著者
河村 好章 長瀬 弘司 遠藤 正和 重松 貴 江崎 孝行 藪内 英子
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR BACTERIOLOGY
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.597-610, 1991
被引用文献数
3 3

グラム陽性,カタラーゼ陽性好気性球菌の迅速同定キット「スタフィオグラム」(テルモ)のプレート作製,追加試験選定およびコードブック編集のための基礎実験を行った。<br>この目的のため<i>Staphylococcus aureus</i>を含む<i>Micrococcaceae</i>の3属30菌種の基準株のそれぞれが固有のコード番号を示すスタフィオグラムプレートを作製した。このプレートは10種の糖分解試験と8種の酵素活性試験から成り,McFarland No.4の菌液50μlを各ウェルに分注し,37C, 4時間培養後に結果を判定する。<br>このプレートを用いて新鮮分離株の同定を試みるに先立ち,好気性グラム陽性球菌同定へのfluorometric microplate hybridizationの有用性を確認した上で,新鮮分離386株のすべてを核酸同定した。これらの菌株をスタフィオグラムプレートで培養すると,得られたコード番号236種類のうち218種(92.4%)は<i>Staphylococcus</i>属15菌種と<i>Stomatococcus mucilaginosus</i>に固有の番号であった。被検386株のうち,これらの番号のいずれかに該当した342株(88.6%)は追加試験を行うことなく同定できた。同定できた<i>Staphylococcus</i>属15菌種のうちApproved lists of bacterial namesに収録されているもの(すなわち1980年1月1日以前の正式発表名)が11菌種を占め,その後に提案された菌種と同定されたのは<i>S. caprae, S. lugdunensis, S. gallinarum</i>および<i>S. delphini</i>の4菌種に過ぎず,残りの8菌種に該当する株はなかった。しかし<i>S. caprae</i>(48株),<i>S.haemolyticus</i>(46株),<i>S. capitis</i>(35株)は<i>S. epidermidis</i>(67株)に次いで株数が多く<i>S. saprophyticus</i>(31株)より上位にあった。<br>236種類のコード番号のうち2菌種に重複したのは7種類(27菌株),4菌種に重複したのは1種類(17菌株)の計8種類(3.4%)であった。コード番号が重複した44菌株は追加試験として選択した8項目のうち1∼3項目を実施することでmicroplate hybridizationの同定結果を追認し得た。<br>以上の結果からスタフィオグラムは<i>Staphylococcus, Micrococcus, Stomatococcus</i>の各属の菌種の迅速同定キットとして有用であると確信した。今後核酸同定した菌株によるデータを集積して専用コードブックを作製し,同定精度の高いキットを完成させたい。
著者
遠藤 正樹 建内 宏重 永井 宏達 高島 慎吾 宮坂 淳介 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.CcOF2078, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 ADLやスポーツでは、肩関節内・外旋運動が繰り返し行われており、内・外旋運動時の肩甲骨運動と肩関節障害との関連が指摘されている。2nd外旋では、肩甲骨の後傾・上方回旋・外旋、鎖骨の後方並進が生ずるとされているが、機能的な問題が生じやすい内・外旋最終域まで詳細に報告したものは少ない。また胸椎の屈曲・伸展は肩甲骨の運動に関連があると考えられているが、内・外旋運動において胸椎の運動を調査した研究はほとんどない。臨床的にも肩関節疾患において、内・外旋運動の障害は多く見られるため、内・外旋運動時の肩甲骨・鎖骨・胸椎の運動や動態を明らかにできれば、効果的な治療が可能になると考える。よって本研究の目的は、1st、2nd、3rdポジションにおける内・外旋運動時の肩甲骨・鎖骨・胸椎の運動を3次元的に明らかにすることとした。【方法】 対象は健常若年男性17名(23±3.9歳)とし、測定側は利き手上肢とした。測定には6自由度電磁センサーLiberty (Polhemus社製)を用いた。8つのセンサーを肩峰、三角筋粗部、前腕中央、胸骨、鎖骨中央、Th1、Th12、S2に貼付し、肩甲骨・鎖骨・胸椎の運動学的データを収集した。測定課題は座位での1st、2nd、3rdポジションの内・外旋運動とし、最大内旋位から3秒で外旋し、最大外旋位で1秒静止保持させ、3秒で最大内旋位まで内旋する運動とした。測定回数は3回とし、その平均値を解析に用いた。解析区間は最大内旋位~最大外旋位までを100%として、解析区間内において5%毎の肩甲骨・鎖骨・胸椎の運動学的データを算出した。なお、肩甲骨・鎖骨・胸椎の運動角度は、胸郭セグメントに対する肩甲骨・鎖骨セグメント、および胸椎はTh12に対するTh1の相対的なオイラー角を算出した。運動軸の定義として、肩甲骨は内・外旋、上方・下方回旋、前・後傾、鎖骨は前方・後方並進、上・下制について解析を行った.統計分析では、解析区間における肩甲骨・鎖骨の動態、および同一角度における内旋運動時と外旋運動時の肩甲骨・鎖骨の動態の違いを分析するために、反復測定二元配置分散分析を用いた。有意水準は5%とした。