著者
中村 年子 遠藤 仁子 本間 恵美 平光 美津子 渡辺 久美子 Toshiko Nakamura Hitoko Endo Emi Honma Mitsuko Hiramitsu Kumiko Watanabe
雑誌
東海女子短期大学紀要 = The journal of Tokai Women's Junior College (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
no.12, pp.47-51, 1986-03-31

1.正月用餅と鏡餅の入手方法は,自宅が最も多かったが,正月以外の餅では,店頭購入が最も多く,梶本らの調査の賃搗き,自宅,店頭購入の順とは異っていた。店頭購入では,正月用餅・鏡餅とも餅菓子屋がマーケットより遙に多いが,正月以外の餅はマーケットでの入手が多かった。自宅については,きね搗きは少なく,特に正月以外では電気餅搗き器の使用が圧倒的に多かった。このことは最近の電気餅搗き器の普及によるものと考えられる。2.餅の嗜好度は,嫌いが1.6%で一般に好まれていた。3.正月3が日の餅の喫食量は,最少量37g,最大量705gで個人差が多かった。1日平均喫食量は74.1gであり,1972年の短大生の喫食量の調査における125gの約60%に当り,かなりの減少が見られた。4.餅は白餅の角餅が圧倒的に多く,特に正月用では93%を占めていた。正月以外では行事に因んで餅を食することもあって,丸餅も20%使用されていた。5.餅の食べ方については,一般に朝食に喫食されることが多い。正月用餅は,雑煮が圧倒的に多く,正月以外では焼き餅が最も多かった。雑煮については,元旦が82%で2日は約半数に減った。元旦でさえ食さない者が18%もあり,雑煮を全然食さない者も11%あった。また元旦の朝から焼き餅やぜんざいを食している者もあって,若い世代の正月の雑煮離れの傾向が僅かながら見られた。この地方の雑煮は,澄まし仕立ての汁に角餅を入れて煮込み,小松菜とけずり節を添えるといったものが一般的であった。正月以外の餅は約2/3の者が喫食してはいるが,いつも食べるは0で,時々食べるも僅か10%であり,短大生にとって餅は好きな食品ではあるが,やはり正月のものであり,法事,節句,祭り等の行事に因んで喫食していることがわかった。
著者
本間 恵美 平光 美津子 尾木 千恵美 鷲見 孝子 黒木 智奈美 遠藤 仁子 中村 年子
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.9-17, 1995-03-31

(1)対象学生は,自宅通学者が80%近くを占め,通学時間は1時間未満が半数以上あった。アルバイトは60%近くの者がしており,1ヵ月のこづかい額は,2万円以上が42.3%あった。(2)昼食の意識として高いのは,「栄養のバランスを考える」で,ついで「友達つきあいが大切」,「お金をかけたくない」である。「食べたいときに欲しいものを食べればよい」,「ウエイトコントロールのために控えめにしよう」と思う者は少なく,約半数の者はそのような意識はないとしている。13)自家製弁当については,「外食よりも安上がりだ」と思う者は,80%以上あり,「好きなものや食べる量が選べるからよい」,「弁当を持って行きたい」と思う者は50%前後あった。「弁当をつくる時間がもったいない」と思う者は少なく,全体的にみて弁当持参に賛成の意向がみうけられた。(4)「昼休みは短い」と思っている者は約70%で,「学生食堂は便利」,「外食の方が弁当よりリッチ」と思う者はいずれも50%強あった。「目新しい食品で楽しみたい」,「既製品は衛生'面で心配」ということはあまり意識していないようである。(5)高校生の時はほとんどの者が毎日弁当持参であったが,現在は持って行く日が多い者は30%弱であり,全く持って行かない者が45%と多かった。(6)5日間の昼食の実態では,テイクアウト食品の利用が最も多く,学生食堂・飲食店の利用などを含めると46.7%が外食をしていた。昼食を自宅で摂る者も30%近くあり,自家製弁当を持って行った者はわずか16.7%のみであった。(7)外食の食事内容は利用先により異なり,学生食堂ではカレーライス等,定食・ランチが多く,飲食店では定食・ランチが,テイクアウト食品では市販弁当,菓子パン,飲料・デザト類が多かった。(8)食事の選択理由は,学生食堂や飲食店を利用する場合は「おいしそう」が多く,テイクアウト食品の場合は「簡単にすませたい」,「好きだから」が多い。飲食店を利用する場合は「友達つきあい」というのも多かった。栄養のバランスを考えることは意識調査では高率であったが実態調査ではいずれの場合でも少なかった。
著者
中村 年子 遠藤 仁子 本間 恵美 平光 美津子 尾木 千恵美 片桐 晶子 鷲見 孝子 松尾 良克
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.75-84, 1989-03-31
被引用文献数
1

