著者
近藤 有輔 高原 里奈 毛利 広野 高木 牧人 前田 理 岩佐 豪 武次 徹也
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.64-69, 2019
被引用文献数
2

<p>原子クラスターは自由度が高いために多くの構造異性体を持つ.通常の理論研究では,その最安定構造の探索と続く電子物性解析が主であったが,近年の理論化学的手法の発展により,安定構造間の異性化反応や,異性体を含めた触媒活性の研究が可能になってきた.本研究では,金,銀,銅のクラスターを対象として安定構造および異性化反応経路,およびNO解離の触媒反応経路の探索を行いその比較を行った.異性化反応の計算からは,金と銀に比べると銅は異性化反応の障壁が高く,これはバルクのモース硬度と同様の傾向を示していた.NO解離反応の触媒作用に関しては,金と銀は障壁が高い一方で,銅は障壁が低く,安価で豊富な元素による触媒の可能性があることが分かった.</p>
著者
近藤 有 榊原 崇芳 加藤 潤 渡邊 雅史 西村 栄輝 實安 健市 下野 大貴 間瀬 悟 三宅 芳男
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.239-248, 2020-05-10 (Released:2021-05-10)
参考文献数
17

We developed a Markov model to evaluate the cost-effectiveness of nivolumab in patients with advanced or recurrent esophageal cancer receiving second-line treatment in Japan. We assessed an incremental cost-effective ratio (ICER) for nivolumab versus docetaxel from the health insurers' perspective. A threshold ICER was set at 7.5 million JPY. The ICER was calculated to be 12.45 million JPY per quality-adjusted life year, which was above the threshold. In a one-way sensitivity analysis, the results were most sensitive to the utility scores for nivolumab. If the cost of nivolumab per 240 mg could be reduced below 282,817 JPY or nivolumab could prolong the overall survival up to 4.1 months, the ICER fell below the threshold. The probabilistic sensitivity analysis revealed a 17.6% probability that nivolumab was cost-effective as compared to docetaxel. Our study suggests that nivolumab is not cost-effective in patients with advanced or recurrent esophageal cancer receiving second-line treatment as of this moment. Therefore, for future study, it is advisable to review drug prices and select patients who are expected to have high therapeutic effects.
著者
辻 雄介 近藤 英文
出版者
特定非営利活動法人 四国自然史科学研究センター
雑誌
四国自然史科学研究 (ISSN:13494945)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.74-82, 2021 (Released:2021-06-01)
参考文献数
26

Ant fauna was surveyed in a municipal comprehensive park, ”WANPARK KOCHI” from July to October 2020. As a result, 27 species of ants from 4 families, include 1 endangered species and 7 introduced species were collected.
著者
近藤 哲也 高橋 朋身 下村 孝
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = / the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.28-35, 2000-08-31
参考文献数
20
被引用文献数
5 10

海浜地域におけるハマヒルガオの景観形成素材としての利用および本種の保全を目的として, いくつかの休眠打破処理を試み, 硬実種子であることを確認した。そして硬実性解除のための適切な硫酸処理時間とその機作を明らかにした。ハマヒルガオの種子をシャーレに播種して恒温器内に置き, 発芽の過程を観察した。その結果ハマヒルガオの無処理種子は, 発芽時の温度や光条件そして採取場所, 採取時期, 貯蔵期間にかかわらず, 吸水して発芽できる種子は数%にとどまる硬実種子であった。しかし種皮への針による穿孔, 紙ヤスリによる傷付け, 濃硫酸への浸漬処理によって吸水し発芽が可能になった。それらの処理の中でも硫酸処理がもっとも効率的であった。濃硫酸処理の効果は, 種子採取の場所や時期によって異なったが, 60分から120分の浸漬処理で80%程度の発芽率を得ることができた。濃硫酸に浸漬すると, 初期にはへそ周辺部に, 浸漬時間が長くなると種皮にも亀裂や穴を生じた。この亀裂や穴から吸水し, 発芽が可能になったと考えられた。
著者
近藤 有希子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.58-77, 2019