【説明と同意】 対象者には研究の内容を紙面上にて説明した上、同意書に署名を得た。なお、本研究は本学倫理委員会の承認を得ている。【結果】 1stの外旋では肩甲骨は約17度外旋、約6度下方回旋、鎖骨は約5度後方並進、胸椎は約5度伸展した。2ndの外旋では肩甲骨は約14度外旋、約7度上方回旋、約19度後傾、鎖骨は約11度後方並進・下制、胸椎は約14度伸展した。3rdの外旋では肩甲骨は約12度外旋、約6度下方回旋、約12度後傾、鎖骨は約5度下制、胸椎は約7度伸展した。また、1st、2ndでは肩甲骨・鎖骨・胸椎の全ての運動で、3rdでは肩甲骨内・外旋、上・下方回旋、鎖骨の挙上・下制、胸椎の屈曲・伸展で交互作用が認められ(P<0.05)、同一角度においても内旋運動中と外旋運動中とでは肩甲骨・鎖骨・胸椎の動態が異なっていた。1st、2nd、3rdポジションの共通の傾向として、内・外旋運動の最終域付近において、肩甲骨・鎖骨・胸椎の運動は急な増大を示した。【考察】 外旋運動において、1stでは肩甲骨の外旋・下方回旋、鎖骨の後方並進、胸椎の伸展、2ndでは肩甲骨の外旋・上方回旋・後傾、鎖骨の後方並進・下制、胸椎の伸展、3rdでは肩甲骨の外旋・下方回旋・後傾、鎖骨の下制、胸椎の伸展が同時に生じていた。内旋運動では逆の運動を同時に示した。胸椎は全てのポジションにおいて、外旋運動時に伸展し、内旋運動時に屈曲が生じており、内・外旋運動においても胸椎と肩甲骨の運動が協調していることが明らかとなった。また、3ポジション全てで外旋運動時に胸椎は伸展したが、特に2ndでの伸展角度が大きく、2nd外旋では胸椎の伸展がより重要であることが示唆された。さらに、同じ角度であっても内旋運動中と外旋運動中とでは肩甲骨・鎖骨・胸椎の運動パターンが異なることが明らかとなった。例を挙げると、外旋最終域付近において、外旋運動中には肩甲骨・鎖骨・胸椎の運動が大きくなるのに対して、内旋運動中には肩甲上腕関節の運動が大きくなる傾向にあった。肩甲骨・鎖骨・胸椎の動態は、内・外旋運動の運動方向を踏まえて理解することが必要である。【理学療法学研究としての意義】 肩関節疾患を有する多くの患者において、内・外旋運動時の肩甲上腕関節の可動域低下だけでなく、肩甲骨運動の異常も観察される。臨床的に問題が生じやすい内・外旋運動時の肩甲骨・鎖骨・胸椎の運動や動態が明らかとなり、患者の治療戦略立案にとって有用な情報になると考える。
著者
豊岡 佑真 遠藤 正之
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2017年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.17-20, 2017 (Released:2017-05-31)

Bitcoinはなぜ注目されているのか。それはBitcoinがブロックチェーンなどのシステムを利用することで、高い信頼性を持っているという理由が挙げられる。オルトコインやBitcoin 2.0と呼ばれるプロジェクトが多く出現している理由は、Bitcoinのシステムが利用しやすいことと、信頼性の高さが知られてきていることがあげられるだろう。特に、CounterpartyなどBitcoinを新たな使い方に利用するものや、Ethereumなど独自のブロックチェーンを利用するものに代表される、Bitcoin 2.0の可能性は大きい。本報告ではBitcoinの信頼性およびBitcoin 2.0への応用可能性について考察する。
著者
豊田 雅夫 鈴木 大輔 上原 吾郎 梅園 朋也 堀木 照美 谷亀 光則 遠藤 正之 黒川 清 堺 秀人
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.44-48, 2001-01-25 (Released:2010-07-05)
参考文献数
14

We experienced two cases of limb edema of unknown pathogenesis. No evidence was found concerning involvement of the kidneys, heart of other visceral organs. Case I was 22-year-old woman. Her white blood cell count increased to 13, 100/μl with 65.0 % eosinophils. Case 2 was a 27-year-old woman. Her white blood cell count increased to 23, 300/μl with 67.0 % eosinophils. In these cases, extensive diagnostic evaluations revealed no evidence of atopy, neoplasms, collagen vascular disease, or parasitic infestation. We diagnosed these cases as episodic angioedema with eosinophilia. In both cases, the angioedema improved gradually in parallel with a decrease in the white blood cell count. This disorder is very rare, but it is very important to consider it in differential diagnosis especially for nephrologists.