1)漬け物を漬けている世帯は全体の80.8%であり,地域別では農村が最も多かった。高齢者のいる家庭では,いない家庭より漬けている比率が高かった。2)漬ける漬け物の種類は,塩漬けが78%と圧倒的に多く,ついで梅漬けであった。1世帯で漬ける漬け物の種類数は1〜3種類が過半数を占め,5種類以上漬ける家庭も33.8%あった。3)塩漬けにする食品は,きゅうり,白菜が最も多く,何れも60%以上の家庭で漬けられていた。漬けておく期間は1〜2日が71.4%と短期間のものが多く,長期間のものは僅かであった。4)梅漬けは毎年必ず漬ける家庭が60%前後あり,土用干しをする大梅・小梅が圧倒的に多かった。各年齢層別に梅を漬ける人の比率をみると61〜65歳が75.0%で最も高かった。高齢者がいる家庭のうち約70%は梅を漬けており,高齢者のいない家庭よりその比率が高かった。1回に漬ける梅の分量は,大梅・小梅ともに1〜4kgが多かった。塩分濃度は大梅・小梅(土用干し)とも,平均が約17%であり,塩分濃度の低いもの程焼酎を併用するものが多かった。5)漬け物を購入する家庭は全世帯の89.1%であり,漬ける・漬けないにかかわらず,ほとんどの家庭が購入していた。購入する漬け物の種類は,たくあん漬けが最も多く,ついで野菜類の塩漬け,福神漬け,梅干しの順であった。6)食事に漬け物が「必ず出る」は自宅で漬ける家庭では67.1%,漬けない家庭では31.2%であり,漬けているかいないかによって,その差が顕著であった。高齢者のいる家庭では,「必ず出る」が66.7%で,高齢者のいる家庭の方が漬け物が食事に出る頻度が高かった。7)漬け物の嗜好については「好き」と答えたものがほとんどであり,「嫌い」は僅かであった。年齢別では31歳以上はその70〜80%のものが「好き」で,30歳以下との差が顕著であった。8)食べる頻度は「毎日必ず食べる」と「1日1回以上食べる」とで全体の半数を占め,「全く食べない」は僅かであった。嗜好別では「好き」と答えたものは「毎食必ず食べる」41.8%,「1日1回以上食べる」32.5%で,好きでないものより圧倒的によく食べている。即席漬けにしょう油をかけるものが約70%あった。
著者
本間 恵美 粥川 晶子 遠藤 仁子
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.27-34, 1994-03-31

おせち料理に対する意識および実態は,家庭によって差があるが,母親による影響が大きいことがわかった。要約すると次のようになる。 1)おせち料理を用意する家庭は全体の97.6%あった。そのうち全て手作りで整えている家庭は5.7%,市販品だけで済ませている家庭は2.1%であった。 2)各家庭毎の料理の品数は8〜11品の家庭が多い。 3)多くの家庭で取り入れられている料理は,黒豆・田作り・数の子・かまぼこ・卵焼き・野菜のうま煮・昆布巻き・きんとんなど,伝統的なものであった。 4)祝い肴を80%以上の家庭に取り入れられており,祝い肴を三種そろえて用意している家庭は65.2%あった。 5)おせち料理のうち手作り料理は55.3%,市販品が44.7%で,各家庭の平均品数は手作り料理5.5品,市販品4.6品であり,手作り料理の方がわずかに多かった。 6)重箱を用いている家庭は62.8%あったが,年度別にみると次第に減少の傾向にある。詰め方は形式にこだわらず,各家庭まちまちであった。 7)正月に対する意識は,「家族全員で祝いたい」,「おせち料理は欠かせないと思う」,「正月用の特別の食器を使いたい」の順に高かった。 8)おせち料理の整え方について,手作りしたいと思っているものは,母親・学生とも約60%あった。両者の間に有意差は認められなかったが,「手作りしたい」という意識は母親の方が高く,「特別にしなくてよい」という意識は学生の方がわずかに高い傾向にあった。 9)母親の手作り意識別に,実際の手作り度をみると手作りの志向の高い家庭は,手作り度が高く,手作り料理の品数も多かった。 10)伝承は実家の母親から受けたものが多く,婚家より実家のおせち料理の方が,圧倒的に多く伝承されていくようである。 11)伝承を受けたものは,「おせち料理は欠かせない」という意識が高く,伝承がなければおせち料理に対する意識も次第に薄れていくものと思われる。 12)「献立を考える」・「買い物をする」・「料理をする」「盛り付け・重詰めをする」について,学生の手伝いの程度を調べた結果,「買い物」は「よく手伝った」といえるものが他の項目よりは多いが,全体的に手伝いの程度は低いといえる。 13)よく手伝いをしているものほど,「おせち料理は欠かせない」という意識が高い。 行事食はその国の文化の一つである。食生活が多様化し,わが国の伝統の料理が日常の食卓から遠のいて行きがちな現在,おせち料理を作り,新春を祝うことを通して,日本の文化を伝承していくことが大切である。時代に即したおせち料理に変化させながらも,伝統の味を受け継いでいきたい。
著者
渡邊 三津子 遠藤 仁 古澤 文 藤本 悠子 石山 俊 Melih Anas 縄田 浩志
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.265, 2020 (Released:2020-03-30)