<p>本論では、虐殺後のルワンダにおいて、和解し統合されたシティズンシップを創り出す装置として、虐殺記念週間におこなわれる集会や虐殺生存者基金に着目して、そのなかで方向づけられる人びとの倫理的な応答のあり方を検討する。それらの装置は、凄惨な紛争によって分断された人びとを等しく「ルワンダ人」として包摂する試みのもとに適用されてきた。他方で、そのとき形成される「国家の歴史」においては、トゥチだけを「生存者」、つまり「真のシティズン」として認定し、フトゥを一様に「加害者」、つまり「二級のシティズン」として位置づける効果を孕んでいる。そこでは愛する者の死を悼み、自身の壮絶な体験を嘆くことができるか否かという点で、格差をともなう承認の配置がおこなわれており、人びとの感情が規律化される事態が生じていた。</p><p>このような状況下にあって、村のなかには「トゥチの生存者」というカテゴリーに依拠して、その生存を確保させる者もいる。彼女たちの哀悼は、公的な場においてしばしば「国家の歴史」に一致した、およそ流暢な語りのなかに見出される。他方で、村に暮らす大半の人びとが虐殺時にはなんらかの脅威に曝されており、善悪に二分できない「灰色の領域」にあった。このような「国家の歴史」にはあてはまらない経験を生きる者たちの、決して語り慣れることのない発話は、かれらが代替不可能な個別の記憶とともに生き延びようとするときに現出している。</p><p>このとき地域社会のモラリティは、多くの者がみずからの経験に対して「言葉をもたない」ことにおいて開示されていた。なぜなら、統制されえない身体化された記憶、「語りえなさ」の発露としての情動こそが、体験の一般化を拒否する沈黙の作用とも重なりながら、個々人のかけがえのない経験を感知して、それに付随する痛みへの想像力の回路を開くからである。ここに、避けがたくともに生きる人びとの倫理的な応答性が導かれていた。</p>
著者
近藤 有希子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

1990年代前半に大規模な紛争と虐殺を経験したルワンダ共和国において、国民の安全と治安は重大な関心事項である。これまでルワンダの国家は、開発における「優等生」と称賛されるとともに、その統治が「強権的」だとして非難されてきた。本発表では、そのようなルワンダの政治体制が、統治者の意志と実践だけによるものではなく、地域の人びとの安全を希求する想像力や実践とが交差するなかで、構築し維持されてきたことを描き出す。
著者
近藤 慶二 八木 保
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.112, 1994-02-01

浅野先生は昭和30年岡山大学医学部の卒業で,インターン修了後同第2内科(平木教授)に入局,33年からは米国スローン・ケタリング癌研究所に留学し約2年間腫瘍酵素学を学び教室に帰っている.もっぱらアイソザイムについて癌診断面の研究をし,また胃の血流や膵疾患とアミラーゼの関係などで後輩の指導にもあたっていた. 昭利42年岡山市民病院の内科部長,51年院長となり老朽化した病院を今のような立派な近代的な病院にした人でもある.
著者
堀内 成子 近藤 潤子 小山 真理子 木戸 ひとみ 大久保 功子 山本 卓二 岩澤 和子
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.8-17, 1990
被引用文献数
1 5

本研究は, 妊婦および褥婦の睡眠の主観的評価と睡眠ポリグラフ所見との間の関連性を明らかにすること, および妊婦各期と産褥早期の睡眠推移を明らかにすることを目的に終夜睡眠を分析した.<BR>妊婦11週~37週までの正常妊婦7例と, 産褥1週~7週までの正常褥婦4例を対象とし, 終夜睡眠をポリグラフ装置で連続3夜測定した. 睡眠段階はRechtshaffen & Kalesの判定基準を用いた. 対照群として健康な非妊期の女性4例を選び, 測定した.<BR>その結果, 主観的な睡眠深度経過では, 前半単相性パターンと前半多相性パターンとに分かれ, ポリグラフ所見との間に関係が認められた. 睡眠パラメータでは, 妊婦群が非妊婦群に比べて睡眠率が低く, 特に末期群では眠りが浅くなっていた. 産褥早期には, 妊娠末期よりさらに睡眠率が低かったが, 妊婦末期に比べて%S4は増加の傾向が認められた.
著者
毛利 嘉孝 清水 知子 近藤 和都 大久保 遼 日高 良祐
出版者
東京藝術大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

2020年代初頭のメディアテクノロジーの発展が表現やエンターテインメント、文化芸術とそれを享受する人々の生活様式にどのように影響を与えているのか日本とアメリカのメディア環境、社会の比較研究を通じて明らかにする。特に(1)企業やサービス提供者、文化実践者(アーティストや開発者)(2)これを享受している若者層(主として大学生を中心とした男女)(3)大学研究者に対するフィールドワーク、聞き取り調査を中心とした質的な調査と資料収集・文献調査を通じて分析を行う。
著者
近藤 明雅 山田 健太郎 小野 彰之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.434-443, 2007 (Released:2007-07-20)
参考文献数
12

繰返し荷重を受ける耐候性鋼無塗装橋では,その疲労挙動が問題になる.本研究では,約25年間大気暴露した十字すみ肉溶接継手32体と面外ガセット溶接継手8体を疲労試験し,筆者らが,過去に行った無暴露材,2, 4, 10年大気暴露材の試験結果と比較した.十字すみ肉溶接継手のうち15体は,暴露前に疲労寿命の約25%の繰返し荷重を載荷した後に暴露したものである.その試験体で,比較的大きい疲労き裂が発生していたものは,無暴露材,2, 4, 10年暴露材の疲労強度から低下したが,疲労き裂が小さいか認められない場合には,疲労強度の低下はみられなかった.溶接したままで約25年間大気暴露した十字すみ肉試験体17体と面外ガセット溶接継手では,疲労強度の低下は見られなかった.