著者
近藤 克則
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.294-301, 2019 (Released:2019-05-01)
参考文献数
34

心身医学は, 患者を心理・社会・環境面も含めて全人的にみていこうとする. 社会疫学は 「健康格差社会」 を生み出す社会的決定要因を疫学的なアプローチで明らかにする研究分野である. つまり社会疫学は 「広義の心身医学」 の一部であることを意味する. 本稿では, 第1に健康格差の生成プロセスについて解明されてきた到達点をレビューする. 第2に 「健康格差社会への処方箋」 として使える対策を概観する. 第3に地域づくり方法や効果, そして臨床現場で今後の普及が期待される社会的処方について紹介する.
著者
近藤 真阿久 竹村 裕 築地原 里樹 下田 晋寛 曽我 公平 須賀 一博 頼 威任 キム スンミン 簡野 瑞誠 宇尾 基弘
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2020 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.2P1-D09, 2020 (Released:2020-11-25)

In recent years, the demand for orthodontic treatment has been increasing, but the change in the moment due to the movement of the teeth during orthodontic treatment has not been measured and has not been quantitatively evaluated. The purpose of this study is to develop a three-tooth device with a built-in 6-axis force sensor and to evaluate orthodontic treatment quantitatively. We have developed a device that can change the angle of the central tooth using a stepping motor to reproduce the movement of the teeth during orthodontic treatment. We verified whether wires needed to be reattached during orthodontic treatment using this device. As a result, it turned out that a larger moment can be applied to the teeth by reattaching the wire during orthodontic treatment
著者
明星 聖子 高畑 悠介 井出 新 松原 良輔 松田 隆美 中谷 崇 納富 信留 矢羽々 崇 伊藤 博明 Pekar Thomas 黒田 彰 近藤 成一 宗像 和重 杉浦 晋 武井 和人 北島 玲子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

昨年度の検討を受けて、今年度は昨年度のテーマに若干変更を加えた以下のAからEの5つのテーマについて、さらに今年度からは総合的なFのテーマも加えて研究を進めた。A.ドイツ文献学の成立の事情とその日本における受容および明治/大正期の文学研究の確立をめぐる検討、B.日本文学における現在の文献学的状況を探るケーススタディ、C.再評価の機運が高まっているイタリアの文献学者S.Timpanaroの代表著作の 読解と翻訳、D.英文学研究および教育における編集文献学的方法論の実践、E.独文学研究および教育における編集文献学的方法論の実践、F.人文学テクスト全般における「信頼性」および「正統性」をめぐる総合的な編集文献学的考察。テーマごとの班活動以外に、全体としての研究会も3回、2019年6月16日に慶應義塾大学で、7月31日に放送大学で、また2020年1月26日に慶應義塾大学で開催した。第1回での研究発表は、「編集文献学の可能性」(明星聖子)、第2回は、「古典文献学の可能性」(納富信留)、「注釈の編集文献学」(松田隆美)、第3回は、「南朝公卿補任の真贋判断をめぐって」(武井和人)、「偽書という虚構ー近代日本の小説3つをめぐって」(杉浦晋)。なお、こうした活動が実を結び、2019年9月に刊行された雑誌『書物学』(勉誠出版)で、特集「編集文献学への誘い」が組まれ、そこでプロジェクトメンバーの論考6本がまとめて掲載されたことは、特筆に値するだろう。
著者
近藤 研至
出版者
文教大学
雑誌
言語と文化 (ISSN:09147977)
巻号頁・発行日
no.31, pp.31-52, 2019

This paper discusses expression usage of the Japanese adjective predicate sentence. The expression usage has prototype and i -dropped type, such as atsui! , atsu! "hot!". Two types have five common properties. It is to have having recognition contents, thing recognizing at a place of the utterance, not arriving at the judgment, not trying transmission, and various feelings. The prototype is a basic form of the expression usage, but the i-dropped type is a model of the states of the recognition. Therefore i-dropped types have increased recently. In addition, i-dropped type can express various feelings. Two types may be emphasized at a place of the utterance. A used method is to insert an assimilated sound in a word and make vowel sound of the end of a word a long sound then, such as aʔtsui! aʔtsu! , atsuRi! atsuR! , aʔtsuRi!.aʔtsuR! .
著者
松永 綾華 三木 貴弘 近藤 貴弘 高﨑 博司
出版者
日本徒手理学療法学会
雑誌
徒手理学療法 (ISSN:13469223)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.3-8, 2021 (Released:2021-04-16)
参考文献数
15