1. はじめに 近年,大野盛雄(1925〜2001年),小堀巌(1924〜2010年),片倉もとこ(1937〜2013年)など,日本の戦後から現代にいたる地理学の一時代を担った研究者らが相次いで世を去った。彼らが遺した貴重な学術資料をどのようにして保存・活用するかが課題となっている。本発表では,故片倉もとこが遺したフィールド資料の概要を紹介するとともに,彼女がサウディ・アラビアで撮影した写真の撮影場所を同定する作業を通して,対象地域の景観変化を復元する試みについて紹介する。2. 片倉もとこフィールド資料の概要 片倉が遺した研究資料は,フィールド調査写真,論文・著作物執筆に際してのアイデアや構成などを記したカード類,フィールドで収集した民族衣服,民具類など多岐にわたる。中でも,写真資料に関しては,ネガ/ポジフィルム,ブローニー版,コンタクトプリントなど約61,306シーンが確認できている(2018年12月現在)。本研究では,片倉が住み込みで調査を実施した経緯から,写真資料が最も多く,かつ論文・著作物における詳細な記述が遺されているサウディ・アラビア王国マッカ州のワーディ・ファーティマ(以下,WF)地域を対象とする。3. 片倉フィールド調査写真の撮影地点同定作業 本研究では,以下の手順で撮影地点の同定をすすめた。1) 調査前の準備(写真の整理と撮影地域の絞り込み) まず,写真資料が収められた収納ケース(箱,封筒,ファイルなど)や,マウント,紙焼き写真の裏などに書かれたメモや,著作における記述を参考に,WF地域およびその周辺で撮影されたとみられる写真の絞り込みを行った。次いで,WF地域で撮影されたとみられる写真の中から,地形やモスクなどの特徴的な地物,農夫などが写り込んでいる写真を選定し,現地調査に携行した。2) 現地調査 2018年4〜5月,2018年12月~2019年1月,2019年9月の3回実施した現地調査では,携行した写真を見せながら,現地調査協力者や片倉が調査を行った当時のことを知る住民に,聞き取り調査を行った。 次に,撮影地点ではないかと指摘された場所を訪れ,背景の山地,モスクや学校などの特徴的な地形や地物を観察するとともに,周辺の住民にさらなる聞き取りを行った。 聞き取りや現地観察を通して撮影地点が特定できた場合には,できるだけ片倉フィールド調査写真と同じ方向,同じアングルになるように写真を撮影するとともにGPSを用いて緯度・経度を記録した。なお,新しい建築物ができるなどして同じアングルでの撮影が難しい場合には,可能な限り近い場所で撮影・記録を行った。3) 現地調査後 調査後は,調査で撮影地点が同定された写真を起点として,その前後に撮影されたとみられる写真を中心に,被写体の再精査を行い,現地調査で撮影地点が同定された写真と同じ人物,建物,地形などが写り込んでいる写真を選定し,撮影同定の可能性がある写真の再選定を行った。一連の作業を繰り返すことで,片倉フィールド調査写真の撮影地点の同定をすすめた。4. 写真の撮影地点の同定作業を通した景観復元の試み 撮影地点が同定された片倉のフィールド調査写真と、現在の状況との比較,および1960年代以降に撮影・観測された衛星画像との比較を通して,およそ半世紀の間におこった変化の実情把握を試みた。例えば衛星画像からは、半世紀前にはワーディに農地が広がっていたのに対して,現在では植生が減少していることなどを読み取ることができる。一方で,集落では住宅地が拡大し,道路が整備された。このような変化の中、地上で撮影された写真からは,以下のような変化を読み取ることができる。例えば,1960年代の集落には,日干しレンガの平屋が点々とあるだけであったが,現在は焼成レンガやコンクリートを使った2階建以上の建物が増えた。一方で,集落内のどこからでも見えた山はさえぎられて見えなくなった。また,次第に電線が張り巡らされ,1980年代以降電化が進んだ。また,1960年代当時は生活用水をくむために欠かせなかった井戸は,配水車と水道の普及により次第に使われなくなった。発表では,実際の写真を紹介しながら,フィールド写真を用いた景観変化復元の試みについて紹介する。 本研究はJSPS科研費16H05658「半世紀に及ぶアラビア半島とサハラ沙漠オアシスの社会的紐帯の変化に関する実証的研究」(研究代表者:縄田浩志),国立民族学博物館「地域研究画像デジタルライブラリ事業(DiPLAS)」,大学共同利用機関法人人間文化研究機構「現代中東地域研究」秋田大学拠点の研究成果の一部である。また,アラムコ・アジア・ジャパン株式会社と片倉もとこ記念沙漠文化財団との間で締結された協賛金事業の一環として事業の一環として行われたものである。
著者
村上 由佳 渡邊 三津子 古澤 文 遠藤 仁
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

