視的電子状態を、精密な電子伝導特性や精密分光測定などの高度な計測手法によって徹底解明することと、その結果によってデバイスの更なる高性能・高機能化を実現することを計画した。その結果、新しい有機半導体材料をした上で、溶液からの結晶化により 16 cm2/Vs もの移動度を実現するとともに、移動度と密接にかかわる電荷のコヒーレンスが、分子揺らぎと相関する効果を見出し、分光法の結果ともコンシステントな統一的理解を得た。また、圧力効果の実験手法を確立し、分子構造の連続的な変化に対応した、二次元電子伝導の異常な圧力効果を検出した。
著者
布施 則一 長沼 淳 朱牟田 善治 谷 純一 堀 康彦
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.47-54, 2021-02-10 (Released:2021-08-03)
参考文献数
31
被引用文献数
1

ガルバニック対による腐食センサデータから精度良く腐食速度を算出するアルゴリズムを構築した.この特徴として,センサデータの解析に湿度記録を併用し,異常出力を自動抽出する.曝露試験場や送電鉄塔現場で観測されたデータから解析の定量性を評価すると,腐食速度が実測値と良く整合した.本解析の過程では日々の海塩付着量も算出される.そこで,観測データから台風,降雨および鋼管内環境と腐食の関連性を検討した.
著者
伊谷 純一郎
出版者
Primate Society of Japan
雑誌
霊長類研究 (ISSN:09124047)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1-2, pp.5-14, 1985 (Released:2009-09-07)
被引用文献数
8 6
著者
斎藤 秀人 池谷 純一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学論文集 (ISSN:13404733)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.63-70, 2000-09-25 (Released:2012-11-13)
参考文献数
5

Carbon fibers are one of the most effective materials for seismic strengthening. However fire endurance of strengthening with carbon fiber reinforced plastics (CFRP) should be taken into account because of its combustibility. This paper describes the several tests in accordance with methods of Japanese Industrial Standard; tensile strength tests of CFRP exposed with elevated temperature, residual tensile strength tests of CFRP exposed with elevated temperature, quasi-noncombustibility tests of CFRP and fire resistance tests of wall, column, column with wing walls and T-shaped beam specimens strengthened with CFRP. As the results of the tests, tensile strength of CFRP at 40 °C decreased to approximately 40-50 % of normal tensile strength. Residual tensile strength of CFRP had heated up to 200 °C were two-thirds of normal tensile strength. CFRP covered with a plaster board had quasinoncombustibility. For fire resistance, reinforced concrete members strengthened with CFRP maintained their functions during 2 hours. Reinforced concrete walls or slabs with CFRP penetrations maintained their functions during 2 hours.
著者
鞆谷 純一
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.312-322, 2006

日中戦争中,北京においては,日本軍に協力する中華民国新民会が図書館等に所蔵されている抗日図書を接収した。中華民国新民会の任務は,中国民衆の親日化にあり,抗日図書の接収もその任務の一環だったのである。接収された抗日図書は,日本人図書館員の協力も得ながら,新民会によって整理され,各種の目録が作成された。
著者
竹谷 純一 宇野 真由美 山口 茂弘
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

有機半導体の単結晶フィルムを基板に「貼り合わせる」独自の方法を見出し、これまでにない高性能の有機トランジスタを実現した。また、本デバイスのホール効果測定の手法を開発して、界面でのキャリアの伝導の機構がバンド伝導的であることを明らかにした。さらに、液相から単結晶を広い面積にわたって基板に展開する溶液プロセスを開発し、本研究の桁違いに高い性能の有機単結晶トランジスタを実用化する方策を示した。
著者
伊谷 純一郎
出版者
社会・経済システム学会
雑誌
社会・経済システム (ISSN:09135472)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-15, 1985-11-01

Besides sexual interactions and mother-offspring interactions, the social coexistence of individuals is based on two principles. The inequality principle urges an individual to behave in accordance with its dominant/subordinate relationship with others, while the equality principle works as if there were no dominant/subordinate inequality between individuals. Prevalence of either principle not only depends on the situational structure of the given event, but also on the phylogeny of the given species. By reviewing the dominance systems based on the inequality principle among Japanese macaques, I will probe into possible bases of social interactions based on the equality principle, and then trace the breakdown of the inequality principle and rise of the equality principle in the societies of the genus Pan, i.e., chimpanzees and pygmy chimpanzees.
著者
岩佐 義宏 竹延 大志 下谷 秀和 笠原 裕一 竹谷 純一 田口 康二郎
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

有機半導体-絶縁体界面、有機半導体-電極金属界面のナノスケール制御によって、(1)有機半導体最高のキャリア易動度の実現、(2)有機トランジスタ初の、ホール効果の測定、(3)有機単結晶を用いた両極性発光トランジスタの実現、(4)電気二重層トランジスタによる世界最高の横伝導度の達成、など有機トランジスタの高性能化、新機能発現に貢献する4つの顕著な成果を上げた。
著者
手計 太一 吉谷 純一 Suvanpimol Chanchai
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.215-228, 2004-08-31
参考文献数
10
被引用文献数
1

The second largest flood in 2002 occurred in the Chao Phraya River basin, Kingdom of Thailand. The field survey was carried out in the middle and lower part of the Chao Phraya River basin two weeks after the peak of the flood terminated. The result indicated that middle basin, especially Ang Thong, Ayutthaya and Sing Buri cities had suffered a heavy damage. In the meantime, there was little serious damage from the inundation by river water in Bangkok city that is located in the lower basin area. The following two factors are mentioned as the reason; (1) In Bangkok, the flood discharge had been reduced by the time it reached the lower basin area because of the overtopping in the middle basin. (2) The flood discharge has been degreasing in the downstream of the Chao Phraya River basin year by year since the Bhumibol and the Sirikit dams were constructed in the upper basin. In addition, the evaluation of the provability was carried out on the flood in 2002 using the generalization extreme value distribution. The flood was estimated under the 10-year return period discharge and it turned out the flood with the high possibility of occurrence.
著者
西川 尚男 竹谷 純一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、研究代表者らが見出した極薄の絶縁層を「転写」により形成する手法をもとに、極めて低い入力電圧によって高い電界強度を達成し、高密度のキャリア注入を可能にする有機トランジスタを開発することを目的とした。特に、本手法を研究分担者らが開発した高移動度の有機単結晶トランジスタの技術と組み合わせることによって、極めて低消費電力かつ高移動度のフレキシブルな有機単結晶トランジスタを得ることを目指した。これまでの研究の結果として、以前は困難であった5nm程度の極薄絶縁膜を再現性よく構築するために、自己組織化単分子膜をコートする手法が有用であることを明らかにしたため、まず、極薄のアルミナ絶縁膜の作成手法を確立したことをあげる。次に、実際にルブレン有機単結晶を「貼り合わせる」独自の技術によって、低電圧デバイスとしては極めて高い2cm^2/Vs程度の移動度を実現し、低消費電力の有機単結晶トランジスタを開発した。さらに、プラスティック基板上にも同様の手法を用いて有機トランジスタを作製できることを示し、本研究の目標に到達することができた。加えて、極薄絶縁膜の利用によって、通常の絶縁膜では得られない高電界の印加が可能となったため、有機半導体分子あたり10%以上のキャリアドーピングが可能になったことにより、分子内の電子一電子反発による電界効果の異常を観測し、ルブレン有機単結晶表面が、電子物性研究の魅力的な舞台となっていることを示した。