著者
遠藤正男 著
出版者
日本評論社
巻号頁・発行日
1942
著者
遠藤正次郎 編
出版者
遠藤正次郎
巻号頁・発行日
1894
著者
植田 一博 遠藤 正樹 鈴木 宏昭 堤 江美子
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.260-273, 2002-06-01 (Released:2008-10-03)
参考文献数
22
被引用文献数
1

When they use daily electronic appliances to achieve their goals, users need to decompose their goals to a set of subtasks in a specific way. A previous study revealed that users who have extreme difficulties in using such appliances fail to decompose the task, or that their decompositions are different from the one that designers assume. Based on this view, we propose a new method to help users understand “task decomposition” by providing all operating functions in a tree structure. We conducted three experiments. In the first and second experiments, we built support panels corresponding to the operating panels of two different copiers, which visualize all operating functions of respective copiers to facilitate users' understanding task decomposition. We compared the copying performance of subjects who used the support panels with that of those who did not. Both the support panels were found to be useful for technologically inept users. We then built an interface by integrating the operating panel into the support panel, both of which were provided in the first experiment: We conducted an experiment similar to both of the previous ones and evaluated its effectiveness. The result showed that this interface facilitated users' task decomposition. We conclude that the supporting method we proposed is effective for technophobic users' understanding task decomposition.
著者
石川 遼 遠藤 正之
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR MANAGEMENT INFORMATION (JASMIN)
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
pp.97-100, 2023-01-31 (Released:2023-01-31)

バイナリーオプションとは、為替相場などを対象に、予め決められた時点の騰落を予測し、ある値よりも高いか低いか、二者択一で選ぶ取引である。一見単純な取引だが、実際は複雑な理論的根拠に基づく金融取引であり、射幸性が高いという特徴がある。本稿ではバイナリーオプション取引においてプロスペクト理論をどのように適用できるかを二人の被験者の取引の結果を比較・分析し考察する。
著者
永井 宏達 建内 宏重 高島 慎吾 遠藤 正樹 宮坂 淳介 市橋 則明 坪山 直生