1.はじめに<br><br> 2004年新潟県中越地震以降、集落の孤立とそれに伴う情報の途絶が、災害のたびに問題になってきた。2017年九州北部豪雨においても、情報の途絶が発生した。また、近年の災害においては、SNSを介して有益な情報がもたらされる一方で、それらがもたらす混乱も新たな問題として浮かび上がってきた。災害時に必要な情報が必要な場所に届けられるにはどのような対応が必要だろうか。発表者が調査を行ってきた2011年台風12号水害(紀伊半島大水害)を例に検討する。<br><br> 紀伊半島熊野川流域は、国内有数の水害常襲地域として知られている。本発表で対象とする和歌山県新宮市は、熊野川河口に位置する。2011年台風において、土砂災害・浸水・河川氾濫等により、死者13人、行方不明者1人、81棟の全壊及び家屋流出を含む2,968棟の住家被害等があり、局地激甚災害に指定された(和歌山県新宮市、2015)。<br><br> また、紀伊半島大水害時には、新宮市内の高田・相賀・南檜杖地区及び熊野川町地域全域が孤立するとともに、電話の不通、テレビ放送等の利用不能(和歌山県新宮市、2015)、防災行政無線の難聴(新宮市議会災害復興対策特別委員会被災地現地調査部会、2012)など、情報の途絶がおこった。<br><br> 本発表では、新宮市議会会議録や地方新聞(熊野新聞等)から、紀伊半島大水害時における情報の送受信に関する問題点を把握し、その対応と課題を整理する。<br><br> <br><br>2. 紀伊半島大水害時における情報伝達の課題<br><br>2.1. 被災時における情報送受信に関する課題<br><br> 被災時における情報の途絶により、被災者に被災状況が伝わらないことが問題であるが、他方で、例えば新宮市熊野川町西敷屋では、「平成23年には、携帯を含めて電話が一切つながらなかった。消防にも連絡がつかず、亡くなった方を自分たちで運び出した」(渡邊ほか、2015)というように、被災者側から必要な情報が伝達できなかったことも大きな課題といえる。<br><br>2.2. 課題に対する行政の対応<br><br>紀伊半島大水害の後に新宮市は、防災行政無線のデジタル化整備事業を実施し(計画は水害以前から存在)、防災行政無線をデジタル化、個別受信機の配備、防災行政無線難聴時に備え、メール配信サービス等を整備した。全国瞬時警報システムJ-ALARTの運用を開始し、津浪や地震などが発生した場合に、消防庁から人工衛星を通じ、防災行政無線を自動起動させて、緊急情報を伝達する仕組みを整えた(「紀南新聞」2015年3月29日)。このように被災者に情報を伝える対策は進んでいる。<br><br>一方で、被災者が被災情報等を伝達する方法については、課題が多い。防災行政無線をデジタル化することにより、情報の双方化が実現しているが、これは、被災者個人からの連絡手段というよりも、行政間、屋外の放送局と双方向で情報をやりとりするというところに主眼を置いた対応である(新宮市議会平成23年3月 定例会3月9日)。現実問題として、被災者は公的避難所ではなく、自宅の2階や、地形的に一段高いところに立地する隣家に身を寄せたりして難を逃れた。本地域では、高齢化が進んでおり、そうした地域において、遠くの公的避難所に避難することが困難な場合は多く、避難の現状に即した、被災者からの情報伝達手段の検討が必要である。<br><br>2.3. 被災者側から情報を伝えるための方法の整備について<br><br> 新宮市議会において、被災時に徒歩で向かうことが困難な集落から外部への連絡手段として、衛星携帯電話の配備が議論されたことがある(平成26年9月定例会)が、実現はしていない。しかしながら、散在した被災者個人から、情報を適宜適切に伝える手段としても、行政がSNS上の雑多な情報に惑わされずに、正確な情報をつかむという意味でも、衛星携帯電話等を整備することが有効であろう。ただしその場合、設置場所、導入コスト、被災時を想定した訓練や、連絡網等を作成する場合などの、個人情報保護との兼ね合い等が課題となる。<br><br> <br>和歌山県新宮市(2015)『紀伊半島大水害 新宮市記録集』/新宮市議会災害復興対策特別委員会被災地現地調査部会(2012)『水害時の避難行動調査からみるこれからの洪水対策 報告書「防災」から「減災」へ』/渡邊三津子ほか(2015)「水害常襲地域における流域社会の変容と災害対応に関する基礎的研究-新宮市熊野川町西敷屋地区を事例に-」、奈良女子大学地理学・地域環境学研究報告、Ⅷ、111-120頁。
著者
元川 竜平 遠藤 仁 横山 信吾 西辻 祥太郎 矢板 毅 小林 徹 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2015年度日本地球化学会第62回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.190, 2015 (Released:2015-09-03)

福島第一原子力発電所の事故により環境中へ放出された放射性セシウムが、福島県を中心に広範な地域に対して環境汚染をもたらした。放射性セシウムは、水を介して拡散し、土壌に吸着しているが、その中でも特に風化黒雲母・バーミキュライトといった特定の粘土鉱物に濃縮され、強くとり込まれることが明らかにされている。そこで我々は、X線小角散乱(SAXS)法を用いて、バーミキュライト・風化黒雲母/セシウム懸濁液の構造解析を行い、セシウムイオンの吸着に伴う粘土鉱物の構造変化を明らかにした。
著者
高橋 重雄 酒井 洋一 森屋 陽一 内山 一郎 遠藤 仁彦 有川 太郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.159-164, 2008 (Released:2010-08-25)
参考文献数
27

