著者
近藤 雅樹 Masaki Kondo
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.395-407, 2012-02-27

火葬後,近親者が集まり,遺骨を粉にして服用する。あるいはこれに類する行為をおこなう。そのような習俗が日本のいくつかの地域で近年までおこなわれていた。公然とではないが点在していた。 この原稿では,何人かのインフォーマントから聞いた話と,近年の報告を紹介する。そして,こうした習俗が行われていた理由について考えてみる。 主要な事例報告対象とした地域は,以下のとおりである。 兵庫県淡路島南部,愛媛県越智郡大島,愛知県三河地方西部,新潟県糸魚川市。 近親者による食屍は,アブノーマルなことに思われる。しかし,長寿を全うした者,崇敬を集めていた人物が被食対象となっていることからは,死者の卓越した生命力や能力にあやかろうとする素朴な思いが反映していることを認めることができる。最愛の妻などの遺骨をかむことに対しても,哀惜の感情が表明されている。これらの行為は,素朴な人間感情の表出であると考えてよい。
著者
常樂 晃 林 独志 島居 徹 内田 克紀 赤座 英之 近藤 福次
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.909-911, 1999-10-20

患者は,25歳,男性。精神的に困窮したため発作的に爆竹を尿道に挿入し爆発させた。尿閉となり近医を受診し,治療目的で当科に紹介され,入院となった。MRIでは尿道構造が消失していた。尿道へのカテーテルの挿入はできなかったため,膀胱瘻を造設した。保存的に治療したところ,排尿障害を残さず自然治癒した。爆竹による尿道損傷の報告はなく,自験例が1例目であった。
著者
近藤 徹
出版者
一般社団法人 ダム工学会
雑誌
ダム工学 (ISSN:09173145)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.154-166, 2011-09-15 (Released:2011-09-26)
著者
卯野木 健 林田 敬 河合 佑亮 對東 俊介 安藤 守秀 飯田 有輝 笠井 史人 川崎 達也 神津 玲 近藤 豊 齊藤 正和 櫻本 秀明 佐々木 信幸 佐浦 隆一 中村 謙介 大内 玲 岡本 菜子 岡村 正嗣 栗原 知己 栗山 明 松石 雄二朗 山本 憲督 吉廣 尚大 矢坂 泰介 安部 諒 飯塚 崇仁 井上 拓保 内山 侑紀 遠藤 聡 大倉 和貴 太田 浩平 大塚 貴久 岡田 大輔 小幡 賢吾 片山 雪子 金田 直樹 北山 未央 喜納 俊介 草葉 隆一 桑原 政成 笹沼 直樹 高橋 正浩 髙山 千尋 田代 尚範 立野 淳子 田村 貴彦 田本 光拡 土谷 飛鳥 堤 悠介 長門 直 成田 知大 名和 智裕 野々山 忠芳 花田 匡利 平川 功太郎 牧野 晃子 正木 宏享 松木 良介 松嶋 真哉 松田 航 宮城島 沙織 諸見里 勝 柳 尚弥 山内 康太 山下 遊平 山本 夏啓 劉 啓文 若林 侑起 渡辺 伸一 米倉 寛 中西 信人 高橋 哲也 西田 修 日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.30, no.Supplement2, pp.S905-S972, 2023 (Released:2023-12-10)

重症患者に対する標準化された質の高いリハビリテーションの提供は,取り組むべき重要課題である。日本集中治療医学会では,2017年に「集中治療における早期リハビリテーション ―根拠に基づくエキスパートコンセンサス―」を発行したが,系統的にエビデンスを評価したものではなく,あくまでも専門家のコンセンサスに基づくものであった。そこで,日本集中治療医学会では,質が高く,かつ,医療従事者が理解しやすく,その意思決定に資することを目的に,システマティックレビューおよびGRADE(grading of recommendations, assessment, development and evaluation)アプローチを用いた診療ガイドラインを作成した。 重症患者に対するリハビリテーションに特化し,かつ,GRADEアプローチを用いた診療ガイドラインとしては,世界初の試みである。本ガイドラインは日本集中治療医学会集中治療早期リハビリテーション委員会を核に,ワーキンググループ,システマティックレビュー班,アカデミックガイドライン推進班から構成された診療ガイドライン作成グループの合計73名からなるメンバーで作成した。リハビリテーションでは多職種連携が非常に重要であることはいうまでもない。本ガイドラインも多職種,かつ多様な専門分野を持つ医師や医療従事者,ICU患者経験者を含む多くのメンバーが作成に寄与した。 本ガイドラインでは,グループメンバーによる議論に基づいて,8領域を注目すべき臨床重要領域とした。その上で,各領域から重要な14の臨床疑問(clinical question, CQ)を作成した。 パブリックコメントの募集を計2回行い,CQに対する回答としては,10のGRADEによる推奨,4つの背景疑問の解説が示された。また,CQごとに情報を視覚的診療フローとして作成し,各CQの位置付けがわかりやすいように配慮した。多職種が関与する重症患者に対するリハビリテーションにおいて,本ガイドラインが活用されることを期待する。

110 0 0 0 OA 感冒後嗅覚障害

著者
近藤 健二
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.271-277, 2014-07-25 (Released:2018-02-13)
参考文献数
54
被引用文献数
1