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AeOS3002, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 肩関節に疾患を有する症例では,肩甲骨,鎖骨の動態に異常をきたしていることが多い.そのため,臨床場面では,セラピストが肩甲骨や鎖骨の動態を正確に把握し,適切な肩甲骨,鎖骨の運動を獲得することが重要である.一般に,肩関節疾患を有する患者における肩甲骨の異常運動としては,肩甲骨の内旋(外転),前傾,上肢挙上時の肩甲骨の挙上,下方回旋などが報告されており,上肢の挙上動作を行う上では障害となる.一方,肩甲骨の動態・アライメントに影響を及ぼす因子として,脊柱が後彎することで肩甲骨の前傾,内旋,下方回旋は生じやすくなるとされる.しかしながら,脊柱の回旋が肩甲骨,鎖骨の動態に及ぼす影響は明らかにはされていない.日常生活場面での上肢挙上動作には,体幹の回旋を伴っていることも多く,体幹回旋による影響を明らかにすることは臨床的に重要である.そしてこれらの情報は,より効果的な肩甲骨トレーニング開発の一助となると思われる.本研究の目的は,体幹回旋が上肢挙上時における肩甲骨・鎖骨の動態に及ぼす影響を明らかにすることである.【方法】 対象は健常若年男性19名(20.9±0.7歳)とし,測定側は利き手上肢とした.測定には6自由度電磁センサーLiberty (Polhemus社製)を用いた.5つのセンサーを肩峰,三角筋粗部,胸骨,鎖骨中央,S2に貼付し,肩甲骨,鎖骨,上腕骨の運動学的データを収集した.測定動作は,座位での両上肢挙上動作とし,矢状面において3秒で挙上し,3秒で下制する課題を実施した.測定回数は,体幹回旋中間位・体幹同側(測定側)回旋位・反対側(非測定側)回旋位でそれぞれ3回ずつとし,その平均値を解析に用いた.体幹の回旋角度は、それぞれ30°に規定した。なお、解析区間を胸郭に対する上肢挙上角度30-120°として分析を行い,解析区間内において10°毎の肩甲骨,鎖骨の運動学的データを算出した.なお,肩甲骨,鎖骨の運動角度は,胸郭セグメントに対する肩甲骨・鎖骨セグメントのオイラー角を算出することで求めた.肩甲骨は内外旋,上方・下方回旋,前後傾の3軸とし,鎖骨は鎖骨前方・後方並進,挙上・下制の2軸として解析を行った.統計処理には,各軸における肩甲骨・鎖骨の角度を従属変数とし,体幹の回旋条件(中間・同側・反対側),上肢挙上角度を要因とした反復測定二元配置分散分析を用いた.有意水準は5%とした.【説明と同意】 対象者には研究の内容を紙面上にて説明した上,同意書に署名を得た.なお,本研究は本学倫理委員会の承認を得ている.【結果】 上肢挙上時の肩甲骨の外旋は,体幹を同側に回旋することで有意に増大していた (同側回旋位>中間位>反対側回旋位,体幹回旋主効果: p<0.01) 。また、肩甲骨の上方回旋も、体幹を同側に回旋することで有意に増大していた(同側回旋位>中間位=反対側回旋位,体幹回旋主効果: p<0.01)。肩甲骨の後傾は体幹中間位よりも両回旋位の方が増大していた(同側回旋位=反対側回旋位>中間位,体幹回旋主効果: p<0.05)。一方、上肢挙上時の鎖骨の後方並進は体幹を同側に回旋することで有意に増大していた (同側回旋位>中間位>反対側回旋位,体幹回旋による主効果: p<0.01)。鎖骨の挙上は体幹を反対側に回旋をすることで有意に増大していた(反対側回旋位>中間位>同側回旋位,体幹回旋主効果: p<0.01) 。【考察】 本研究の結果,上肢挙上時に体幹を同側に回旋することで、肩甲骨は外旋,上方回旋が大きくなり,鎖骨は後方並進が大きく、挙上が小さくなることが明らかになった.体幹を反対側へ回旋させると、逆の傾向がみられた。これらの結果は,体幹の回旋状態が,肩甲骨の動態に影響を及ぼしていることを示唆している.体幹同側回旋に伴う,これら肩甲骨,鎖骨の動態は,肩関節疾患を有する患者にみられる異常運動とは逆の動態を呈していると思われる.体幹を同側に回旋することにより,肩甲骨が外旋方向に誘導され,肩甲骨周囲筋の筋力発揮が得られやすくなったことが影響している可能性がある.一方で、体幹を反対回旋した場合の上肢挙上時には、肩甲骨では上肢挙上には不利な方向へ運動が生じる傾向にあり、鎖骨では上肢挙上動作を代償する挙上運動が観察された。【理学療法学研究としての意義】 肩甲骨の内旋,下方回旋の増加,鎖骨後方並進の減少は,肩関節疾患を有する多くの患者に特徴的にみられる.また,上肢挙上時の過度な鎖骨の挙上も,僧帽筋上部線維による代償的な肩関節挙上動作として多くみられる.これらの特徴を有する症例に対しては,体幹の回旋も取り入れながらプログラムを実施することで,正常に近い肩甲骨運動を促通し,より効果的に理学療法を進められる可能性がある.