14の腰椎不安定性の臨床症状の有無を問うLumbar Spine Instability Questionnaire(LSIQ)は,認知行動療法に比べてモーターコントロールトレーニングの方が治療効果が高くなる者の予測に役立つという報告がある。そこで本研究では,国際的な質問紙票の異文化適応ガイドラインに準拠してLSIQの日本語版を作成することを目的とした。仮日本語版作成までの過程では,LSIQの表現で不明確な箇所があり,LSIQの元となった2006年のデルファイ法研究の記述を元に一部改編し,各質問の内容を失わずにより日本語として理解しやすく自然な表現を心掛けた。腰痛関連の愁訴をもつ30名によるパイロットテストを行った結果,意味が分からないというコメントは420(30人×14質問)回答中1件であり,パイロットテストで使用した原稿が最終的な日本語版LSIQとなった。最終的に,腰痛を持つ幅広い方が理解できる日本語版LSIQが作成され,今後の研究での活用が期待できる。
著者
近藤 良
出版者
日本先天異常学会
雑誌
日本先天異常学会会報 (ISSN:00372285)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-16, 1980-03-30 (Released:2019-02-01)

"Hinoe-Uma" is the name of a year recurring in a sixty-year cycle in the ancient Japanese calender, and is characterized by a superstition that it is an evil omen for girls to be born in this year. In 1966, the year of "Hinoe Uma" live births m Japan decreased to 1,360,974, in contrast with 1,823,697 and 1,935,647 in the preceding and the following years, respectively. In 1966, the infant mortality rate from congenital anomalies rose to 22.6 per 10,000 live births from 19.8 in the preceding year and it returned to 19.2 in the following year. Whether there was an actual rise of risk or not should be a problem, because when the number of live births changes rapidly from one year to the next, infant mortality rate computed by a conventional method does not provide an accurate measure of risk of death during the first year of life. The author tried to obtain accurate measures of the risk using data on the number of infant deaths by age subdivisions from Vital Statistics in Japan 1965 to 1967. Adjusted infant mortality rates from congenital anomalies were 20.0, 21.2 and 20.5 per 10,000 live births in 1965, 1966 and 1967, respectively. It can therefore be concluded that there was no significant rise in the actual risk of infant deaths from congenital anomalies as a whole and from each kind of anomalies in 1966.
著者
近藤 裕陽 木下 光
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.475-480, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
16

本研究は、坂出人工土地の開発手法の意義と限界をその計画、事業プロセスの変遷を通して明らかにしたものである。結論は主に以下の三点である。1)坂出人工土地は公共用地を生み出す実験的な開発手法であったが、予定以上に事業が遅延し、事業途中の1969年都市再開発法が施行されたため、特殊解として位置づけられることになった。2)坂出人工土地はすべての土地の買収を前提としない画期的な開発手法であり、区分所有や立体換地による今日の再開発手法とは異なるものであった。3)坂出人工土地は構造や設備の観点において、土地と同等として捉える試みがなされたが、法的には位置づけられることがなかったため、結果的には建築床と同じ扱いになっている。
著者
近藤 博之
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.181-196, 1999-09-30 (Released:2009-10-19)
参考文献数
16
被引用文献数
5 1