The primary objective of tsunami disaster mitigation is to reduce the casualties. The major cause of the deaths is drowning by tsunami current, especially during evacuation. In the paper, the causes of deaths are discussed through reference to past experiences. A fault tree is presented to summarize the physical danger posed by tsunami waves to the human body, and the personal danger is discussed based on the tree. The stability of the human body against wave front collision and tsunami currents is discussed and threshold conditions are proposed. The time for evacuation is usually very limited and the risk of encountering a tsunami during evacuation is often high. Walking in inundated areas during a tsunami attack is especially dangerous. Vertical evacuation is highly recommended.
著者
本間 恵美 平光 美津子 尾木 千恵美 粥川 晶子 鷲見 孝子 遠藤 仁子 中村 年子
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.39-48, 1993-04

(1) 調理担当者が市販そうざい・調理済み食品を利用する時に,調理を手抜きしたようなうしろめたさを感じる割合は,「感じることもある」が最も高く,半数を占めた。 利用方法を「加熱のみ」と「ひと手間加える」別にみた「うしろめたさを感じる」割合は,調理済み食品の「加熱のみ」85.5%が,他よりも高く,うしろめたさを「全く感じない」は,調理済み食品の「ひと手間加える」がわずかに高かった。 (2) うしろめたさと利用する理由は,「いつも感じている」「感じることもある」「全く感じない」のいずれも,「作る時間的ゆとりなし」が最も多く,「感じることもある」では「調理することがめんどう」も理由にあがり,「全く感じない」者は,「作るより経済的」「家族が好む」をもあげていた。 (3) うしろめたさを感じる割合の高い食品は,コロッケ,フライ,肉の空揚げなどおかずになるような食品で,低い食品は,寿司,赤飯,中華まん類,ピザパイなどの軽食になる食品が多かった。 うしろめたさと購入は,購入の多いことが,うしろめたさを感じないものであるとは一概には言えなかった。 (4) 市販食品の利用を好まない家族は,全体の1/3を上回り,「ほとんど利用しない」家庭に多かった。年代別にみると,50歳代は市販食品を好まない割合が他よりも高く,若い年齢の者ほど好まない割合が低かった。 家族が嫌う食品は,コロッケ,煮物,茶碗蒸しが少々目だつ程度で,全体的には低い値であった。 (5) 現在の利用に対する意識は「利用してないほうだと思う」が55.6%を占め,「ふつうだと思う」を上回った。 利用頻度の実態と現在の意識は,利用頻度の高い者ほど「利用しているほうだと思う」割合が高かった。(6) 今後の利用に対する意識は,「もっと利用したい」「今後は利用したい」がひとりもなく,「できるなら減らしたい」「できるだけ減らしたい」が合わせて約60%あった。 (7) 現在の利用頻度別今後の意識は,「週に3〜4回以上」利用している者の「今後も利用したい」割合は,市販そうざいで100%,調理済み食品で71.4%と,利用頻度の高い者に,利用に対しての積極性がみられた。 (8) 「今後は現在くらい利用したい」者の今後利用したい食品の順位は,市販そうざいではうなぎのかば焼き,中華まん類,シューマイ,ギョーザなど,調理済み食品ではラーメン,ピザパイ,中華まん類,シューマイなどとなった。 (9) 調理素材の利用状況は,コーン78.4%,魚類缶詰76.4%が最も多く,インスタント調味料ではカレールー91.0%,焼肉のたれ68.1%が多かった。調理素材の利用率は91.7%を占め,利用する理由は,「季節に関係なく使える」「下ごしらえの時間的ゆとりなし」が多かった。 (10) 今後は,市販食品の利用が伸び,市場には健康志向,高級志向,高齢化に対応し,選択性に富んだ多品種の商品が出まわると思われる。 しかし,手作りに対する魅力も根強いものがあり,手作りと簡便性の両方が満たされるインスタント調味料,調理素材の利用が増えるものと推測される。
著者
遠藤 仁
雑誌
宮城教育大学紀要 = BULLETIN OF MIYAGI UNIVERSITY OF EDUCATION
巻号頁・発行日
vol.56, pp.75-89, 2022-01-31

本稿では、明治期より親しまれてきた「マッチ売りの少女」の表現と文体のうち、特に文末表現に着目し、文語から口語へ、そして「読むための物語」から「語りかける物語」に変容していくプロセスをたどってみた。その結果、昭和20年代後半、折しも「岩波少年文庫」の創刊と相前後するかのように「デス・マス体」専用の軽快かつ安定した訳文に統一され、今日まで親しまれてきたこと、書きことばとしての規範性や形式性が強く作用した結果として、話しことばの標準化より20年あまりも早く訳文の現代口語化を完了していることが明らかとなった。
著者
本間 恵美 平光 美津子 尾木 千恵美 鷲見 孝子 黒木 智奈美 遠藤 仁子 中村 年子 Emi HONMA Mitsuko HIRAMITSU Chiemi OGI Takako SUMI Chinami KUROKI Hitoko ENDO Toshiko NAKAMURA
雑誌
東海女子短期大学紀要 = The journal of Tokai Women's Junior College (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
no.23, pp.67-78, 1997-03-31