著者
後藤 麻希 川崎 桂 遠藤 正英 甲斐 健児 薛 克良 服部 文忠
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.174, 2011

【はじめに】<BR> 近年Wii(任天堂社製)を用いたリハビリテーションが注目され検証されている。しかし、集団への影響について検証されているものは少ない。そこで今回、当院の通所リハビリテーション(以下通所リハ)の集団訓練にWiiを導入し、身体機能と出席率に着目して検証したので報告する。<BR>【対象・方法】<BR> 調査期間はX年9月~X年12月、対象はその間、当院通所リハを3ヶ月間継続利用した要支援35名とした。そのうち、Wiiを使用した集団訓練への参加を希望した群(以下ゲーム群)21名(男性:7 女性:14名、平均年齢:73.47±9.6歳)、希望しなかった群(以下非ゲーム群)14名(男性:8 女性:6名、平均年齢:71.78±11.5歳)。Wiiを使用した集団訓練は、プロジェクターを使用し、スクリーンに映し、30分間実施した。Wii 太鼓の達人(バンダイナムコゲームス・ナムコ社製)とWiiスポーツリゾート(居合い斬り・ボウリング)(任天堂社製)のソフトを順に2週間ずつ変更し行った。出席率(%)はWiiを実施した各月の当院通所リハの出席率(利用回数/予定利用回数×100)を調査し、身体機能の検証は実施前、後に握力、膝伸展筋力(ミュータスMA1(アニマ社製)を用いて端坐位にて膝関節90度屈曲位での最大等尺性膝伸展筋力を測定)、10m歩行(時間・歩数)、6分間歩行距離(以下6MD)、ファンクショナルリーチテスト(以下FRT)、Timed up and go Test、長坐位体前屈を行い統計学的分析にt検定を用いた。なお、本研究は被験者に目的、手順を説明し同意を得た。<BR>【結果】<BR> 出席率はゲーム群で実施1ヶ月目:80.45%、2ヶ月目:91.14%、3ヶ月目:88.76%、非ゲーム群は1ヶ月目:75.28%、2ヶ月目:72.34%、3ヶ月目:66.67%であった。身体機能は集団訓練実施前、後において、非ゲーム群のFRTで有意な低下を認めた(p<0.05)。その他の項目では有意差が認められなかったが、ゲーム群では6MD、FRT以外の全ての項目で平均値が向上傾向にあり、非ゲーム群では全ての項目で平均値が低下傾向にあった。<BR>【考察】<BR> 今回の結果より、Wiiを集団で実施した場合、出席率・身体機能の向上へ効果がある事が示唆された。ゲーム群で出席率が向上傾向にあったのは、ひとつに内発的動機付けとしてWii自体の楽しさがある。あわせて、集団で行う事により、他者との交友関係の深まりの中で外発的動機付けが促され、出席率向上へと影響した事が考えられる。また、ゲーム群で身体機能が向上傾向にあったのは、Wii使用による直接的な運動量の増加と出席率向上による運動量の向上が影響した事が考えられる。Wiiは運動への動機付けを促す手段の一つとなりえ、更に集団で行う事により内発的動機付けと外発的動機付を誘発する事が期待できる。
著者
太田 恵 小川 智美 遠藤 正樹 森島 健
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100446, 2013

【目的】近年の学生の一部には、教育上無視できないコミュニケーションスキルやソーシャルスキルの低さが認められる。それらの能力不足は、臨床実習で不合格になる要因になり得るが、学力とは必ずしも相関しないため、学科試験だけで見抜くことは難しい。そこで本研究では、入学試験時における面接試験の成績とその後の臨床実習の成績との関係を明確にし、入学直後からの学生指導の可能性を検討した。【対象と方法】平成18年度から21年度までに当校に入学した者のうち、臨床実習より以前に退学した者および現在の在校生を除外した190名(男性136名、女性54名、平均年齢25.9±6.3歳)を解析対象とした。当校では、入学試験において、口頭試問および集団面接の二種類の面接試験を実施している。前者は、3名から4名の受験者に対し、試験官である教員が一人ずつに質疑を行う形式である。一方後者は、8名から10名の受験生がグループになり、他の受験生と提示された課題を進めていく形式で、他者との関わりを見るものである。それぞれ3名から5名の教員が試験官となり、服装・言葉使い・積極性・適正・対人適応等の観点から 1点(非常に悪い)から4点(非常に良い)の段階評価を行なった。複数回受験している者に関しては、最後の試験の成績を採用した。全試験官の評定がいずれも3点以上だった群85名(入試高位群: 男性56名、女性29名、平均年齢24.4±5.3歳)と2点以下の評定が付いた群105名(入試低位群: 男性80名、女性25名、平均年齢27. 2±6.8歳)に分けた。