教育機会の趨勢に関する近年の多くの研究は, 教育達成の相対的な格差が長期にわたりきわめて安定していることを示している。それらは教育機会の拡大からもたらされた変化と階層間の格差に関わる変化とを注意深く区別しているが, モデルの構成要素としてメリトクラシー仮説の意味するところを十分に考慮してはいない。本論は, 閾値の発想を取り入れた累積的ロジット・モデルを用いて, この問題に改めて取り組んでみたものである。そこでは, 各出身階層に一次元の連続量として進学の優位度を想定し, それを共通の閾値で区分したものが現実の教育達成をもたらしていると仮定している。この枠組みを用いてSSM調査データ (1955年と1995年) を分析することにより, 1) 戦前期から今日までの教育機会の変動が各出身階層の優位度分布を一定としたまま, もっぱら閾値の低下によってもたらされたこと, 2) 男女の教育達成の差も閾値構造の違いに帰属できること, 3) 高度成長期を含む戦後の教育拡大は階層間の格差を広げるように働いたこと, 4) 相対的な格差は今後も維持されるが, 絶対的な格差は徐々に減少していく見通しであること, などが明らかとなった。優位度分布の布置がつねに同じであるというこの結果は, 教育機会の問題に要因論的アプローチが不適切であることを示すものと解釈される。

1 0 0 0 OA 史料通信叢誌

著者
近藤瓶城 編
出版者
史料通信協会
巻号頁・発行日
vol.第7編, 1897
著者
近藤 喜代太郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.928-929, 1979-06-10

タバコの受難時代 人とタバコとの永いかかわり合いの歴史上,後者の受難がつづく時期は今日を措いてない.私はパイプ党だが,つぎつぎにだされるタバコの有害性の証拠のまえには脱帽するしかない.2月19日の朝日新聞によると,日本でのタバコによる損夫は,火事や病気で年に1兆1千億円をこすというが,これも愛煙家には気分のよくない数字だ,石油蛋白の有害論が盛んだが,もしタバコに永い歴史がなく,新顔の嗜好品だったら,ひとたまりもなく追放されてしまうことだろう. ところが,それほど悪者扱いされるタバコをのむ人々が罹りにくい病気がただひとつだけ知られている.専売公社の喜びそうなこの病気はパーキンソン病で,患者の既往歴を調べると,不思議にもかえって喫煙歴が少ない.パーキンソン病は初老期以降に起き,振戦,筋の固縮,無動症などを呈する病気で,本誌16巻2号の特集でとりあげられている.
著者
五十嵐 広明 近藤 昭夫
出版者
Arachnological Society of Japan
雑誌
Acta Arachnologica (ISSN:00015202)
巻号頁・発行日
vol.27, no.Specialnumber, pp.157-166, 1977 (Released:2007-03-29)
参考文献数
20
被引用文献数
3 2

1. 低張液処理押しつぶし法を真正蜘蛛類の11科17属18種に試みた結果, ほとんどの種で鮮明な染色 体像を得ることが出来, この方法は特に精原細胞分裂中期および還元分裂のさまざまな時期の染色体像 にすぐれていた.2. 低張液処理押しつぶし法により, オオヒメグモ Theridion tepidariorum 雄の22本の染色体がす べて小さい腕をもった端部動原体染色体であることがわかり, 2本のX染色体の一方と考えられる短い染色休が確認出来た.3. IMAI and KUBOTA の方法および酢酸解離空気乾燥法を原法に改良を加えて使用し, そのうち特に酢酸解離空気乾燥法は精原細胞分裂中期の染色体像にすぐれていた.4. IMAI and KUBOTA の方法および酢酸解離空気乾燥法に改良を加えた方法によるスライドに, SUMNER の BSG 法を用いた結果, オオヒメグモ, ササグモ Oxyopes sertalus の染色体の動原体付近が濃染し, この部分に構成的異質染色質が存在することがわかった.5. ササグモでは鮮明なC-バンドが得られたが, 1本のX染色体を含む21本のすべての染色体の動原体付近のみが濃染し, この部分のみに構成的異質染色質が存在することが示唆された.6. C-バンド法により性染色体を識別しようとする試みは成功しなかったが, オオヒメグモの染色体の一部には, 動原体付近以外の染色体末端が濃染するものがあるようであり, C-バンド法は真正蜘蛛類の核型の進化を考える上で, ある程度有効な方法であることが示唆された.
著者
近藤 憲久 福井 大 倉野 翔史 黒澤 春樹
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.63-70, 2012-06-30
参考文献数
36
被引用文献数
1