(1)学生の外食の利用状況は,テイクアウト食品の利用率が高く,食事内容は市販弁当,飲料やデザート類,菓子パンが多かった。外食の平均価格は377.3円で,利用先別平均価格はテイクアウト食品326.0円,学生食堂327.4円,飲食店795.7円であった。食事内容は組み合わせ方が様々で,単品・組み合わせを含めると60種類あった。食事内容別の価格は,利用率の最も高い市販弁当(23.7%)が331.1円で,次いで利用率の高い定食が642.0円であった。定食を除くその他の組み合わせば平均価格内であった。選択理由別の価格は,「量を考えて」,「経済的に好都合」は300円以下で,「友達とのつきあい」の661.4円と大差があった。(2)外食121種類を買い上げ,秤量法で栄養価を算出し,20才女子生活活動強度11(1/3日)栄養基準量と比較した結果,定食は高たんぱく質,高脂質で,市販弁当はカルシウム,ビタミンCの不足,寿司・麺類は栄養価が低く,どんぶり物は種類により差が目立った。いずれの場合もカルシウムは著しく不足し,麺類以外は脂質が過剰であった。(3)食事の組み合わせパターン別に栄養価の充足状況をみると,利用の多かった弁当+お茶の組み合わせではミネラルが不足していた。弁当+デザート類は鉄,ビタミンCが不足していたが,他の栄養素はほぼ充足されていた。弁当+調理パンはエネルギー,たんぱく質,脂質,食塩が過剰であった。菓子パン2個,調理パンはお茶と組み合わせた場合はミネラルとビタミン類(C以外)の不足が目立つが,乳飲料・デザート類を組み合わせると,お茶の場合よりは栄養価のバランスはよくなった。(4)望ましい外食の摂り方としては,定食は高エネルギー,高たんぱく質,高脂質と栄養価が過剰なので,食品を考えて料理の一部を食べ残す方法が適していた。一品料理ではカルシウム,ビタミン類が不足するので具の多い料理を選ぶか,乳製品・果物を追加し,テイクアウト食品の場合でも手軽に利用できる牛乳・果物・ジュースなどを追加すれば,栄養価を補正することができた。追加のために要する費用は,概ね100円程度であった。(5)学生は栄養のバランスを考えて摂ることが大切だという意識が高い反面,実態調査では実践に結びついていないことがわかった。そこで,学内に食品群別めやす量を掲示し,食堂メニューに栄養価を表示し,一品メニューを増やし食品を追加するなど,食生活についての教育をすすめていきたい。
著者
小茄子川 歩 宗臺 秀明 遠藤 仁 木村 聡
出版者
鶴見大学
雑誌
鶴見大学紀要. 第4部, 人文・社会・自然科学編 = The bulletin of Tsurumi University. Pt. 4, Studies in humanities, social and natural sciences (ISSN:03898032)
巻号頁・発行日
no.49, pp.141-158, 2012-03

本稿は、愛知県陶磁資料館に寄託されている彩文土器に関する調査報告である。前稿(Kaonasukawa et al. 2011; Shudai et al. 2009, 2010)で述べたように、総数133点におよぶ彩文土器は、現在のパキスタン・イスラーム共和国の南西部、バーロチスータン丘陵部に展開した先史文化の所産であると考えられる。この土器群は、紀元前4千年紀後半から前2千年紀初頭までの長期にわたる時間幅と、それぞれに個性豊かな彩文と製作技法によってバローチスターン先・原史文化の多様性を示し、バローチスターン丘陵部で長期間にわたり展開した地域間交流と土器製作技法の復元に多大な考古学的情報を提供するものである。こうした理由から、筆者らは愛知県陶磁資料館に寄託されているこれらの土器群をいち早く共有・活用できるデータとするために、その資料化を進めてきた。 前回までにナール式土器(Shudai et al. 2009)、クッリ式土器(Shudai et al. 2010)、エミール式土器およびクエッタ土器様式(Kaonasukawa et al. 2011)を報告してきたが、今回報告するのは、ケチ・ベーグ式土器やトガウ式土器を含むその他の土器群である。いずれの土器型式も紀元前4千年紀後半頃に位置づけられるバローチスターン先・原史文化における最古級の彩文土器であると考えられている。前者は黒色スリップ上に白色で描く幾何学文様を特徴とし、後者は鳥やコブウシの文様を横一列に連続的に描く彩文手法を特徴とする。ただし、筆者らでは、型式を識別できない一群も含まれており、それらについては個別に土器の特徴を記述するに留めた。資料の増加を待ち、再検討することが妥当であろう。 以下では、愛知県陶磁資料館に寄託されているケチ・ベーグ式土器やトガウ式土器と帰属型式不明の土器群について、特に彩文要素とその構成パターン、および製作技法に着目して報告する。 なお、今回の報告で行なうとしていたエミール式土器とクエッタ土器様式の文化的意味合いを含めた、バローチスターン先・原史文化における土器編年についての検討は、次号にて詳細に考えてみることにしたい。 また、愛知県陶磁資料館に寄託される人物や動物を中心とする土偶に関しては、機会を改めて報告する予定である。
著者
Rafiqul Islam Promsuk Jutabha Arthit Chairoungdua 平田 拓 安西 尚彦 金井 好克 遠藤 仁
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第32回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.36, 2005 (Released:2005-06-08)