各群において、臨床実習で合格した者(実習合格者)、学生自ら臨床実習を中止した者(実習中止者)、臨床実習指導者の判断で不合格となった者(実習不合格者)について、それぞれオッズ比を算出し、Fisher直接確率検定を用いて解析した。有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】本校は倫理委員会設置しておらず、同等の権利を持つ組織の承認を得て実施した。尚、個人を特定するようなデータは含まれていない。【結果】入試高位群は、実習合格者68名、実習中止者6名、実習不合格者11名であった。それに対して入試低位群は、実習合格者69名、実習中止者5名、実習不合格者31名であった。実習中止者については群間で有意差はなかったが、実習不合格者については、入試低位群は入試高位群と比較しオッズ比2.777(95%信頼区間1.292-5.969) と高値を示した。また実習合格者137名のうち、いずれの形式の面接でも3点以上だった者が68名(男性42名、女性26名、平均年齢24.7±4.9歳)、口頭試問のみ2点以下だった者が10名(男性5名、女性5名、平均年齢25.3±6.5歳)、集団面接のみ2点以下だった者が34名(男性25名、女性9名、平均年齢26.2±4.8歳)、いずれの形式の面接でも2点以下だった者が25名(男性20名、女性5名、平均年齢28.0±8.3歳)であった。しかし、実習不合格者42名では、いずれの形式の面接でも3点以上だった者が11名(男性9名、女性2名、平均年齢22.5±5.0歳)と少なく、口頭試問のみ2点以下だった者が4名(男性2名、女性2名、平均年齢27.8±10.4歳)、集団面接のみ2点以下だった者が12名(男性12名、女性0名、平均年齢27.7±8.5歳)、いずれの形式の面接でも2点以下だった者が15名(男性11名、女性4名、平均年齢29.0±6.7歳)と多かった。【考察】臨床実習では、理学療法士になるために必要な知識や技術は勿論だが、医療従事者や社会人としての姿勢や資質も要求される。本研究により、面接試験で成績不良だった学生には実習不合格者が多いことが示された。このことから、入学試験時の面接試験は、学生の臨床実習における問題点を早期に把握する上で有効な手段だといえる。また入学試験で一般的に行われている口頭試問だけでなく、集団面接を合わせて実施することにより、問題点をより明確に抽出できると考える。今後は学生の問題点を早期に把握するだけでなく、臨床実習を念頭に置き、入学当初からどのような学内教育に取り組んでいくのが有効なのか、検討していきたい。【理学療法学研究としての意義】 入学試験において面接試験を実施して教員が評価することで、学力以外の問題点に対しても、臨床実習に向けてより早期から指導をすることが可能になると考える。
著者
宮内 佑実 遠藤 正之
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2020年全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.144-147, 2021-01-28 (Released:2021-01-18)

現在、新型コロナウイルスの感染予防のため、対面での密接な集合が問題視され、様々な組織でオン ライン会議が行われている。学生団体でも、オンラインコミュニケーションツールを用いた会議を行っている。 しかし、オンラインの会議はオフラインの会議と比較し、空間・音声・視覚などの点で制限があり意思疎通が 難しいと感じる。本報告では、学生団体で開催されるオンライン会議とオフライン会議を交互に行うもので、 音声の録音とアンケートを基に、実証的に確認した。
著者
遠藤 正造 鶴町 昌市
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.82-86, 2001-02-20
参考文献数
14

1989&acd;1992年に東南アジアと日本で採集したトビイロウンカとセジロウンカの感受性を比較した.トビイロウンカ : 1989, 1990年に採集したマレーシア個体群のマラソン感受性は日本のそれの約1/7と低く, ダイアジノン, カルボスルファン感受性も若干低い傾向が認められた.また1992年の検定結果では, ベトナム南部及びタイ個体群のマラソン感受性は, 日本及びベトナム北部のそれより若干低かった.しかし, 他の薬剤に対する感受性はこれらの個体群間で大きな差はなかった.セジロウンカ : 1989&acd;1990年個体群の薬剤感受性を比較した結果, マレーシア個体群のマラソン感受性は日本のそれの約1/6と低かった.しかし, 他の薬剤に対する感受性はこれらの個体群間でほとんど差はなかった.また, 熱帯地域においてもこれら2種のウンカは1977&acd;1992年の間に各種薬剤に抵抗性が発達したことが確認された.