北海道網走郡大空町にある旧大成小学校体育館で,コウモリの出産哺育コロニーが発見された.本コロニーを形成する個体の捕獲を行い,外部形態を精査したところ,乳頭が2対あることからヒメヒナコウモリと同定した.また,8月以降にコロニー周辺で拾得された2個体のコウモリについても,外部並びに頭骨計測値からヒメヒナコウモリと同定した.5回にわたる捕獲調査の結果,本種は6月下旬~7月上旬に出産し,8月上旬には幼獣が飛翔を始めていた.本コロニーを形成する雌成獣は約60頭であった.8月以降は,成獣はほとんどいなくなり,幼獣が大部分(96%)を占めていた.飛翔時の音声構造は,FM-QCF型であり,ピーク周波数の平均値は26.1 kHzであったが,FM成分とQCF成分の比率は飛翔環境によって大きく変化していた.ヒメヒナコウモリのねぐらおよび出産哺育個体群は国内初記録であり,今回の発見により,本種の国内における繁殖・定着が明らかになった.<br>
著者
辛嶋 良介 羽田 清貴 井原 拓哉 近藤 征治 杉木 知武 川嶌 眞之 川嶌 眞人
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに】肩関節周囲炎の病因は,特発性,腱板炎,肩峰下滑液包炎,上腕二頭筋腱炎など諸説あり,その詳細については未だ明らかでない。治療は基本的に保存療法が選択され,関節運動制限に対して理学療法が処方されることが多く,制限される運動方向などを基に制限因子を推測し治療が行われる。その際,結帯動作に制限を有する症例では,MRIにおいて肩前方の輝度変化を示す例を多く経験する。そこで本研究ではMRIでの肩前方輝度変化と結帯動作を含む他の理学所見の関連を検討した。【方法】対象は2014年4月から2015年8月までの期間に当院にて肩腱板断裂,腱板損傷,肩峰下インピンジメント症候群,肩関節周囲炎の傷病名に対して保存的治療が行われ,MRI撮影と同時期に日本整形外科学会肩関節機能評価(以下,肩JOA score),肩関節可動域を含む理学所見の評価が行われていたものとした。除外基準は40歳未満,中等度以上の腱板断裂,石灰沈着性腱炎,変形性肩関節症とした。その結果本研究の対象者は24名25肩,平均年齢62歳(46-81歳),男性9名,女性15名であった。方法は診療記録を後方視的に調査,MRI T2強調像の医師,放射線技師の読影結果を基に,肩甲下筋腱辺縁および滑液包部(以下,前方)の高輝度変化の有無を確認した。また理学所見は,Visual analogue scale(以下,VAS),肩JOA score,自動挙上と外旋角度,結帯時母指到達脊椎高(以下,結帯),肩関節屈曲,外転,下垂位外旋,下垂位内旋,水平内転,水平外転角度として,輝度変化の有無での二群間の差を検討した。統計学的処理にはDr. SPSS II for windows 11.0.1 Jを用い,正規性の有無に従い対応のないt検定,Mann-Whitneyの検定を有意水準5%未満にて行った。【結果】MRIにて前方の輝度変化を認めたのは25肩中11肩(44.0%)であった。MRI前方輝度変化の有無での違いは結帯でみのみ有意な差を認め,前方輝度変化ありでは平均第4腰椎,前方輝度変化なしでは平均第1腰椎と前方輝度変化ありが有意に低位であった(p<0.05)。【結論】結帯動作は肩関節の伸展,内旋を含む動作であり,内旋制限は肩後方組織の伸張性低下に起因することが多く報告されている。しかし,本研究結果では肩前方に何らかの問題を有すると結帯に制限を生じやすいことが示唆された。これは結帯動作時,肩甲骨の前方傾斜,下方回旋と上腕骨の伸展,内旋するため,棘上筋腱は烏口突起下の方向へ滑り込む必要があるとされている。肩前方組織に問題が生じることで,この棘上筋腱の滑走が制限されるのではないかと推察した。今後結帯可動域の拡大を図る上で,肩前方組織による制限の可能性を策定する必要があると考えられる。