アミノ酸輸送系B0は、中性アミノ酸の経上皮輸送を担当するトランスポーターであり、小腸及び腎近位尿細管の管腔側膜に存在するNa+依存性トランスポーターである。水俣病の起因物質であるメチル水銀は、生体内においてシステインと非酵素的に容易に反応し、メチオニンと類似構造をもつ化合物を生成するため、アミノ酸トランスポーターを介して吸収され、血液組織関門を通過すると考えられている。われわれはすでに、輸送系Lアミノ酸トランスポーターLAT1及びLAT2が、血液・脳関門、胎盤関門に存在し、メチル水銀輸送を媒介することを明らかにした。本研究は、メチル水銀の腸管吸収の分子機序を明らかにするために、最近同定された輸送系B0トランスポーターB0AT1をアフリカツメガエル卵母細胞に発現させ、メチル水銀輸送活性を検討した。B0AT1によるロイシンの取り込みは、メチル水銀-システイン抱合体により濃度依存的に抑制され、そのIC50値はアミノ酸輸送のKm値に比して有意に低く、B0AT1はメチル水銀-システイン抱合体を高親和性に受け入れることが明らかとなった。B0AT1によるメチル水銀-システイン抱合体輸送を確認する目的で、アフリカツメガエル卵母細胞に発現させたB0AT1において、14C-メチル水銀の輸送活性を測定した。その結果、14C-メチル水銀単独では輸送されないが、システイン存在下で14C-メチル水銀がB0AT1によって輸送されることが示された。このシステイン存在下でのメチル水銀のB0AT1を介する輸送は、B0を抑制するインヒビターであるBCH(2-aminobicyclo-(2,2,1)-heptane-2-carboxylic acid)により有意に抑制され、システイン存在下での14C-メチル水銀のB0AT1を介する輸送が確認された。本研究によりメチル水銀がシステイン抱合体としてB0AT1を介して小腸から吸収されることが示唆された。
著者
遠藤 仁
出版者
日本沙漠学会
雑誌
沙漠研究 (ISSN:09176985)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.53-58, 2015 (Released:2015-10-27)
参考文献数
10

半乾燥地に属するインド北西部では,家畜の糞や尿等の排泄物が資源として有効に活用されている.本稿では,ハリヤーナー州,ラージャスターン州,グジャラート州のコブウシやスイギュウの糞の利用法について,床の強化材や,燃料としての利用事例を報告する.特に燃料への利用としては,牛糞を円盤状に成形して乾燥させた保存用の燃料である牛糞ケーキ(cow dung cake)の製作,保存方法について詳細に報告する.そして,その燃焼時間の計測結果及び,燃焼実験の結果について報告し,分析した.牛糞の燃料としての利用は,半乾燥地で薪炭材として圧迫されている森林資源へのストレスを軽減させる有効なものである一方,薪よりも牛糞の燃焼が有害物質を多く輩出する等の問題点があることにも言及し,半乾燥地での家畜糞利用の持続可能性について考察した.
著者
本間 恵美 平光 美津子 尾木 千恵美 片桐 晶子 鷲見 孝子 遠藤 仁子 中村 年子
出版者
東海学院大学・東海女子短期大学
雑誌
東海女子短期大学紀要 (ISSN:02863170)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.21-32, 1992