著者
豊岡 佑真 遠藤 正之
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2018年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.302-305, 2018 (Released:2018-12-25)

未来投資戦略2018ではキャッシュレスが大きく採り上げられている。キャッシュレスはクレジットカードや電子マネー、そしてスマートフォン決済・仮想通貨などへ変化してきている。昨今の中国ではQRコードによる電子マネー決済が普及し始めているが、日本では大きなイノベーションはまだ起こっていない。日本のほとんどの店舗には電子マネー用にNFCリーダが導入されているため、仮想通貨決済でも活用できるのではないだろうか。実際、QRコードによる決済よりもNFCを利用した決済ができる方が利点は多い。本稿では、利点や導入への障壁などを確かめながら、既に整備されたインフラを生かした仮想通貨決済の実現可能性を考察する。
著者
中山 有仁 遠藤 正之
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.202011, pp.77-80, 2021

<p>近年、証券業界ではFinTechサービスを積極的に検討、導入している。本報告では、大手・準大手証券におけるFinTechサービスの一つであるスマートフォン専業証券に着目する。野村ホールディン グスは2019年にLINE Financialとの合弁会社であるLINE証券を設立した。他にも大和グループ本社と東海東京フィナンシャル・ホールディングスがスマートフォン専業証券を設立している。これらについて経営戦略の視点で各社を分析し、現状課題と今後の展望について考察する。</p>
著者
馬上 修一 加藤 光恵 坪井 永保 加藤 悠介 八木田 裕治 佐々木 貴義 遠藤 正範 安齋 明子 須藤 美和 本内 陽子 アロマクラブ 部員
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】卵巣癌でホスピス病棟に転棟された患者の機能面だけでなく,生きがいの「アロマ教室開催」を病院全体でサポートし,当院職員構成のアロマクラブに講師として招きQOL向上に繋げたため報告する。</p><p></p><p>【方法】<b><u>症例</u></b> 55歳女性,卵巣癌,心拍数94回/min,ROM制限無し,MMT4-,BI 15点(介護依存あり)。2011年11月当院で卵巣癌の手術施行。短期入院を繰り返していたが状態悪化し当院一般病棟を経てホスピス病棟へ転棟。後にリハビリテーション(以下リハ)依頼。介入当初の希望は「車椅子に乗ってどこか行きたい。なるべく出来ることは自分でやりたい」である。<u><b>経過</b></u> ADL向上目指し下肢筋力増強運動を中心にリハ継続していたが,介入8日目に「もっとアロマを教えたい」と熱望あり。患者はアロマトレーナー有資格者で,入院前はアロマ教室を開催していたため,リハ目標を「アロマ教室開催」,リハ内容をリラクゼーション中心に行い身体調整を行った。同時にアロマクラブに依頼し承諾を得た。患者には低負担で行える様に環境調整を行い,介入12日目に1回目開催。翌日状態悪化が見られたが,「またやりたい」と熱望があり,症状改善したため介入19日目に2回目開催。その3日後に逝去される。</p><p></p><p>【結果】開催日の患者は身支度し,活気に溢れていた。生きがいを達成し,患者や参加者から好評を得た。途中リハ内容を変更し,身体的ストレス軽減を図りアロマ教室を2回開催した。そのため患者は生きがいを達成し満足感を得たためQOLが向上したと考えられる。</p><p></p><p>【結論】終末期患者のQOL向上のため,優先順位の選択の難しさを実感した。また患者の要望を叶えるにはスタッフ間の連携及び迅速な対応が必要なため,チーム医療の重要性を実感した。今後もチームとしての連携を図り,要望に対し身体や環境調整を行い,QOLの向上及び患者満足度に対し客観的評価も検討していきたいと考える。</p>