感冒後嗅覚障害は,上気道のウィルス感染罹患後に上気道炎症状が消失したあとも嗅覚障害が持続する状態である.発症は中高年齢の女性に多く,嗅神経上皮および中枢嗅覚伝導路の傷害による神経性嗅覚障害と考えられている.内視鏡検査,画像検査では異常を認めず,上気道炎罹患後に嗅覚低下を自覚したという病歴が本疾患の診断の決め手となる.基準嗅力検査では中等症以上が大半で高度低下,脱失例が半分以上を占める.治療は本邦では亜鉛製剤,漢方製剤,ステロイド点鼻および内服,ビタミン製剤,代謝改善剤などが使用されている.また嗅覚トレーニングが回復に有効との報告もある.機能回復には長期間(1年以上)かかることが多い.
著者
近藤 正聡 チザール バレンティン 寺井 隆幸 鈴木 晶大
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.408-412, 2010-07-25

液体金属リチウムと低放射化フェライト鋼,バナジウム合金およびこれらの絶縁被覆との共存性について,リチウム中の不純物濃度が共存性に与える影響に注目し,腐食メカニズムとその対策までをまとめる.
著者
近藤 尚己 石川 善樹 長友 亘 齋藤 順子
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

疾病予防行動の社会経済格差是正に向け、人の持つ認知バイアス効果を応用した行動科学アプローチの枠組みを整理したのち、実証研究を行った。健康チェックサービス事業者のデータを用いて、サービス利用の勧誘の際、従来の健康リスクの理解を促す方法と、サービスへの興味関心を引きやすい感性に訴える方法を用いた場合の利用者の属性を比較したところ、後者の方が社会的に不利な状況(無職者など)の割合が高かった。足立区と区内26のレストランと合同で行った、野菜増量メニュー注文者に対する50円割引キャンペーンの効果検証の結果、普段昼食に支払う価格が最も少ない人々でキャンペーンの効果が最も高まり、店舗の売り上げも増加した。
著者
安達 登 近藤 修 角田 恒雄 神澤 秀明
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

研究期間中に、査読つき英文論文6編、査読つき和文論文5編を出版した。成果の中で特筆すべきものとして、江戸時代アイヌのミトコンドリアDNAについて世界初の論文を公表したことが挙げられる。この研究で、アイヌは縄文時代人の遺伝的特徴を色濃く受け継ぐ他に、シベリア先住民族および本州日本人の遺伝的影響も想像以上に大きいことが明らかとなり、日本列島人の成立を説明する二重構造モデルに一部修正が必要なことを初めて実証した。さらに、北海道船泊遺跡出土縄文後期人骨について、世界初となる現代人レベルでの高精度ゲノム解析に成功した。このデータは今後日本列島人の成立を考える上で根幹となる重要なものである。
著者
一方井 祐子 中村 史一 麻生 尚文 神谷 隆之 近藤 菜穂 久保田 好美 徳田 周子 豊田 丈典 古川 遼 宮田 舞 渡邉 俊一 横山 広美
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.83-93, 2012-06

This study focuses on the difference of public interest and expectation for eight scientific fields. The investigated fields included astronomy, planetary science, particle physics, mathematics, solid state physics, paleontology, seismology, and molecular biology. For analyzing the interest and expectation for the eight science fields, a survey was administered to 780 people over 20 years old. Expectation was rated high in the fields in which research contents are easy to understand and the research findings are believed to be linked to daily life. On the other hand, fields considered to be abstract and not related with daily life were rated lower in public interest and expectation. On the basis of these findings, we will discuss the future of science communication in these fields.
著者
近藤 憲久 河合 久仁子 村野 紀雄
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.39-45, 2011 (Released:2011-07-27)
参考文献数
23

札幌市手稲区(43°07′N,141°11′E)で2007年11月9日に拾得されたコウモリは,クロオオアブラコウモリと同定され,日本において8番目,札幌においては4番目の報告となった.日本でこれまで報告されているクロオオアブラコウモリ標本と本拾得個体の頭骨を精査した結果,これまで指摘されてきたように,上顎第二前臼歯が消失傾向にあることが明確となった.また,キタクビワコウモリとクロオオアブラコウモリを比較すると,上顎犬歯咬頭後稜の向きおよび下顎犬歯の高さと第四前臼歯の高さの比率が種識別に有効であることがわかった.
著者
近藤圭造 訳述
出版者
阪上半七
巻号頁・発行日
vol.1, 1879
著者
蔦谷 匠 安藤 康伸 飯田 有希 井上 志保里 貴舩 永津子 小寺 千絵 近藤 菜穂 猿谷 友孝 豊田 丈典 中村 史一 宮武 広直 渡邉 俊一 横山 広美
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.23-34, 2011-06

Studies for iPS (induced Pluripotent Stem) cells are so important field for both basic science and regenerative medicine that they have attracted a great deal of attention and expectation from scientists, media and public. We revealed that unlike scientists, media and public had not paid attention to mouse iPS cell, the first achievement of the research, however, they were enthusiastic about human iPS cell. Our results suggest that the area of interest about iPS cells differed among scientists, media and public.
著者
近藤 哲夫 中澤 匡男 加藤 良平
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.276-280, 2013 (Released:2014-01-31)
参考文献数
14

乳頭癌充実型は充実性構造を呈して増殖する乳頭癌の一亜型で,成人発生の甲状腺癌に比べて小児の甲状腺癌でその頻度が高いことが知られている。特にチェルノブイリ原子力発電事故後に周辺地域で増加した小児甲状腺癌ではこの充実亜型の割合が高いことが報告され,放射線被爆との関連がこれまで論議されてきた。また乳頭癌充実型にはret/PTC3変異が高いことも知られており,遺伝子異常の点からも通常型乳頭癌とは異なる特徴を持っている。福島原子力発電事故よって本邦でも小児甲状腺癌への関心が高まっているが,本稿では乳頭癌充実型/充実濾胞型の病理学的特徴,低分化癌との異同,チェルノブイリ原子力発電事故との関連,本邦における乳頭癌充実型,遺伝子背景について概説する。