(1) 利用頻度は「1週間に1〜2回」が、市販そうざいでは23.6%、調理済み食品では38.9%であり、調理済み食品の方が高かった。市販そうざいの利用頻度は、年代別では20歳代、就業状態別では専業主婦が高かった。調理済み食品については年代別、就業状態別いずれも、差はみられなかった。 (2) 利用する理由は「作る時間的ゆとりなし」が最も多く、市販そうざいは56.0%、調理済み食品は50.7%であった。 (3) 利用する目的は、市販そうざいでは「もう一品足したい」が53.0%、調理済み食品では「弁当を作る」が60.0%と最も多かった。 (4) 購入時の留意点については、市販そうざい、調理済み食品のいずれも、「製造年月日」「賞味期限」「食品添加物」の順であった。 (5) 利用法としては、市販そうざいでは「加熱する」が39.4%と多く、調理済み食品では「もうひと手間かける」49.3%と多かった。 (6) 市販そうざい38食品の食品別購入状況について、「手作りはせず全て購入する」は、うなぎのかば焼き、中華まん類が著しく多く、「購入しない」食品は、白飯、卵焼き、その他であった。また、寿司、お好み焼き、サンドイッチ、赤飯・おこわは、若い人ほど購入割合が高かった。年代別に比較すると、「購入する」割合は、20歳代の方が30歳代・40歳代よりも高かった。就業状態別、家族構成別では、それぞれあまり差は見られなかった。 (7) 調理済み食品27食品の食品別購入状況について、「手作りはせず全て購入する」は、中華まん類、シューマイ、ピザパイ、ラーメンの順に多かった。「購入しない」は、白飯、シチュー、ぞうすい、どんぶり物の具の順に多かった。年代別にみると、20歳代がよく利用しており、就業状態別、家族構成別については差が見られなかった。 (8) 個人別利用状況を点数化して判定した結果では、市販そうざいの平均は61.5±12.2点であった。点数の低い者の利用しない理由は、「味が好みに合わない」「添加物が気になる」であり、点数の高い者の利用する理由は、「調理することがめんどう」「作る時間的ゆとりなし」であった。調理済み食品の平均は46.7±9.5点であった。最低点の者は、市販そうざいも最低点であった。点数の高い者の利用する理由は、「作る時間的ゆとりなし」「家族が好む」であった。 (9) 市販そうざいと調理済み食品の両方で調査した食品(10種類)の利用度の平均は、市販そうざいが18.6±6.5点、調理済み食品は18.5±5.4点で、両者に差はなかった。市販そうざいと調理済み食品の利用度には相関関係がみられた。点数の低い者は、食品添加物を気にして手作りをしようと心がけ、点数の高い者は製造年月日や賞味期限を気にしながらも、味や簡便性から市販食品を利用していた。 (10) 夕食作りに要する時間と、市販食品の利用頻度とは関連はなかったが、上手な利用法とは関連がみられた。
著者
藤野 靖久 藤田 友嗣 井上 義博 小野寺 誠 菊池 哲 遠藤 仁 遠藤 重厚
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.304-310, 2009-06-15
参考文献数
13

除草剤のラッソー乳剤<SUP>®</SUP>を自殺目的で服毒し、短時間のうちに塩化ベンゼンによると考えられる全身痙攣,循環不全等を呈して死亡した症例を経験した。症例は52歳の男性で,うつ病のため通院中であった。自宅で倒れているところを発見され,救急要請。近くに空のラッソー乳剤<SUP>®</SUP> 500 ml入りの瓶が落ちており,服毒自殺による急性薬物中毒の疑いで搬送された。意識レベルはJCS 200,GCS 4(E1V1M2)であった。胃洗浄,活性炭・下剤を投与し,輸液等にて加療開始したが,発見から約12時間後より全身痙攣を発症し,痙攣のコントロール困難となり,頭部CTでは著明な脳浮腫を認めた。更に血圧低下を認め,昇圧剤にも反応しなくなり,発見から約22時間後に死亡した。当科搬入時のアラクロールの血清中濃度は8.0μg/ml,塩化ベンゼンは17.8μg/mlであった。ラッソー乳剤<SUP>®</SUP>は主成分がアニリン系除草剤であるアラクロール(43%)で,溶媒として塩化ベンゼンが50%含有されている。アニリン系除草剤中毒ではメトヘモグロビン血症を起こすことが知られているが,本症例では認められなかった。溶媒である塩化ベンゼン中毒では,肝・腎障害の他に脳障害や循環不全がある。本症例のように早期に死に至る大量服毒例では,塩化ベンゼンによる脳障害や循環不全が主な死因になると推測された。
著者
遠藤 仁 前田 敦司 山口 喜教
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.38-38, 2011-09-22

CPU の性能向上手法がクロックの高周波化からマルチコア化へとシフトした現在,CPU の性能を活用するために処理の並列化を図ることはますます重要性を増している.広く用いられているプログラミング言語の構文解析手法の多くは,有限の (多くの場合 1 つの) トークンを先読みすることによって逐次的に処理を進めるものであり,並列化は困難である.筆者らは,バックトラックによる再帰下降構文解析とメモ化を組み合わせた構文解析アルゴリズムである packrat parsing において,下位の非終端記号の解析結果を記録するメモ化表を,別のスレッドを用いてあらかじめ埋めておくことによって,上位の構文解析スレッドの動作を高速化できるのではないかと考えた.本研究では,Medeiros らの PEG 仮想マシンにメモ化機能を加えて packrat parsing 仮想マシンとし,さらに上記のアイディアを用いて並列化を行った.PEG で表記した文法を与えると,構文木を作成する並列 packrat parser を生成するパーザジェネレータを試作し,生成されたパーザに対して実際のプログラムを入力として評価実験を行い,並列処理の有効性を確認した.Parallelization of programs is getting more importance because recent performance improvement is driven mainly by increasing number of cores, rather than increase in clock frequency. Many of parsing algorithms used in programming language implementations rely on directing their actions by lookahead of finite (in many cases, only one) tokens, thus severly limiting the possibility of parallel processing. Packrat parsing is a variant of backtracking recursive descent parsing combined with memoization. In packrat parsing, memoization table for low-level nonterminals can be filled by distinct prefetch thread to accelerate processing of higher-level nonterminals. Following the idea, we have parallelized packrat parsing abstract machine, which is based on PEG machine by Medeiros. We built a parser generator that generates parallel packrat parser from grammar description written in PEG. We evaluated performance of the generated parser using real program as input, confirming the effectiveness of our approach.